「おはようございます」
リィンたちは朝、起きると女将さんに挨拶に行った。
「あらリィンたち。おはよう」
一階ではサラが朝からビールを飲んでいた。
「教官、また朝からビールを飲んで…」
「感心せんな」
アリサたちの言葉をサラは聞き流して立ち上がる。
「B班の方で問題が発生したからあっちに行くわね。夕方の電車には乗りなさいよー」
そう言っって去って行った。
「問題って…」
「確実にユーシスとマキアスの二人だろうな」
「だよね…」
エリオットの言葉にラウラは確信を持った表情で答える。
「はぁ。フィー、大丈夫かな」
ツナはフィーの心配をしているのを見て、ラウラは不機嫌な表情になりA班に声を掛ける。
「速く朝食を食べて今日の依頼を確認をしたいのだが」
「そうですね。お腹が空きましたし、ご飯を食べませんか?」
「あぁ」
リィンはラウラとツナの言葉に頷き朝食を女将さんに頼む。そんな彼らを見ていたアリサとエリオットはというと。
「ねぇ…アリサ」
「えぇ。修羅場、確定ね。多分、自覚したころから本格的になるわね」
「……うっ」
エリオットが突然、胃をおさえた。
「まだ大丈夫なはずだから、Ⅶ組の皆で胃薬を買いに行きましょう…?」
よく見るとアリサも意をおさえている。二人ともフィーの嫉妬深い行動を思い出したせいだ。学院では可愛らしい嫉妬としても人気だが、ツナが女生徒ち長い時間、会話をしていると機嫌が悪くなる。寮でも学院でも同じせいで、機嫌が悪いフィーといつも一緒だ。
そして恐らくラウラもいつも不機嫌になるだろう。ツナは女性関係になるとフィーが最優先なので、ラウラをおざなりにすることが多くなるかもしれない。先に約束した場合は別だが、約束してもフィーが着いてくるかもしれない。そして、ツナも恋人を連れてきておかしい、とラウラに聞く可能性がある。
あり得る未来にアリサとエリオットは溜息を吐いた。
「女将さん!大変です!」
「お客様がいるんだ!落ち着いたらどうだい!」
女将さんの言葉に落ち着こうとするウェイトレス。
「それで、どうしたんだい?」
「それが大市でまた喧嘩が始まってしまって…」
「落ち着いている場合じゃないよ!」
「えぇぇ!?」
理不尽な女将さんと今の状況に混乱するウェイトレス。
「俺たちに任せてください」
リィンが二人に声をかける。
「あんたたちは…」
「これでも士官学院の生徒ですので暴れている二人ぐらい落ち着かせれます」
「安心して任せるがいい」
その言葉に安心する風見亭にいる人々。それを見てリィンたちは大市へ急いだ。
「これは……」
大市の正面にある店が壊れていた。それに商品も壊れているため、これでは大赤字だろう。
「うるさいぞ!何をしている?元締めもいるな。何があった」
正面で喧嘩していた二人の前に領邦軍が現れた。そして、元締めに説明を求める。
「成程。おい、この二人を捕まえろ」
「なっ!」
「なんだと!?」
領邦軍の言葉に周りの人間も驚いている。
「それは、どうしてですか?」
たまらず、リィンが聞くが。
「二人がお互いを気に食わずに相手の店を壊したと考えればつじつまが合うだろう。捕まらりたくないのなら黙ってるんだな」
(領邦軍が犯人か…。この国は今のままだとダメになってしまうな)
ツナは領邦軍をみてこの国の未来を案ずる。
領邦軍は何も言わなくなった二人を見て帰って行った。
「皆。この事件、俺たちで調査してみないか…?」
リィンが領邦軍が去った後、大市の入り口の前で皆に話し始めた。
「実習とは関係ないけどいいのかな?」
「ううん。これも実習のうちに入ると思うわ。」
アリサの言葉に驚くラウラとエリオット。
「アリサ。どういうことだ?」
ラウラの質問にアリサはツナを見て答える。
「教官の目的の一つに色んな事を経験させる、と言ってあったでしょ。それなら、犯人が見つからなくても見つかってもいい経験になるはずよ」
「そっか!」
エリオットは嬉しそうに声をあげる。調査にノリノリのようだ。どうやら、このまま何もしないのもスッキリとしないからだろう。
「それなら、手分けして探しませんか?」
ツナが調査することに決まったのをみて提案する。
「俺とエリオットさんで財布の落とし物と聞き込みをするので、リィンさんたちは魔獣退治をお願いします」
「え……」
ツナの言葉にエリオットは顔を青くした。アリサは胃をおさえている。
「どうして、エリオットなのだ?」
不満そうなラウラの質問にツナは。
「直ぐに依頼を終わらせて、調査したいですし。それに実力的にリィンさん、アリサさん、ラウラさんがいれば魔獣退治も直ぐに終わると思うんだけど」
実力を考えての分担だった。
「ふぅ。依頼人が直ぐに見つかって良かったね」
「はい。お蔭で喧嘩していた二人の話も聞けて良かったです」
どうやら、ツナとエリオットは依頼を終えて喧嘩していた二人の話まで聞いていたようだった。
「あはは。ツナってほんと凄いよね」
「えぇ!どうしたんですか、いきなり!」
エリオットの苦笑してからの言葉に驚くツナ。
「だって、料理もできるし、戦闘力はⅦ組でもトップクラス。喧嘩していた二人も仲直りさせるなんて普通はできないよ」
エリオットの言葉に照れるツナ。
(普通はコンプレックスを持ってしまうのになぁ。うーん。それでも、守らなきゃいけないと思わせる辺りカリスマも相当あるんだろうけど)
そう思いながら、照れたツナの頭をエリオットは撫でていた。