大学校を中退し、単身東欧に渡ったのは21の時だった。なぜ日本をでたのか……今考えてみれば、自分自身にもさっぱり理由がわからない。だがあの時は……単に若かったのだろう。世界を見て回ることが自分の知識と見識を広げるのだと、信じて疑わなかった。今となっては、それが全ての始まりだったのだろう。
初めに降り立ったその国の空港を出たところで、俺はあっさりと捕縛された。明らかに軍人。人間をあまり痛め付けることなく目標を無力化し、周囲の人間に悟らせることなく誘拐する。恐らくそのための訓練を積んだ部隊だったのだろう。まさか日本人が、辞めた身すらスパイ容疑でこういった事態になるとは……自身の認識の甘さを痛感した。
しかし、その後の対応は思っていたものとは違うものとなった。誘拐されはしたものの、そこそこ丁重に扱われた。向かった先は彼らの国の駐屯地だった。特に腕を縛られたり、引っ張られたりするでもなく、一人の迷彩男にエスコートされ、ひとつの部屋の中へと案内された。
部屋の中央の立派な執務机には、ゴテゴテと大量の勲章を着けた男が居る。階級は大佐か。東欧によく見られるスラヴ系の顔立ちながら、どこか親しみやすさのある顔つき。敵意を感じにくい顔つきは、ここまで上がってくるのにはさぞ役にたったことだろう。
「到着してすぐ、すまないね。そこにかけてくれ。」
彼はあまり流暢とは言えないが、はっきりと日本語で話した。やはり日系か。この国の言葉は最低限しか分からないから、正直助かる。とりあえず素直にかけておく。
「君は、どうして、この国に、来たのか、教えてほしい。」
「色んな国を旅したい、そう考えただけです。もう私は、軍とは関係ない。」
「関係ない?確かに、日本はスパイをだすような国では、ありません。しかし、疑うのは、当然。」
「それはそうかもしれませんね。しかし、私がスパイならもう少し工作をして入国するでしょう。私にはこの国に危害を加えるつもりなどありません。ただの観光です。」
大佐は考え込むような仕草を見せる。わざわざスパイの可能性のある人物として捕縛するなら、ここまで丁重に扱う必要は無いし、そういう名目で処刑なり、外交ルートで使うなりなんなりすれば良いはずなのだ。彼には、それとは違う狙いがあるのだろうか。
「……それは、私もわかっていました。日本はスパイなどできる国では無い。ですが、私たちは、あなたをこのまま解放するのは、難しい。なんと言いましたか……もったいない。」
「私をどのように利用されるつもりで?」
「この国は今、隣との小競り合いに、忙しい。忙しい時、あなたのような人は、ほしい。日本から来た、兵をまとめる人が、ほしい。彼女たちを見れる、人がほしい」
彼は脇に控えていた女の方をちらりと見た。日本でも当然見られる、ウマ娘。大学校でもその存在は重要なものとして学習した。
「この国に、彼女たちを上手く使える人、いない。日本人、ウマ娘のことも、よく知っている。私たちは、あなたがほしい。」
「嫌だ、と言ったら?」
「選択肢、ありません。あなたはスパイです」
悟った。
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VISAを無理やり発行され、あらゆる諸手続きを勝手に済まされた俺は、彼らが新設した特殊部隊の訓練担当指導教官として特務少尉に任ぜられ、キエフに勝手に配置された。俺の仕事内容は、ウマ娘で構成された試験部隊の実用化実験だった。
部隊の創設にあたり、一人副官を定めるようにと言われた。ただ、部隊そのものはあの時の大佐直轄で、秘匿されているとのことなので、内部から選抜するように、との事だ。総員は31名、1人は俺だから30人から選ばねばならない。できるだけ、できるだけ事務処理ができそうな人材に任せたいところだが、そもそも俺は部隊指揮や訓練どころか、この国の言葉すらまともには話せまい。ロシア語なら何とか会話できるレベルにはあるが、ある程度通じる、レベルでしかない。
しかし、1人だけ日本語が通じるというウマ娘がいるらしく、大佐はそのウマ娘を紹介してくれた。やはりというか、傍らに控えていたあのウマ娘だった。
165センチほどの彼女の立ち姿は美しく、栗毛……というよりは栃栗毛の鮮やかな髪を短く揃え、美人だが気難しそうな表情を浮かべている。これ程迷彩の合う女がいるのか……それほどだった。確か名前は……
「ハリコフ大佐の命で参りました、ウラヌスです」
声も非常に頑なだ。耳もやや絞っており、こちらへの警戒心を伺わせる。
「この度君たちの部隊の訓練をつけることになりました、西だ。見ての通り、日本から来た。君は……どっちかというとラテン系に見えるけど」
「出身がフランス、育ちがイタリアであります。日本には何度か行く機会があり、言葉も父が機会がある気がする、と。」
「そうか。わかった。それで、早速なんだが……君には私の副官を務めてもらおうと思ってね。私はあまりこの国の言葉が分からないものだから。」
「了解致しました。拝命します。」
その後もいくらか話は振ってみたが、ウラヌスはあくまでも事務的な反応しか返してはくれなかった。これは前途多難だ。
今回から趣がガラッと変わってしまいましたが、これまでのようなトレーナーとしての現在がこの物語のメインですのでご安心ください。では、また次回
UA10000を記念して、簡単なssを書きたいと思います。どの子の話がいいか選んで欲しいです。締切は10月10日までです
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マヤノトップガン
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ゴールドシチー
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ナリタタイシン
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トーセンジョーダン
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ファインモーション
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エイシンフラッシュ
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その他