ソードアート・オンライン ~剣の世界で弾を放て~   作:レゾナ

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今回より新章突入でございます。突入する作品は……インフィニット・ストラトス!


インフィニット・ストラトス編
第1話 新たなる始まり


園田蓮司が目覚めてから1ヶ月が経った。

 

蓮司が目覚めたのはクリスマス。それまで蓮司は目覚めないでいた。

 

蓮司が親から聞いた所、今年の秋にはSAOに囚われていた殆どの人は目を覚ましていたらしい。

 

しかし一部の人間がまだ目覚めていない……蓮司もその中の一人ではないか?と考えたらしい。

 

しかし蓮司には疑問が残った。

 

自分は確かにHPを全損して死んだ筈だ。しかしこうして生きている……。

 

(何で、生きてるんだろうな……ゲームクリアの報酬って事か……?)

 

蓮司はリハビリをしながらそんな事を考えていた。

 

(まあ、今は筋肉を戻す事が大事だな……)

 

そう思い、彼は今日もリハビリに励む。

 

 

 

そしてリハビリを一応は終わりを告げて、蓮司は今から受ける高校の受験場所を目指して……迷子になっていた。

 

「くっ……やはり、筋肉の疲労が激しいな……」

 

リハビリで少しは戻ったとはいえ、二年間も動かしていなかったのだ。それもしょうがないだろう。

 

「しかし……無駄に広いな、この会場……」

 

蓮司はそう思いながら通路を歩く。

 

SAO被害者には専用の学校が用意される筈だった。

 

しかし蓮司はそれを蹴って公立の高校を受験する事にしたのだ。

 

蓮司の理由としては

 

「確かにそれも魅力的だが……父さんも母さんの為にも公立を出てからじゃないとな。これは自分で決めた事なんだ」

 

と、言っている。

 

これを聞いた彼の友人達は心底落ち込んでいたが「それでも今生きている事に代わりはない。いつか遊びにいくよ」と言ったらそれまでのテンションが一変。喜びまくったらしい。

 

「とにかく、どっかの部屋には誰かいるだろ……」

 

そう思い、蓮司は地殻の部屋の扉を開ける。

 

しかし、そこは電気が点いていなかった。しかしそんな中でも一部がそこは普通ではない事がわかった。

 

「これは……ISか?」

 

IS……正式名称、インフィニット・ストラトス────世界初のVRMMORPGを開発した天才科学者、茅場晶彦とは分野が異なるもう一人の天才、篠ノ之束が開発した宇宙進出を目的とながら、世界では兵器として認識されてしまった最強の兵器。

 

「何でこんな所にISが?」

 

蓮司は疑問に思いながらもISに近づく。

 

実は蓮司はISに興味を持っていた。

 

それは蓮司が初めて興味を持った事だったので蓮司の両親も何も言わなかった。

 

「こんなに近くでISを見たのは初めてだからな……しかし、何でISは女にしか動かせないのだろうか……」

 

蓮司が言った疑問……それは世界中の人間が疑問に思っている事だ。それは世界最強の兵器であるISの唯一の欠陥、男では動かすどころか起動する事すら出来ず、女にしか扱えないというものだ。

 

故に、世界最強の兵器であるISを動かせる女は必然と男より上の存在だという女尊男卑の風潮が広まり、今ではそれが当たり前の世の中になってしまった。

 

まあ、そんな世界を蓮司はどうでもいいと思っているが……。

 

そして蓮司は触れてみたいと思い、ISに手を置く。

 

そして、それが蓮司の運命の転機だった。本来、女にしか起動出来ない筈のISが、蓮司が触れた瞬間、起動して様々な情報が蓮司の頭に流れ込んできたのだ。

 

「い、今のは……」

 

そして気がつけば蓮司はISを身に纏っていた。

 

「俺が……ISを動かしているのか?」

 

「おい、君!此処で何を……って、男がISを起動させてる!?」

 

そして蓮司は思う。これは“また”厄介事になりそうだ、と……。

 

 

 

そして翌日……政府から園田家に通達があった。

 

“ご子息はISを起動させる事ができるとわかりました。よってIS学園へ進学をお願い致します”

 

要約するとこんな感じの通達である。

 

「蓮司……」

 

「蓮司君……」

 

「父さん、母さん。そんな哀れむような目で俺を見ないでくれ……」

 

蓮司は椅子に座りながら居心地の悪さを感じていた。

 

「まあ、仕方ないのかもな。蓮司、IS学園に通いなさい」

 

「え?でも、俺は公立の高校に」

 

「でも、じゃない。お前、まだ本調子じゃないんだろ?」

 

「……確かにそうだけど……」

 

「そこでだ。IS学園の施設を使ってリハビリをしてこい。ついでにISでの戦闘を行えばいいリハビリにもなるだろ?」

 

「まあ、そうかもしれないけど……」

 

蓮司はそれでも公立の高校へと行こうと思っているようだ。

 

「いい、蓮司?IS学園に通えばそこでISの勉強が出来る。蓮司は以前からISに興味を持っていたでしょ?」

 

「確かにそうだけど……」

 

「それに園田家の当主になれば自由な時間はないと言ってもいいわ。自由な時間はそれまでの時間だけ。だからISの勉強をやってみない?」

 

「……母さんがどうしてもって言うなら……」

 

「じゃあ、どうしても」

 

そして、とうとう蓮司は折れた。

 

「……わかったよ」

 

「よかった!じゃあ、蓮司。いらっしゃい」

 

そして蓮司の父親と母親は家を出る。

 

蓮司は頭の上に?マークを出しながら、両親についていく。

 

ついたのは自身の両親が経営している会社「園田コーポレーション」だ。

 

園田コーポレーションは日本でも一二を争うほどの大企業。そこの息子が蓮司なのである。

 

そしてこの園田コーポレーションはISの他にも電化製品なども開発しているため、人気はある。

 

蓮司がいるのはそのIS開発部門である。

 

「なあ、母さん父さん。ここになにが…っ!?」

 

蓮司はそこまで言って、声が出せなくなった。

 

なぜなら……自身の目の前にいる存在に驚愕しているからである。

 

そこにあるのは……黒だった。

 

全身が黒で、形としては龍を模していると思われた。

 

中心の部分には人が乗れる程の場所があり、これがISだと教えてくれた。

 

「父さん、母さん……これって……」

 

「ええ、そうよ。貴方が開発したいと願っていた貴方が作り出した……『バハムート』よ」

 

バハムート……暴龍という意味がある。

 

蓮司は以前からISに興味があり、ISを作ってみたいと思っていた。

 

その第1号機だったのがこの「バハムート」なのである。

 

「父さん、母さん……もしかして、「あの機能」も搭載されてるの?」

 

「っ……ああ、苦渋の決断だったがな……」

 

「あれが、このバハムートを象徴する武器だしね……」

 

蓮司が言ったあの機能とは……このバハムートが当時の技術では再現できないと言われた機能であり……人が使えば高確率で死ぬ可能性もある機能である。

 

「そっか……だったら、この機体は俺は使うよ。俺の思い出がある機体だからな……」

 

「済まないな、蓮司……」

 

「いいよ、これでも当時の俺は人が使う事を前提にこの機能は積んでなかったし。まあ、自分で使うとは思わなかったけどね……それじゃあ、他にも?」

 

「ああ、他にも製作している」

 

そう言って蓮司の父親はさらに奥へと向かっていく。

 

そこには様々なISがあった。

 

いや、正確にはISではないだろう。

 

なぜなら今まで説明していたバハムートを始め、ここにある機体には……シールドエネルギーがない。ゆえに絶対防御もないからである。

 

当時の蓮司が思った事。それは

 

「男性にもISが使えないだろうか?」

 

という、子供ながらの疑問だったのだから。そしてそれを父親達は実現したのだ。

 

蓮司は当時の自分が考えた機体達を見る。

 

高火力に徹した「ティアマト」……バランスが取れ、その機能は擬似的な未来予知も可能な「ファフニール」……格闘戦に優れた「テュポーン」……そして槍を持った蓮司の最高傑作「バハムート」に勝るとも劣らない「リンドヴルム」……。

 

(IS学園か……どんな、場所なんだろうな……)

 

蓮司は密かにそう、楽しみながら自らの機体達を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、春になり……蓮司はIS学園に入学する。

 

「えっと、皆さんご入学おめでとうございます。私はこの1年1組の副担任の山田真耶(やまだまや)と言います。これから1年間がんばりましょうね!!」

 

蓮司のいる教室に担任がやってきた。何だかオドオドしている人だ。

 

そして先ほどの担任の言葉に反応する女子はいない。

 

それは当然だろう。なぜなら……男性が二人いるからだ。

 

一人はもちろん蓮司……もう一人は蓮司と同日に見つかった織斑一夏という人物である。

 

皆、そちらに注目しているのである。

 

しかし一夏にもそうだが、蓮司の方が視線を受けているのは若干多い。

 

それも当然だろう。蓮司が持っているのは剣だ。

 

文字通り、人を殺せる道具である。しかもそれを四本も持っているので生徒達はなんであんなの持ってるの?と疑問に思い、興味を持っているのだ。

 

まあ、それと似たような剣を持っている女生徒が一人いるのだが……。

 

「そ、それじゃ自己紹介しましょう!!!では五十音順で……」

 

そして自己紹介が始まる。

 

どんどん自己紹介されていく中

 

「織斑くん、織斑一夏くん!」

 

「は、はい!」

 

織斑一夏は慌てたように返事をする。

 

「あの、大声出しちゃってごめんなさい。でも、『あ』から始まって今『お』なんだよね。自己紹介してくれるかなぁ?ダメかなぁ?」

 

いや、何でそんなに上目遣いで見ているんだ?と蓮司はツッコミそうになる。

 

しかし、そこは鋼の精神力で我慢する。

 

「えぇと、織斑一夏です……」

 

一夏は立ち上がってそこまで言って少し黙る。そして

 

「よろしくお願いします」

 

そう言って終わらせた。

 

そして皆は一斉にズッコケる。

 

それもしょうがないだろう。自己紹介とは言えない物になっているからだ。

 

「え、あれ? ダメでした……うぐぅ!?」

 

そして一夏の頭に出席簿が叩きつけられる。ちなみに出席簿の角で叩かれるとすごく痛い。それを今一夏は実践しているのである(笑)。

 

「うぐぐっ、いっつー……げぇっ、関羽!?」

 

素直に名前を答えておけばいいものを、三国志の武将の名を口走ったせいでまた出席簿ではたかれる。

 

「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」

 

「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」

 

「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」

 

やってきたのは女性としてはかなり高い身長。女性の誰もがうらやむスラリとしたモデル体形に、大人の女性を思わせるピッチリとフィットした黒のスーツに美脚をさらに際立てるストッキング……世界最強の女性、織斑千冬。

 

山田先生も織斑先生が来てホッとしたのか、さっきの慌てるような表情が消える。そんな山田先生に優しく微笑むと、コツコツと音を立てながら教壇の上に立ち、そして勢いよくこちら側に振り返った。

 

「諸君、私が担任の織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる為のIS操縦者に育てるのが仕事だ」

 

そう宣言して数秒後……蓮司は知人の女性達にアイコンタクトで耳を塞げと言うと自身も耳を塞ぐ。

 

その瞬間

 

「「キャ―――――――――!!!!!」」

 

絶叫が鳴り響く。

 

気のせいか、窓ガラスが震えているように見える。

 

「千冬様! 本物の千冬様よ!」

 

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです! 北九州から!」

 

「私、お姉様のためなら死ねます!」

 

蓮司は思わずこめかみを抑える。

 

ここにはバカしかいないのか……と、思わず嘆きそうになる。

 

「まったく、よくもまあこんな馬鹿共が集まったな。感心せざるおえないな。それとも何か?狙って集めたのかそれとも押し付けているのか?」

 

それは教師達しか知らない事であろう。

 

「きゃーッ!!!もっとしかって、罵って!!!」

 

「私を躾けて!!!」

 

「むしろ、付け上がらないように調教して!!!

 

「そして時には甘やかして!!!」

 

蓮司は聞こえないように耳を塞ぐ。もはや現実逃避である。

 

「で?お前は満足にも挨拶ができないのか」

 

織斑千冬は左手に拳をぶつけて一夏のほうを向く。

 

「い、いや、千冬姉。俺は……ぐぁっ!?」

 

そして織斑千冬は一夏の頭を机に叩きつけた。

 

「ここでは織斑先生だ」

 

「は、はい、織斑先生」

 

「え?織斑君って千冬様の弟?」

 

「もしかして世界で初めてISを動かせたのもそれが?」

 

「いいなぁ。私と変わって欲しい!」

 

周りも一夏と織斑先生の関係が分かったようでさらに騒ぎ立てる。

 

蓮司にとってはどうでもいいとばかりに持ってきた本を読む。

 

「はぁ……園田、挨拶をしろ」

 

「は?」

 

蓮司はいきなり指名を受けて呆ける。

 

「もう時間がないんだ。それで皆が注目しているお前に自己紹介をやらせる事で終わらせる。まあ、それを拒めば後々色々と問い詰められると思うがな……」

 

蓮司は少しだけ考えると、本を閉じる。

 

「園田蓮司だ。趣味はコンピューター関連とISの試合鑑賞。それと家事位か。よろしく頼む。ああ、後」

 

そこで蓮司は言葉を切って腰にある剣を取り出す。

 

「これは別に皆に向ける事はないので安心してほしい」

 

そう言って蓮司は座り、再び読書に勤しむ。

 

「いいか、馬鹿者。自己紹介とはああやるのだ」

 

トドメとばかりに織斑先生は一夏にそう言う。そう言われて一夏は机に突っ伏した。

 

「では、諸君には半月でISの基礎知識を学んでもらう。その後の実習だが、基本動作は半月で身体に染み込ませろ。いいな?良くなくても返事はしろ」

 

「はい!」

 

 

 

休み時間……蓮司の元には二人の女生徒がやってきていた。

 

「レン君、久しぶりだね」

 

「ああ、といっても数週間ぶりくらいか?」

 

言わずもがな、シオンとフィリア……本名、柳ヶ瀬紫苑と朝霧琴音(あさぎりことね)である。

 

これはシオンとフィリアが望んだ事であり、二人のご両親も快く送り出してくれた。

 

そしてシオンの腰には蓮司の持っている剣と似たレイピアにも似た剣が下げられている。

 

「にしても……ホント、びっくりな剣だよね、それ……」

 

「はは……使ってる私もびっくりしてるんだけどね……」

 

紫苑は琴音の言葉に苦笑する。

 

「レン君、大丈夫?」

 

「結構奇異な視線に晒されてたと思うけど……」

 

「ああ、大丈夫だよ。気にしてないしな」

 

「やっぱりレン君だね」

 

やっぱりとはどういう事だろうか?と蓮司は考える。

 

そして2時間目を告げるチャイムが鳴った。

 

二人は自分の席に戻る。

 

 

 

2時間目が終わり、蓮司はまた本を読む。

 

そこに

 

「ちょっとよろしくて?」

 

と、声を掛けられる。

 

相手は地毛の金髪が鮮やかな女子だった。白人特有の透き通ったブルーの瞳が、やや吊り上がった状態だ。

 

「……何だ?」

 

蓮司は面倒くさそうにそう答える。

 

「まぁ何ですの?その返事の仕方は。このわたくしが話しかけていると言うのに」

 

その金髪女子の高飛車な話し方に若干イライラする蓮司。

 

しかし、それを表に出さないのはさすがは蓮司と言った所だろう。

 

「えっと、イギリス代表候補生のセシリア・オルコットだったっけ?えっと何の用?」

 

「まあ!なんですの、その返事は。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度と言う物があるんではないかしら?」

 

イライラをどんどん助長させていく蓮司。おそらくはもう話をしたくもないのだろう。

 

読書に集中するようになった。

 

「ふん、本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくすることだけでも奇跡……幸運ですのよ。その現実をもう少し理解していただける?」

 

「そうか、それはなによりだ」

 

読書をしながらそう返す蓮司。

 

「……馬鹿にしていますの?大体、あなたISについて何も知らないくせに、よくこの学園に入れましたわね」

 

「仕方がないだろう。今まで独学でISの事を研究してきたんだ。知らない事の方が多いに決まっている。それに俺に何かを期待されても困るんだが」

 

「ふん。まあでも?わたくしは優秀ですから、あなたのような人間にも優しくしてあげますわよ」

 

どんだけセシリアは人を見下すのが好きなのか。蓮司は呆れていた。

 

「ISのことでわからないことがあれば、まあ……泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ。何せわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」

 

「俺はそもそも入試してないしな。政府から入学してくれって言われただけだし」

 

「な、何ですって!?」

 

蓮司の言葉に怒るセシリア。

 

「貴方、ここを何だと思ってるんですの!?」

 

「俺はここでISの勉強をするだけだ。それ以外は何かするつもりはない」

 

キーンコーンカーンコーン

 

「ほら、授業が始まるぞ」

 

「くっ……また来ますわ!」

 

そう言ってセシリアは去っていった。

 

蓮司はどうとも思わず、次の授業の準備をした。

 

 

「さて、授業を始める……とその前にクラス代表を決めなければならんな。クラス代表とは名前のとおりクラスの代表でその者は委員会などの集会に出席する、言っていればクラスの委員長みたいなものだな。自薦他薦何でも構わない。誰かやる者は居ないか?」

 

2時間目の最初に織斑先生の放った一言である。

 

内容は言われたので割愛する。

 

「はい!織斑くんを推薦します!」

 

「え?」

 

「私もそれが良いと思います!」

 

「うあっ!?お、俺!?」

 

すべての票が一夏に行きそうになり蓮司は安堵する。

 

厄介事はごめんだからである。

 

「待ってください!!納得がいきませんわ!」

 

と、それに異を唱えたのはセシリアだった。

 

「何だオルコット、言いたい事があるなら言ってみろ」

 

「大体クラス代表なんて重要な役職を男にやらせるなんて反対ですわ!!このような屈辱を一年間味わえと!?大体私がこのような後進的な極東の島国にいる事自体屈辱ですのにさらに屈辱を味わえと!?冗談じゃありませんわ!!」

 

蓮司はそれを聞いてもどうとも思わない。別にどうとも思われてもよいのだ。

 

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で――――」

 

「イギリスだって大したお国自慢無いだろ。世界一不味い料理で、何年覇者だよ」

 

一夏の言った言葉にセシリアは顔を真っ赤にする。

 

「あ、ああ貴方! わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

 

「先に日本のことを侮辱したのはそっちだろ」

 

的を得ているな、と蓮司は思いながらも知らんぷりをする。

 

「決闘ですわ!」

 

「ああ、いいぜ。四の五の言うより分かりやすい」

 

セシリアと一夏は二人で勝手に盛り上がってしまっている。

 

「ワザと負けたりしたらわたくしの小間使い、いえ奴隷にしますわよ!」

 

「ハンデはどの位つける?」

 

「は? あら、早速お願いかしら?」

 

「いや、俺がどの位ハンデをつけたらいいのかなーと」

 

そう言った瞬間。蓮司、一夏、セシリア、織斑先生、山田先生、紫苑、琴音を除いた全員の笑い声が響き渡った。そんな状況を一夏は全く呑み込めていないのか、何でとばかりに周りを見渡す。

 

「アハハ、織斑くん、本気で言ってるの?」

 

「男が女より強かったのってISが出来る前の話だよ?」

 

「もし男と女が戦争したら三日持たないって言われてるんだよ?」

 

口々に言われる発言に、一夏はしまったとばかりに首をかしげる。苦笑か嘲笑か、どれなのかはわからないが少なくとも、一夏が馬鹿にされているっていうのは分かる。

 

蓮司はそれを聞いた瞬間

 

ギンッ!!

 

鞘に収められた状態で剣を地面に叩きつける。

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

「お前ら、少しは静かにしろ。他のクラスは授業を行っているんだ。迷惑になる。それとお前ら、女性は偉いと思っているならそれは間違いだぞ」

 

そこまで行って蓮司は腰に再び収めて読書を始める。

 

「なな、何を言っていますの?女性にしかISが動かせないから女性が優遇されたり」

 

「ああ、そうだろうな。でもそれはISを使う一部の女性にしか当てはまらない」

 

そこまで言って他の生徒も気づく。蓮司の意図に。

 

「つまりは女性全員が偉いという訳ではない。今、世界にあるISだけで地球上にいる全部の女性にISを回せるか?答えはNOだ。そしてISの事を何も知らない女性に対してISを動かしてくださいと言ってその女性はISを動かせるか?それもNOだ。つまりは女尊男卑なんて物は役に立たないって事だ」

 

「………………っ」

 

あまりにも正論だ。

 

すべての女性がISを使える訳ではない。それは分かりきっている事だ。

 

そしてセシリアはその怒りを

 

「貴方にも、決闘を申し込みます!」

 

蓮司に向けた。

 

「……理由を聞こうか?」

 

「貴方は私を侮辱しました!それだけで理由は充分です!」

 

「……決闘の本当の意味も知らないで、偉そうな事を言うな」

 

そう言って蓮司は読書を再開する。

 

「ふん、まったく。礼儀のカケラもありませんわね。高貴なわたくしが、こんな男と一緒のクラスとは……全く……その程度の男ってことは、世話した人間も余程常識知らずの、ロクデナシみたいですわね」

 

その言葉を聞いた瞬間、蓮司の姿はセシリアの目の前にあった。

 

「な、何を……」

 

「セシリア・オルコット。お前は人の触れてはいけない部分に手を出した。容赦はしないぞ……」

 

蓮司にとって本当の両親ではないとはいえ、園田家の両親は本当の両親のように優しく接してくれた。蓮司にとってはそんな彼らを侮辱されたのは許せないのだ。

 

そう言って蓮司は自分の席に座る。

 

「ふ、ふん。貴方ごときで私に勝てると」

 

「俺はSAO生還者(サバイバー)だ。命を掛けた戦闘を何度もこなしてる」

 

その言葉を聞いた瞬間、クラスの雰囲気が凍る。

 

SAO……この言葉を聞いて知らないと答える日本人はいない。

 

大惨事を起こしたSAO事件……それは日本人の心に深い傷を残しているのである。

 

「ふん、SAO帰還者がなんだと言うんですの? それに、そんなもの所詮はゲームなどという下らない物で2年という時間を無駄に過ごした落伍者でしかありませんわ」

 

しかしセシリアにとってはどうでもいいと言わんばかりの態度を取っている。

 

これに異を唱えたのは紫苑と琴音である。

 

「ちょっと待って、セシリアさん。それってSAOにダイブしてた全員を侮辱するって事?」

 

「あら?そのように聞こえましたか?」

 

「そのようにも何も、そんな風にしか聞こえないわ。SAOは私たちにとってもう一つの現実だったのよ、それを否定しないで」

 

そしてまた生徒は驚愕する。このクラスに三人もSAO帰還者がいるのだ。

 

「紫苑、琴音。抑えろ。」

 

「でも、蓮司!」

 

「こいつは!」

 

「怒っても仕方ない。この分はきっちりとやってやるから」

 

「「…蓮司(君)がそう言うなら……」」

 

そう言って二人は渋々といった感じで引き下がる。

 

「決まったな、では一週間後にクラス代表決定戦を行う。最初は織斑対オルコット。次に園田対オルコットだ」

 

そして、蓮司達の試合が決まる。

 

蓮司達の一日は波乱万丈のまま、終わりを迎えようとしていた。




朝霧というのは私のオリジナルです。正式名称が決まったらそっちに鞍替えすると思います。
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