スカジのお師匠様   作:アイギス 

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戦闘回は今回で最後です。いやーここまで長かった。決着はいかに…⁉︎


方舟vs神楯⑤

 

 

 

これは、スルトとケルシーがイージスと戦っている時のこと。ブレイズの爆発による砂煙が晴れたと思ったら、スルトの炎に囲まれたせいで、外のオペレーター達は中の状況を掴めずにいた。唯一見えるのはケルシーの使うMon3trのみ。しかし、それでも彼らは声を上げ続けた。Mon3trが槍で貫かれた時には悲鳴をあげ、炎の中へ突っ込んだホシグマやウィーディ、スカジには全力の激励を送った。そしてとうとう、スルトが倒れる炎が晴れる時、ドゴン!と、大きな音が響く。

 

「…どうなったんでしょうか、テキサスさん。」

「私にも分からん。しかし、まさか本命はウィーディではなくスカジだったとはな…。こちらも驚かされたよ。」

「本当に、ドクターは敵にしたら恐ろしいですね…。」

「…ああ。しかし、私達にできるのは残念だが祈るだけだ。」

「はい。ですが、大丈夫ですよ。うちのエース達は凄いんですから!」

「…ふっ。そうだな。」

 

そして炎は晴れ、結末が露わになる。

そこにあったのはー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー円の中心に刺さっている槍に両手を付いているイージスと、その側で気絶するスカジであった。

 

 

 

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ー深海のオーラを纏ったスカジは、一切の容赦なくイージスへその佩剣を叩きつける。これが決まればロドスは勝利する。しかし、この場で僅かに勝ったのはイージスであった。

彼女は空いている左手に槍を創るや否や、すぐにそれを地面に深く突き刺した。スカジの攻撃はイージスの背中へ思い切り当たり、イージスは吹き飛ばされる筈であったが、彼女は左手を槍から離すことなく、円の中を回る。その際、左手の皮はどんどん削れていき、耐え難い痛みが彼女を襲うが、それでも、彼女は手を離さなかった。

そのまま遠心力を利用して、彼女はスカジに盾を叩きこむ。スカジとて既に限界。イージスがオペレーター達を吹き飛ばした時に1番近くにいたのは彼女であったし。ブレイズの死力の一撃の際に最もイージスに攻撃を仕掛けていたのはスカジであった。他にも、後衛達へ攻撃が行かない様に常にイージスを牽制したり、後衛達へ向かった攻撃を庇うこともしていた。

それもこれも全て()()()()()()()()()()()()。スカジが切り札であることを悟られない様、注目をウィーディに向けさせる。初めにチェンやホシグマのみ、次にスルトのみを前衛に置いたのも、彼らの印象を強くして、相対的にスカジの印象を弱くするため。過去何度も相手を苦しめたドクターの策略は、イージスすらにも小さくないダメージを与えた。

話が逸れたが、そんなスカジだ。仲間をサポートしたり攻撃を肩代わりしたりと、半ば補助オペレーターの様な行動をしていた彼女の体力は既に限界を迎えていた。イージスの一撃を避けることが出来ずに、そのまま意識を落とした。

 

 

 

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炎が晴れる際。イージスは刺さった槍に両手こそついているが、油断する様子なく集中する。ブレイズやシルバーアッシュ、エクシアにアーミヤ、エイヤフィヤトラが控えていると思っていたからだ。しかし辺りに彼らはおらず、代わりに正面にはドクターが立っていた。

ドクターは2人を見ると、非常に残念そうに項垂れながらこう言った。

 

「ーああ、まさか耐え切られるとは思わなかった。降参するよ。」

「は?へ?あれ?いや、まだチェーンソーの人達が…」

()()()()()()()()()()。みんな、もうさっきみたいな攻撃はできないし、ブレイズなんて熱で無理矢理怪我を治しているんだ、これ以上の無茶は看過できないよ。あくまでこれは演習だからね。」

「…ああ、なるほど。そうですね、それは失礼しました。では、」

「うん、イージス、君の勝ちだ。」

 

ドクターがそう言うや否や、周りは大きく騒ぎ始める。皆、とびきりの笑顔で拍手を送りながら、全員の奮闘を称える。

「サリアー、かっこよかったぞー!ほら、サイレンスも何か言えよ!」

わ、私は別にいい。…代わりに貴方が目いっぱい言ってやりなさい。

「おにーちゃーん!お疲れ様、惜しかったねー!」

「エクシアさん!お疲れ様でしたー!」

 

皆、思い思いに叫ぶ。

それを聞くとイージスは地面にへたり込む。流石に疲れたようだ。

「はあ〜〜〜、疲れた〜。もう絶対多対一とかやりたくないです。」

「あーもう負けちゃった!私はまだ行けるのに!」

「流石にやめておけ、ブレイズ。逆になぜ1番重症の貴様が元気なのだ。」

「ぶー、分かってますよーだ。まったく、真銀斬は頭が硬いんだから。それで、どうだった、私達は?」

「予想の数倍苦戦しましたよ。大体、何ですかみなさんのあれは!炎出したり斬撃飛ばしたり、ついには体動かなくするとか訳わかりません!本当に人間ですか貴方達!」

「うーん私達からしたら君の方が訳わからないよ。私の銃弾を槍を振った風圧だけで無効化するって何?」

「あ、ちなみにそれらはアーツって言います。私はよく分からないので、詳しくはセンパイやサリアさんに聞くと良いかと思います。あ、センパイっていうのはドクターのことで、サリアさんは」

「私だ。良い勝負だった。身体は大丈夫か?」

「ええ、右手の骨が少し怪しいですがそれ以外は大丈夫です。」

「私達の攻撃でそれだけのダメージしか無いか。全く、訳が分からないな。」

「スルトさんも大概だと思います…。」

「ん、うぅ…。」

「おや、目覚めましたか。スカジ。」

「…ホシグマ。…ああ、負けたのね、私達。」

「ああ、完敗だ。」

「そう…。やっぱり、悔しいわね。」

「やっと全員目が覚めたか。さあ、話を切るようで悪いが、まずは全員の治療をするぞ。」

「あ、それは大丈夫ですよ。もんすたーの方。」

「「「は?」」」

 

 

 

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「はい!これを飲んでください!」

 

そう言ってイージスは全員に小さな青色の小瓶を渡す。その中には液体が入っているようだ、おそらく治療薬だろう。しかし、素性の分からない薬品を飲むのに抵抗があるようだ。そんな中、スカジだけは慣れたようにその中身を飲み干す。

 

ー瞬間、スカジの全身の傷が瞬く間に癒え、まるで戦闘前と同じような状態になる。

 

「「「「「⁉︎」」」」」

 

驚くオペレーター達。恐る恐る、次はブレイズがそれを飲む。すると、スカジと同じように傷が癒える。火傷で無理矢理塞いだ傷すらも、元通りの美しい肌に戻っている。

 

「嘘!何これ!?」

 

そうブレイズは叫ぶ。他のオペレーター達もやはり驚いているようで、ケルシーやアーミヤ、サリアなど医療に少しでも関わっている者に至っては絶句している。

 

「何これすっごい!私も飲もー!」

 

そう言うや否や中身を飲み干すエクシア。それに続くように他の者達もそれを飲み始める。

 

ちょ、あんた!落ち着きなさい!いや、気持ちはすっごく分かるけども!

ええい、HA・NA・SE★何だあの薬は!あれを見て落ち着いていられるか!

あ、ちょ!力強いわねあんた!あ!ごめんなさーいガヴィルさん。ちょっとこいつ落ち着かせてください!」

「え、ちょっおま、ガヴィルさんは洒落にならnぐふっ!」

 

…どうやら医療スタッフが大興奮しているようだ。ほぼ全員が飲む中、ケルシーだけはそれを飲まずにいた。当然だ、あらゆる怪我を治す薬などを自分程度の軽傷の者に使うのはあまりにもったいない!これはあとで精密検査を…「あ、これこの場で飲んじゃってください、じゃないと廃棄しますので。」…「あ、ちゃんと全部飲んでくださいね。私、そう言うの分かるので。」…。

 

…飲んでくださいね?

「…はい…。」

 

そう涙目で返事をするケルシー、普段の彼女とは大違いである。せめて味や匂いから少しでも情報を、と思いながら小瓶の中身を飲むケルシー。しかし残念、無味無臭である。ちなみにこの時、周りの医療スタッフ達は皆「「あぁ…」」と絶望している。

普段とうって変わって、涙目で耳をペタンと下げ、シュンとするケルシーであった。

 

 

 

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「さて、これで演習も済んだことだし、皆!彼女、イージスはうちのエース達に打ち勝ったとんでもない強者だ!そんな彼女を明日から『訓練専用オペレーター』として雇おうと思うんだが、反対の者はいるかい?いるなら今から彼女と闘ってもらうけど?」

 

そう言うと周りの人は笑い始める。誰も反対の者はいないようだ。

 

「…よし。それじゃイージス、これからよろしくね。」

 

そう言ってイージスの前に手を差し出すドクター。イージスは微笑みながら握手に応えようとして…動きを止めた。

 

 

 

…さて、皆さん、ここでイージスの性格を思い出して欲しい。元来、彼女は他人との接触が苦手…所謂コミュ障である。先程までは戦闘後で気分が高揚していたというか、所謂深夜テンションに近い状態であった。

Q.コミュ障がふとハイテンションから目覚めたとき、目の前の人物に握手を要求されているかつ周りに沢山の人がいたら?

 

A.こうなる

 

「ピィィィィィィィィィィィ!」

 

そう言ってどこかへ走り去ってしまうイージス。この時、この場にいた全員の思いは一致した。

 

「「「「「(何であの人に勝てないんだろう???)」」」」」

 

 

 

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「ふふん!うまくいきました!」

 

演習が終わった夜、イージスは部屋で得意げに声を上げた。どうやら空いている個室はあるものの、その部屋全てが隣にも人が住んでいたようで、ドクターがそれを彼女に伝えると、間髪入れずに「ならスカジと同じ部屋にします!」と叫んだらしい。それを見ていたスカジはため息をついて、

 

「一応聞いてあげるけど、何がうまくいったのかしら?」

 

と質問をする。あれだけ激しい戦いをした後なのだ、今日は早く休みたい、そんな様子だ。一方イージスは「よくぞ聞いてくれました!」といいたげに目を輝かせながら言った。

 

「予想以上に苦戦しましたが!それでもロドスの精鋭達に勝ちました!これで多くの人は私を恐れて、関わってくることはないでしょう!」

 

…どうやら彼女は、圧倒的な力を見せつけてオペレーター達に恐怖心を与え、自身と関わらないように仕向けようとしたらしい。しかしここはロドス。皆さんは既にご存知だろうが、ここには一癖も二癖もある人々が集っている。

 

「…そう。強く生きなさい。」

「??」

 

そう言い残してスカジは布団へ入る。どうやら相当疲れが溜まっていたようで、数分も経たずに眠ってしまう。

 

「…私もそろそろ寝ますかね。」

 

イージスはそう言って()()()()()()()()()()()()。あまりに急な話であったため、2人分の布団が用意できなかったのだ。

イージスは真横で眠りこける弟子に笑顔で微笑み、頭を撫で、

 

「…本当に強くなりましたね。お休みなさい。」

 

そう言って眠るのであった。

 

 

…余談であるが翌朝、スカジはイージスに抱きついて眠っていたとかいないとか。

 

 

 

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「リベンジをしに来た。」

「なああんた素手でもいけるんでしょ?カンフーやろうよ!」

「あんまり負けっぱなしってのも悔しいからね!次こそは勝つよ!」

「あ!イージスさん!グムと一緒にお菓子作りませんか?」

 

「…こんなはずじゃありませんでした。」

 

 

 




と、言うわけでイージスの勝利に終わりました。始めはもっとあっさりとイージスが勝つ予定だったのですが、書いていく内にどんどん接戦になっていきました。拡大解釈があったり、単純に分かりにくい文章だったと思いますが、ここまで我慢して読んでくださりありがとうございました。次回はイージスのステータス公開をした後に、いよいよ彼女のコミュ障を爆発させていこうと思います。
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