よわつよ! 作:やきごはん
イリスはエリスの手を強く引く。
もう、ここに居てはアルファベアーに殺されるだけ。
「おい!」
若い男が目の前に立ち塞がるが、研究者の彼は細身で痩せていた。
筋肉質のカリプスのタックルで簡単に転ぶ。腰を打ったのか、すぐさま立ち上がることができない様子だったので、2人はその隙をつき、その横を通り抜ける。そして、カリプスも後を追う。
「っ……待て!! ……っ!!??」
立ち上がって追おうとするが、目の前に大きな影が。
アルファベアーが男を踏み潰した。
そのまま、逃げた3人を追う形でアルファベアーは廊下を爆進する。
「くっ、追いつかれる!」
と、先の角から博士が走ってくる。
咄嗟にイリスは博士に言う。
「博士! アルファベアーが!!」
「っ!! ……おお、おお!!」
カリプスはイリスの心を読む。
なるほど、あの博士はもう。
「行くぞ!」
3人が博士の横を通り過ぎる。
博士は3人を気に留めることもなく、アルファベアーへと近寄る。
「まさかこんなに早く完成するとは……!!」
そして、目の前の熊が己を引き裂いてもなお、高らかに笑っていた。
「あのドアの横!! 通気口から出れる!!」
システムはダウンしており、ドアは開かない。
が、ここに来てから少しずつ調べておいたおかげで、通気口にガタが来ていることを知っていた3人。
そして、通気口に入る。
後ろからはアルファベアーの大きな足音が聞こえてくる。
カリプスが通気口に入るのに戸惑っていると、アルファベアーが追いつく。
再び、その爪を振りかざそうとした瞬間。
後方が光り輝き、3人とも爆風で吹き飛ばされる。
空中に吹き飛ばされながらも、咄嗟に2人を掴んだエリスは、盾を展開する。
もうボロボロだが、空中から森へと墜落する位は耐えられるだろう。
そしてその空から、研究所が大きな爆発をするのを目撃した。
「ノエル……っ」
そのまま3人は、森へと墜落した。
少し戻って、アルファベアーが盾を割った時
ノエルは未だ魔力が放出されている。
自我はなく、ただただ放っている。
そして、どんどん周囲が爆発に巻き込まれていく。
爆炎に飲まれながら、ノエルは最後の放出をした。
それは、周囲の部屋全てを焼き切る大きな爆発になり、そのまま研究所ごとノエルは吹き飛んだ。
3人とは違った方角へと吹き飛ばされたノエル。
そのまま森へと吹き飛ばされていく。
そして、彼はまだその暴発した魔力の残滓を纏ったまま、隣国「聖都ヴェルファイア」との境界とされる、バリアウォールを突破した。