いかにも出そうな古い建物の中に案内され、紫色の髪の女性の女性は自己紹介を始めた。
「サラ・バレスタイン。貴方たち≪Ⅶ組≫の担任よ。これからよろしくね♪」
サラの自己紹介に集められた者たちが驚いていた。
「教官、トールズ士官学院はⅤクラスがあり、身分に別れて配属されるはずじゃ」
「おっ。さすが、主席入学。ちゃんと調べてあるわね」
眼鏡をかけた女性の質問に感心したように言葉を返すサラ。
「嘘だろ!?お酒が好きでだらしないサラが本当に教官なんて。しかも担任だし」
「ん…。たしかに」
どうやら、ツナとフィーはサラが担任であることと教官であったことに驚いているようだ。
「そこ!うっさいわよ!!」
そのことにサラは怒るが、眼鏡の女子の質問は返していないことに気付き怒りを抑えようとする。
「さっきの質問だけど、今年から身分も関係ないクラスが立ち上げられるようになったの。それが、君たち特科クラス≪Ⅶ組≫よ」
「冗談じゃない!!」
サラの説明に眼鏡の男子が怒鳴った。
「貴族と一緒なんて、そんな話聞いてませんよ!!」
「そんなこと言われてもねぇ~。まぁ、同じ若者同士だしお互いに青春の汗でも流して、すぐに仲良くなるでしょ」
「そんな事ある筈がないでしょい!貴族風情と「ちょっといいかな?」」
サラに反論する眼鏡の男子にツナが言葉を遮って声を掛ける。
「なんだ!?」
眼鏡の男子は怒鳴りながらもツナに答えようとする。
「平民だからといって、平民を馬鹿にする貴族。貴族だからと、貴族を嫌う平民。どこに違いがあるんだよ」
「なっ!?」
「ふむ」
「ほぉ」
その言葉に眼鏡の男子は動揺し、金髪の男子と青髪の女子は感心していた。
「別に嫌うなとは言わないけど、相手のことをちゃんと知ろうとしてよ」
(うわぁ、あの子すごいね。あんなにハッキリと興奮している相手に自分の意見を言うなんて)
(あぁ、それに言っていることもかなり正しい)
「ふざけるな!どうせ、君も貴族だからそんなことを言えるんだ!!」
眼鏡の男子は更に興奮し、ツナを貴族と決めつける。
「えぇ!?俺は「……ふん。平民風情がよく吠える」」
ツナが何かを言おうとしたときに金髪の男子が言葉を遮る。
平民風情、その言葉に眼鏡の男子が表情を更に険しくする。
「その言い方、大貴族のご子息のようだ。……さぞ名のある家柄と見受けるが」
眼鏡の男子は金髪の男子に挑発のように名を聞く。
「ユーシス。ユーシス・アルバレアだ」
「何っ!?」
ツナとフィーを除くⅦ組の生徒が驚いている中、二人は話し合っていた。
「アルバレア家ってすごいの?」
「…ん。たしか四大名門の一つで公爵家」
「偉いんだね」
「あー。ハイハイ。オリエーティングを始めるわよ」
サラが話が進まないと思ってか、自分に注目させる。
「ふむ。そもそもオリエーティングとはなんだ?」
「そういう野外競技があると聞いたことはあるんですけど」
金髪の女子と青髪の女子が質問するが。
「もしかして、門に預けたのと何か関係が?」
「正解よ」
いいながら、サラは壁にあるボタンを押した。
Ⅶ組になる予定の者たちの床が傾き、地下へ落された。
「あんた達も落ちなさい。しかも、その恰好わたしへの当て付けのつもり?」
サラがそう言った先にはツナがフィーをお姫様抱っこをして天井の鉄柱の上に立っていた。
「ん」
そう言ってフィーは更にツナに強く抱き着く。
「あんた達もイチャついてないで下に降りなさい」
それを見たサラが顔に青筋を作って、指示する。
「イチャつくって」
「めんどい」
「降りろ」
サラの言葉にビビッてツナはフィーをお姫様抱っこしながら地下に降りた。
「相変わらずナチュラルにイチャついてムカつくわね」
「よっと」
ツナたちが地下に着いたときリィンが金髪の女子に叩かれていた。
「何があったのー!?」
「あはは、気にしない方がいいよ。それより、君こそどうしたの!?」
茶髪の男子に驚かれて、フィーを床におろした。
「ん。ありがとう」
「もしかして、付き合ってるの?あ、ごめん。僕の名前はエリオットだよ」
「えっとツナです」
「フィー。さっきの答えだけど当然」
フィーは顔を赤くしながら返した。ツナも顔を赤くしている。
その後、入学式と一緒に送られてきたARUCSの説明を受けてツナたちは自分たちの武器とマスタークオーツをセットした。
セットした瞬間ARUCSとツナたちの体が同時に光った。
「これは…」
「貴方たちがARUCSと共鳴した証拠よ。これで、貴方たちは魔法を使えるわ」
さらに説明を続けるサラ。
「ここから先はダンジョン区画になっているわ。割と広めで迷いやすいかもね♪」
「魔獣も徘徊しているから、気を付けてね。一番最初に着いたらチューしてあげるわよ♪」
「フン」
「なっ、待ちたまえ!どこへ行くつもりだ!」
眼鏡の男子がユーシスに質問する。
「馴れ合うつもりはない。それとも、貴族風情の力でも借りたいのか」
「なっ!?ふざけるな!誰が貴族風情の力を借りるものか」
「僕が先に行って、貴族より上だと証明してやる!」
そう言って、眼鏡の男子が先に行こうとする。
「待ってよ。名前なんて言うの?」
ツナがいきなり眼鏡の男子へ質問した。
「君も貴族のようだが教えてやる。マキアス・レーグニッツだ」
「ふむ」
その名前を聞いてユーシスは何かを思い出そうとしている。
「一つだけ言わせてもらってもいいかな」
「貴族風情の言葉など聞きたくもない!」
「俺、浮浪児だから」
「なっ!?」
マキアスだけでなく他のⅦ組のメンバーも驚いていた。
「ツナ、行こう」
フィーはそんな彼らを無視してツナの手を引っ張り、先に進んでいった。