ソードアート・オンライン ~剣の世界で弾を放て~   作:レゾナ

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第6話 暴竜(バハムート)

蓮司がバハムートを展開している頃、アリーナ内では一夏と鈴が正体不明機と相対していた。

 

「なあ、鈴。何か、おかしくないか?」

 

「おかしいって何が?」

 

「いや、何か動き方がさ……何か、人間じみてないっていうか……機械的っていうか……」

 

「一夏、あれには人が乗ってないって言いたいの?」

 

「そうそう!それを言いたかったんだよ」

 

一夏は言いたい事を言ってくれた鈴に手を向ける。

 

「一夏、頭おかしくなったんじゃないの?ISを動かすには人が乗る事が絶対条件なのよ?」

 

しかし、鈴はその一夏の予想を聞かない。

 

それもそうだろう。誰だって信じない。目の前のISが無人などと。

 

「それはそうだけどさ……」

 

一夏がそう言った瞬間──────観客席を守っていた隔壁が、破壊された。

 

ドッカァンッ!!!

 

「「っ!!??」」

 

一夏と鈴はその巨大な音に驚く。

 

そして、煙が晴れる。

 

そこには…………竜が、いた。

 

「りゅ、竜……?」

 

「人型の竜みたい……」

 

二人の言う通り、一夏と鈴の前で隔壁を破壊した存在は竜に酷似していた。

 

竜を人型にしたらこんな感じなのだろう。

 

真っ黒い竜……そしてその中心には蓮司がいた。

 

「れ、蓮司!?」

 

「あ、あれってもう一人の操縦者!?」

 

一夏と鈴は別の意味で驚く。

 

いや、蓮司が来た事にも驚いているのだろう。しかし、二人はまた別に驚いている事がある。

 

それは、()()()()()()()()だ。

 

IS学園の隔壁は並みの隔壁ではない。

 

ISの持つ武器にも耐えれるような特注の物なのである。

 

蓮司の乗るIS……否、装甲機竜(ドラグライド)はそれを破壊したのだ。

 

『園田、なぜISを展開している?』

 

と、その時アリーナに織斑先生の声が鳴り響く。アリーナのマイクを使用しているのだ。

 

「このISはアリーナの障壁を破壊する程の砲撃手段を持っています。ならば砲撃を撃たせないようにするしか生徒を守る方法はないと判断しました」

 

『ならば、お前が避難誘導すればいいだろう』

 

織斑先生はそう言って蓮司を止めようとするが

 

「いえ、俺よりも瞬間的な速さという点ならば他の追随を許さない紫苑がいますので」

 

蓮司はそう言ってその手に持つ大剣《烙印剣(カオスブランド)》を構える。

 

「ですので、自分が出てきました」

 

『そう言う事か……わかった、しかし後で反省文は提出してもらうぞ』

 

 

 

 

 

 

そう言ってマイクの電源をOFFにする織斑先生。

 

「い、いいんですか?織斑先生」

 

同席していた山田先生が織斑先生にそう問いかける。

 

千冬は自身の生徒を自ら戦地へと赴かせたのだ。

 

「大丈夫だろう、あいつの瞳には覚悟があった……それに、あいつのIS……」

 

千冬はモニターに映されている装甲機竜(ドラグライド)バハムートを纏った蓮司を見つめる。

 

「あれの謎もまだある。なぜあいつの持つISにはシールドエネルギーがないのか……そして、あいつのあの覚悟を秘めた瞳……」

 

─────あいつの過去に一体、何があったというんだ……。

 

千冬はそこまで考えた所でもう一つ疑問に思った事があった。

 

─────そういえば……束の奴、園田の事を知っていたな。

 

千冬はこの間いきなり電話してきた自身の親友の顔を思い出す。

 

あの時、彼女はこう言ったのだ。

 

「蓮司君はね、私に並ぶかもしれない天才だよ」と……。

 

 

 

 

 

 

さて、どうするか……蓮司は烙印剣(カオスブランド)を構えながら考える。

 

蓮司の目的は変わらない。先ほどの障壁を貫通する程の砲撃を使用させない事。

 

その為には……相手の動きの癖を見破る必要がある。

 

その点に関しては問題はない。

 

問題があるのは……避難誘導が今現在においても完了していない事だ。

 

〈レン君、今八割方終わったよ!〉

 

〈こっちももう少しで終わるから。後少しで全避難は完了する!〉

 

〈了解した。それまでは時間稼ぎに徹する〉

 

蓮司は竜声──装甲機竜(ドラグライド)にのみ搭載されているISでいうプライベートチャンネル──で話しかけてきた紫苑と琴音にそう伝えて竜声を切る。

 

その時、敵ISが腕を振りかぶって蓮司に迫った。

 

「っ」

 

蓮司はそれを冷静に見極め、剣の腹の部分を使う事によって受け流す。

 

そして、背後にまでいった所でその背中に蹴りを叩き込もうとするが

 

「ちっ!」

 

敵ISは受け流されるのをわかっていたかのように距離を取る。

 

「蓮司!」

 

その時、一夏と鈴が慌てて蓮司に駆け寄る。

 

「二人共、ピットまで待避しろ」

 

「何言ってんだよ!?」

 

「そうよ!あんた一人じゃ荷が重すぎるわ!」

 

待避しろと言った蓮司の言葉に二人は反対する。

 

「俺は二人のシールドエネルギーを心配しているんだ。先ほどの試合で二人共、ISのシールドエネルギーが減っているだろう」

 

「そ、それはそうだが!」

 

「でも!」

 

「でもじゃない!」

 

「「っ!!」」

 

蓮司が怒鳴る。

 

「命は一つしかないんだ……その命を、大切にしろ」

 

「で、でもそれならお前の方が……!」

 

一夏はそれでも止まろうとする。

 

それもそうだろう。一夏は知っているからだ。蓮司の装甲機竜(ドラグライド)にシールドエネルギーなど無い事を。

 

「俺なら大丈夫だ。さっさと待避しろ」

 

そう言って烙印剣(カオスブランド)を振り上げ敵ISに向かっていく蓮司。

 

剣を振りかぶる蓮司。それを避けて腕を振りかぶる敵IS。それを剣の腹で受け流し距離を取る蓮司。

 

蓮司はカウンターとばかりにその頭に右拳を突き込む。

 

しかし、それを受けてもなお敵ISは動きを止めなかった。

 

(動きが……やはり無人機か)

 

蓮司は今までにない程に集中していた。

 

それは相手が無人機という事がわかったからであり、手加減はいらないからである。

 

(理論上は……可能な筈だ!)

 

蓮司は機会を待つ。そしてその時は来た。

 

敵IS……いや、無人機が腕を振りかぶり砲身のある部分を蓮司に当てようとする。

 

蓮司は即座に烙印剣(カオスブランド)を振り上げ、烙印剣(カオスブランド)に搭載された機能の一つを発動させる。

 

「極撃!」

 

蓮司がそう叫び、剣と無人機の腕がぶつかった瞬間信じられない事が起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バカンッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無人機の腕が()()()()()のだ。

 

「「えっ?」」

 

ピットで行く末を見守っていた一夏と鈴は驚愕した。

 

ISの腕を粉砕したのだから当然だろう。

 

「ISの腕ってそうそう簡単に粉砕されるっけ?」

 

一夏は信じられないといった感じで鈴に問いかける。

 

「簡単に粉砕される訳ないでしょ!強度に関して言えば超固いのよ、ISの強度って!」

 

「それじゃ、何で蓮司はISの装甲……っていうか、腕を粉砕出来たんだ?」

 

「知らないわよ!」

 

そんな事を言い合いながらも蓮司の姿を目で追う二人。

 

 

 

(やはり、難しいな。極撃は……)

 

極撃……相手の一挙一足を完璧に把握、相手の動きに合わせて烙印剣(カオスブランド)に搭載されている機能《反射機構(リフレクション)》を用いる技。

 

概要は至って簡単。

 

相手の動きに合わせて剣戟を当ててその際に反射機構(リフレクション)を発動。

 

この反射機構(リフレクション)は相手の攻撃力そのものを乗せて相手に返す。謂わばカウンターだ。

 

しかし、その為には相手の動きの癖、動く際にどこからどうやって力を伝えているか、など様々な情報を頭の中で計算し発動させなければ不発に終わってしまう。

 

この極撃はカウンターであると同時に諸刃の剣なのだ。

 

しかし、今回は相手が無人機であった。相手が機械だとわかればその動きにあまり差異はない。そこをついたのだ。

 

しかし────腕を粉砕されても、無人機は蓮司を打とうとする。

 

「遅いな……暴食(リロード・オン・ファイア)

 

蓮司がそう呟いた瞬間………無人機の体に無数の剣で切り刻まれた痕が一瞬で出来上がった。

 

そしてそのまま無人機は動かなくなった。

 

蓮司はふと、上空を見上げる。

 

何となく見上げたその先に、この無人機を差し向けた人物がいるとでもいうかのように

 

「もうちょっと、張り合いのある奴をぶつけてきても構いませんよ」

 

そう、言い放った。

 

 

 

 

 

 

 

束SIDE

 

「あらら……やっぱり、ゴーレムじゃ敵わないか」

 

ま、それも仕方ないよね。

 

レン君はバハムートを使ってたし、ゴーレムでも善戦出来た方かな。

 

「ん?」

 

と、私がハッキングしている衛星にレン君が目を合わせたように見えた。

 

「もうちょっと、張り合いのある奴をぶつけてきても構いませんよ」

 

そして、そう言い放った。

 

「あはは……さすがはレン君かな。多分何通りかの予想の中に私がやったっていう予想も立ててるんだろうな」

 

でも……とりあえずは。

 

私は手を大きく広げた。

 

「おめでとう、レン君。私、篠之乃束は祝福するよ。君の夢が叶った事に」

 

そして、私は祝福する。レン君の夢「ISに乗ってみたい」という願いが叶った事に。

 

SIDE OUT

 

その後の話をしよう。

 

蓮司と紫苑、琴音には重い罰は下らなかった。

 

三人とも、その場での最善の行動をしたからであり、生徒達からも紫苑と琴音は私たちを助けてくれたから罰はなるべく軽くしてくれと嘆願されたからである。

 

紫苑と琴音には反省文十枚。蓮司には放課後に特別補習と反省文三十枚が言い渡された。

 

それを黙々とやっていた蓮司に一夏は後にこう言った。

 

「あれは人間じゃねぇ……人間の手ってあんなに高速動かせるのかよ……」

 

ちなみに、何で一夏がそんな事を知っているのかというと興味本位で補習室内の様子を見に行った為だ。

 

そして、クラス対抗戦は幕を閉じた。




この世界の蓮司はルクス(最弱無敗の神装機竜の主人公でありバハムートの操縦者)程ではないにしろ、極撃と即撃を扱えます。

ただし、まだ加減が分からずに今回のように切り刻んだり相手の武装を破壊するのではなく武装を持っている腕そのものを破壊する程になっています。

うぅん……蓮司君、修行が足らんな……それでも、出来る時点で十分に強いんですけどね。

ちなみに反射機構(リフレクション)はうちのオリジナル機構です。
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