リリさんから衝撃の事実を告げられた次の日も当たり前のように学校はあるし当然、部活もある。世界は俺中心で回ってない。そんなこと幼い頃から分かりきっていたし今更どうという話でもない。だが、それを受け入れられなかった少女がいた。それが相羽ういは。
彼女は母の死後豹変した父親の存在を受け入れることが出来なかったのだ。母の死は受け入れ難かったものの、中学生には死は余りにも覆されるものでは無いと思い知っていた。だが、それ以降の父親の在り方は余りにも彼女には受け入れ難く、自らの世界をそのような事故がなく、被害者であった両親の存在をなかったことにしたのだ。
彼女は死を拒絶するには余りにも大人で、世界の残酷さを受け入れるには余りにも幼かったのだろう。
しかしその結果未来は在るべきはずの所から大きく逸れ、在るべきはずではなかった未来へと進もうとしている。これ以上大きなズレを起こさないためにも未来から相羽ういはの監視を目的としてやってきた少女が夕陽リリだった。1度ズレてしまったものは相羽ういはが強くそう願わない限りもう戻らないが、これ以上ズレを大きくしないためにも彼女の存在が必要だそうだ。正直俺はこういった類を信じてはいなかったのだが、本人がそういうのであればそうなのだろう。
しかし俺がどうしようかと考えてみたところで結局は今日も重い足取りで一室へと向かう間の単なる暇つぶしにしかならないのだった。
◇◇◇◇◇◇
その部室で今日も時間を部活を、もとい、暇を潰していたところ今日もいきなり、突然、唐突に、いつだってそうなのだが相羽ういはは大きな声を出した。
「この超常現象研究部には問題があります!」
美術部の間違いじゃないのかな。
「ういはちゃんどうしたのさ?いきなり大声出してさ…まあ、いつもいきなりだけど。」
「アルスさん!その問題とはなんでしょう!」
「えぇ…喋んなきゃ良かった…」
「3・2・1…はい、時間切れ!次!凛月さん!」
「僕もう解答権なくなったんだぁ…」
今日も元気にういははういはしている。その後全員に聞いて周り、桜さんもいきなり回ってきた選択肢に驚いてあたふたしている間に時間切れとなり答えれず、リリさんは苦し紛れに備品の品揃え、俺は予算が少ないこと、と答えた。というかリリさんこんなに備品あってなにか不満でもあるのだろうか。
「ダメですねぇー。皆さん全然ダメです!」
その言葉を受けてリリさんがいたずらっぽく言った。
「ほう…私が先輩から受け継いだ部活に問題があるとういはろは言いたいんですね?」
「まあ…その言い方はちょっとアレですけど…とにかく、この部活は知名度が低すぎます!これは問題ですよ!」
「ぐふぅ…確かにそれは私も何となくわかってましたけども…ちょっとした冗談をこうとズバッと部長を務めている部活の短所を言われると…あはは…」
ういはの悪気がないながらざっくりと相手を抉るようなもの言いが特に理由もなくリリさんを襲った。
「でもさ、知名度がないって言われてもどうするのさ。ビラでも配るつもり?」
「黛さん、正解です!ビラを配るんです!」
「ビラを配るって言っても誰が用意するのさ。先生の許可も取らなきゃ行けないし大変でしょ?」
「私が全て準備済みでございます!」
珍しくういはが計画的な行動をしていた。
「でもさ、ビラ配りってそれ誰がやるの?」
「私は言い出しっぺなのでやりますけど…実は決めてましてですねぇ…」
「俺はやらないからね。」
「まあ、黛さんはそういうと思ってたので…アルスさん!」
「えぇ…ボクゥ…やだよぅ…」
「もう衣装も買ってきてるから無駄ですよー」
「えぇ!?ほんとういはちゃんこういう時早いよね…」
「凛月さんとリリさんの分も一緒に買おうと思ったんですけど…お金が足りなくなりまして…ごめんなさい…」
「いやいや!ええよー!私の分なんて全然要らんから!…ッスゥーいや、まじで危なかった…ういはちゃん怖いわ…」
「はい!私の分も要りませんから!…っぶねー…ういはろまじこえーよ…」
どうにか桜さんとリリさんはは命拾いしたらしいがアルスが今日の生贄になった。ドンマイ、アルス。遺骨は拾ってやる。
「はいはい、というわけでお着替えしますよー!アルスさん逃げないでくださーい?ほらー痛くしませんからー?」
「やだよ着たくないよぉ!なんでボクなのさ!先輩達の方が絶対可愛いし似合うじゃんか!おかしいよぉ…」
「はい、まゆゆは出ましょうねー」
「黛、貴方変態ですか?」
「ごめんごめん、それはそれとしてリリさん、なにか恨みでもある?」
「いえ?あ、いや、恨みなら沢山ありますね。」
「それ逆恨みって言わない?」
「んだと?おぉ?やるんか?」
「はいはい!まゆゆもリリちゃんも仲良いのはわかったからとりあえずまゆゆ、部屋出よか…捕まるよ?」
「「ごめんなさい。」」
◇◇◇◇◇◇
「アルスさん可愛い!!」
「暑い…あと力強い…痛い…」
着替え終わったらしくリリさんから手招きされ部室に入ってみると、長身のういはがまんまる4等身のアルスに抱きつきながらすりすりしていた。ういはは青をイメージカラーとしたようなフリルが沢山ついたいかにもアイドルというような衣装を、アルスは白を基調としたワンピースに金を差し色にした黒いローブを羽織っていてまるで魔法使いのような装いだ。…これ結構高そうだけど?
「ういはって時々大型犬みたいだよね。」
「ですねぇ…なまじっかパワーもある分余計に…」
リリさんとコソコソ話していると満足したのかアルスを離したういはがこの衣装のコンセプトを説明し始めた。
「2人とも目が青いので青をイメージした衣装にしました!いやー…私天才ですね…あ、黛さんもリリ先輩も目青いですね…なんなら黛さんのメッシュも青だし…」
「いや、これメッシュじゃなくてインナーカラーだから。」
「黛、そこ謎のこだわりあるよね…まあ、私目は青いけど髪の毛ピンクだしなー…あんまり3人と比べて青感はないんじゃないですか?」
「むー…じゃあリリ先輩は残念ですがごめんなさいして黛さんも含めて3人でぶるーずっていうユニット組むのはどうでしょう!」
「ボクはもう確定なんだね…」
「やだよ。そもそも3人で何するのさ?」
「U-Tuberとかどうですか?この部活を知ってもらうためや、色んな謎を解き明かす!みたいな!」
「嫌だ。」
「やりたくないよぉ…」
ちなみに補足になるがこの学校にはU-tu部という部活があり、学校の宣伝を兼ねて広報的な活動を行っている部活がある。最近は学校の広報的なものだけでなくゲーム実況や雑談放送なども行っているらしいけど。その部活だが、部長の月ノ美兎を初めとした通称JK組と呼ばれる、というか実際JKだしそうなんだけど、月ノ美兎、静凛、樋口楓という3人を中心としたメンバー達が各々のチャンネルを持ち、北高所属U-Tuberとして活動しており、メンバー全員のチャンネル登録者数がそれぞれ1万人を優に超えており実質個人活動の学生U-tuberとしてはかなりの人気を誇っている。月ノ美兎に至っては10万人を超える人気っぷりだそうだ。そんなこともあり、U-tuber志望の学生がごく稀だが去年から入学し始めてもいるらしい。
「とりあえずこのパソコンからログインできるチャンネルを作っておきましたー!」
「はえぇ…このアイドル仕事はえぇ…」
「なぁ、ビラ配りはどうなったん?」
「ちょ、桜さん!ういはがせっかく忘れてたのになんで言っちゃうんですかぁ!」
「あはは!私としたことが忘れてましたねぇ…桜さんありがとうございます!じゃあアルスさん!行くよ!」
「やだよぉ…行きたくないよぉ……まゆくん助けてぇぇ…」
「頑張れ。」
ういはに引きずられて為す術なく連れていかれていくアルス。残念だが俺もだけどういはにパワーで勝てる人材はそうそういない。
哀れアルス、お前のことは忘れない。
◇◇◇◇◇◇
2人が出ていったあと3人でマイクラをしながらダラダラしていると、ようやく2人が帰ってきた。2人の様子は対照的であり、ういははウキウキで随分楽しめたようだが、アルスはもう疲労困憊を絵に書いたような有様で、ほっておけばそのまま今すぐにでも死にそうな勢いだった。
「死ぬー…」
見ればわかる。
「いやー…全然受け取って貰えませんでしたね…でもとりあえず配りきったのでOKです!」
「ういは楽しそうだね。」
「そりゃ楽しいですよ!こんな可愛い服着てなにかするの楽しいに決まってるじゃないですかぁ?」
「ごめん、俺あんま外出ないから服とかあんまり持ってないしわかんない。」
「あー…まゆくんがよくマイクラのスキン変えて遊んでるみたいなことやと思うよ?」
「なるほどね。何となくわかったかもしれない。ありがとう桜さん。」
「黛さんってお礼言うんだ…」
「ういははほんとに俺の事なんだと思ってるのさ。」
挨拶もするしお礼とかもちゃんと言ってると思うんだけど。
「あ、ちょっといいこと思いついたのでちょっと私いってきまーす!」
「嫌な予感しかしないよぉ…」
「ははは…私もそう思いますね…」
「ういはちゃんさっき帰ってきたばっかでもういなくなっちゃった…」
「ほんと天災みたいなところあるよねぇ…」
ういはのいいことが俺たちにとって心穏やかだった試しは1度もない。今回はどんな厄介事を俺たちに持ってくるんだろうか。俺たちにできることはせいぜい少しでもういはの持ってくるものが肉体的にも精神的にも疲労の少ないものであることをいのるだけだ。
はい、徐々に更新が遅れてますねぇ…
今週もほんと忙しくて朝から夜中まで働いてました。最低賃金で。
次はもっと早くかけるように頑張りたいですね。
最後になりますが、通算UA1000超ありがとうございます!いずれ10000を超えられるように頑張ってまいりますので応援よろしくお願いします!