ゲーム知識がまるで役に立たないのだけれど?   作:夢泉

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今更ですが、この小説はだいたいコメディ要素3割(リベタス担当)とシリアス7割位の構成でお送りするつもりです。
前回があんな感じだったので、今回はシリアスさんがやってきます。


真白き羽が舞う

「ぐぅああああああ!目が!目がァァァァァァァ!!!!!」

 

 名も知らぬ鬼よ!テンプレの返しをありがとう!

 こいつらは戦争上等の世界で鍛え抜かれた戦士たち。だからこそ、攻撃を仕掛ける時に瞬きなどで敵を見失うような愚は犯さない。

 それが意味しているのは、全員が俺に視線を向けていたということ。故に、揃って目を抑えて苦しんでいる。

 

「アリア!」

 

 なお、アリアも俺も無事だ。俺は撃つ直前に目を閉じていた。

 アリアも顔を後ろに向けたり、羽で光を遮ったりしたはずだ。

 無駄に必殺技の口上を口走っていたわけではない。

 予めアリアには、俺が『神の杖が激しく唸る!』と叫んだら目を覆えと言ってあったのだ。

 

「合点承知っスよ!」

 

 今はチャンスだ。誰がどう見たって鬼たちは隙だらけだ。

 ならば、ここで追撃をする?否。攻撃したって俺の筋力じゃ傷一つ付けられないだろう。

 だからこそ、選ぶは逃走!逃げの一手!

 フハハハハハ!さらばだ、サラダバー!

 アリアはミリアさんを縄で括りつけている。俺はそんな余裕はないので、全力でアリアの腰にしがみつく!振り落とされたら即死!

 

 凄まじい浮遊感に襲われたので、腕に力を籠める。

 美少女の体に力いっぱい抱き着くという、他人から見れば事案の状況だが、その事についてどうこう考える余裕なんかどこにもない。ただ振り落とされないよう、精一杯しがみつくことだけに思考を割くのみである。

 

 ある程度安定したので目を開ける。地上は既に遠く、鬼たちはグングンと小さくなっていく。もう顔の判別もできない。

 ここまで離れれば安全だろう。ただ、2人分の重さがのっかった状態で飛び続けるのはアリアの負担が大きすぎる。スピードが落ちているのは明らかだ。それでも十分に速いままなのは流石過ぎるけど…。

 どこかでミリアさんの治療をして、ゆっくりと魔王城への帰還を考えるべき、か。必要であれば、単独で人間の町へ行って食料調達とかもしないといけないかもな。

 そうやって今後の事を思案していた――その時。

 

 ヒュ、と。

 風を切り裂く音がした。

 

「ぅあ!」

 

 同時。少女の呻き声が空に響く。

 

「アリアっ!!」

 

 狙撃されたのか!?この距離を!?さっき目潰ししたにもかかわらず!?しかもアリアは高速で移動してるっていうのに!?

 無茶苦茶だ!馬鹿げてる!

 

 けれど、どれだけ否定したくても、目の前の現実は疑いようがなくて。

 純白の羽が空に散る。

 そのまま俺たちは地面へと落下していった。

 

 

  ◆

 

 

「当たったのか?」

 

 「鬼」の集団の中で最も大柄な男、先程リベタスとの会話を行っていた男の鬼が問いかける。

 

「肯定します。この程度の距離であれば容易に」

 

 対して、答えるのは手に大弓を持った女性の鬼。

 その鬼は他の鬼とは容姿がかなり異なっていた。

 基本的に鬼が大きすぎるだけなのだが、それらと比べて女性の鬼は非常に小さい。

 そして、奇妙な文様が刻まれた仮面を顔につけている。また、髪は銀色であり、肌は()()()()()()()()()()()をしていた。

 

「まったく恐ろしいなァ。とはいえ、だ。一発しか撃たなかったようだが、どういうわけだ?」

 

 大柄な鬼が問いかける。否、問い詰めるというのが正しいか。

 その声音には確かな怒気が籠っており、決して仲間に向けるような眼差しはしていない。

 

「この弾は数が非常に限られています。魔王討伐の時のためにも無駄撃ちするわけにはいかないことは、主様も承知の事かと」

「……あァ?無駄撃ちだと?」

「はい。無駄撃ちです。あの人間に「()()()」を撃ちこむ必要性はありませんでした」

 

 だが、女性は一切動じない。表情も声の調子も一切変わることがない。

 すると、2人の会話に別の鬼が割り込んだ。

 

「そうだ人間!大将、どうなってやがるんだ!あのリベタスとかいう人間は()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()!」

「うるせェなァ、俺にも分からねェよ!!奴の情報が間違っていたのか、騙されたのかもしれねェ。奴がここまで来て裏切るとは思えねェが…。おい、「シア」。テメェさっき「無駄撃ち」とか言いやがったなァ。あれはどういうことだァ?」

 

 「大将」と呼ばれた大柄の鬼が、再び「シア」と呼ばれた女性の鬼へと話を向ける。相変わらず、その目線に仲間の情のようなものは無い。

 

「恐らく情報自体に間違いはないでしょう。情報元も知らない武器を対象が持っていただけの事。使えないはずの魔法や魔術を使えるようにする何かを、です」

 

 女性の方が淡々と答えていくのも何も変わらない。

 それはまるで、感情というものが最初から存在しない人形のようでさえあった。

 

「何故そう言い切れる?」

「主様方の全員が傷一つなく生きていることが証拠です。あの瞬間、全員が対象に反撃の手段は無いと認識し、無策のまま突っ込んでいました。仮に対象が魔法や魔術を扱えるのであれば、あの状況では「殲滅」を選択するべきです。しかし、それをしなかったということは…」

「それしか使え無ェからってわけか」

「肯定します。また、あの瞬間に対象の杖に魔力が収束するのを感じました。あの杖に何かしらの秘密があるとみて間違いないでしょう。杖のおかげで術を放てただけであり、対象自体は情報通りに魔力を有さないのであれば、魔力操作を封じる必要性はありません。故に無駄打ちだと判断した次第です」

「なるほどなァ。筋は通っていやがる、か。確認だがよォ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 言葉と共に巨大な鬼の体から凄まじい気迫が発せられる。

 それは所謂、殺気などと呼ばれる類のもの。

 答えによってはこの場で斬り捨てることも躊躇しない、そんな意思を込めた問いかけだった。

 

「いいえ。そのようなことは断じて。兄弟姉妹であっても関係ありません。鬼の悲願を邪魔する者は誰であろうと抹殺します」

 

 それでも、彼女の感情が動くことはない。

 何故ならば彼女は――。

 

「ハハハ!それでこそ『意思なき魔王』だよなァ!さァ、やろうぜェ魔王殺しってやつをよォ!」

 

 醜悪な計画が産み出した存在である故に。

 




〈あとがき〉※読まなくて大丈夫です。

前回の話で使用されたネタの元ネタ一覧。

『桃太郎侍』
『ドラゴンボール』
『鬼滅の刃』
『ポケットモンスター』
『イナズマイレブン』
『機動武闘伝Gガンダム』
『天空の城ラピュタ』
『Fate/Zero』

以上です。答え合わせにご活用ください。
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