「というわけで皆さんにはU-tuberになってもらいます!」
先程いいことを考えたとか何とか言って走り去っていってから十数分後、開口一番にういはは俺たちにそう告げた。何がどういう訳でというわけになるんだろう。
「ど、どゆこと?」
「ごめん、ういはろちゃんと説明してもらっていい?」
「あはは…」
ついに桜さんの反応か苦笑いだけになっちゃったじゃないか。この人でなし!
「ほら、私たちの部活は知名度が低いじゃないですか?そこで私たちがU-tuberとして活動することでこの部活の知名度はうなぎ登り!するとどんどん私たちに解決してもらいたい様々な謎が舞い込んでくる!これは絶対面白いじゃないですかぁ!ねぇ、黛さん!」
長文を早口でまくし立てるように言い切ったあと目を輝かせながらういははノールックキラーパスがこちらに飛んできた。何故そこで俺に振るんだろうか。
「俺に聞かれても分からないんだけど。」
「むー…まあ、黛さんには分かってもらおうがそうでなかろうがどの道一緒にやってもらうので同意はいらないんですけどね。」
チャンネル作ったとかなんとか言ってたけどやっぱりか。
「はいはい。俺に拒否権ないんだね。」
「ぷぷぷ!まゆくんお疲れ様さまぁ!」
「アルスさんもですよ?当たり前じゃないですかぁ。」
「ぷぷぷ。アルスお疲れ様さまぁ。」
速攻でフラグを建てて回収したアルスがぬぅぅとよく分からない言葉で唸っている。ういはが行動する時に俺がいるならアルスも一緒に巻き込まれるのそろそろ分かっててもおかしくないんじゃないかな。ほんとに。
「いやぁ、お疲れ様ですねぇ!黛さんが投稿する動画、リスナーとして楽しみですねぇ?」
ここぞとばかりに煽ってくる未来人。バラしてやろうか。
「あ、先輩方ももちろん一緒ですからね!」
「夕陽先輩が投稿する動画、リスナーとして楽しみにしてますよ?」
「えぇぇ!?私も!?」
ここにも一級フラグ建築士がいた。建築士はこれまたんなぁぁぁとどこかの大穴から聞こえてきそうな唸り声をあげていて、その隣で完全に巻き込まれた形の桜さんが勢いよく立ち上がっている。
他2名と違って大人しく笑いながら眺めていただけなのに。ういはの攻撃は全体攻撃か単体への必殺しかないのかもしれない。完全にぶっ壊れじゃん。そもそもういはのいる部活に参加してしまった時点でこうなることはわかってたけどさ。
◇◇◇◇◇
こうして全員無事(?)U-tuberデビューが決まった部員全員による企画についての会議が始まった。もちろん議長はういはである。
いきなり案を出せと言われてもそう簡単には出てくるものじゃないと嘆いたアルスの一言により、とりあえずU-Tuberデビューは保留になった。そして後日改めてU-tu部の先輩方に基礎から教えて貰うことにした。そもそも先程走って出ていったのはU-tu部の先輩方に挨拶に行っていたらしく、先輩方の時間がある時に改めてアポをとってみんなで話を聞きに行くことになった。
「じゃあ今後の方針も何となく決まったところで今日は解散しましょうかね…」
「せやねーいい時間になってきたし?」
「お疲れ様。特にアルス。」
「ほんとだよぉぅ…」
こうして帰り支度をしていると桜さんからスマホでメッセージが送られてきた。内容は、少し話したいことがある。学校を出たあとここに来て欲しい。という文章と位置情報であった。
今日も帰るのが遅くなりそうだ。
◇◇◇◇◇◇
…どれくらい時間が経っただろうか。桜さんはずっとッスーと息を吸っては目を泳がせるばかりで話に入らないまま膠着状態が続いている。
先程送られた位置情報の場所に向かうとそこは大企業の役員クラスが住むような超高級マンションだった。ロビーで桜さんが待っていたので、連れられるがままマンションのとある一室に入った。以前一人暮らしをしているとの事だったが、こんなマンションだとは思うまい。
と、色々これまでのあまりにも多すぎる情報量に頭痛を覚えながらも暇つぶしのためにこれまでのことを噛み砕いていると桜さんがようやく口を開いた。
「あー…のさ、」
「うん。」
「実は…私さ、普通の人間やないんよね…。」
「そうなんだね。」
「あはは…やっぱ信じて…え?受け入れてくれんの!?私まあまあ突飛なこと言ったと思うんやけど!?」
「いや、この前リリさんに私未来人とかなんとか言われたから。この流れだと桜さんもその感じかなーって。」
「あはは…リリちゃんが先に言ってたんか。なら良かったわ…。でもなんで信じてくれたん?」
「いや、リリさんにういはのことについて大前提となることが正しいとするならばその時に信じるに値する情報を話してくれたから、かな?」
「じゃあういはちゃんのことはもう知ってるんやね…。」
「そうだね。まあ、リリさん普段あんなのだけど真面目な時はちゃんと話すからその話はなくても信じてたと思うけど。で、桜さんはなんなの?」
「私は桜第一惑星から来た、いわゆる皆からしたら宇宙人って呼ばれる存在なんよ。で、地球に来た目的はサンプリングのため。元々は別のところに行く予定やったんやけどういはちゃんのことがあってね。彼女の持つ能力は使い方さえコントロール出来ればまさに無限の可能性がある。まさに全知全能の神様のような力やからね。唯一無二の存在やからサンプリングは難しいけど彼女を観察することで少しでも情報を得ることが出来たらなにかヒントになることや参考にできることがあれば、と思って地球に来たんよね。」
「桜さんはそのー…リリさんみたいに未来に影響とか出てないの?」
「うちのところは地球から観測することも難しいような離れた場所にあるからほとんどお互いの現象が干渉することはありえへんからね。ただ、ういはちゃんの事態は話が別。多分星から出てなかったら観測できるかどうか、ってところやったけどたまたま既に私は出発してたからね。それで地球に少し近づいてたから驚異的な情報爆発がしっかり観測出来た。それでうちに連絡してここに来た、って感じやから影響は少ないんやないかな?」
「なるほどね。ちなみに桜さんは俺たちと接触する時に記憶の改ざんとかはしてないの?リリさんにやられたらしいんだけど。」
「あー…リリちゃんはそうしちゃったか…私は普通に途中から転校してきたでしょ?事実はほとんどまゆゆの記憶通りだよ。それに私たちの技術だと記憶をわざわざいじらなくてもいいんだけどねー。」
「そんな技術があるのにそれでもういはの事は別格なんだね。」
「そうよ!ういはちゃんの能力があればこの世界丸ごと書き換えることやってできるっちゃけん、もしそれを悪いことに使おうと思っとる人らに取られたら…この宇宙どころか世界の存在そのものが無くなるかもしれんのよ。そういう連中からういはちゃんの身を守るためにも、っていう理由もちょっとはあるんよね。」
「そっか…。」
ういはに関する事態は俺が思っていたよりももっと複雑で壮大で俺みたいなちょっとパソコンができる程度のやつにはどうにもならない規模の出来事が今、この広い宇宙の中の、このちっぽけな地球でわざわざ起こっているらしい。普通に生きて普通に暮らしている俺には想像もつかないが、もしかしたらこの世界はういはを中心に回っていると言っても過言ではないのかもしれない。
こうして桜さんの話を聞いてようやく落ち着いた所に、突如俺のスマホから着信音が聞こえてきた。電話のかけ主はアルスアルマルと書かれている。
「ごめん、ちょっとアルスから電話が。出ても大丈夫?」
「ええよー。私黙っとくね?」
「ありがと。…もしもし?アルス?」
「あ、まゆくん?あー…えっと…いや、あの…」
この流れで行くとおそらくアルスも私普通の人間じゃないって話をしようとしてるんだろう。そんな話電話で済ませるかな、普通。
「いや、そんなどもる話を電話で済まそうとするなよ。この後駅前集合でいいね?」
「うぐっ…ハイスミマセン…」
アルスの返事を聞いて俺は通話を終了した。
「もしかしてアルスちゃん電話で自分のこと言おうとしてたの?」
「多分そうだね。流石にそれはさ、直接言う話じゃない?」
「やねー…じゃあそろそろまゆゆ家出る?」
「そうだね、ありがと。」
「ううん!こちらこそ急に呼び出してごめんね?」
「全然。また明日学校で。」
「うん!じゃあね!」
◇◇◇◇◇◇
駅前に着くと既にベンチで小さくなっているアルスがいた。
「どーも。」
「あっ、もう来たんだ。」
「近くにいたからね。」
「そうなんだぁ…あはは…」
「で、アルスは何人なの?人じゃない?」
「うぇっ!?な、なんのこと!?な、なにさ、いきなり!?」
「いや、もうリリさんも桜さんも両方話聞いたからさ。」
「あぁ…もうばれてんだぁ…確かに今思えば電話した時ボクが何話すか分かってたっぽい感じしてたもんねぇ…」
「まあ、そうだね。で、実際アルスは何者なの?」
「ッスー…ボクは異世界出身の魔法使い。相羽ういはの起こした世界改変の影響でこっちに転移しちゃって、元に戻る術を探るべくういはちゃんを調査してるって感じだね。」
「へぇー。」
「ちょっ、反応薄くないか!?ねぇ!」
「いや、未来人、宇宙人と来たらもう異世界人位しかないじゃん。何となく予想できるでしょ。」
「他にもあるだろぅ!地底人とか平行世界の住人とかさぁ!」
「まあ、確かにそうだけど地底人あんまり影響受けて無さそうだし、平行世界の住人はちょっと考慮してなかったかな。」
「ぬぅー…まゆゆの驚く顔見たかったのにさぁー…」
「生憎アルスには100年早いよ。」
「ぬぁんだとぉ!?」
「じゃ、アルスの正体もわかったところだし俺、帰るね。」
「え、もう帰るの?ボクに異世界人の証明しろとか言わないの?」
「いや、もう2人くらいそういう人いたからもういいかなって。疑うのもめんどくさいし。」
「えぇ…」
「そういうことだから。じゃあね。」
「あ、そういえばさ、ボクの他にもう1人転移してきた人がいるんだけどさ、エクスアルビオっていう人なんだけどまゆくん知ってる?」
「あぁー…この前アルスを呼びに来てた金髪の先輩のこと?」
「そうそう。ボクはエビ先輩って呼んでるんだけど、エビ先輩もういはちゃんの身の回りの調査しなきゃ帰れないのわかってると思うんだけどあの人全然手伝ってくれなくってさぁ…。」
「そうなんだ。帰る気ないの?」
「ボクもそう思って先輩に聞いてみたんだけどさぁ、なんて言ったと思う?」
「さぁ?」
「「え、帰りたいに決まってるじゃないですか。だから師匠が頑張ってるのを邪魔しないようにしてるんですよ?」って言ってそのまま遊びに行きやがったんだよぅ!んぬぅー!許せないよなぁ!」
その後もアルスは如何にエクスの行いが酷いか、その迷惑をどれほど被ったかを語り続けていたが、傍から見る分には普通に仲のいい2人にしか感じない。
まあ、そう言いながらエクスも裏で帰るためのこととか色々やってるんじゃないかな。いや、でも話を聞く限りではやってないような気もするけど。
ただ、一つ気になったことがある。
「アルスさ、それだけういはの周りに普通の人間では無い人が集まってるけど俺はどうなの?」
「あー…大丈夫。まゆくんは普通の人間だよ。超能力も超人的な力も持ってないただの高校生だから。」
「…そっか。」
「なんでちょっと残念そうなのさぁ…」
だって男の子なら憧れるでしょ。そういう力的なの。
めちゃくちゃ遅くなりましたね…申し訳ないです…
想定していた何倍も忙しくって全然時間がありませんでしたね。にじさんじ甲子園見なきゃいけなかったですし。
ただ、お気に入りの数が増えてたりUAが増えているのを見ていると頑張りたいな!って思えるのでもしよろしければお気に入り登録や感想頂けるとめちゃくちゃモチベになりますので!よろしくお願いします!