「たくさんもらったな」
「うん。本当にいい人たちだ。ツナ、これで料理を作ってくれないか」
「はい。でも新鮮な食材だし寮に帰ってから皆で食べませんか」
「はは。そうだな」
リィンたちが会話している中、エリオットとアリサは離れて二人で会話していた。
「どうだった」
「無自覚だけど惚れていたわね。リィンの方は?」
「完全にわかってなかったよ」
「朴念仁すぎるわね」
「うん」
未だ顔を赤くしてツナと会話しているラウラに全く気付いていないリィンを見て、そんな会話をするアリサたち。リィンもラウラの顔が赤いことには気づいているが理由が分かっていない。というより先程顔を赤くなっていることを指摘したが、問題ないの言葉で納得してしまっている。
「……何で気にしないのよ!」
「戦闘でも問題ないというか、調子がいいくらいだからって気づこうよ…。まさかツナも鈍いんだなんて」
二人は鈍い三人に呆れていた。更に勘が良いツナにも何で気付いてないのかも疑問に思った。
「多分、ツナにとって恋愛対象はフィーで完結してしまっていることが原因かしら?」
アリサの言葉はつまり、恋愛関係はフィーで完結してしまっていて他の女性には恋愛関係の対象には完全に入らないということだ。
「つまり、ラウラの恋は実らないと。…というよりツナの愛って結構重いよ……」
「よくよく思い出していればフィーも結構、愛が重かったわ」
「しかも結構、嫉妬深いよね」
ツナとフィーの普段の行動を思い出して溜息を吐く二人。これからの学院生活を考えて鬱になっているようだ。
「でも、大丈夫だよ!あの二人、学年・身分違い問わずのファンクラブが出来ているみたいだし」
「そうよね!ツナを可愛がっている女生徒もフィーの反応が可愛いからだし!」
どうやら、ツナとフィーにはファンクラブが出来ているようだ。一人は穏やかで普段はおっとりしている可愛い少年。片方は猫っぽい美少女。しかも年下で、付き合っているとなれば有名になるだろう。学院外でもファンクラブの会員がいるらしいし。
「ふざけんな、テメェ!」
「貴様こそ、ふざけるな!」
リィンたちが町に戻ると大市で喧嘩が始まっていた。
「エリオット、ツナ!若い男性を引き離してくれ!俺は紳士風の人を抑える」
「わかったよ!」
「必要ないよ」
「「「「えっ?」」」」
リィンはそれを見てツナとエリオットに指示を出した後、自分も行動しようとするが、ツナに否定される。ツナの言葉に驚くA班。そして、どこか暖かい空気が流れる。
「二人とも落ち着いてください」
暖かい空気が流れている中ツナの言葉で二人の喧嘩が収まった。
「「はい」」
そのまま喧嘩を続けていた二人にツナは問う。
「二人とも、どうして喧嘩をしていたんですか?」
「この場所を予約して店を出すつもりだったのだが、先着がいてな。予約していた許可書も出ている」
「俺も許可書が出ているんだ。だが、どちらが偽物だと言い合いになって…」
どうやら、店を出す場所の正当性について喧嘩をしていたようだ。
「ふむ。どちらも本物じゃな」
そんな中、元締めが現れた。
「二人ともどうじゃ、午前と午後で店の場所を交換するというのは」
元締めの言葉に納得し、お互いに謝って店の出す準備をし始めた。
「皆さんに礼を言いたい。屋敷に来てくれんかね」
元締めの言葉に頷き屋敷を訪れた。
「先程の騒ぎを治めてくれて礼を言う」
そう言って頭を下げる元締めにリィンたちは恐縮した。
「いえ、俺たちは何もしていませんし。治めたのはツナです。彼に礼を言ってください」
リィンの言葉に首を振って否定する元締め。
「じゃが、君たちは騒ぎを見て直ぐに喧嘩を治めようとしてくれたじゃろう」
そう言って、頭を下げる元締め。
「そんな事より、先程の話を聞きたいのですが」
アリサの言葉に元締めは先程の騒ぎの原因を話し始める。
「恐らくは税金を増やせと言った貴族を否定したことによる意趣返しじゃろう」
「場所の許可書は貴族が出しているからですか」
リィンの言葉に同意する元締め。
「うむ。これ以上、税金を払えば生活できなくなってしまう。そう言って否定したのだが、気に入らなかったらしい」
「それは……」
「恐らく意趣返しはもう少し続くだろうが、気にせずこの地での実習に励んでくれ」
元締めはリィンたちに安心するように声を掛けた。
「お休み」
「あぁ、お休み」
リィンたちは今日の出来事をレポートを書き終え、ツナは疲れたのか一足早く寝始めた。
「それにしても今日の騒ぎでのツナは凄かったわね」
「あぁ。言葉と雰囲気だけであの場を治めたからな」
リィンたちは夕べの騒ぎでのツナを話題にしていた。
「やっぱり、暗殺された--なのかな」
エリオットの言葉に頷くラウラ。
「ユーシスの言った通りなら記憶を失っているようだ。だが、あのカリスマは生まれながらの-としか言えないな」
「えぇ。暗殺されたといのは五歳のときなんでしょ?その年齢で帝王学を学ぶはずはないから、あれは生まれながらのカリスマということになるわね」
「うん。というか今、僕たちがやっていることは不敬罪で死刑になってもおかしくない?」
エリオットの言葉に顔を青くするアリサたち。料理を好きでやっているとはいえ死刑になってもおかしくない。
「いや。恐らくツナは気付いているだろう」
リィンの言葉にエリオットたちは驚く。
「以前、ツナが『俺がどんな立場の人間だろうと気にしないでください。好きでやっていることだし。何か問題があったら直ぐにフォローします。記憶が無いのは事実ですしね。それに可能性なだけで事実は違うかもしれないし』と言ってたんだ」
「それって…!」
「あぁ。勘が恐ろしくいいからな。そのせいだろう」
リィンの言葉にアリサは決意を込めた表情になる。
「可能性がある限り、ツナに何かあったら命を捨ててでも守らないといけないわね」
「あぁ」「うん」「うむ」
リィンたちも決意の表情で頷いた。