「…初めから全力で行くぞ!」
スルトが宣言すると同時に、辺りは炎に包まれる。炎は2人の周りを囲い、他のオペレーターは手出しができなくなっている。今、この場にはイージスとスルトの2人だけが存在していた。
「…何故数の利を活かさないのですか?」
「私1人で充分だ。」
「…なるほど。」
「…?何がだ?」
「いえ、何でもありません。…失礼、戦場ではあまり喋りすぎるものではありませんね。」
「全くだ。」
「では…、どこからでもどうぞ。」
「後悔するなよ!」
その言葉と共にスルトは攻撃を開始する。通常ではありえない熱量をもった彼女の剣が、空気を焦がしながらイージスに振り下ろされる。イージスが盾で受けた時、ぶつかった場所で激しく炎が発生し、それはまるで意思を持っているかのようにイージスに迫る。
「(…!まったく、よく分かららない力を使いますねロドスは!私よりも常識がないんじゃないですか?剣というよりもアーミヤ氏に似ている攻撃ですね。)」
内心でそうぼやくイージスだがダメージを受けている様子は一切ない。炎を槍で掻き消し、続く攻撃を防いでいく。スルトは攻撃を続けるが、イージスは平然とそれを受け流す。まるで葉の上を滑る水滴のように、攻撃の一切がイージスに届くことはない。
互いの攻防はしばらく続いたがしかし、その均衡はイージスによって終わりを迎える。イージスの槍がスルトの腹に当たる。あまりに重いその一撃に、スルトは顔を歪め、半ば吹き飛ばされるように後退する。
「はあっ…はあっ…。…まさかここまで通用しないとはな、
そう話すスルトにはしかし、余裕なんてものは存在しない。彼女の腹部からは血がとめどなく流れ、息も絶え絶えである。一方、イージスには疲労の様子はなく、炎によって体の一部が煤けてこそいるが、怪我や傷は見られない。
「…撤退をおすすめしますよ。急所は避けましたが、あまり無茶をしますと流石に死に関わります。今すぐ治療を受けるべきです。」
彼女なら相手を傷つけずに倒すこともできたが、相手は自分を殺しにくるほど全力を尽くしている。そこまで本気の相手に加減をするのはイージスの信念が許さなかった。しかし、あくまで彼女らがしているのは演習。死者を出すのは気が引けるという理由から、そして何よりのイージスの良心からそう声をかける。それに対するスルトの返答は、
「…ふふふ。あっははは!」
ー大笑いだった。
「…?何かおかしなことを言ったでしょうか?」
「…24勝13敗2引き分け、これが何の数字か分かるか?」
「?貴方とスカジの戦歴でしょうか?」
「…いや、その通りなんだが、もう少し空気をだな…。」
「?」
「あー、いや、何でもない。…くそ、調子が狂う。それで?それを聞いても何とも思わないのか?」
「実は少し。貴方には申し訳ありませんが、
「察しが良すぎだろう…。…認めるのは悔しいが、事実、実力ならあいつの方が上だろう、本っっっっっ当に癪だが。」
「すごい溜めましたね。」
だがな、とスルトは続ける。
ーーー
刹那、スルトの体が炎に包まれる。それは、神すら殺す終わりの炎。周囲を焼き尽くしながら、
彼女の背には、アーツで創られた大きな黒の巨人が。スルトの剣を持った、終末を導く死の巨人が。
相対するイージスは油断なく構えながら、しかしこうため息をついた。
「…最早、何でもありですね。」
「さあ!第2ラウンドの開始だ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーラグナロク
彼女がそう呼ぶこの技は、数あるロドスの切り札の1つである。レユニオン幹部を始めとした強敵との戦闘の際に使われる大技。彼女は、この技を磨いて他のエースオペレーターと競い合ってきた。その一撃は圧倒的な破壊力と熱量を持って相手を、その周囲を滅却する。文字通り、この技を使った彼女の前には、草の1本すら残らない。
今回も同じ、これを発動したが最後、辺りには灰すら残ることはない。
ー筈であった。
スルトが攻撃を叩きつける。イージスが守る。炎がイージスに迫る。イージスが槍を振るう。
スルトが攻撃を叩きつける。イージスが守る。炎がイージスに迫る。イージスが槍を振るう。
スルトが攻撃を叩きつける。イージスが守る。炎がイージスに迫る。イージスが槍を振るう。
スルトが攻撃を叩きつける。イージスが守る。炎がイージスに迫る。イージスが槍を振るう。
スルトが攻撃を叩きつける。イージスが守る。炎がイージスに迫る。イージスが槍を振るう。
スルトが攻撃を叩きつける。イージスが守る。炎がイージスに迫る。イージスが槍を振るう。
ー終に、イージスの槍がスルトの心の臓を貫いた。
それから数秒、まるで断末魔のように攻撃は繰り返された。しかし、その全てはイージスには通じない。
炎はその穴を治すことなく、巨人は次第に動きを止める。
「ー何が足りなかったんだろうな。」
「…そうですね。強いて言えば、もう少し仲間を頼るべきでしたね。」
「
ー…強いぞ。
そう言い残して、
ーブゥンブゥン!
それは、チェーンソーの音であった。
次に聴いたのは歌であった。酷く冒涜的な、深海の底に呑み込まれそうになる歌。
ーPh'nglui mglw'nafh Cthulhu R'lyeh wgah'nagl fhtagn!Ph'nglui mglw'nafh Cthulhu R'lyeh wgah'nagl fhtagn!
銀の煌めきが、宿りし王の力が、今にも噴火しそうな火山が、恐ろしい化け物が。
ーブゥンブゥン!…グルルルル…。グルルルル。
チェーンソーの音は次第に、神を喰らう狼のように。
イージスは理解する。
「さあ、貴方達の力を私に見せてみろ!」
ー神楯は、未だ動かず。
イージスちゃん、察しが良すぎるせいでぐだぐだになっちゃう。戦闘中にあまり喋るなとは一体なんだったのか…?
Q.ブレイズのチェーンソーの音をフェンリルに例えるのは無理矢理すぎでは?
A.ワイトもそう思います。許して。
Q.スルトボコボコにされすぎでは?
A.僕もそう思う。いや、別にスルトが嫌いなわけではないんです、むしろ好き(突然の告白)。けど、うちの作品ではスカジさんの方が強いんやぞ、というのをはっきりしたくて今回の話を書きました。そしたらあらびっくり、スルトちゃんボッコボコ。許して。ちなみに、ここのスカジさんはイージスちゃんとの修行によってステは原作より高いです。
うちのスルトさん、多分原作よりも少しマイルドな性格をしています。イージスちゃん曰く、「傲慢7割優しさ3割」だそうです。だいぶ自身を驕ってはいますが、それなりに周りと協力はしますし、そこそこの心配もします。
イージスちゃんの部屋事情
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個人部屋
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スカジと同部屋
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他のオペレーターと同部屋