「信じられん。あいつは一体…?」
ユーシスはツナとリィンの戦いを見て呆然としていた。口に出した言葉も意図せずに零れ落ちたものだろう。
「あれは、いったい?」
そして、エマも驚いていた。自分を強化する術は知っているが、ツナのように性格が変わるのは初めて見たからだ。
「ユーシスさん!エマさん!どうしたんですか!?置いていきますよ!」
ツナはリィンを担いだまま呆然としていた二人に声を掛けた。
「あ…あぁ。今行くぞ」
ユーシスはツナに返し、エマもユーシスの後について行った。
「面倒だなー」
「ツナと二人きりなら兎に角、リィンたちもいるから嬉しくない」
なっ!?
「フ、フィー!何言ってんだよ!?」
「別に本音。二人きりだったらデート気分だったのに」
うわ。すごく可愛い。ってか俺の顔、絶対赤くなってるよ。
「うぅ」
リィンさんの意識が戻って来た!
「大丈夫ですか!?リィンさん!」
「……あぁ。自分で動く分には問題ない。降ろしても大丈夫だ」
結構、丈夫な人だな。次戦う機会があったら、もう少し本気でいこう。ってフィー!なんでリィンさんを降ろしたら腕を組むのさ!結構、一目があって恥ずかしいんだけど。
「ははは。本当に仲が良いな二人とも。羨ましいよ」
うぅ。恥ずかしい。フィーもリィンさんの言葉を聞いて顔を赤くしているし。猟団でもお兄さんというか兄貴分はいたけど、リィンさんもお兄さんみたい。いっそ、リィン兄とでも呼ぼうかな。
「ホント、お兄ちゃんみたいだよね。リィンって」
「うん。今度からリィンさんをお兄ちゃんって呼ぶ?」
フィーも同じことを考えてたみたいだ。
「どうしたんだ?二人とも」
いきなり、小声で話し合ったことに不思議に思ったのかリィンさんが声を掛けてくる。
イヤ
「大丈夫だよ。兄さん(お兄ちゃん)」
「………え………………?」
?リィンさんじゃなった、兄さんが驚いたのは分かる。けど何で周りの人までこっちを見て驚いているんだ?別に兄さん呼びしてもいいじゃんか。
「ツナとフィーよ。何故いきなりリィンのことを兄と呼んだのだ?」
あれ、ラウラさん。いつの間に?
「お兄ちゃんがあまりにも兄っぽいからつい」
あっ。フィーが答えた。最近、ラウラさんに話彼枯れてもフィーが先に返すから会話してないんだよね。考えていることが合っているからいいんだけど。まるで俺とラウラさんを会話させたくないみたい。クラスの皆もフィーとラウラさんの会話を見ると目を逸らしているし。現に今も兄さん、目を逸らしているなぁ。
「そうか。ツナよ、私のことも姉と呼んでもいいぞ」
はぁ!?なんでそんな結論になったんだよ!って、うわ!
フィー!?突然引っ張るなよ!うわ!引っ張る力、強い!
「ふむ。羨ましいな。ツナと会話をしたいがフィーに邪魔をされてしまう。フィーがツナの隣にいない時間を狙うか」
ラウラ!?何を考えているんだ!?以前、フィーに略奪宣言したせいでフィーのガードが厳しくなったんだが!本当に初めて会った時からは考えられないな。ツナもラウラの好意には気づいてないようだし。まぁ、多分気付いていたとしても友情的なものだとしか考えていないだろうが。ツナもフィー一筋みたいだし。
「ラウラ。その……やっぱり本気なのか。フィーからツナを奪うって。騎士道的にダメだろう」
やっぱり、略奪愛はダメだよな。騎士道を重んじるラウラなら考え直してくれるはずだ。
「ふむ。リィンよ。確かに騎士道的にはダメだろう。しかし、私も女だ。好きになった男性と恋をしたい。だが、領主の娘として、いずれは結婚しなくてはならない。ならば、出来る限り好みの男性と結婚したいのだ。その点、ツナは私より確実に強いし、剣ばかりの私より色いろ出来る。ならば狙わない理由はないだろう」
結婚しなくてはいけないのは解かるが、ツナは辞めた方がいいんじゃないか。フィーっていう恋人もいるんだし。略奪愛はダメだろ。
「結婚しなくてはいけないのは解かるが、ツナは辞めた方がいいじゃないのか?」
「それがな……」
どうしたんだ。いきなり目を伏せて?
「ツナにも言ったんだが……」
「ツナに言ったって!告白したのか!?」
直球すぎだろ!?
「うん。恋に恋してるだけかもしれないし、俺はフィーのことが好きだから無理だよ。と言われたのだ」
ツナも気付いていたのか!それに厳し過ぎないか。勘が鋭いから当たっているかもしれないが。
「だから、そこまで積極的ではないのか」
「おそらくはな。それに他にも気になることを言われてな」
「他にも…?」
どういうことだ?
「別に俺以外に好きになる人が出来そうだし、クラスでその人を巡って修羅場起こしそうな気がするんだ。と言われてな」
うわぁ。
「ツナの勘は当たるが、これも当たってたらもう予言だろ」
「うん。私もそう思う」
ラウラも同意見のようだ。なんとなく顔を見合わせて笑い合った。