アダムス操縦士学院   作:藤咲晃

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24話 教官陣の採点

 3日のテスト期間を終え、担当教官が教室で採点に勤しむ。

 クオン教官は自らが出したテスト問題に採点を付け始める。

 出席番号順に並べられたテスト用紙。

 中間テストの操縦科は如何に己の騎士人形に理解しているのか。

 それを主題に問う問題構成だった。

 

「さて今年のわたしのクラスの成績は如何だろうか?」

 

 ここで赤点を出そうともまだ期末試験が有る。

 そこで十分挽回可能だが、赤点者には恐ろしい補習が待ち受ける。

 クオン教官は問題用紙に赤ペンを走らせた。

 順当に採点が進む中、彼の手はガイの問題用紙に不意に手が止まる。

 彼は苦難の渦中に曝される。

 それが望まなくしても、国がそうさせてしまう。

 クオン教官は自身の思考を遮り、採点を再開させる。

 

「……ほう」

 

 思わず感心の声が漏れる。

 出題の中に如何にして自身の機体の欠点を補うかどうかを問う問題が有った。

 それに関して彼は、試作型(プロトタイプ)のオルディスの欠点を補うのでは無く、操縦士の可能性を広げる事を挙げた。

 しかしそこに留まらず、字数制限を守った上でオルディスに対する外部装備の考案。

 主に特殊能力が使えない機体ならではの追加武装。

 欠点を補うと同時に軍部にも有用性の高い凡庸性を求めた追加武装。

 機体重量は増すが、追加装甲の増設することで意識ダメージを抑える。

 しかし現状の軍部では追加武装の開発、研究が難航していた。

 単に予算も研究資金も出されないからだ。  

 その事を踏まえてクオン教官は笑みを零す。

 

「面白い事を考える」

 

 クオン教官は彼の答案に丸を付け、赤文字に後日具体的なレポートを纏めるようにと付け加える。

 そして次のある意味で問題児のジンの採点に入ると。

 そこにはまだ意思疎通ができないながらも、彼なりの機体に対する理解と寄り添い方が伝わる解答だった。

 そういえば彼は、ガイ達と共に勉強会を開いていたとクオン教官は思い出す。

 

「勉強の成果が良く出ているな。しかしまだ正解には程遠い解答も……惜しいな」

 

 丸は付かないが減点点数の問題が多数。

 それでも点数を取るべき問題を抑え、赤点は回避している。

 まだ彼は自分が兵器を扱っているという認識が欠如している。

 テロリストの本命とも言うべき彼には今以上に成長して貰わなければ困る。

 

 程なくしてクラスの採点を終えたクオン教官は、ひと息付くべくコーヒーに口を付けた。

 

「貴方の方はどうなのか?」

 

 事ある毎に競うリンドウ教官の勝気な表情に、彼は不敵に笑う。

 Cクラスの操縦科のテストは100点を誇る生徒が18名。

 残り3名、ジンを抜いた生徒は97点代を叩き出していた。

 これなら期末テストを難しくしても問題無いだろう。

 そんな事を考えながら彼は。

 

「18人の生徒が満点だった」

 

「……こっちは満点17人よ。また負けたわ」

 

 しかし彼女は対抗試合では負けない、と強気な眼差しでクオン教官に挑む。

 彼女のそんな眼差しを彼は受けて立つと同じく視線で返すのだった。

 

「今年もクオン教官とリンドウ教官の勝負ですかな」

 

「Bクラスだって負けはせんぞ! 筋肉と力技は裏切らない!!」

 

 筋肉猛々しいBクラスのマキシム教官の声に、教官陣は苦笑を浮かべる。

 毎年入学式からこの時期の彼は熱血だ。

 脳筋と評しても差し支えないが、担当クラスが脳筋一色に染まる危険性も有る。

 それでも毎年マキシム教官のクラスはベスト3に食い込むほどだ。

 

「マキシム教官、そろそろ戻しては?」

 

 しかしそれとこれとは別に彼は暑苦しい。

 彼が筋肉を脈動させる度に熱気を放つ程。

 

「無理だぁ! 今の俺は筋肉! うおおぉ筋肉万歳!!」

 

「雄叫びを挙げるのは良い。しかし早急に採点を済ませたまえ……今年も飲みに行くのだろう?」

 

 リンドウ教官の言葉に、マキシム教官は突如真顔を浮かべ作業に戻る。

 見慣れた光景とはいえ彼の切り替えの速さは目を見張るものが有る。

 

 こうして生徒達の採点は終わり、テストの結果に泣きを見る者、満足する者、動じない者。

 そして期末試験を見据える者と生徒の反応は様々だ。

 

 彼らは土曜に控える対抗試合に向けて最後の詰めに入る──

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