作者はマキアスが嫌いなわけではありません。
第5話
「あっ、リィン!」
「リィンさん、おはようございます」
リィンが部屋から出てきて、ツナとエリオットが挨拶をした。
リィンもツナとエリオットに気付き、二人の方向に体を向けた。
「おはよう。エリオットにツナ」
「えへへ、おはよう。さっきツナと話してたんだけど、一緒に学院に行かない?」
「もちろん。あっ…でも、ツナがいるということはフィーも一緒だよな。待たせたら悪いし、急ぐか」
リィンがフィーのことを口にするとエリオットが苦笑し、ツナは驚いていた。
「えぇ!エリオットさんにも聞かれたけど、そんなに一緒にいるかな。学院には結構、別々に行ってるんだけど」
「そうなのか?」
ツナの言葉にリィンも驚いたようで、エリオットに聞いていた。
「うん。僕もリィンと同じことを聞いて、驚いたよ」
エリオットはそのまま、リィンに何かを思い出しながら返す。
「でも、よく思い出してみると。ツナって、朝はフィーと学院に行っているのって偶にしか見てない気がするんだよね。いつもは、僕やリィン、ガイウスと行っているし。意外とユーシスと行ってるのも見かけるよね。マキアスはたまにしか見てないけど」
リィンはエリオットの言葉に頷いていた。
「そういえば、フィーは朝早く学園に着いた時はアリサたちと教室に入ってくるのをよく見るな」
「うん。いつも一緒のイメージが強いけど、実際にはいつもってわけじゃないみたいだね」
リィンとエリオットはツナとフィーの話題で夢中になっている。
「あはは。一緒にいるイメージが強いってのは嬉しいけど。とにかく学院に急いで言った方がいいんじゃないかな」
「「あっ」」
「リィンさん、エリオットさん、ツナ君おはようございます」
「……っつ」
「おはよう」
一回の出口に降りるとエマとアリサがいた。エマとフィーはリィンたちを見て挨拶を返したが、アリサはリィンを見ると顔を背けてしまった。
「あぁ。おはよう。…その一緒に行かないか」
リィンは何とか仲直りしたいのか、アリサたちに向かって言うが、アリサは顔を背けたままだ。
「アリサ」
そんなアリサにフィーは声を掛ける。
「うっ。わかってるわよ」
フィーに返事を返し、リィンに近づくアリサ。
「その。ごめんなさい。あんな事があったとはいえ、庇ってもらったのに叩いてしまって」
頭を下げて、謝罪と助けてもらった礼を言うアリサ。
「あ…あぁ。いや、俺ももっとうまく助けられたはずだ。あの事はすぐに忘れるようにする」
そう言って、リィンも謝罪する。
「忘れるなら、思い出させるようなことを言わないで」
ジトッとした目でリィンを睨みつけるアリサ。
そんなアリサに少し笑いながら頷くリィン。
「何を笑っているのかしら」
そんなリィンに睨み付けるような目で聞くアリサ。
「いや。ようやく仲直りできて嬉しくて、ついな」
「フフッ。そうね」
アリサもそれを聞いて笑い返す。
仲直りをした二人を加えて、学院へ向かいながら話していた。
「よかったぁ。これで、Ⅶ組の問題の一つは解決だね」
「はい。これもフィーちゃんのお蔭です」
「ん」
どうやら、アリサが謝ったのはフィーのお蔭のようだ。
「へぇ。フィー、何したの?」
「ん。リィンが悪いと思って、謝ろうとしているのに素直に受け入れられないって聞いたからちょっと、素直になるように言ってみただけ」
「でも、私たちはまだ少し怒っていたように見えていたので、フィーちゃんのお蔭ですよ。フィーちゃんがいなかったら、もっと時間が掛かっていたでしょうし」
「フィー。すごいよ」
「うん。俺もそう思う」
ツナがそう言うとフィーはツナに白けた視線を向ける。
「えっと、フィーちゃん。どうしました?」
「ツナ、白々しい。アリサとリィンが仲直りする方法、私に教えたくせに」
「「「「えぇ!」」」」
フィーの言葉に、この場にいる全員が驚いた。
「いやいやいや、確かにアリサさんが少しだけでも素直になったら、直ぐに仲直り出来るとは言ったけど、それだけだよね!?俺としては、アリサさんをどうやって素直にしたか知りたいんだけど!?」
「リィンも本気で反省しているし、アリサも素直にならないと自分がずっと傷つくだけだよと言っただけ」
「まさかの直球!?」
そんなやり取りをする二人。
「あはは。あの二人、本当に凄いよね」
「あぁ。ツナはよく気が利いて助けてくれるし。フィーも空気を読んでマキアスとユーシスの喧嘩を上手く口巧みに止めてくれるからな」
「はい。毎回、喧嘩が始まるかと思ったら別のことを聞いたりして、お二人の喧嘩をする気を失くしてくれますもんね」
「あの二人、お互いが一緒にいる時間を大事にしているみたいだけど、私たちへの付き合いも大事にしているみたいだし。昼にでも、一緒にご飯を食べないか聞いてみない?」
「あぁ、そうだな」
じゃれている二人に近づくリィン。
「今日、良かったら。皆で昼を食べないか。」
「ユーシスさんやマキアスさんも?」
マキアスの名を聞いてフィーは顔を歪める。
「眼鏡はヤ。せめて、ユーシスと仲直りしないとヤだ」
「何かしらキッカケがあると、仲直りはしないまでも仲の悪い悪友関係に落ち着くと思うんだけどなぁ」
フィーはまだマキアスに隔意を持っているようだ。
「眼鏡は視野が狭すぎ。リィンは高貴な血の流れは無いと言ったんでしょ」
「あ…あぁ。それがどうしたんだ?」
「嘘は言ってないのに。貴族だからと嫌うのが気に入らない。血の繋がりが無いからこそ曖昧に言ったぐらい、すぐに分かるのに」
「それは……」
フィーの言葉に全員が正論だからこそ返せなかった。ツナを除いて。
「それでもユーシスとある程度、仲良くなったら許すんだろ?」
「ん。あとツナとリィンに謝ったら少しは許す」
ツナとフィーの言葉を聞いてリィンは笑った。
「リィン?」
「取り敢えず、ユーシスとマキアスを除いた全員で昼食を食べないか?それで、食べながら二人をどう仲良くさせるか話し合おう」
「それはいいわね!」
「うん、僕も賛成だよ。じゃあ、ガイウスを誘ってくるよ。」
「私はラウラさんを誘いますね」
「どうせなら屋上で食べませんか?広いですし」
「そうだな」
(ツナもフィーも本当に器が大きいな。この二人に頼られるように俺も頑張ろう)
リィンは心に決心しながら学院に向かって皆と歩いて行った。
リィンはツナが自分が浮浪児だとあっさり言ったの聞いて、ハッキリ言った方が良いと考えオリエンテーションが終わった後に告白しました。
最初の身分を聞かれたときは、言うべきか迷っていたので曖昧にした設定です。
フィーがリィンとアリサの仲直りをしたのは、ツナの影響だと思ってください。