よわつよ! 作:やきごはん
決闘スタジアム
「ルールは3vs3のチーム戦、禁止行為は相手の殺害。これだけだ」
スタジアムには、生命探知機が備わっており、もし戦闘している生徒に命の危機が発生すれば即刻試合が中止され、一瞬で医務室へとテレポートされる仕組みが整っている。
では、一撃必殺であればどうかと言うと。
決闘開始時に、言うなれば残機を+1して貰った状態を得る。
即死の攻撃を喰らっても、データ上でその攻撃が判定され、ただちに戦闘は終了、もしくは食らった選手は棄権退場となる。
どちらも、死に至る事はないシステムになっている。
「ノエル、お前は後方支援だ。良いな?」
レネが言う。
「そんで私とシンで3人を相手にする」
シンが戦闘体制に入る。
ノエルも後方から自分が制御できる分の魔力で、魔法を打ち2人を援護する。
「それじゃ、始め!」
ザナードがシンに向かって攻撃を開始する。
「パワーウェーブ!」
同時にギアラとバーデンがレネへと向かっていく。
「ひっ!」
ノエルが仰け反り、尻餅をつく。
その声に反応し、レネが振り向くがギアラの大剣を防ぐので精一杯だった。
「お前の相手は俺だ。同じ大剣使い」
「ちっ……」
ノエルには幻覚が見えていた。
正しくは認識阻害が入っていた。
レネに向かったはずのバーデンがこちらを向き、一瞬にして眼前へと迫ったからだ。
しかし実際にはそんな事はなく、バーデンはギアラとレネの鍔迫り合いを通り抜けて、漸く尻餅をついたノエルの元へ。
「アイスウォール!」
パワーウェーブを氷の壁で防ぐシン。
ザナードは火属性、シンは氷属性の使い手だ。
「氷ねぇ……溶かし尽くしてやるよ」
ザナードは先ほどよりも大きな炎を作り出す。
「ファイアボール!」
人ほどの大きさはある炎球が3つ、シンへと迫る。
「お前みたいに何度も引っかかってくれる奴……久しぶりだ!」
接近したバーデンは右足を蹴り上げる。
咄嗟にノエルは自分体の左側を守ろうとする。
「ぐぅっ!?」
ノエルの右脇腹にバーデンの左足が直撃する。
「何回引っかかってくれるのか楽しみだ!」
倒れ込むノエルに今度はかかと落としを仕掛ける。
「ぅ……らぁ!!」
ガキィィンと音を立て、ギアラを弾き飛ばすレネ。
反動で一瞬空中に浮く。
その隙を見逃さず、ギアラは剣を杖代わりに自分の体を無理やり前に向け、爪先でレネの顔に蹴りを入れる。
「がっ……!」
浮いた状態で攻撃を避けれず食らい、同じ方向に力が加わり、着地後2歩ほど後ろへと下がる。
その間にギアラは、足を地面に下ろしながら、後ろへ構えた剣を振り上げる。
「間に合わ……!」