「うーん。今日もツナのご飯は上手かったな」
リィンは朝食を食べ、今日の生徒会の手伝いの内容を読むため自分のポストを調べた。
依頼内容は、旧校舎地下の調査・代理教師の要請・教官用図書の配達・ツナとの仕合だった。
「成程。今回はって……はぁ!?」
リィンはツナとの仕合の欄を見て思わず声をあげて驚いた。内容は旧校舎地下の調査の後、そのままツナと戦うといった内容だった。できれば、自分とツナの二人だけで観客はいない方が好ましいとも書かれている。
(たしかに前回の特別実習で戦ってもらうと言ったがこんな形で戦う事になるとは……)
リィンは旧校舎地下の調査の調査とツナとの仕合を後回しにして、他の依頼を片付けに寮の外に出て行った。
「ツナ。今日、リィンと戦うの?」
リィンが依頼を片付けている間、ツナとフィー。そして、エマとユーシスは図書館にいた。どうやら、年少のせいで基礎学力が足りない二人に勉強を教えてあげているようだ。そんな中、フィーがツナに話しかけたのは休憩中だからだ。
「どういうことだ?」
「えぇ!?」
そして、ユーシスとエマもその言葉を聞いて驚いている。
「うん。ほんのちょっとでも前に踏み込めるようにしないとリィンさん大怪我しそうだからね。リィンさんはそれについては知られたくないみたいだし除かないでよ」
フィーはツナの言葉に不機嫌な表情になる。できるだけ、ツナと一緒にいたいのに来るなと言われたからだ。
「埋め合わせはして」
「わかってるよ」
不機嫌な表情のままに埋め合わせを強請るフィーにツナは即答した。
「さて、勉強を再開するぞ」
「待って、ARUCSに通信が来た」
ユーシスが勉強を再開させようとしたが、ツナのARUCSに通信が来たことで一旦停止となった。
「リィンさん?……わかったよ。今から行く」
相手はリィンのようだ。ツナはリィンの話を聞き承諾しているようだ。今から戦いに行く気なんだろう。
「ふん。行くのか」
ユーシスは勉強が中断されたことに不満に思いつつ、ツナに聞く。
「ユーシスさんたちも来る?旧校舎地下の調査の方が先だろうし」
「行く」
ツナの問いにフィーは即答した。エマもユーシスもあまりの速さに苦笑している。ツナは嬉しそうに未だ切っていないARUCSでリィンに問いかける。
「リィンさん。他の人は誘ってますか?……。じゃあ、エマさんにユーシスさん、フィーも連れてっていいですか?……。わかりました。俺からも伝えておきます。……。じゃあ、旧校舎で」
ツナがそこまで言うとARUCSを切った。どうやら、話が纏まったみたいだ。一緒にいたメンバーに旧校舎地下の調査に力を貸してほしいと頼む。
「条件付きだがいいだろう。リィンとツナの仕合を見せてもらう」
ユーシスの言葉にツナは驚くが、リィンからも承諾されたらと答えた。
「来たか」
リィンの言葉にツナは頷く。
「うん。それで仕合のことなんだけど…。」
「貴様らの仕合。見せてもらうぞ」
「えっ。いいぞ」
「かるーーー!」
ユーシスの言葉にリィンは軽く返した。ツナはリィンが本来の実力を発揮しきれない原因でトラウマであるせいで誰かに話したくないものだと考えていた。だが、あまりにもあっさり返されたことに驚愕した。
「な…なんだツナ。そんなに驚いて?」
「いや、俺。リィンさんのトラウマ突くつもりなんだけど」
「あぁ。予想していた。だが、これからも特別実習でⅦ組という仲間として支え合っていくんだ。俺の隠し事は無しにしていきたい」
リィンの言葉にツナは何も言えなくなった。
「リィンってツナと似ているね」
フィーは突然にそんな感想を言った。
「何処が!?」
「お人好しだし、人たらしな部分」
「そうか?」
フィーの言葉にツナは驚愕し、リィンは疑問を持つ。ただし、ユーシスとエマは納得しているのか頷いている。
「リィンさんは学院からよく貴族平民関係なく頼られるところがよく見られますし、ツナ君なんて最近では畏敬の念をうけてますからね」
リィンは依頼を受けたりする縁で色んな繋がりを得て頼られている。ツナはフィーとのコンビでファンクラブが出来ている他にパトリックへ見せた態度でこれまた貴族平民問わずの畏敬を受けている。
向けられている感情は違うが、人々に注目されたり分け当てなく接したりする部分は似ている。もっとも、今の生徒会長もそうだから、どちらかが次期生徒会長になってもおかしくない。貴族も平民も同等に教えているトールズ士官学院では、身分に囚われず人脈を作れる人材が必要なのだろう。