スカジのお師匠様   作:アイギス 

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濁心スカジの昇進2Lv90、全スキル特化3の素材がやっと揃いました…。
後は引くだけです(最難関)!


食事

 

 

 

ロドスのオペレーターは皆が精鋭である。しかし、ロドスには1つの問題点があった。

 

慢性的に人手不足なのである。

 

いくら各々が優秀であろうとも1人で出来ることは限られてしまう。だから基本的にオペレーター達は複数人で任務を行うことが多い。だがしかし、存外彼らの人間関係は複雑である。単純に性格に難のある者や、一緒に編成を行うと現地でいざこざが起きてしまう可能性のある組み合わせが多数存在するのだ。ドクターやアーミヤ、ドーベルマンのような全体を纏める人物がいればその限りではないのだが、常に彼らが作戦に着いていくわけにはいかない。そういうわけで、問題なく2、3人で任務遂行が可能なメンバーはある意味貴重である。

そのメンバーの中でも特に高い能力を有するのが、アビサルハンターである。1人1人が優秀であるのはもちろん、何故か連携能力が異常と言って良いほど高い。唯一欠点を挙げるとするのであれば、彼女ら全員が少々、…いや、かなり癖が強いことだろう。

ある日の昼下がり、そんな3人は今日も無事任務を済ませ、ロドスに帰還していた。

 

「悪いけれど、今回の任務の報告は2人に任せてもいいかしら?」

「あら、珍しいですね?いつもみたいに食事には行かないのでしょうか?」

 

この3人、仲は非常に良いようで、3人で行動することが多い。普段は任務後、食事に行くようである。

 

「龍門の方に評判のいいピザ屋があったから、今日はそこに行こうかと思ってたんだけど、また次回かな。」

「ごめんなさいね、先約があるのよ。」

「数日後にも任務はありますし、その時に致しましょう。」

「そうだね。それで用事って?」

「ああ、師匠が食堂に行きたいから着いてきてくれないかって頼まれてるのよ。」

「あら、例のお師匠様ですね。」

「…割とみんなが『例の』って言うけれど、そんなに噂されてるの?」

「…え?無意識なの?」

 

実のところ、イージスがロドスに来てから、このメンバー内でのスカジの話題の約半分がイージスの内容となっている。スペクターは何を考えているか分からないものの、アンドレアナは内心うんざりしている頃でもあった。

 

「?」

「いや、なんでもない。かなり人見知りみたいだし、突然お邪魔するわけにもいかないよね。」

「ごめんなさいね。今度紹介するわ。」

「それは楽しみです。ならそろそろ解散しないといけませんね。」

「そうだね。報告は私達に任せといて、あまり待たせないようにね。」

「ええ、お願いするわ。…今度おごるわね。」

 

そう言ってスカジは足速に廊下を進んでいく。スペクターとアンドレアナは珍しいものを見たと少し目を丸くして、しばらくの間そんな彼女の背中を眺めていた。

 

「何というか、忠犬みたいですわね。」

「そうだね。」

「…」

「(あれ、スペクターと2人きりって初めてじゃない?…うっわ〜。今日暑かったから、汗臭いかもしれない。恥っずかしいな。)」

「…とりあえず、報告に参りましょうか。」

「そ、そうだね。行こうか。」

「…?今日はペースが早いですね?」

 

ちなみにこの時、スペクターは相手の返り血で血塗れである。普段は報告の前にスカジがシャワーを浴びるように言うのだが、動揺しているアンドレアナはそれに気付かず、アーミヤに怒られるのであった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「お待たせ、師匠。待ったかしら。」

「いえ、お願いしたのは私ですから、気にしないでください。ごめんなさいね、無理に付き合わせてしまって。」

「それで?なんで突然食堂に?食事なら自分で済ませることができるでしょうに。」

「その、以前グムさんと話してからそろそろ1ヶ月経ちますし、グムさんを悲しませてしまうかな、と思いまして…。けど私1人ではまだ勇気が出なくて…。」

「なるほどね。なら行きましょうか。」

「すいません…お願いします。」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

一方同時刻、食堂ではとある騒ぎが起こっていた。

 

「…もうだめよ。…誰か…助…け……。」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「…ほら、師匠。着いたから、いい加減隠れるのをやめなさい。」

「あぅぅ…。もうちょっとだけ…。」

「いやよ。とっとと離れなさい。」

「ひぅ…。」

 

そんなやりとりでイージスを引き剥がそうとするスカジはふと異変を感じとった。

 

「…おかしいわね。」

「…?どうかしたのですか?」

「静かすぎるわ。昼時だもの、いつもはもっと賑わっているわ。」

「…そうなんですか?けれど、人は大勢いるみたい…で…、…みんな目が死んでますね。」

「…もしかして。」

 

深刻な顔を浮かべながらスカジは歩みを進める。そうして、グムの所まで到着する。

 

「…あ。スカジさん…。イージスさんも来てくれたんだ。今日来ちゃったんだ…。」

「こ、こんにちわ〜…。…どうかしたんですか?」

「うん、ちょっとね。」

 

顔面を蒼白させているグムにイージスは聞いた。グムが訳を話そうとした時、周りから大きな声が響く。

 

「お待たせしました〜。ハイビスカス特製カレーです!栄養満点ですから、残さずに食べてくださいね〜!」

 

周りの空気が、死んだ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「…それで、下手人は?」

「分かんない。気づいたらハイビスちゃんが料理してて、ヴィグナさんが…。」

 

グムが悲痛な声色でそう話す。ふとキッチンを見ると、赤髪のサルカズが白目のまま、青色の泡を吹いて倒れていた。

ハイビスカスの料理、それは不味いなんてものではない。一応彼女のために弁明しておくが、栄養だけはしっかりしているのである。むしろ、それのために他のあらゆるものを犠牲にしていた。これを食べたオペレーター達はもれなく全員気分が最低に落ち込むが、何故か翌日のパフォーマンスは非常にいいのだ。きっと明日には、「こんなの絶対におかしい…。」とぶつぶつ呟きながらレユニオンを蹂躙するヴィグナの姿が見れることだろう。今回の料理もそのようで、カレーとは言っているが明らかにおかしい。ルーの色は何故か暗い緑色をしているし、明らかに普通のカレーには入らないであろう食材も入っている。もはや、食材であるかも怪しいが。

 

…ねえ、誰が最初に行くの?

…マリア。

やだよ!そう言ってこの前私を生贄にしたじゃん!ゾフィア叔母さんが行ってよ!

叔母さん言うな!無理よ。だってあんなのおかしいじゃない⁉︎囚人ですらもっとマシな物を食べるわよ⁉︎

…お姉ちゃん。

わ、私か⁉︎しかしだな…。

 

あちらこちらで似たような会話がヒソヒソと話されている。無論、食事を取りに行く者は誰もいない。そうして数分が経つ。

 

「…うぅ。」

 

だんだんと涙目になっていくハイビスカス。彼女に悪気は一切ないのだ。むしろ、「みんなにしっかりと栄養をとって欲しい」という100%の善意の下に行われている。今にも泣きそうな彼女をみて、仲間を泣かせるわけにはいかないと、いつものように1人の勇敢なフェリーンが先陣を切ろうとした時だった。

 

「…ああああ、あの。そ、その、食事をいただけませんか…?2人分なんですけど…。」

 

非常に緊張した様子のイージスが声をかけたのだった。

 

「!は、はい!今すぐ用意しますね!」

「ピィ!」

「あ、ごめんなさい。つい…。」

「だ、大丈夫です。すいません、私、人見知りで…。」

 

ぱあぁと笑顔になってつい大声を上げたハイビスカスにイージスは奇声を上げて一歩下がる。

 

「はい、どうぞ!召し上がれ。」

「あ、ありがとうございます。」

 

そう言ってすぐにイージスは立ち去ってしまう。どうやら、まるで英雄を見るかのように彼女を見つめる視線が怖かったようだ。

 

 

 

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「持ってきましたよ、スカジ。」

「ありがとう師匠。」

「いえ、それではいただきましょうか。」

 

何でもないようにイージスは言う。一方で、スカジは非常に顔を顰めている。何も知らないイージスに対して、ついグムは心配の声をあげる。

 

「あ、あの。大丈夫ですか?無理しない方がいいですよ?」

「?え、えっと、何がですか?」

「え?だ、だってそのカレー…。」

「グム、言うだけ無駄よ。師匠には意味がないわ。」

「?」

 

周りの人は固唾を呑んで彼女達を見守る。イージスは何でもないかのようにスプーンにそれをのせ、ご飯と絡めながら口へと運んだ。それを見たスカジもまた、しばらくして師に続くのであった。

 

ガリッ…ゴリッ…

 

明らかに普通の食事では鳴らない音がなる。何も知らずに食事をしたイージスに対し周りは同情したように見ていた。しかし、イージスはそのまま何もないように二口目、三口目と食べ進める。そんな彼女の様子に周りはざわざわと驚く。

 

「え?何で平気なの?」

「実は美味しかったとか?」

「ありえないだろ。スカジの顔を見てみろよ。ゴミを見るかのような目で食べ続けてるぞ。」

「あー…スカジは最悪必要なら平気でどんなものでも食べるよ。この前だってあのクソ不味で知られる携帯食料食べてたし。」

 

方や普通に食事をするイージス、一方で死んだ目で同じ者を食べるスカジ。それを見て絶句するグムと周りのオペレーター。満面の笑みを浮かべて食事をする2人を見ているハイビスカス。未だ倒れたままのヴィグナ。カオスである。

 

「あ、あの、イージスさん。大丈夫ですか?体調悪くなったりしませんか?」

「?はい。この食事、栄養しっかりしてますし、補給には丁度いいかもしれませんね。」

「「「「(正気かこの人⁉︎)」」」」」

 

イージスの言葉に周りの心の声は一致する。なお、1人だけは「やっと理解者が現れた!」とばかりに目を輝かせている。

 

「師匠、言葉が足りないわよ。味は?」

「めちゃくちゃ不味いですね。これ、料理に対する冒涜では?」

「「「「「(あ、そこは普通にそう思うんだ。)」」」」」

 

今度は「裏切られた⁉︎」とばかりに目を丸くしていた。

 

「…ねえ師匠。師匠っていくらでも食べることできたわよね?」

「?はい。やろうと思えばいくらでも。」

「「「「「(どんな体の構造してるの?)」」」」」

「それならこのカレー、全部食べてあげてくれたいかしら?実は彼女らここにいる人達がみんなもう食事済ませてるのを知らずに作ったみたいで、とめも余っちゃうのよ。」

「「「「「(!!!!!)」」」」」

「はあ、構いませんけど、後から来る人の分は取っておくべきでは?」

「昼にしてはもう遅いし、これから来る人なんていないわよ。残す方がもったいないから、食べてあげて頂戴。」

「そうですか。あ、ならスカジも食べ「いらないわ。もうお腹いっぱいだから。」…そうですか。」

「決まりね。ハイビスカス、それ全部こっちに持ってきてくれるかしら。」

「いいんですか⁉︎」

「「「「「(助かった〜。ありがとうスカジ、ありがとう師匠さん!」」」」」

 

彼らにとっては昼飯抜きにはなるが、あれを食べるよりはマシなようだ。皆スカジの対応に感謝し、結局全てを平らげたイージスに畏敬の念を送った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「イージスさん、また来てくださいね!今度はグムが美味しい料理、作るから!」

「は、はい、頑張ります。あ、あの、それと。」

「?何ですか?」

「敬語、無しでいいですよ。好きに話してください。」

 

少し恥ずかしそうにそう言うイージス、グムは満面の笑みを浮かべてイージスの手を握る。

 

「!うん、うん!じゃあ、イージスちゃんって呼んでいい?」

 

思わず声を上げてそう言うグム。しかし彼女はイージスの手を握ってしまった。

 

「ミ°。ピィャァァァァァァァ!!」

「…あ。」

「…先は長そうね。」

 

 

 




アビサル組、話を書きたいですがキャラが難しくて…。主にスペクターなんですが。
一応ハイビスカス回のつもりです。久しぶりなので、思ったようにうまく書けませんでした…。
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