よわつよ! 作:やきごはん
聖都ヴェルファイア 辺境 アーロン邸
「アーロン様」
「うん、久しぶりの侵入者だね」
かなり高級なイスに座りながら、目の前にいるメイドに対して応答するアーロン。
「ナスカ。君が行ってきてくれ」
「分かりました。行って参ります」
メイドは一礼をすると部屋から出て行く。
聖都ヴェルファイア バリアウォール付近
「あれは……!?」
ナスカが近づくと、そこには倒れている少年の姿が。
アーロン邸にて。
「彼は?」
「魔力をかなり使ったみたいでした。後は多少の火傷を負っていましたが、治療できています」
「良かった、ありがとう」
翌朝
目を覚ますと知らない天井だった。
そして、1人の女性がこちらを見ていた。
「目覚めましたね」
「……誰……?」
「私はナスカ。怪しいかもしれませんが、私が気絶していた君を助けたんですよ?」
「……ありがとう……ございます」
「うん!お腹は空いてる?」
そう聞かれると途端に意識してしまう。
ぐうぅぅと腹が鳴った。
「あははっ、用意してくるから待っててね」
部屋から出たナスカは、ご飯の用意と同時にアーロンに目覚めたことを伝える。
コンコン
部屋のドアが開くと、美味しい匂いと共にナスカとアーロンが入ってきた。
「こんにちは、私はアーロン。この家の持ち主だ」
こくりと頷く。
「ご飯を食べながら聞いていてほしい」
そう言うと、ナスカがご飯の入ったトレーを置いた。
手を合わせて食べ始める。
「君が何故バリアウォールを超えてこれたのかはなんとなく分かる。リッテンのあの研究所が爆発した事と関係があるのだろう」
アーロンも椅子を持ってきてそこに座る。ナスカはその斜め後ろに立つ。
「まぁ、あちらの国で起きたことは深くは聞かない。ただ、君をこの後どうするかについて、話さなければいけない」
ご飯を食べながら、耳を傾けていたが、ふと母の顔がフラッシュバックする。
「お母さん……」
静かに続きを聞くアーロン。
あの研究所絡みなら、親と何かしらあるだろうと踏んでいる。
オーヴェン達に攫われたあの日。
ノエルの母アリアは、地下で鎖に繋がれていた。
オーヴェンは、アリアに何か秘密があると考えた。アリア自身にもノエルにも、魔力があり過ぎるからだ。
その謎を解き明かすまでは、アリアを売り渡せない。もしかすれば、オーヴェン一派の戦略を強くすることも出来るかもしれないからだ。もう、あんな金の亡者に仕事を頼んでいては大変だ。
だから、子供を研究所に売り渡し、それを人質として、暫く監禁することにした。
アリアは、ノエルが無事ならと、抵抗はしなかった。
あまりにも抵抗しなかったのが気になるが。
そして、ノエルにはお前が変なことをしなければ母親は死なないと脅した。まぁ、12のガキだし、魔力が強いだけで、本人はなよなよとした奴だった。恐らく変なことはしないだろう。
と、思っていたはずなのだが。
「研究所が爆発しただと!!??」
「はい。収容していた子供達全員消息不明です」
「おいおい……」
「アリアにどう説明しますか?」
「説明しないさ。何が起きているのかも分からないのだから、生きていると情報を与えるだけ。それより、早くアリアは何者なのかを突き止めてくれ」
「かしこまりました」