よわつよ! 作:やきごはん
ノエルはすぐ見つかった。
一番奥の部屋の隅で縮こまっていた。
オーヴェンは彼の魔力の強さを知っている。
だから、慎重に近づこうとするのだが。
「お、おい! レンブル!」
レンブルはお構いなしに近づくと、怯えているノエルを掴み上げ、壁に投げる。
ドンという音と共に、ノエルはずりずりと背中と壁を擦り合わせながら落ちる。
「馬鹿! そいつは……!」
ノエルの何かが揺れ動いた気がした。
そのタイミングをレンブルは逃さなかった。
ググググ______ドサッ__
ノエルはそのまま地面に横たわった。
「今のは無力化の魔法か?」
「そうです。ガティさんから話は聞きましたが、彼はその巨大な魔力を自由には使えなさそうでしたので」
「何故あいつは俺にそれを言わない……」
「まぁまぁ。これで良いんでしょう?」
気絶しているノエルをオーヴェンに投げ渡す。
「おっとと! 投げるな!」
「はいはい」
「まぁこれで良い。行くぞ」
と、廊下の向こうでアリアが立ち塞がる。
「息子を離して下さい!」
先ほどよりも殺意の篭った目で2人を見つめる。
その視線を受け、何かを考えるオーヴェン。
睨み合うこと数秒。
「奥さん、あんたもなんか怪しいんだよ」
「っ!?」
「だが……あいつのとこガキしか受け付けてねぇし……」
オーヴェンは一般の母親が発せられる殺意ではないと感じる。
同時に、ノエルの潜在的な魔力の話と加味すると、この母親にも秘密があるはず。
この母親を見逃せば、またどこかで子供を作るかもしれない。それは厄介だ。
俺は、楽に搾取したくてこんな辺鄙な村に家を構えているのだ。
それに。と、横にいるレンブルを見る。
レンブル。こいつは俺の家の者ではない。
フリーの何でも屋だ。
貴族からの依頼があれば遺憾なくその力を発揮してくれるが、要求する金が高い。
今回もガキを攫うだけで、500万かかっている。
「はぁ……レンブル。あの母親を殺せ、と言ったら?」
「2000万で」
「クソが……」
そこまでしてあの母親を殺す理由があるか……?
待てよ。子供を産まれたら不味いから、娼婦やどっかの貴族に売りつけるわけにはいかない。万が一があるから。かと言って野放しもダメ。殺すにはアホみたいなお金がかかる。正直言えば、俺の家はこんな所に構えたせいでそこそこのお金しかない。一気に2000万も気前よく払えるわけが無い。
「おい、レンブル。同じく無力化なら?」
「うーん。1000万」
「高ぇ……なら、この女を
言い切る前に目の前の女がこちらへ襲いかかる。
顔面に重い一発を食らったオーヴェン。
慌ててレンブルに指示を出す。
「1000万払う! 早く!」
「はいはーい」
ググググ______ドサッ____
アリアはその場に倒れた。
レンブルはそれを抱えると家を出る。
そしてアリアもオーヴェンを投げ渡した。
「おいっ!! お前が持ってけ!」
「100万」
「4ね!!!!!」
その一部始終を村の幾人かは見ているかと思うが。
そんな事はなかった。
ガティのスキル。透明化により、オーヴェンとレンブル、そしてアリアとノエルは周囲から認知されなくなっていた。
「はぁ……はぁ……疲れた…………」
屋敷につき、抱えていた2人を降ろす。
ガティが冷たいお茶を持ってきてくれていた。
「気が利くな」
ゴクリと飲めば、乾いた喉に染み渡る。
「透明化はどうでした?」
「完璧だ」
「ありがとうございます。400万です」
「お前も4ね!!!!!!」