【完結】ペニーウォートの怪物   作:唯のかえる

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第10話

 

 アラガミを討伐するうえで、ゴッドイーターはアラガミの事ひいてはオラクル細胞について知らなくてはいけない。

 アラガミとはオラクル細胞が構成する群体である。分かりにくかったら単細胞生物のアメーバがいっぱい合体してるみたいなもんだと思ってほしい。そして、個々がオラクル細胞『考えて、喰らう細胞』であるために、通常兵器が全く通じない。結局のところ、周囲に散ったオラクル細胞がまた集まり、修復するのだ。

 

 アラガミに対抗するように生み出された神機。

 これはただの質量武器ではない。

 ゴッドイーターの膂力をもって振るうだけでたしかに凄まじい威力になるだろう。

 だが、本質はそこではない。武器にあたる部分に自身のオラクル細胞をまとわりつかせ、こちらのオラクル細胞で削り喰らう。それこそが真骨頂。

 

 群体であるアラガミを削って最終的に食い殺す!

 それがゴッドイーター!!

 

 

 ◇

 

 

 ヌァザは大振りの左腕を振り回してくる攻撃を目の前の敵へと放った。

 それをイザナイは届かない位置までステップして離れ、全貌を眺める。

 

「ヒヒヒ」

 

 今やった類の攻撃だとイザナイが距離を取るのが分かったのか、膨大な質量に任せたタックル。イザナイへと距離を詰めてきた。

 莫大な破壊力を生むそのタックルは、進んだ方向のまだギリギリ建っていたと言える家屋を粉々に爆砕。瓦礫が巻き上がる。

 進行方向から避けるようにステップ。通りざまに高速でステップ捕食『鮫牙』で太い足の一部を齧り取りながらバーストを継続。そのまま瓦礫の雨を舞う様に躱す。

 地面を滑るようにステップ。回り込む。

 舞い終わった後に、破砕後の粉塵でこちらを見失ってるヌァザの背を捉えた。

 

「ヒハハ……」

 

 ──ゼロスタンス。

 霞の構えの様に、顔の横にブレードを添える。

 ロングブレードが妖しく光った。

 強く踏み込んで、放たれた一矢の様に鋭く飛び出す。

 

「ヒャハハハッ! 壊して喰らって殺してやるよォ!!」

 

 ロングブレードが背中を見せているヌァザの輪っかを時間の許す限り切り裂く!

 それにたまらず、ヌァザは背中に付いた虫を振り払うように大きく暴れまわった。

 喋りとは別に、イザナイは冷静に距離を取る様に後ろにステップを繰り返す。即時危険がない程度離れると、神機を近接武器形態から銃形態へと変化させ今ヌァザを食らって確保したオラクル細胞を銃身外の外部マガジンにあたる部分へと保管する。

 

「ヒヒ、リザーブする。エイミーどうだ」

『ダメです! 結合崩壊に至りません。おそらくあの背中の輪には高密度のオラクル細胞が集中していると考えられます!』

「じゃあ、やっぱ」

『はい。破壊すれば著しく攻撃力の低下、及び行動の緩慢化が推測されます』

「イイネェ。オペレーターがちゃんと考えてくれるってのはありがてぇぜ!」

『! 遠距離攻撃、狙われています!』

 

 ガコン! リザーブし終えて、再び近接武器形態のロングブレードに変更する。

 その後すぐさまステップを踏みヌァザへと飛び込む。

 べチャリ。先ほどまでいた場所の広範囲に紫色の瘴気を放つ沼が出来上がった。

 

「遠距離攻撃を確認。ヒヒ、恐らく設置型のヴェノム!」

『オラクル反応確認! 規模的にしばらく残ります! 誤って踏まないように注意! 正面、灰域種本体、来ます!』

「あいよォ!」

 

 毒沼は時間経過で小さくなっていくが、再び息をつかせぬようにヌァザが腕を振り回しながらこちらへ前進。横の少し高い家の壁を蹴りあがり、空中に飛び出す。

 神機を再び強く握り締め、開幕に食らわせた空中から地面へと高速降下する捕食攻撃を行おうとするが……!

 ヌァザの髑髏面が大きく口を開く!!

 

「穿がッ──! マズッ、シールド!」

「GOAAAAAAAAAAAAA!」

『×××認! ××、追撃×ます! ×面に着いたらアラガミ右への移動を推奨!』 

「ッ──。一度見ただけなのに対策完璧かい!」

 

 空中で咄嗟に神機の装甲を展開! シールドにすさまじい衝撃!

 オラクルを混じらせた咆哮の攻撃だ。全方位に音撃が響きまわった。

 それを身に受けたイザナイは突風に巻かれた木っ端の様に空中で回る。だが冷静に、バースト中可能な足元へと一瞬だけオラクル細胞の床を形成する技術を使い空中で体勢を整える。地面へと背中などから落ちることなく大道芸の様に二足で着地。 

 一瞬耳がやられた気がしたが、オラクル細胞が一瞬で鼓膜を癒していく。

 オペレーターのエイミーの誘導に従って、ヌァザの腕のない方向へと素早く突っ走り、駆け抜ける。ドゴンッ! と背後からヌァザが腕を叩きつける音。とどまっていたらミンチだった。

 駆け抜けながら、回復錠を弾くように取り出して口へとシュート。

 失った分のオラクル細胞が充実していく感覚を味わう。

 

「ヒヒ。人型を模してるってことはやっぱ知能がそこそこだなァ」

『イザナイさんのバースト時間、残り半分です。気を付けてください』

「ヒヒヒ、楽しくなってきたなァ!」

 

 ヌァザが再び姿勢を低くして、タックルの構え。

 対してイザナイも再びゼロスタンス。

 ギザギザの歯をむき出しにして、獣のように笑う。

 『No way back "Im GOD EATER"』の文字の先にヌァザを捉え、真っ向勝負!

 

「対策するってことアレだろォ? 択増やせば頭バグんだろがァ!」

『イザナイさん!? 何を! ……ああもうっ、信じますよ! バースト時間残り僅かッ!』

「ヒャハハッ! バーストアーツだァ!」

 

 突っ込んでくるヌァザへとイザナイは踏み込む。エイミーがハラハラしながらそれを見守る。

 ロングブレードを顔の横から、天そして地へと円を作る様に回転させる!

 ガリリリッリッ! 激しい金属音、地面へと擦りつけられたロングブレードが再び天へと今までとは違う濃密なオラクル細胞を纏って解き放たれた!!

 

「飛天翔ォッ!」

 

 ヌァザの髑髏面をロングブレードの切っ先が掠め、神機の纏ったオラクル細胞が貪欲に捕食する。視野を担当するヌァザのオラクル細胞群が一瞬消え去り、数秒ほどで他部分から補強される。さらに、神機からあふれ出した余剰オラクルが周囲への剣閃となってヌァザのその他感覚器を引っ搔きまわす!

 今この数秒は視野を潰されてしまった。

 だが、たかだか数秒の事だ。周囲を刻む剣閃も大した威力ではない。

 ヌァザの正面にイザナイはいたのだ。その事実は変わらない。

 圧し潰してしまえとヌァザは怯まない!

 

 とん。

 

 暗転後、軽い音がヌァザの耳朶が捉えた。

 それは、空中へと飛んだイザナイが脆いオラクル細胞の床を作り、空中でさらに天へと踏み込んだ音!

 

「勢いづいて、転んじまいなァ! バーストアーツ!!」

 

 現在のバースト時間的に最後。

 空中で隼の様に身を切り返したイザナイは前傾姿勢になっているヌァザの後ろ側。

 散々狙った輪っかではなく、無防備になっている片足に狙いをつける!

 

「スピニングゥ、フォールッ!!」

 

 ぐるりと天にかざして再びオラクル細胞を振起させたロングブレードを、エビぞりの姿勢から最大威力でヌァザの片足、くるぶしのあたりへと叩きつけた!

 ドゴンッ!! 凄まじい音と共に地面へと衝撃が走る。

 ヌァザの足首から先が宙に舞い、余波によって大腿部まで大きな亀裂が入る。宙に舞う足首を地面へと着地したイザナイは神機を一瞬でプレデターフォームへと切り替え、クイック捕食。

 片足をバラされたヌァザはタックルの勢いのまま、地面ですさまじい轟音をさせながら三転ほどして地に付す。

 再びバーストしたイザナイは、隙を見逃さずに駆け出した。

 

『アラガミ、結合崩壊発生! ダウンです! 追撃を、怠らない、でくださいね……?』

「ヒャハハ! オラオラオラァ!!」

『う、うん。『怪物』かぁ……。『怪物』かぁ』

 

 何故かエイミーは二回言った。

 そして、ハッとなったようにオペレートを再開。

 

『アラガミ、ダウンから戻ります! アラガミ激昂! 活性化!』

「ヒヒ、来るか!」

『──捕食攻撃、来ますッ!!』

 

 ダウンから回復し、転がるように暴れイザナイを付近から吹き飛ばそうとするヌァザ。ついでに先ほど吹き飛ばした片足も歩行に問題ない程度形が戻っていっている。

 イザナイはエイミーの指示ですでに離脱し、遠巻きにヌァザを観察開始。

 起き上がったヌァザが、全身のオラクル細胞を隆起させ怒りを感じさせる咆哮を上げた!

 

 ヌァザの左腕が、赤黒い膨大なオラクル細胞に包まれる。それはまるで、たくさんの人の手が集まってできた赤黒い触手だった。

 

 ──た、タタリガミ、タタリガミっぽいですわ! さぞかし名のある山の主と見うけたが何故そのようにあらぶるのか、ですわ!

 ──いや、俺達が壊して喰らってるからだろ!?

 

 ヌァザは怒りで全身のオラクル細胞が活性化しているために、今までよりも素早い行動でその触手を振りかざす!

 かこん、からん。

 そんな中、頭の中であほな会話をしていたゴッドイーターは下投げで、とあるモノを投げていた。

 

「ヒヒ、すたこらサッサだぜ」

 

 瞬間、凄まじい閃光と爆音。

 ヌァザは再び視覚を潰されあちらこちらへと、その触手を振り回す。

 視覚が戻った時、ヌァザの目の前にはイザナイの痕跡一つ残っていなかった。

 

 灰域種は活性化時に捕食攻撃を行う。

 全身のオラクル細胞が活性化している時にのみ、先ほど捕食攻撃の際に出した特殊な行動を行ってくるのだ。

 だから逃げた。

 活性化したときに捕食攻撃をしてくるのなら。

 活性化が終われば捕食攻撃が行えないと同義なのだ。 

 

 相手を見失ったヌァザは怒りのまま、思考する。

 

 そして、ダンッ! と強く地面を左腕で殴りつける。

 

 次の瞬間。

 周囲の地面が、爆発でも起こしたかのように周囲へと波立ち吹き飛んだ!!

 

 ヌァザの視線を遮るものがなくなる。

 活性化した視野が、空から降り注ぐ瓦礫と地面の波を避けるように動く黒影を捉えた。

 ヌァザは力をためるように地面を踏ん張る。

 

 そして。

 

 ──跳んだ。

 

 黒い触腕を再び空からその瓦礫を避けるように動いていた黒影。イザナイに向かって振りかざす!!

 

「マジ、かよッ!!」

「GOAAAAAAAAAAA!!!」

「……ヒヒヒ、仕方ねぇなァ? 遊んでやるよ」

 

 何とか触腕を躱したイザナイ。

 怒りで何度も咆哮を上げるヌァザを前に、冷や汗をたらりとかいて再び構えるのだった。

 

 




 戦闘終わってくれ!!(懇願)
 感想誤字報告本当に頑張る元気になって助かりました……。

 9/13追記。
 展開に悩んでるのでもう少し待ってくださいね。
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