ソードアート・オンライン ~剣の世界で弾を放て~ 作:レゾナ
「はい。というわけで、一年一組の代表は織斑一夏くんに決定しました。あ、一繋がりでいい感じですね!」
「「「さんせ~い!」」」
「……え?」
その日、朝のHRで言われた事に一夏は困惑していた。
自分はセシリアとの戦いに負けた。そしてそのセシリアは園田に負けたというのに……。
一夏はこのように考えており、それを口にした。
「ちょっと待ってください、先生!俺は負けたんですよ!それなのに何でクラス代表なんかに」
「それは私が辞退したからですわ」
山田先生に抗議をしようとした矢先、セシリアはそう言った。
「まあ確かにあなたは負けましたがそれは考えてみれば当然のこと。このセシリア・オルコットが相手だったのですから仕方のないことですわ」
自分は蓮司に負けたというのにこの言いようである。
「それで……まあ私も大人気なく怒ったことを反省しまして、一夏さんにクラス代表を譲ることにしました。IS操縦には実践が何よりの糧。代表となれば戦いには事欠きませんし」
さりげなくセシリアは一夏と下の名前で呼んでいる。しかし一夏は未だに困惑しており、その事に気づいていない。
そしてセシリアに勝った当の本人はというと
「………………」
黙って本を読んでいる。
読んでいる本は主に剣術や銃に関しての本が多い蓮司だが今日に限ってそれらとは全く違う本を読んでいる。
それは……世間的に言う、恋愛小説と呼ばれる物だ。
実は蓮司と同室になっている本音が
「レンレンはもうちょっと考えを柔らかくしないと~。というわけで、これ。読んでみてね~?感想は明日聞くから~」
そう言って蓮司が何かを言う前に寝てしまったのである。
蓮司も読まなければいいものを、昔から興味が出た事にはとことん興味を示す性格が災いし、読み耽っている。
「あれ?でも確か園田が勝ったんだから、園田がクラス代表になるんじゃ……」
一夏は今頃な質問をぶつける。
それに答えたのは山田先生ではなく、蓮司だ。
「簡単な事だ。俺は巻き込まれたも同然。勝とうが負けようが俺はクラス代表になる気はさらさらなかった」
そう言って再び本を読み始める蓮司。
「いや~、セシリアわかってるー」
「だよね~!せっかく男子がいるんだから持ち上げないと!」
「私たちは貴重な経験を積める!他のクラスの子に情報が売れる!一粒で二度おいしいね織斑くんは!」
クラスメイトはやはり楽観的な考えを持つ人間が多いようである。
しかし世の中はこのような物だ。蓮司はそう結論づけた。
「ともかく、クラス代表は織斑一夏に決定だ。依存はないな」
「「「はーい!」」」
クラスメイト全員の意思は一致しているようだ。蓮司と紫苑、琴音はそれに乗っかってはいないが。
時間は飛んで……今はグラウンドにクラスメイト全員が立っている。この時間ではISの基本的な動かし方などを教えるようだ。
「では、これよりISの基本的なISの基本的な飛行を実践してもらう。織斑、オルコット、園田。前に出ろ」
御指名を受けて前に出る一夏とセシリア、蓮司。
セシリアはすぐにISを展開するが一夏は展開に戸惑っているようだ。
そして蓮司は
「来たれ。力の象徴たる紋章の翼竜。我が剣に従い飛翔せよ、《ワイバーン》」
クラス代表戦で使っていた
鋭角な金属が連結され、無数に折り重なった流線型のフォルム。濡れているような光沢は、使い込まれた名剣のように、禍々しくも美しい。
これが
「それは何だ?」
「俺の持っている
「あ、あれ?」
「何をしている織斑。早くしろ」
一夏は展開に手間取っているようだ。
「織斑。来いと念じてみろ。そうすればISは答える」
「わ、わかった」
蓮司からアドバイスを受けて一夏は集中して念じてみる。
(来い、白式!)
少ししてようやく一夏は白式を展開させた。
「遅いぞ織斑!もっと早く展開できるようになれ!」
「は、はい……」
織斑先生に注意され、一夏は少しへこんだようだ。しかしそれも仕方ないだろう。一夏には圧倒的に経験が足りない。ここまで時間が掛かるのも仕方なかった。
「よし……では飛べ!」
千冬の合図と共に三人は同時に飛び出したが、一夏だけふらついて飛び上がる。
「何をしている。スペック上はワイバーンは知らないがブルー・ティアーズよりも上の筈だぞ」
「そんなこと言われたも…ええと、急上昇は確か『前方に角錐を展開するイメージ』……わかりにくい」
まあ、確かにそうだろう。
そして《ワイバーン》を纏った蓮司は一夏と並ぶように飛ぶ。
「織斑。そんなのに捕われるな。大切なのはそのイメージだ。イメージする物を変えてみろ。そうすればわかる」
そう言って蓮司は再び前に出る。
(いや、イメージを変えてみろって……飛んでる鳥とか、かな?)
そして一夏は飛んでいる鳥をイメージしながらそのように飛んでみる。すると先ほどまでふらついていたのがまるで嘘だったようにしっかりと安定して飛んでいる。
(うわっ、ホントだ!?あいつ、教えるの上手いんだな……)
これに関しては蓮司というよりもALOをしている全員が言えるだろう。
ALO……アルヴヘイム・オンライン。SAOの後に安全なVRMMOとして発売されたVRMMOである。
蓮司達はこのALOも楽しんでいる。このALOの特徴としては妖精を模した自身のアバターを動かす事だ。妖精という言葉からもわかる通り、羽によって飛ぶ事が出来るのである。
蓮司はその時の事を思い出しながら飛んでいるのである。
ちなみに蓮司の選んだ種族はサラマンダー。選んだ理由としては『何だか赤い服を着ていると落ち着くから』らしい。
紫苑はウンディーネ、琴音はシルフである。
「一夏!いつまでそこにいる!さっさと降りてこい!」
蓮司達が飛んでいると下からインカムを山田先生から強引に奪った篠之乃の姿が見えていた。
山田先生も涙目である。
「あいつは……」
蓮司は頭を抱える。なぜこうも自分勝手な奴が多いのか……蓮司にとっての癒しは両親との会話や紫苑達との時間。そして部屋にいるときだけである。
蓮司よ、強く生きてくれ……。
ここで一つ、過去の話をしておこう。それはなぜ束が蓮司の事を知っているのかという事である。
それは幼少の頃……蓮司は興味本位でパソコンをいじっている時にふと、そのアドレスにアクセスできたのである。
それは……天才、篠之乃束のパソコンである。
興奮が抑え切れなかった蓮司は自身の作り出したISに似た
そして最後にはこう締めくくっていた。
これを見てどこか改良するべき点があればどうかお返事ください。園田蓮司よりと。
しかし、返事は来なかった。
蓮司にはその理由は大まかな理由はわかっていた。
篠之乃博士という人物は身内……というより自分が興味を持った人間としか接さない。
この情報を聞いていたおかげでそんなに落ち込みはしなかった。
少なくとも彼女にはこのデータは届いている筈だからだ。
そして束は……このデータを見て戦慄していた。
ISには絶対防御があるが……届けられたデータには絶対防御の事が何も書かれていない。
それどころか、使いこなせない人間が使えば一発で気絶、運が悪ければ死んでしまうような危険な機能がついているからである。
それからであろう。篠之乃束の興味の対象が増えたのは……。
短い……