とある科学の空間操作《Director》 作:アークテラクト
オリキャラを入れている時点でそうなのですが。
報告八件…。
やはり、学舎の園での事件が目立つな。
携帯を閉じてポケットに入れ、ベッドから起き上がった。
今日は口囃子は、出かけているため、部屋には僕一人だ。
仕事に集中できるのでありがたい。 いや、別に口囃子が嫌いというわけじゃないけど。
棚の中から布を被せただけの箱を取り出し、チョコを二三個ほど咥える。 ん、一緒に食べるのも中々…。
こんなに食べて大丈夫なのかと聞かれると、能力を切っている時は大変危険だ。
かなり前に、All:STOPを解除するのを忘れていたのに気付かず、いつも通り、板チョコを二十七枚と、チョコの二十六個詰め合わせの奴を四箱食べてから学校に行き、授業中くしゃみをした数秒後に、教室に血の海ができたことがあった。
…あの時は相当取り乱した。
そんなことは放っておいて、だ。 先程の件の続きだが、主な被害は、スタンガンで気絶後、眉毛に…ああ、それは…中々惨いな。
添付ファイルは…開かないでおいた。
これが六件だ。
そして、連続通り魔事件。
この件には上位能力者、ハッキリした表現ならLEVEL3以上の能力者には一定の間隔で護衛、というか僕の管轄下である風紀委員兼警備員所属、通称、
これについては随時報告になっているため一件のみ。
あと、事件としてはいまだに扱っていないが、アルミニウムの爆発が起こっている。
連続して起こっており、爆発前には粒子変動が衛星で観測されており、爆発規模も僅かながら上がっているため、これは警戒程度にしている。
これが一件。 事後報告だったため、厳重注意を言い渡し、今度からは衛星での観測ができ次第現場に駆け付け、物体をすぐに確保、処理を行うように命令した。
あと、学生管理局とは僕の創設した、言わば特殊部隊であり、まぁ、所属とはなっているが完全に独立した組織だ。
内容を簡単に言うなら、事件発生後の対応ではなく、発生した瞬間に犯人を拘束するという組織。
たとえ、いじめ程度だとしても軽犯罪として取り扱うという、なんともオーバーキルというか、過保護な組織だ。 勿論独自の基準で判断しているため、批判やクレームはとんでもないがね。
入局資格は風紀委員及び警備員時代での一定以上の実績であり、少なくとも格闘技術や判断力、集中力、人格が入局試験では問われるが、能力の強度は基本的にプラスアルファとして扱うことになっている。
…まぁ、権限はあまり強くないため、犯罪履歴に残ることは無く、精々トラウマになる程度の指導を施すことにしている。
そうして、思考を整理してから携帯をパソコンに接続し、風紀委員のサイトにアクセスしようとした瞬間
【バァン】
…面倒事が起こったわけだが。
ノートパソコンを叩くように閉じた。
/
…これまた酷い。 呆れた様に笑う。
ドアがぶち破られた跡。 部屋の中には…なぜか初春君と、その友人らしき子が居た。
そして、壊れたドアの目の前に立つのは御坂君と白井君。
彼女たちは僕が口を開こうとした瞬間にこう言った。
「先輩、止めないでください!」「先輩、止めないでくださいですの!」
怖いなぁ、二人とも。 どうでもいいけど。
…了解した。 だが
僕は壁にもたれかかり、続けて言った。
寮監が審判になるみたいだが、いいのかい。
「あ゛っ。」「え゛っ。」
「新島、貴様はこの件に関してどう思う?」
そうですねぇ、学生管理局の局長としては少し見過ごせませんが、可愛い後輩の依頼ですので、温かく見守らせていただきます。
「つまり、不干渉ということだな。」
そうですねぇ。
「…御坂、白井」
「少し私と世間話をしようか、ん?」
僕と寮監は笑みを浮かべ、二人の顔には冷や汗が流れた。
/
大変だね、君たちも。
「先輩が止めてくれればあんなことには…。」
他人に責任を押し付けないことだね、僕が駆けつけた時には既に始まってたじゃないか。
不可抗力、とでも言うのかな。
「…そうですけど…。」
彼女たちの様子を見守る。
サボらないように、監視役を言い渡されたからだ。 暑い。
と、ポケットに入れていた携帯が振動する。 うるさいため常にバイブにしている。
…来たか。
「ん? 先輩?」
『局長、通り魔を確保しました。 すぐに来てください。』
わかった、近場の支部…座標、AAG=78822に移動してくれ。
『了解しました…おい、落ち着け。 大丈夫だ、局長に電話しただけだ!』
【ブツン】
…すまないな御坂君、白井君。 私は少し移動しなければならなくなった。
では。 DEFAULT|are.A>AAG=78821:Act:START/
ボクは空間に身を沈めた。
「あれ、先輩!?」
/
彼女は、誰かに操られていただけ?
私は書類を渡してくれた彼に問いかけた。
「はい、精神干渉系の能力者にも調べてもらいましたが、本当に本人に自覚はないようです。」
…気がついたら、ナイフで刺していて、能力を使って全力で逃げた、と。
「ええ、事件について、逮捕しないということを開示したら、出頭した全員がそう答えました。」
能力を使って逃げたということは、全員能力者か?
「ええ、空間移動から、偏光能力、念動能力、はたまたうちの局員もだそうですよ。」
…ああ、もしかしてさっき落ち着けって言われてたのは…ということは、私の局員も操られていたのか。
「そういうことになりますかね。」
その返事に、自分でも少し鼓動が早くなったのがわかった。
っ…あまり感情的になるなよ、私。
で、今回の状況は。
「はい、今回の事件ではツーマンセルで監視をしていたうちの一人が、もう一人を果物ナイフで刺したようです。」
「刺した方は刺した方で、少々精神不安定になっているようですので、会ってみたらどうです?」
…そうだね、私も本人の言葉が聞きたい。
そう言って部屋を出た。
/
「私は、ナイフを持っていないんです! 本当なんです!!」
「それに刺すつもりなんてなかったし、私は、私は…!」
取り乱す彼女。
目には涙を浮かべていて、既に相当泣いたのだろうか。 目が赤くなっていた。
彼女はLEVEL4の能力者だから、安心しきっていたのだが…その結果がこれだ。 別に、彼女が悪いわけじゃないんだろけど。
…わかってる、君があんなことをするわけないもの。
だから、落ち着いて、ね。 落ち着いたら、こんなことをした犯人を捕まえよう。
軽く抱き付いて、彼女の頭をポン、ポンと二回軽く叩いた。
「っ…はい、局長。」
こういうときは、早紀で良いよ。
仕事のことは忘れて、落ち着いて、ゆっくりと、今は寝ていて、ね。
…あまり、慰めることは得意じゃないんだが、一応こういう時の為のハウツー本というか、そういうのは読んだことがある。 さっきみたいに撫でられたり抱き付かれるとストレスが軽くなるらしい。 但し嫌悪感を持っていなければだが。
「…早紀さん…。」
…君は強いから、ね。
大丈夫、私が選んだ子なんだから。 これ以上泣いたら、可愛い顔が台無しだよ。
うげぇ、自分でも反吐がでる程甘ったるいセリフだ。 アメリカのチョコレートみたいだ。
アメリカのチョコレートは、本当に甘ったるい。 父親がアメリカへの出張の時のお土産に買ってきてくれたが、二度と食べたくない。
それ以来日本のチョコレートに病みつきになってしまった。 美味しい。
「…仇、とってくださいね、早紀さん。 私、信じてますから。」
彼女は私に強く抱きついてそう言った。
【ガチャ】
「あの、局ちょ…あっ。」
ん、どうかしたのかな。
「あ、いえ、その…やっぱり後ででいいです。」
そう、少し待ってて。
「…はい。」
…じゃあ、ボクは仕事に戻るから。
彼女の肩をポン、と、叩いて立ち上がった。
「はい、私もすぐに復帰します!」
うん、楽しみに待ってるよ。
さて、行こうか。
「…ああ、はい。 では先程の続きですが…」
部屋を出て、僕はゆっくりとドアを閉じた。
/
やぁ、ただいま御坂君。 まだ…終わっていないようだね。
にしても、先程よりも増して暑そうだ。
「そうですよ先輩、手伝ってくださいよー…。」
「特に、黒子の監視を!」
「お、お姉様…。」
…どうする。 僕が絞め落としておこうか。
軽く笑いながら御坂君に問いかける。
「お、おほほほ…悪い冗談ですの…。」
ふむ、そうかな。
白井君の顔を見て、僕は和やかに笑ったが、その笑顔を向けた彼女は堅い笑顔だった。
…仕方無い、僕も少々手伝おう。
少々離れていてくれないかな、二人とも。
そう言って、簡易的なベンチを元あった場所に転移する。
「? わかりました。」
「了解ですの。」
白井君が御坂君と一緒にプールサイドに転移する。
…さて、プール掃除…か…確か倉庫に洗剤があったな、それを拝借しよう。
CUSTOM2:are.GS=are.RD:Point:1m^3,8:Act:START/
【ゴトン】
転移された洗剤入りのポリタンクが隣に落ちる。
…ふむ、しばらくの間塗り付けて、それから水洗いか。
じゃあ水は…そうだな、ダムとかから借りよう。
ポリタンクのふたを開け、それを倒れる程度に蹴り飛ばす。
「あ、先輩…。」
そして、ポリタンクから零れた洗剤を空間接続でプール全体に塗布させる。
…こういう時、数学とはとても便利だ。 質量保存の法則の無視ができるから。
そもそも数学では質量保存の法則は無視されることが多い。
例えば、1-1は0だが、大方、物質ではありえない。
だが、数学的には成立するのだ。
これを
仮設定完了…CUSTOM2:A=ABCD:Act:START…con
例えば、一つのボールから、四つのボールを取り出すように。
「おおー、流石新島先輩ですわ。 あれ、というか洗剤あったんですの?」
うん、風紀委員の仕事でプール掃除はよくあるんだけど、大概の場合どこにもあるからね。
洗剤を使うほど汚れてないけど、こんなに広いプール掃除を、真面目にゴシゴシやるわけないよ。
「う…確かに…。」
それに、寮監は洗剤を使うなとは言ってなかったでしょ。
「あ…。」
まだまだだねぇ、二人とも。
二人の顔を見て僕は笑った。
「は、早く言ってくださいよ先輩ー!」
あっはは…そう怒らないでよ。
「新島先輩といい、寮監といい、どうにも立場が上の方はドSの方が多いようですの…。」
ん、僕ってサディストかな。
(じ、自覚無しですの…?)
「うーん…近いような気はしますね。」
「ちょ、お姉様!」
そうかー…じゃあ、今度からはサディストとして生きようかな。
「やっぱ中間でいいです。」
忙しないね君も。
…さて、VVC=99283.CON.ABCD。
大量の水が空間から流れ込む。
「おおー…水が…」
「って、確か空間移動って液体とかはできないはずですよね?」
「あ、そうですの。 昨日は確かそこで説明が終わったんですの。」
うーん…簡単に言うなら単体指定と範囲指定の違いかな。
君の能力は、Act:END/、ある程度形状が整っている【指定された物体】に限るのだろう。
ただ僕の能力の一部である空間接続の場合は、範囲指定、つまり空間の接続、及び空間ごと取り替えという、要するに対象が【指定された空間】という訳だ。
「なるほど…つまり、能力の仕様が違うんですの?」
まぁ、そうだね。
プールの水を抜いて、状態を確認する。
…結構綺麗だ。
ただ、君の言う仕様という時点で、思考回路の能力の限定化。 つまるところ思い込みが起こっているから、そのせいで能力の限界が確定されているんじゃないかな。
「あー…つまり、自分だけの現実の固定ですの?」
うん、そういうことなんだけど。
自分だけの現実、これは言い方を悪くすると想像という訳だ。
…にしても日差しが強いな。 CUSTOM4:are.F<NOA=64882,90°:Act:START/
頭上に鉄板が現れ、日差しを遮る。 触れるとひんやりと冷たい。
「ふむ、そういえば、シュレディンガーの猫と似たような原理だろうと先日仰っていましたわね。」
「今考えたのですが、ミクロな世界とはつまり【~かもしれない】というような、可能性の一つで、超能力はその可能性を現実にするという物…ということですの?」
うん、少なくとも僕はそうだろうと信じているというか、思い込んでる。
思い込みは猫をも殺すという訳ではないけど、現実を捻じ曲げるからね。
思いは通じる、という訳だよ。
…にしても外は暑いね。 早く寮に帰ろう。 All:CANCEL/
「というか、少し手伝うどころが全部終わっちゃったなぁ。」
「流石先輩ですの…。」
あはは、それほどでも。 あと、どうせ暇なんだし、学舎の園でチョコレートの巡礼をしようじゃないか。
「先輩、それ二年の時の
大丈夫、きっと大丈夫。
そう言って、僕は空になったポリタンクを野球ボールくらいに圧縮し、ゴミ箱に投げ捨てた。 ストライク。
新島は基本的に裏方です。
感想や評価などを頂ければ励みになります。