空色ギターを奏でる彼女は僕の世界を変えていく   作:味なしコンフレーク

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MayDay Mayday-2-

Ep.03

 「・・・あれ?」

ふと目を覚ました深春は、自分がいる場所が旭湯でも無ければ、自分の部屋でもないことに気づいた。

「なんだよ!?どこだよ、ここ!?一体どうなって・・・ぇ?」

立ち上がろうとした瞬間、ガチャガチャという音と共に何かに引っ張られて柔らかいベッドの上に引き戻された。

「は!?手錠!?」

「あら!目が覚めたのね、ミハル!」

困惑する深春に声をかけたのは、花咲川女子学園の制服を着た少女だった。

「弦巻・・・!?」

「『こころ」よ!ちゃんと名前で呼んでちょうだい?私は貴方と仲良くなりたいの!」

「冗談じゃない!!お前ら弦巻家と関わってもロクなことがないのは痛感済みだっつうの!良いから外せ!ここから出せ、弦巻!!」

「それは出来ないわ。だってミハルがいなくなったら笑顔じゃなくなっちゃう人がいるもの」

「はぁ!?意味分からないこと言ってんじゃーーーぁがッ!?」

瞬間、ゴッ!という音がして何かで思いっきり顔面をぶん殴られた。

「おじさま!乱暴はよしてちょうだい?」

「すみませんね、お嬢。生憎オレは育ちが悪いもんで、こんなやり方しか出来ないんですわ」

痛みに悶絶する深春の胸ぐらを掴む男の名は、裏地 弥五郎。弦巻家のボディーガード『黒服』のトップに君臨する男だ。

「お前、自分が置かれている立場、分かってんのか?」

「立場・・・?」

「お前、殺されそうになっているんだぜ?近衛の魔性『近衛 万華』一派党の魔術師からな」

「は・・・?万華さんが!?なんで・・・?」

「そりゃあお前がーーー」

何かを言いかけた弥五郎はドアの外を見る。

「・・・おかしいな。今なにか・・・」

 

ガシャアアン!!!!!!!!!

 

瞬間、窓ガラスを叩き割って何者かが深春の前に降り立った。お嬢様学校、白雪学園の制服に身を包み、長い黒髪を靡かせた少女は、深春を庇うように弥五郎の前に立ち塞がった。

「い・・・鋳冬⁉なんでここに⁉︎」

「下がっていてください、兄さん・・・兄さんのご尊顔を汚したあの野郎を殺します!!」

「ま、待て!殺すな鋳冬!!」

深春の静止を聞かず、少女ーーー近衛 鋳冬(いふゆ)がかざした両手から青白いスパークが奔る。

 

「『希釈展開(RULE ADJUST)瞬雷硬剣(CALADBOLG)』ッ!!」

 

手から放たれた大剣が弦巻家を薙ぎ払った。

 

「無事かい、深春クン?」

数分後。駆けつけた氷川紗夜に抱えられながら弦巻家を脱出した深春に呑気に声をかけたのは庵堂ウィノラだった。

「何とか・・・」

「深春さん、弦巻さんは・・・?」

弦巻の安否を聞いてくる氷川。大事な後輩が巻き込まれたのだから、心配にもなるだろう。

「・・・『死』は視えない。弥五郎のオッサンが何とかしたんだろう。何はともあれ助かったぁ〜」

「にしても・・・あれが本当の『魔眼』の使い方か。おっかないねぇ〜。気軽に喧嘩売れる相手じゃないね、あんなの」

そこへ鋳冬が戻ってきた。無表情のまま深春に抱きついた。

「兄さん、会いたかった・・・!」

「暑苦しい」

「何を考えているのですか、あなたは!弦巻さんたちにもしものことがあったらどうするつもりだったのですか⁉︎」

深春から鋳冬を引き剥がした氷川は、ほぼ初対面の他校生だろうが関係ないとでも言わんばかりに容赦無く説教を開始するが、鋳冬は、無表情を崩さず崩壊した弦巻家を睨んだ。

「私の兄さんを拉致監禁したんですから死んだとしても自業自得です・・・まぁ、兄さんをそれだけ評価しているということでもありますから、妹としては少し複雑ですが」

「どういうことだよ?弥五郎のオッサンも言っていた。万華さんが僕を殺そうとしているって・・・」

「そりゃあ君が、魔術師として使い物になると証明してしまったからさ」

「は?」

「干渉する左もない出来損ない。それが老害のクソババアとそれに絆された分家連中の兄さんに対する評価だった・・・でも、それが崩されつつある」

瞬間、鋳冬は魔眼を起動して短剣を生み出した。

「これは・・・?」

「『ティルヴィング』と呼ばれる魔剣だ。鋳冬は、伝説だろうと実物だろうと『記録がある』聖剣や魔剣を新たに創り出すことが出来る」

「コピーではなく?」

「被害がとんでもないことになるから希釈して生み出しているけど、威力も生み出される効果も本物と同等あるいはそれ以上の代物を作り出すことだって出来るぜ」

「兄さんがあの老害ババアを殺してこいって言うのであれば世界と私の命を引き換えにしてでも殺ってやります」

「やめろ」

「ちょっと待ってください!つまり鋳冬さんは、存在していた、あるいは今も現存する聖剣・魔剣を同じ性能で量産できると言うのですか!?」

「そういうこと」

「なんて出鱈目な・・・」

「聖剣も魔剣も目に見えていた存在ですから近衛家においてはそれらの同一存在を生み出すなんて造作もないことです。でも兄さんは、その『視点』において異常な才があるんです」

「才?」

「魔力炉心の視覚化だね?」

「はい。魔力炉心が視えるというのは、本来ありえないことなのです。何せそれらはイメージはできても『存在するかどうかも分からないもの』ですから」

「・・・なるほど。話が見えてきました。見えないはずのものが視れる深春さんの右眼は、魔術犯罪において有効であると言うことですね」

紗夜は庵堂に続いて鋳冬の言わんとしていることに気づいた。

「なんか、随分と持ち上げられているけど・・・そんな大したものじゃないんだけどなぁ・・・」

「兄さんはもっと評価されるべき人です!もし兄さんが左も発現していたら神様すらも支配できたかもしれないんですから!」

・・・神様って奴が僕のことを嫌いな理由がなんとなくだが分かったかもしれない。

「強力ではないけれど、有用性はある。だからね深春クン。多くの魔術組織が君の才能を欲しているのさ・・・もちろん、我々、烏合衆もね」

「・・・で?それと万華さんが僕を殺そうとしていることがどう繋がるんだよ?」

「簡単なことですよ、兄さん」

鋳冬は僕をじっと見てきた。相変わらずの無表情だが、心なしか、少し嬉しそうにも見えた。

「今まで散々見下してきた兄さんが評価され始めている。要はプライドを折られたんですよ。ざまあww」

 

 

Ep.04

 今回の騒動は、予想外にも丸く収まった。

何でも万華さんたちは、本家・・・父さんたちと手を組んだ弦巻財閥と烏合衆を恐れて、とっくに僕から手を引いていたらしい。僕を殺そうとしていたと分かっているのに縁を切れないのは、それだけ万華さんの力が大きいと言うことだ。

ちなみに僕が拉致・監禁されたのは、弦巻財閥の総帥と烏合衆の頭領の会話を盗み聞きしていた弦巻の早とちりだった。

弥五郎のオッサンは、気づいていたけれど『面白そうだから』という理由で加担したのだとか。

「僕は、面白そうという理由でぶん殴られたのかよ・・・」

「安心してください兄さん。あの男はいつか殺します」

「お前が言うと洒落にならん!!良いか、殺すなよ!?絶対殺すなよ!!」

相変わらず腕を組んでくる鋳冬と家へ向かっていると・・・ドサっ!という何かが落ちる音がした。

音がした方を振り返ると、そこにいたのは、お使いの帰りらしい六花だった。その視線は、僕の腕に抱きついている鋳冬に注がれていた。

「深春さん・・・これはどう言うことですか・・・!?」

「ま、待て、六花!これは誤ゲぶッ?」

「深春さんの浮気者ーー!!」

・・・まさか六花に二度もひっ叩かれるとは思わなかった。

 

「その・・・ごめんなさい。妹だったとは知らずに」

「あぁ、まー、仕方ないよ。そう見られてもしょうがなかったと思うし・・・六花。妹の鋳冬だ」

無事に誤解は解けたので、改めて鋳冬を六花に紹介する。

「近衛鋳冬。白雪女子学園高等部の3年生。好きなものは深春兄さんと秋人兄さん。嫌いなものは兄さんたちを害するクソ野郎どもと兄さんたちを誑かそうとする悪い虫です」

「ひっ・・・!?」

恋人である六花は鋳冬の自己紹介を聞いて後ずさる。

「安心しなよ、六花。鋳冬は六花のことはちゃんと認めているよ」

「そ、そうなんですか?」

「だってもし悪い虫認定されていたら、六花はとっくにこの世にいないからな」

「ひいいいいいいッ!?」

「もう、兄さんったら・・・六花が怖がっちゃったじゃないですか」

「だってお前、この間の正月に秋人兄の恋人を半殺しにしていたじゃん」

「あれはあのゴミムシが秋人兄さんの顔目当てだったからです・・・でも彼女は違う。兄さんのことをちゃんと見てくれているって、一眼見た時から分かりました」

「!」

鋳冬は六花に近寄り、そっと彼女の手を握った。

「六花。兄さんのこと、よろしくね」

「・・・鋳冬さん」

「ん?」

「お・・・お義姉さんって呼んでもいいですか⁉︎」

瞬間。無表情の妹が無表情のまま涙を流し・・・六花を抱きしめた。

「ひゃッ!?」

「なんて可愛い子・・・私が恋人にしたいくらいです」

「ええええええ!?///」

「兄さん・・・私にも妹が出来ました。感激です」

顔を真っ赤にして困惑する六花は深春に助けを求めたが、彼女のお願いを聞いてやるわけにはいかない。

何故なら、妹が・・・少しだけ笑顔を見せたからだ。

無表情がデフォルトの鋳冬を人形のようだ、なんてからかうやつもいるけど、僕は知っている。彼女は喜怒哀楽を心に秘めた強くて優しい自慢の妹なのだ。

 

 

Ep.05

 ちょっとした騒動があったものの、4月のように病院に運ばれるほどの大怪我をすることもなく2ヶ月がすぎた。

「深春氏。今年のサマーライブはガチでござるよ!」

「はいはいパスパレパスパレー」

「RASを見に行くでござる」

「なん・・・だと・・・」

弓手がパスパレ以外の話をしただと・・・!?

「失敬な!拙者だって他のバンドの演奏を見に行くことだってあるんでござるよ!」

「わかったよ、悪かったな・・・まぁ、白鷺千聖に折檻されない程度に楽しめよ」

「何でそのこと知ってんだ、お前!?」

「瀬田が教えてくれた」

「儚い後輩ェ・・・!」

「で?何でRAS?」

「パスパレファンの同志が入っているバンド」

「結局、いつも通り(パスパレ)じゃねーか」

そんな無駄口を叩き合いながら、大学へと向かおうとする僕たちの前に一人の少女が立ち塞がった。

「あなたがミハル・コノエね!」

「・・・誰?」

 

「RAISE A SUILENプロデューサーのチュチュと申します。貴方をスカウトに来たわ!」

 

to be continued...?

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