Bazett in ClockTower (時計塔のバゼット)   作:kanpan

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そういえば、この話を通して今までバゼットの服装については一切言及して来なかったのでした。

それから、これで完結したので
ログインユーザー以外の方も感想を書けるようにします。


エピローグ

ウェイバーは講義の手伝いを終えて教室を出るところだった。初めは講師の手伝い要員だったのだが、徐々に経験を詰み、今では講義の一部を任せてもらえるようにもなってきている。正式に講義を受け持つことができる日もそう遠くはないだろう。

 

ウェイバーが講義で使った機材を持って教室を出た矢先に、廊下の向こうからすたたたたっと相当なスピードで走ってくる人物がいた。

「うわわわわわわ…」

「あっ!」

どかっ!という音をたててウェイバーははね飛ばされ、床に尻餅をつく。

 

———廊下は走らない!なんて小学生の常識じゃないか。まったくいい歳になってまで。一体誰だ。

 

「ご、ごめんなさい。ウェイバー。…立てますか?」

見上げると、そこにはダークレッドの髪と瞳。そして肩に背負った筒状のケース。

あれ、バゼットじゃないか。

 

「やあ、久しぶりだね。バゼット」

実際彼女と会うのは数週間ぶりだった。いままではちょくちょく家に遊びにきていたのだけど、最近は何故か間が開いていた。一方ウェイバーも最近講義の手伝いが忙しくなってきており、バゼットのことを構っていられなかったのであるが。

 

ウェイバーはバゼットが差し出してくれた手を掴んで立ち上がる。

うーん、何か違和感があるぞ…?と感じて、ウェイバーはバゼットをつい頭から足下までつつーっと眺めてしまった。

「な、なんですかウェイバー…?」

急にじろじろ眺められたのに気がついてバゼットは当惑している。

 

やや赤みがかった黒のスーツに革靴、なによりも首元にピシリと締めた臙脂色のネクタイ。

それが今目の前にいるバゼットの服装である。

「バゼット、なにその格好」

 

バゼットは両手を少し上げて自分の体をきょろきょろと一通り眺め直してからウェイバーの方に向き直って問う。

「…変ですか?」

いや変も何も。

「それ、そもそも男物のスーツじゃないか」

変かどうかと聞かれれば、明らかに変なのだが。

 

そのバゼットの男装は彼女の、

戦士らしく引き締まった凛々しさ、

少女の域から抜け出しつつある女性らしい柔らかさ、

少し大人びて見える整った顔立ちと、

その合間に時折覗く年相応のあどけなさを

それぞれ際立たせているのだ。

 

いろいろ意見はあるのだが、つまり一言で言うなれば、

「君に似合っていると思うよ」

 

そのウェイバーの言葉にバゼットは少し照れた様子で

「それはよかったです」

と返して微笑んだ。

 

「けどさ、バゼット。なんでそんな格好を?」

ウェイバーの問いに対してバゼットは、ぜひ聞いてくれと訴えんばかりの視線を向けた。

「ウェイバー、私、就職したんです!」

 

なんと。それはめでたいじゃないか。

「よかったじゃないかバゼット、それで何の仕事を?」

「封印指定執行者です!」

バゼットは顔の前で拳を握り、力強く答えたのだった。

 

「………………」

ウェイバーはすぐに次の言葉を返せず一瞬黙る。

確かにその仕事はバゼットの能力に適しているだろう。

が、時計塔の三大厄ネタ、泣く子も黙る鬼の執行者なのである。

 

「……いいのバゼット?その仕事で」

「戦闘は私の得意科目ですし。

 そこで自分の価値を証明して、周りに認めてもらえるようになればいいのだと思います」

 

バゼット。確かに君は常識はずれに強い。

けれど、その反面とても普通の価値観を持ってる人なのに。

君はこれから執行者(しごと)と自分の心をどう折り合わせていくつもりなのだろう?

 

「じゃあ、ウェイバー。

 私はこれから任務で外国に行ってきます」

急ぎで出かける途中だったらしく、バゼットはウェイバーに一礼すると、くるりと踵を返してまた廊下をスタスタと駆け去って行った。

 

じゃあねと、と去って行くバゼットを見送るウェイバーの後ろから

「ウェイバー先生っ!」

と、女子生徒たちの声が響く。

ああ。シルヴィアたちだ。

「先日の授業のレポートを仕上げてきたんです。今回の内容には自信があるんですよ…」

「ちょっとー。シルヴィアだけずるい。ウェイバー先生、私のも見てくださいねっ!」

女子学生のグループは我先にとウェイバーにレポートを手渡してくる。

「わかったわかった!順番に見るから!」

女子学生たちを促して、彼は研究室へと向かった。

去り際に振り向いて、一瞬バゼットが駆けて行った時計塔の廊下の先に目をやった。

 

———結局、それ以来彼女(バゼット)には会っていない。

 




後書きです。

今年の2月にFate/hollow ataraxiaをプレイし、その後4ヶ月ほどバゼットのキャラクターについてあれこれ考察していました。

バゼットについての
・なぜ時計塔になじめなかったのか
・封印指定執行者という仕事は合っているのか
・他の仕事をする可能性はあり得たのか
・偏った人生経験とはなんなのか
・彼女のルーン魔術はどういうものか
・戦闘以外の魔術が苦手なのはなぜか
・なんであんな服装をしているのか

それと、
・封印指定執行者はなんで嫌われているのか

hollow atarxiaを読んで感じた、以上の疑問について
自分で解釈をした結果を二次創作小説としてまとめたところ、こういう話が出来上がりました。

今まで読んでいただきありがとうございました。
感想、解釈、設定論、キャラクター論などありましたらお寄せください。
この話に関する事は感想欄に、この話から離れる事(TYPE-MOONの設定解釈とか)などは活動報告へのコメントか、メッセージなどでよろしくお願いします。

活動報告で読後アンケートコーナーがあります。よかったらお返事くださいな。
http://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=42255&uid=62760


最後に、
Fate/hollow ataraxia Vita版は2014年11月27日発売です!
http://www.typemoon.com/products/hollowvita/
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