廊下を駆ける少女がいた。僅かに息を切らせて、少女はある部屋へ辿り着く。そして、一切の迷いも見せずにその扉を開く。目的の人物を見つけた少女は大きく息を吸い込み、彼女へと突進した。
「…スカジ〜!私に真銀斬を教えて!」
「ピャイ‼︎」
…涙目で。
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「…それで?なんとなく予想はつくのだけれど、なんで真銀斬を?」
部屋には3人。頭にたんこぶを1つ作り、床に正座させられているテンニンカ。それを見下ろすスカジ。部屋の隅でそんな2人の様子をビクビクと伺うイージス。スカジは疲れたような、呆れたような声色でテンニンカに問いかける。テンニンカは俯いて答える。
「私だってロドスの生活には満足してるんだよ?みんな私を子供扱いしてくるのは癪だけど、みんな優しいし。私の知らないものがいっぱいあるし。」
「そう。」
そう言い始めたテンニンカはでも、と一度言葉を切る。そしてそのまま情けない声を上げた。
「でも!なんで私が毎回重要任務に呼ばれるの⁉︎私はスカジみたいなフィジカルお化けじゃないんだよ⁉︎ブレイズみたいな無茶も出来ないし、エフィちゃんみたいに敵を一掃できるわけでもないんだよ⁉︎」
「…」
「いったぁい!なにすんのさ!」
「人をお化け扱いしたからよ。」
スカジは無言でテンニンカにデコピンをする。もちろん加減はしてある。バチィン!とおおよそ普通のデコピンでは鳴らない音を響かせていたが、きちんと加減している。
「ドクターも!普段はめちゃめちゃいい人なのに疲れが溜まると変なことばっか言うんだもん!私だけに!真銀斬打て、とか石10万よこせとか。私をなんだと思ってるのさ⁉︎」
「あー…。」
なんとも聞き覚えのある話だった。彼女、テンニンカは実力こそスカジ達には大きく劣るが、その仕事の速さや依頼料の低さから非常に重宝されている。そのため、重要任務参加率はスカジと並ぶある意味でロドスのエースの1人であった。ドクターは何故か、あまりの激務に追われたり、厳しい任務に疲れると、テンニンカに限って無茶振りをするのであった。
「イラプションもラグナロクも放てない!林檎ちゃんはそこまで出来ないよ!」
「それは、そうね。ご愁傷様。」
今までの鬱憤を晴らすように叫ぶテンニンカ。とはいえ、スカジに出来ることなどない。せいぜい後でアーミヤに報告する程度である。
「だから!本当に真銀斬を習得してドクターを見返してやろうとここに来たの!お願いスカジ!教えて!」
「どういう訳よ。というか、それならシルバーアッシュ本人に聞きなさいよ。」
「えー?だってシルバーアッシュってそういうの取り合ってくれないもん。その点、スカジは話は聞いてくれるじゃん?」
「そんなこと言われても、私だって知らないわよ。大体、どんな理由で斬撃が銀色に光るのよ。訳が分からないわ。」
「スカジも大概じゃん。クラッシャーを投げる方が訳分からないよ私。」
相談しやすい、もといチョロいスカジを目当てにやって来たようだが、スカジとてそんなもの知る訳がない。どうあがいてもお手上げの状況であった。が、そこに声をあげる者が1人。
「あ、あの、スカジ?真銀斬とは?」
「この前の戦いの時に、1人だけ男のファリーン、シルバーアッシュが放ってた技よ。」
「ああ、あの方の。それならなんとかなるの「本当に⁉︎」ピャァァァ!」
「きゃっ!ちょっと、私に隠れるのはやめなさい!」
イージスの言葉に目を輝かせたテンニンカは勢いよくイージスに近づく、がしかし彼女はすぐさまスカジの後ろへ逃げ込む。
「それでそれで!どうすればいいの?」
と、テンニンカは興味津々に聞く。彼女はひょこっと顔だけを出して怯えたように声を出す。
「よ、要は斬撃を飛ばせれば良いのでしょう?それなら、スカジはできますよね?」
「まあ、出来るわね。」
「本当⁉︎じ、じゃあそれを教えてよ!そうと決まれば早速、訓練所に行こうよ!」
スカジの手を引くテンニンカ。イージスは既に部屋の隅へと逃げている。イージスは教えることはしないため、スカジに教わろうとしている。スカジはため息を吐いて、諦めたように訓練に付き合うことにした。
「…はあ。師匠、行ってくるわね。」
「はい。行ってらっしゃい。」
「ありがとね〜!」
なお数ヶ月後、なんとか攻撃を飛ばせるようになったテンニンカだが、あまりにも威力が低く。使い物にならなかったのだとか。かわりに、「スカジ、真銀斬を打て!」とドクターは言うようになったらしい。
今回イージスちゃんの影薄いですね。テンニンカ回でした。テンニンカが真銀斬使えても、火力低くね?と思ったことがら執筆しました。うちのスカジさんもドローンを攻撃できるようにならないですかね?
なお、訓練室での様子。
スカジ「ここでバッと飛ばすのよ。」シャキーン!
テンニンカ「なるほど!」シャキーン!
以外にテンニンカも感覚派のようです。