「こちらチェン。」
そう宣言が聞こえるや否や、辺りには3つの気配。その内の1つは赤い閃光と共にイージスの前に現れた。しかしそれはイージスには既知の攻撃。初見ですら防がれた攻撃が彼女に通用する訳がない。無論、チェンはそれを承知の上であった。すかさず次の攻撃に移る。
「… 絶影。」
10の煌めきがイージスを襲う。瞬きする間もなく放たれたそれを、イージスは盾で、槍で受け流す。
「…絶影。」
先程までの戦いを見て何も感じないチェンではない。彼らの尽力に応えるように、チェンは限界を超えて技を放つ。10の煌めきは次に20となってイージスへ迫る。しかし、彼女にはそれでも届かない。
「…絶影!」
骨が軋み、肉体が悲鳴を上げる。そんなこと知ったことかとチェンはさらに攻撃を放つ。イージスが自身へ迫る攻撃を対処しようとしたその時、彼女の身体はピシリと動きを止める。横を見るとそこには半透明な盾を持った1人のヴィーヴル、サリアであった。
「凝固しろ!」
そう力強く叫びアーツの発動に全力を尽くす。今までそれを使うに値する敵がいなかったため使われることはなかったが、サリアの盾はアーツロッドとしての運用も可能である。サリアが文字通り死力を尽くし、イージスの体内にあるカルシウム元素を操作する。身体中に1%も存在するそれは、イージスの動きを完全に固めるには十分すぎる。イージスという水は今、完全に凍りついた。
驚く暇もない。イージスは無理矢理腕を動かし、チェンの攻撃を受け流す。盾を構えた右腕は、その骨が嫌な音を立ててひび割れる。30にも及ぶチェンの攻撃全てを捌くことは叶わなかったがしかし、少なくない傷を負う。半ば意識を失いかけているチェンを盾で吹き飛ばし、そのまま槍をサリアへ穿つ。その際、槍を持っていた左腕に激痛が走るが、イージスをこれを無視する。槍は盾へぶつかるが、アーツの発動に全てを尽くしていたサリアは踏ん張ることなどできず、盾と共に吹き飛ばされる。2人とも、自身の限界を超えて力を使っていたのだ、もう戦線に戻ることはないだろう。
サリアが気を失ったのか、体が動くようになる。右腕の骨はひびが入っているものの、折れているわけではない。イージスが『魔法』で左手に槍を創ろうとしたその瞬間、ホシグマがイージスへと自身の盾を叩きつける。イージスは油断なくそれを受け流すが瞬間、ホシグマは盾を捨ててイージスの左手と盾を掴む。
「貴様には悪いが、力勝負に付き合わせてもらおう!」
そう叫びイージスを押し始めようとする。しかし、どこにそんな力があるのか、彼女はびくともしない。彼女は一言、
「それは…助かります。」
と言うや否や、イージスも盾を捨て、そのままホシグマの手首を掴んで投げ飛ばす。
3つの気配の持ち主は全て現れたが、まだ油断はできない。
「(まだです!まだ切り札であろうあの少女が来ていない!彼女が来るまでは気を緩めてはいけない!)」
そう自分に言い聞かせるイージス。その次に現れたのは一匹の巨大な化け物と、辺りを炎で包んだ巨人であった。
「そう簡単
「生憎、今回は私の初陣でな、少しくらい意地を見せなければ示しがつかん。」
と2人。続く言葉は重なった。
「「出し惜しみは無しだ!行くぞ!」」
「ラグナロク!」
「Mon3tr。私に続け!」
初めからスルトは炎を身に纏い、Mon3trは禍々しい瘴気を漂らせる。
イージスは盾と槍を構えて相対する。
「(赤髪の方はしばらく耐えれば良いみたいですし、問題はあのもんすたーですね。)」
一度イージスの行動を見ている2人は、イージスに攻撃を溜めるのを許さない。彼女が一歩踏み込もうとすると、すぐさま攻撃を激しくする。イージスは攻めあぐねていた。とはいえ、それではいつか2人の限界が来てしまう。このままではジリ貧である。
ーなら、彼女らがやることは1つしかない。
攻めて攻めて攻めまくる。自身の体力も気力も何もかもを使ってイージスに攻撃を仕掛ける。カウンターなど許さない、そんなものが来る前に次の攻撃を放つ。
しかし、イージスには一歩及ばない。彼女はMon3trの攻撃をスルトの方へと逸らす。スルトが怯んだその一瞬が決定打となる。まるで1回目の再現をするかのように、イージスが放った槍がMon3trの頭部を貫通する。しかし、前とは違いMon3trが倒れる際に漏れ出る瘴気が彼女を蝕むことはなかった、イージスは既に対策ができていたらしい。
残るはスルトのみ、ではない。イージスは件の少女が現れるまで、一度も警戒を怠らない。
「くそっ!だが、まだ終わらんぞ!」
そうスルトがそう叫ぶ。そして、スルトが攻撃を仕掛けたその時、イージスの背後から炎を抜けて何かが飛び出してくる。
「(来た!)」
イージスは盾でスルトの攻撃を受け流す。槍で炎を掻き消しながら、その勢いのまま後ろを向き槍を投擲する。槍を受けたのは今まで戦場に来なかったロドスの切り札
ー
そこにいたのは緑髪の鬼、先程吹き飛ばしたホシグマであった。槍を受けた彼女はおびただしい量の血を流しながら炎の方へと吹き飛ぶ。しかし、その顔は笑っていた。一瞬惚けるイージスの後ろ、炎となったスルトの身体から、小さな影が飛び出す。彼女こそ、ロドスの切り札。
「行くわよリーフ!さあ、吹っ飛びなさい!」
ウィーディが、LN2キャノンを発射する。圧縮された液体窒素はイージスへ向かっていき、彼女を吹き飛ばそうとー
「ーっ。負けてたまるもんですか!」
イージスはすぐさま振り返り、右手の盾で勢いよく射出された液体を叩きつける。しかし右腕は十全でない。僅かであるが、イージスが動かされていく。それでもイージスは諦めない。ウィーディの攻撃が終わった時、イージスの体はまだ円の上にあった。しかし円の線は彼女の足にギリギリ触れていない程度のものであり、防御がギリギリのものであったことが分かる。イージスはすぐさま槍を創り、ウィーディへ穿つ。戦闘能力そのものがあまりないウィーディは避けることなど能わず吹き飛ばされる。
「まだだ!」
そうスルトが叫び文字通り最後の一撃を叩き込む。しかし、イージスはそれを受け流す。炎はイージスの肌を燃やしていくが、彼女はその場を動くことはない。
勝った、そうイージスが思った時だった。
ースルトが、笑いながら消えていく。
またまた後ろから1つの気配。瞬間、イージスは悟る。
ああ、何をしていたんだ自分は。
「ーはああああぁぁぁ!」
ー
「ーどうだ?私の
そう言い残して、青きオーラを纏うライバルに全てを任せながら、スルトは完全に消えたのだった。
ー方舟、神楯を動かす。
サリア様のアーツ、「カルシウム元素とその化合物を操る」とか、個人的に作品内ぶっちぎりで頭おかしいと思うんですよね。異格で術サリアとかでたらやばそう(小並感)。まあありえないとは思いますが。
これまでに弟子の影薄すぎないか?と思った方は少なくないと思いますが、こういう訳だったんですね。
思っていた100倍は接戦です。僕が1番驚いています。何もかも彼らのアーツが強力過ぎるのが悪い(責任転嫁)。
イージスちゃんの部屋事情
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