ソードアート・オンライン ~剣の世界で弾を放て~ 作:レゾナ
蓮司達のクラスに凰鈴音という一夏のもう一人の幼なじみが宣戦布告をしてきた日の夜……。
蓮司の姿は整備室にあった。
蓮司の目の前には何らかの図面がある。
蓮司はぶつぶつと何かを呟きながら計算や何かの図。それらを書いていく。
実はこれ、蓮司の頭の中にある
計算式はどの場所を削ればスピードや動かしやすさなどが上昇するかの計算などである。
蓮司は基本的にデータとして保管しておくのではなく、自身の頭の中に図面を描いている。
そしてそれを時々絵として描き、それを親に送ったりして
「……ねぇ、蓮司君」
「……………………」
と、蓮司に声をかけるのは蓮司が以前整備室で出会った更識簪という女の子だ。
そして簪が蓮司に声をかけてもそれに対して蓮司は反応しない。
しかし、それはいつもの事だと簪は理解している。
─────蓮司、考え事をしている時は回りが見えてないの、昔から変わらないな……。
簪はそう考えていた。
今簪が心の声で言った通り、簪と蓮司は小さい頃に一度だけ出会った事がある。
その時は簪の姉も一緒にいて、一夜だけだが一緒に遊び一緒に寝た。
そしてその時に、蓮司は自身の頭の中に描いていた
だから、簪は
─────こういう時は……。
「こほん」
と、簪はわざと咳払いをすると
「蓮司っ!!!」
「うわっ!?」
耳元で蓮司の名前を大声で叫ぶ。
と、さすがに聞こえてしかも大声だったからか驚く蓮司。
「な、何だ簪さんか……何か用?」
「けっほ、けっほ………‥う、うん……」
いきなり大声で叫んだせいか少し喉が痛くなってきている簪。しかし何とか返事をする。
「あ、あの、この部分なんだけど……」
「ああ、スラスターと武器の重さで生じる運動エネルギーの変化ね。これは……」
簪が持ってきたノートを見てスラスラっと答えていく蓮司。
こんなやり取りがここ最近整備室では日常となっていた。
そして、そんな日常が簪は好きだった。
─────蓮司君には私の事、思い出して欲しいけど……それでも、今はこれでもいいかな……。
そんな幸せな気持ちに簪は心から笑顔になれた。
それから時間は経ち……蓮司の姿はアリーナにあった。
あいにく、席は取れなかったらしく立ち見ではあるが。
今日はクラス対抗戦。最初の組み合わせは蓮司のクラスの代表。一夏と二組の代表である凰鈴音との戦いである。
「というか、お前たちも俺に付き合わなくてもよかったんじゃないか?」
「いいよ、レン君に付き合いたいからここにいる訳だし」
「そうよ。居たいからいるだけ」
「……その通り」
いつものメンバーの中には、簪がいる。
シオン達と簪は初対面ではあるのだがものの数分で打ち解けている。
そんな話をしていたら試合が始まった。
「どっちが勝つと思う、レン君?」
紫苑が蓮司にそう聞いてきた。
「そうだな……練度で言うなら代表候補生である凰の方が有利だ。でも、実戦では何が起こるかわからないしな。予測は出来ない」
「やっぱりレンにも予測は出来ないのね」
「お前たちは俺をどんな目で見ているんだ……」
「「「天才」」」
「簪さんまで……」
そこまで天才ではないのだがと小さく呟く蓮司。
しかし、頭の中に描いている設計図を図面に書ける速さとそれをきちんと覚えている記憶力からして天才の部類に入るであろう。
と、その時試合が動いた。
「あ、凰さんが離れたよ」
「織斑は何をしてるのかしら?近づかないと攻撃出来ないのに……」
「織斑の奴、
「「
蓮司は理解しているが紫苑と琴音はわからないようだ。
「……シールドエネルギーを利用して一瞬でトップスピードに達する技術」
どうやら簪は知っていたようだ。
「簪の言う通り。一瞬で相手の懐まで突っ込んでいく技術。不意を付けるけどそれが通用するのは一回だけ。だからこそ、ここぞという所でっ!?」
使うんだ、と言おうとした所で蓮司は目を見張る。
ガシャァァァァァァン!!!!
突如、アリーナのシールドが破壊されてアリーナ内に何者かが侵入してきたのだ。
「一体、何が!?」
「落ち着け。とりあえず状況を把握するぞ」
そう言いながら蓮司は腰の
そして、土煙が晴れてアリーナ内に侵入してきた何かがその姿を見せる。
『試合中止!織斑!凰!直ちにピットに戻ってこい!』
放送が掛けられ隔壁が下ろされた。
しかし、蓮司は警戒を怠ってはいない。
相手はアリーナの遮断シールドを突破するほどの兵器を持っているのだ。
この隔壁でさえも破壊出来るかもしれないのだ。
「簪、琴音と一緒に避難しろ」
「ちょっと待ってレン。レンはどうする気なの?」
琴音はそう蓮司に聞く。
「それと、シオンにはどうして何も言わないの?」
そう、琴音はそこも気になっていた。
「シオンには、ちょっと仕事があってな……シオンの持つ神装機竜の練習にもなるし」
「あ、そっか」
そう言って紫苑は腰に下げられている細剣を抜く。
「────降臨せよ。
そう紫苑が宣言するように言うと、紫苑の後ろに光が収束していき形を成していく。
それはまさに王族の竜のようだった。金色と白色を基調とした姿でその手には巨大なレイピアがある。
これが蓮司より紫苑に託された神装機竜《リンドヴルム》である。
「
紫苑はリンドヴルムを身に纏う。
「頼むぞ、シオン」
「任せて、レン君!
紫苑がそう叫ぶと、紫苑を中心に光が広がっていく。
「それじゃ、行ってくるね!」
そう言うと、紫苑が一瞬で消え去る。
「き、消えた!?」
「ああ、これがリンドヴルムの神装なんだよ。琴音、お前にはこれを託す」
そう言って蓮司は懐からピンク色の短剣を取り出す。
「これは……?」
「お前に託す神装機竜だ。名前はテュポーン。頼むぞ」
そう言って蓮司は観客席から逃げ出す生徒達の間を駆けながら観客席の一番前までやってくる。
蓮司はそこまできて立ち止まると、腰に下げられている剣の中でも黒い剣を抜剣する。
そして持ち手の部分にあるスイッチを押し、詠唱を開始する。
「────顕現せよ、神々を喰らいし暴竜。黒雲の天を断て。《バハムート》」
蓮司はバハムートを呼び出し、身に纏う。
「行くぞ、バハムート……!」
蓮司はその手にある漆黒の大剣《
「
そう呟いた瞬間に……蓮司の目の前の隔壁が、破壊された。