魔王様が現れた!
魔王様からは逃げられない!
俺は目の前が真っ暗になった!
いや、ホントこれどうしよう!?
もしかしたら、この状況を『原作に深く関わるキャラクターで充分な力を有し、かつこちらに好意的な存在を作る』という俺の第一目標が達成できていると指摘する方もいるかもしれない。
しかし。違うな、間違っているぞ。
なるほど確かに、魔王様はいうまでもなく魔王軍を率いるラスボスだ。即ち作中最強キャラである。魔王様に守ってもらえば安心というのは一理あるかもしれない。しかし、物語は最終的に勇者一行の勝利となるのである。このまま魔王様に従うとすると、人類の敵処刑ルートになって俺の生存エンドは絶望的になるのだ。
加えて、好意的という条件も無理っぽいわな。だってこのロリ、物語後半で都市1つ滅ぼしてそこに住む人々全てを串刺しにして飾ったりする系の幼女だぜ?赤ちゃんとか老人とか女性とか王族とか奴隷とか関係なく、全員串刺しにして高笑いしたりしたんだよ?
人間牧場とか造るし、人間奴隷の扱いとかR-18Gかよって感じだった。まぁ、ようするにかなりヤバイ奴である。終盤はあまりにも残虐な行動のせいで裏切るやつとかも出てきてしまって追い詰められていったのを覚えている。まぁ、幾つかの鬱シナリオで人間を心底憎むようになったからこその行動だったと思うんだけど。
さて、そんな残虐非道魔王の好感度を稼げと?彼女いない歴=年齢の俺に?アホじゃねえの?
ならば、どうするか。
一つの案としては、表向きは魔王様に降伏したフリをして後で裏切るという作戦が考えられる。だが、これは却下だ。論外と言っても良い。
いくら性格がヤバかろうがなぁ!美少女裏切って孤立無援状態に追い込むとか出来るわけないだろうがっ!!
とはいえ、好感度を稼ぐのも無理っぽいのは前述のとおりである。つまり、人間奴隷R-18G確定ルートってことになっちゃうわけ。四肢破壊がデフォの超絶ハードSMプレイは流石に無理っす…。
となれば、この場でなんとか言いくるめて見逃してもらうしかないのではないだろうか?
考えろ。考えるんだ。
どうすれば、見逃してもらえる?何を言えばいい?
だが、俺の方から「助けてくれ」って言っておいて何をどうすればなかったことにできると?普通に無理では?
えぇい、ままよ!もう正直に間違えたんですって言ってみよう!正直者は救われるって婆ちゃん言ってた!
「実はさっきの聖女というのはですね……」「そこの魔族! その人を解放しなさい!!」
ん?
なんか来たでござるよ?
黒髪ロングの三つ編みでシスター服の美少女が、なんか杖っぽいモノ片手に乱入してきた。
え、もしかしなくても聖女ちゃん??
「何用だ、人間。こやつは既に余の所有物よ。それを解放せよとはどういう了見だ?」
やったね 俺は 所有物に 進化した !BBBBBBB、駄目だ、キャンセルできない…!
「なっ、人はモノではありません!町を魔物に襲わせて多くの人を傷つけ、悲しませて…!今度はその人を攫って何をするつもりですか!」
ええ子やなぁ。ほんまにええ子や。
けど、駄目だ。今その対応は悪手だ、聖女ちゃん。
そこにいるロリはそんな姿をしているがラスボス魔王なんだ。始まりの町でラスボス遭遇とか負けイベント間違いなしなんだよ。俺のことは良いからさっさと逃げて…!
必死に目で訴えるけど、聖女ちゃんは何をどう勘違いしたのか、「わかっていますよ」的な感じで頷いてきた。なんで?
「余が余のモノをどうしようが勝手であろう?そもそも貴様ら人間とて、奴隷なる制度で同族をこき使っておるではないか」
「…っ!そ、それは、そうかも、しれませんけど…」
やめて!私のために争わないで!
その後何度かの言葉の応酬の後、遂に魔王様と聖女ちゃんが臨戦態勢に入った。
あぁ、もう最悪だ!!ふざけんな!なんで女の子2人の殺しあいとか見せられなければならないんだ!
えぇい、もう後戻りはできなくなるけど知ったことか!
「おやめください、聖女様!」
魔王様に向かって、俺は語り掛ける。
この時点で聖女ちゃんが自分のことを聖女だと認識していたかはよく覚えていない。なんか、町に戻ってから聖女認定されてた気がするから、まだ彼女は自分を聖女だとは認識していないだろう。多分。
故に、俺の言う「聖女」とは魔王様のことだ。
「聖女様が傷ついたらどうするのです!こんな矮小な存在に構うことはありません!」
「ふんっ、この程度の者に余が後れを取るとでも? 侮られたものだ。余の強さを知らぬか」
魔王様が目に見えて不機嫌になる。そりゃそうだよね、こんな雑魚に強さ疑われたりしたくはないよね。俺、そこら辺の村人より弱い自信あるからな。
だが、止めん!聖女ちゃんの命がかかってるんだ…!
「確かに貴女様は強い!私如きが語るのも烏滸がましいほどに強い!ですが、強いことは戦わなければならない理由にはならない!強さは心配しない理由にはならない!」
強ければ、地位があれば、賢ければ何かしなきゃいけないなんて、何か違うだろ。
そりゃ、ノブレスオブリージュは格好良いかもしれないよ。けどさ、俺たち凡人の側が持ってる人に何かしてもらうのを当然って思っちゃうのは絶対に違うだろ。
まぁ、言ってる事は当たり前のことでしかないが、勢いで押し切る!
「私は貴女様のことが心配なのです!いくら強くても、貴女が美しい一人の女性であることには変わりありません!」
「…ッ!?な、なにを言っておるか貴様!」
「私は貴女が戦いで傷ついてしまうかもしれないと考えると胸が張り裂けそうなのです!」
女の子が傷つくのを黙ってみてるとか男が廃るわ!!彼女いない歴=年齢の童貞陰キャだけどな、男捨てたわけじゃないんだよ!相手がいなかっただけで!
一通り思いの丈をぶつけた後、様子を伺う。
ん?魔王様が俯いてプルプルしている。可愛い。
耳まで真っ赤にして…もしかして照れていらっしゃる?可愛いすぎかよ。
「ええい、なんじゃお主は恥ずかしい台詞を次から次へと!戦う気分じゃなくなったわ!そこな娘、命拾いをしたな!魔王城へ行くぞ、人間!」
「あっ…!待ちなさい、魔族!」
そうして俺は魔王様に抱えられて空を飛んで魔王城へと連行されていくのでした。
はぁ…超絶ハードSMプレイ奴隷ルートか…。気が重い。
てか、空高い…怖い…。
ところで、運搬方法がお姫様抱っこってどういうわけです?男なのにロリに姫抱きされるとか何か色々失った気がするんですが?
一方地上では、聖女ちゃんが手を伸ばすも空には届かず、無力に打ちひしがれている。
ナニこれ、なんで俺、攫われるピ○チ姫みたいになってんの?聖女ちゃんがマ○オでク○パが魔王様ってすると絶妙に良い感じだね!性別が逆転してること以外はな!
今更だけど、もうこれ原作とだいぶ違うな。原作じゃこんな序盤で魔王様登場しないし。正体不明の魔王様だからこそのシナリオとかたくさんあったはずだし。
まぁ、つまりこれは原作崩壊と言えるレベルの変化なわけで。
原作知識無双1度も経験せずに原作崩壊したのだけれど?
※この主人公は能力値とか境遇とか見た目とかは凡人中の凡人ですが、思考が少々アホです。異世界に来たことでタガが外れてはっちゃけてるというのも大きな理由ではありますが。
一話目の方を閲覧・評価・コメント・お気に入りなどしてくださった方々、ありがとうございました!とても嬉しかったです!ということで、感謝の二話目でした!