「そう言えばセフィロスは左手だけでマシュと戦ってたけど、右手は使えないの?」
立香の疑問にマシュが答える。
「いえ。セフィロスさんは右手は使えます。ただ、使う必要がないんです」
「使う必要がない?」
「はい。セフィロスさんはその強さの為、左手一本で相手を充分倒せるんです」
「かの円卓の騎士、ランスロット、ガウェインの二人を同時に相手した時も、左手一本で笑みを浮かべて対処してたというくらいよ。
右手も使って戦ったのは、指で数えられるほどなの。それほどの強さよ」
オルガマリーがマシュの話を補足する。
「つまり、セフィロスに右手を使わせるってのは、真に強敵と認めた証ってことだ。ヨーロッパじゃそいつ等は、真の強者ってことになってる」
ランサーなら戦ってみたかったがなとクー・フーリン。
「ええと、つまりセフィロスにとっては大概の敵は左手一本で充分ってこと?」
「まあ、そうなるな」
特に気負いもなく淡々と語るセフィロス。
自分がそんな英雄をサーヴァントにしていることに、恐縮する立香。
「マスター。気にしなくてもいい。この身はマスターの剣。マスターの前に立ち塞がる敵をただ倒すのみだ」
そろそろ行こうとセフィロス。
一行は大空洞の内部へ向かった。
「さて、そろそろ王様の信奉者が出てくるぜ」
そう言うと、一騎のシャドウサーヴァントが出て来た。
「あれのクラスは何だキャスター?」
「アーチャーだ」
そう答えるクー・フーリン。
「キャスター、これを使え」
そう言ってセフィロスは朱槍の魔槍ゲイ・ボルクを投げる。
「こいつは・・・・・・なんであんたが持ってんだ?」
「スカサハと戦ったのは話したろ? その記念にもらったんだが、俺は槍を使えん。キャスターが使え」
「そういうことか。ありがたく使わせてもらうぜ」
そう言って杖を槍に持ち替えるクー・フーリン。
「ふっ。キャスターが槍を武器にするか」
「!?。てめえ喋れたのか!?」
「まあな。しかし、キャスターが槍など使えるのか?」
「生憎こっちが性に合ってるんでね。杖より強いぜ?」
そう言って槍を構えるクー・フーリン。
「王様の方はあんたに任せたぜ。すぐに追いつく」
「承知した。行くぞマスター」
「う、うん」
クー・フーリンを心配しながらも奥へ進む一行。
そしてついに聖杯が姿を表した。
「何よこれ・・・・・・」
オルガマリーが呆然と呟く。
「久しぶりだなセフィロス」
奥から出て来た女性が声を掛ける。
「アルトリア・・・」
「それに・・・ほう、そこの盾の娘も面白いな。いいだろう。かかってこい」
「ふっ!」
そうアルトリアが言うや否や正宗を振るうセフィロス。
アルトリアは受け止めるが、身体が揺らぐ。
「この重さに速さ・・・・・・変わらんな」
「どいてもらえないかアルトリア?」
「力づくでどかしてみるがいい!」
そういって正宗を弾くアルトリア。
そこからは双方剣の打ち合いとなった。
「なんて速さよ! これがサーヴァント同士の戦いなの!?」
「ですが、セフィロスさんが徐々に押しています! このままいけば・・・!」
「ちっ・・・!」
アルトリアが宝具解放の構えを取る。
対してセフィロスはマシュの横まで退いた。
「マシュ。宝具だ」
「えっ!? で、でも・・・・・・」
「大丈夫だ。マシュならやれる。そうだろうマスター?」
「うん! お願いマシュ!」
「はい!」
「卑王鉄槌。極光は反転する。光を呑め!『約束された勝利の剣』!」
「宝具、展開します……!。『ロード・カルデアス!』」
二つの宝具が激突する。そして、軍配はマシュに上がり、宝具を防ぎ切った。
「まだだ!」
アルトリアが再度宝具を放とうとするが・・・。
「させんよ。『八刀一閃』!」
セフィロスの宝具がアルトリアを捉えた。
「が・・・・・・」
崩れ落ちるアルトリア。
そして、アルトリアは消失した。
「ああ、間に合わなかったか」
「キャスター」
「アーチャーは倒したぜ。それと槍返しとくぜ」
そう言って、セフィロスに槍を返すと、クー・フーリンは消失した。
「・・・・・・さて、そこの奴出て来い」
「・・・・・・まさかここまでやるとはね」
そう言って、現れたのはレフ・ライノールだった。
「レフ! 無事だったのね!」
そう言って走り出すオルガマリーをセフィロスが掴んで止めた。
「放しなさいセフィロス!」
「あれがレフ? 見た目だけだ。中身は人間じゃない」
そう言い放つセフィロスに皆がレフを見る。
そして、レフが見せたものは真っ赤に染まったカルデアス。
そしてオルガマリーの死亡を告げ消えていった。
そして特異点の崩壊が始まった。
「セフィロス! 死にたくない! まだ死にたくないの!」
そう叫ぶオルガマリー。
セフィロスは立香に頼む。
「マスター! 令呪三画全て回してくれ! オルガマリーを蘇らせる!」
切迫した様子のセフィロスに立香は令呪を全て渡す。
「『アレイズ』」
それとともに立香の意識も消失した。
「ん・・・・・・」
立香が目覚めるとベッドにいた。
「先輩。眼を覚まされたんですね」
ベッドの横にマシュが座っていた。
「所長は?」
一番気になることを尋ねる。
「セフィロスさんが蘇らせてくれました。今は皆司令室にいます」
そう言われて起き上がり、マシュと一緒に司令室に向かった。
部屋では話し合いが行われていた。ロマニ、所長、セフィロス、それとモナリザ?である。
「おはようございます」
「おはようマスター。無理をさせてすまなかった」
「いえ。大丈夫です。こうして所長も無事ですし」
「とはいえ死者蘇生とはね。確かにセフィロスには魔法の逸話があるが驚きだよ」
「セフィロス、この人は?」
「レオナルドダヴィンチだそうだ」
「・・・男の人じゃなかったけ?」
「マスターの言う通りだが、本人はこの姿が気に入っているそうだ。気にしない方がいい」
「ダヴィンチちゃんと呼んでくれたまえ」
「は、はあ」
「話を変えるわ、いい?」
「はい」
そこから所長の詳しい話が始まった。
「つまり七つの特異点を解決すればいいと?」
「簡単に言えばそうよ。人類最後のマスター藤丸立香。特異点の解決を命じます」
「わかりました」
こうして人理修復の旅が始まった。