ゲーム知識がまるで役に立たないのだけれど?   作:夢泉

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この章の前半は主人公の城内生活10日間のダイジェストとなります。
そのため時系列が前後します。わかりにくくて申し訳ありません。
この10日間でいろいろな情報が明らかとなっていく形式となります。あと、ジワジワと主人公とヒロインの仲が縮まっていく章でもありますね。
今回が固い感じの話なので、次回から3話分は笑い要素多め(※当社比)のほのぼの系になります。


『言語を選択してください』

「えっと…なになに?『はじ…まり…に…おおいなる…かみ?…がいた?…おおいなるかみ…てん、ちを…そう、ぞう…した…』だぁ―――!わからん!よりにもよって適当に選んだ本が神話系とかふざけんな!異言語学ぶ最初の教材に神話とかあり得ないだろ!馬鹿なの、俺!?」

 

 異世界生活9日目。

 レベリング無双計画を白紙に戻し、この世界の知識を集めることにした俺は本を読んでいた。

 しかし、その速度は異様に遅い。

 それというのも…。

 

「文字が読めんのキツイなぁ…」

 

 そう、文字が読めないのであった。

 

 

 

  ◆

 

 

 城内生活4日目。

 俺は魔王様からのレベルアップ無理宣言ショックから立ち直り、じゃあ知識を蓄えようと思い立った。

 魔王様やミリアさんから口頭で教わっても良いが、彼女たちだって暇じゃない。というか、2人とも滅茶苦茶忙しいようだ。それで、彼女たちに頼りっぱなしというのも良くないし、自分でも本を読んで知識を蓄えることにした。

 そういうわけで、魔王様の書斎に案内してもらい、適当な本を開いたのだが…

 

「あれ?()()()()()()()?」

 

 そう。文字が意味不明なのだ。話し言葉が通じていたから何とかなると思っていたのだが、これはどういうことだ?

 

「読めないだろ?話し言葉が通じるからと言って文字が読めるわけではないのだ」

 

 困惑していると話しかけてきたのは、ここまで案内してくれた魔王系ロリ女教師ルナウディア先生であった。

 

「どういうことです?」

「ふむ、先ずはあれを見よ」

 

 そう言って魔王様は窓の方を指すのでそちらを見てみる。

 すると、今までのドタバタしていた中では気付かなかったが、地平線に何やら奇妙なものがある。

 

「なんですかアレ?巨大な…塔?」

 

 そう、塔であった。

 しかし、その高さが異常である。

 遠いから詳しくはわからないけれど、東京タワーやスカイツリーなんか目じゃない高さと言えば、その尋常ではない高さが伝わるのではないだろうか。それこそ、雲に届くという形容がピッタリな気さえする。

 

「あれこそは()()()。古の時代、まだ女神が手を取り合っていた時代の建造物だよ」

 

 バベルって言うとあれか?人間が天まで届く塔を作ろうとした結果、神々の怒りを買って大変なことになったっていう?

 

「女神ミウイと女神ニエーナ。二柱の神は人類と魔族が別々の言葉を話しており、相互の理解ができないことを哀れに思った。そこで、協力してあの巨大な塔を作り出したのだ」

 

 うーむ?勇者を選び出したりして「魔族を滅ぼせ」と神託を下す女神と、魔王に力を与えた女神が手を取り合っていた?そんな時代があったとか俄かには信じられないが…。

 

「そして、あの塔の本質は()()()()()()()()()でもある。あの塔の内にも外にも隙間なく、夥しい程の魔術式が刻み込まれているのだ」

 

 おっと、今は神の事じゃなくてあの塔のことだ。

 魔術を発動する装置であり、その発動される魔術は任意のタイミングではなく常に発動している、ということかな?

 

「そしてその効果は、「世界の言語の統一」。出力された言葉の空気振動に手を加えることで勝手に翻訳し、相手へと伝えるというものだ」

 

 何それ凄い!地球でも作ってくれないかな!

 …でも、地球の伝説とは真逆だよな。確かバベルを造ろうとしたことが原因で人間の言語はバラバラにされたんじゃなかったか?まぁ、世界が違うし、そういうこともある、のか?

 

「実は人間も魔族も別々の言語を口にしている。だが、相手側に届くときには相手が理解できる別言語に変換されているという訳だ。しかしながら、これは空気の振動を変換するだけであるので、文字には全く適用されていない、というわけだな」

「ルナウディア先生、質問です。これって魔力無しの俺でも適用されているのは何故なんです?あと、翻訳される言語って魔族語と人類語だけなんですか?」

「流石は余の生徒だ。良い指摘だよ。まず、お主に適用されているのはこれが空気の振動を弄っているのであり、お主の喉や耳などに手を加えているわけではないからだ。そして、言語に関しては「あらゆる言語」という名目になっている。暗号のように独自の言語を編み出して会話しようとしても、盗み聞きされれば全く意味をなさない。故にこそ、魔族と人間の文字だけはまるで別の形となったという訳だな」

 

 つまり、秘密の会話が無理だから、誰かに知られたくない内容は暗号とか異言語でやり取りしようってわけかな。だから、文字の統一はなされなかったと。

 でもなんか、微妙に怖いよな、コレ。いくら塔っていう意思なき物だとしても、完全な検閲が行われているみたいなものじゃないか?誰かがちょっと手を加えれば思考誘導とかできちゃう気もする。

 

「うむ。その懸念は最もだ。とはいえ、知に生きる学問の徒たちはそれほど盲目ではない。神の恩恵だからと目を曇らせることなく、この翻訳の法則性や特徴を念入りに調べてきた。その結果、翻訳に一切の意図的な歪みは発見されなかった。本当に、ただ純粋に翻訳されているだけなんだよ」

 

 たくさんの学者さんたちが調べてきた結果なら、俺なんかが疑問に思うことではないのかもしれないな。

 

「いいや、そんなことは断じてないぞ。常に全ての事に疑問を持ち、思考をし続けること。それが何より重要なことだ。余の生徒にはそのような者であってほしいのだがな?」

 

 こちらを試すようにちょっと上目遣いで魔王様は言う。何コレ超絶可愛いな。

 

「そうですね。凡人の俺だからこそ考えることは辞めちゃダメだって、一番大切なことを見失いそうになってました。ありがとうございます、先生」

「うむ、それで良いのだ」

 

 

  ◆

 

 

 というわけで、文字すら読めなかった俺だが、何とかできないか試行錯誤した結果が今である。

 声に出した言葉の空気振動が弄られて翻訳される。それはつまり、俺の耳に届く俺の声も例外じゃないという訳だ。だから、一文字一文字の発音だけ日本語でメモしておき、それを当てはめて声に出す。すると翻訳されて日本語で耳に聞こえるので、意味が把握できるってわけだ。

 つまり「a」は「あ」、「i」は「い」のように、魔族文字の全ての文字に日本語のそれっぽい音を当てはめてメモしておく。その上で発音すると、俺の耳には日本語の意味が聞こえてくるってわけだな。どうも「魔族語だと思って発音すること」が重要らしい。

 初めからミリアさんや魔王様に音読してもらう方が楽かもしれんが、彼女たちだって暇じゃない。俺が1人で出来るなら空き時間に少しずつでもやっておくべきだろ?

 

 ただ、そのために選んだのが神話の本ってのは失敗だった。なんか同じ単語ばかり繰り返されているから簡単かもって思って選んだんだけど、内容が意味不明過ぎる。

 まぁ、選んだからには最後まで読むけれど。

 

「えーっと…?」

 

『はじまり に 大いなる神 が いた。 大いなる神 天地 を 創造 した。

大いなる神 命 を 創造 した。 神々 大いなる神 の 子 として 誕生。』

 

 ふむ?創造神話だな、コレ?

 

『神々 争う。 【——解読不能——】 を 求めて。 天地 壊れる 命 散る。

大いなる神 は 激怒 した。 大いなる神 は 試練 を 与えた。 【マルレイまたはマーレイ?(※詳細不明。神の一柱か?)】 に 判断 を 委ねる。

【——解読不能——】。 【——解読不能——】。 【——解読不能——】 に 平穏 が ありますよう に。

――「魔歴400年 試練の祠南西より出土 翻訳者パスケル」』

 

 これはどこかの遺跡から出土した何かを翻訳した物らしい。ところどころ解読不能となっていてよくわからない。しかも、ここから先の文章はこの本には載っていない。その次からは別の話になっている。これは、神話を元にした…御伽噺のようなものだろうか?

 

『遥かな昔、龍が10の代を重ねるよりずっと昔。

女神ニエーナと女神ミウイは仲良く一緒に高い高いバベルを築きました。ヒトが住みやすいように。女神ニエーナは奇跡を授けました。ヒトが救われるように。女神ミウイは魔法を与えました。ヒトが歩めるように。

やがて女神ニエーナは人間と亜人を。女神ミウイは魔族と魔物を選びました。

彼らは仲が悪かったのです。その時には女神ニエーナと女神ミウイも仲が大変悪くなっていました。

女神ニエーナは人間に伝えます。魔族と魔物、邪神ミウイを滅ぼせと。

女神ミウイは魔族に伝えます。人間と亜人を滅ぼせと。』

 

 むぅ?「大いなる神」ってのと「女神ニエーナ」「女神ミウイ」は別ってことか?「大いなる神」がこの二柱を生み出したと考えるのが自然だが…二柱だけの神をわざわざ「神々」なんて表現するだろうか?マルレイかマーレイという神っぽいのを加えても精々三柱だよな…?うーん、わからん!

 この翻訳作業思った以上に時間がかかるのであり、もういい時間である。

 今日の自主勉強はこれくらいで良いだろう。

 この世界の成り立ちに大きく関わっているだろう「神」という存在。いずれもっと詳しく知らねばならないのだろうと俺は思った。

 




この世界の全てに意味がある。なんとなく日本語が通じるなんてことはない。

【キャラ設定4】
名前:ミリア 真の名:????
メイド。女性。非公表(女性に年齢を聞くとか死にたいんですか?)
容姿:黒い肌に紅の瞳と銀髪。頭部に2本の角。175㎝の長身モデル体型。
種族:魔鬼(魔人と鬼のハーフ)
好きな物:1にルナウディア。2に魔王様。3に主君…要するに全部魔王様。
             (…………実は可愛い小物とか小動物とか結構好き)
嫌いな物:神、魔力、世界、魔王を苦しめる存在

 ルナウディアに絶対の忠誠を捧げるメイド。ルナウディアのためなら世界1つ滅ぼすことも辞さない魔王様ガチ勢。ルナウディアにとっても最も信頼できる存在である。
 非公表になっているが、だいたい40才(人間の20歳)くらい。とても美人で、グラマラスなわがままボディ。仕事もできるので引く手は数多。しかし、後述の通り心の底からルナウディアの味方をするような存在でなければ友愛の対象にすらなり得ない。そしてそのような存在は魔族にはほとんどいないのが実情。ドラゴネス&ルナウディアはそんなミリアを「このままだと一生独身では…」と本気で心配している。もしも地球に産まれていれば、人気モデルとか女優とかそういうのやってたかもしれない。
 種族は魔族で最も数の多い「魔人」と、東方に少数が存在する「鬼」の混血。マジックオグレス(男性はマジックオーガ)とも呼ばれる。特に魔法に優れた魔人と膂力・戦闘技能に優れた鬼のハーフなので、戦闘力は非常に高い。
 「人間嫌い」を公言して憚らないが、実は同じくらい魔族も嫌い。周囲に魔族だらけの環境だから「魔族嫌い」を言わずにいるだけ。嫌いな物の欄から明らかなように、徹頭徹尾「ルナウディアを苦しめる存在」が嫌いなのである。……だから、一時期は「ルナウディアを恐れてしまう自分自身」が殺したくなるほど嫌いだった。


〈あとがき〉※読まなくても大丈夫です。
・一話の前に設定集を設けました。現在7名のキャラクターの情報が載っています。
・章の名称を変更しました。この章の名前は候補が3つあったので、また変わることもあるかもしれません…すみません。

8月12日18:30時点。人気投票経過報告。
聖女ちゃんがドラゴネスさんを超えて4位になりました。主人公に迫る勢い。そしてやっぱり人気の魔王様&ミリアさん…!
ミウイの人気があって4%も支持されてるんですが、どうしてでしょう?ニエーナの1%と比べると雲泥の差です。
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