よわつよ! 作:やきごはん
ノエルが目を覚ますと、見知らぬ天井が見えた。
ベッドに寝ていたため、そこから起き上がり、ドアへと向かおうとするが、鎖に繋がれていてドアには届かない。
すると、ドアが開く。
「おお、目が覚めたか」
目の前には白衣を着た若い男がいた。
「……」
「怖がる事はない、私達は君の力を少し貸してもらうだけなのだから」
「……お母さんは……」
「ん? 君の? 知らないな、ここに来るのは子供だけだからね」
「……」
ノエルは事態が飲み込めず混乱しているようだった。
それを察した男は、ある程度のあらすじを語る。
「君は、オーヴェンさんから売られて、このマグナイ研究所へ来た。そしてこれから、研究に付き合って貰うって訳だ」
そう言うとまず、足と手を縛りつけてから、鎖を外す。
よたつくノエルを台車に乗せ、どこかへと運び始める。
運ばれてきたのは、白い大きな部屋。
左右に3個のカプセルがあり、そこからコードが伸びて中心のカプセルへと繋がっている。
その中の一つに入れられる。
「さぁてと。これはマグナイ先生からの仕事だ。君の魔力はいかほどのものか見せて貰うよ」
ガコンと、レバーを倒せばノエルの入ったカプセルが稼働する。
少しずつ中にいるノエルから魔力を吸い取ろうと、体内の魔力へと刺激を与えて行く。
刺激されたノエルの魔力は、ノエルの意思に反して外へと噴出する。
噴出して噴出して噴出して噴出して噴出して噴出して_________
「やばいっ!」
慌ててレバーを戻す。
「な、なんだこの子……」
「はぁ……はぁはぁ……」
カプセルから出されたノエルはかなり消耗していた。
そのまま台車に乗せられ、先ほどいた部屋とはまた別の部屋へと運ばれた。
そこにはノエルの同じくらいの子供達が3人居て、トレーに乗ったご飯を食べていた。
「ここでご飯を食べて。30分後にまたくるから」
男はどこか慌てた様子で、ノエルをご飯部屋に残すと走り去る。
「あんな子は初めてだ……! 早くマグナル先生に伝えなければ……!!」
机の一つに、誰も手をつけていないトレーがあった。
ノエルは未だふわふわした感覚のまま、そこに座る。
(お母さんはどこ……助けて……)
と、横に座っていた金髪の少年が話しかけてくる。
「君も、犠牲者に?」
「……? ……犠牲者?」
「ああ、何も知らずに売られたのか。可哀想に」
ため息をつくと、こちらを向きながら話を続ける。
「ここに送られてきた子供は、他の子供よりも多くの魔力を持つ子ばかり。だけど、色々な原因で、売られてしまった子。そして、ここでその魔力が枯れるまで搾り取られる。だから、犠牲者って言うのさ」
「……」
「あ、自己紹介がまだだったね。俺の名前は、カリプス。産まれながらにして人の心を読める力を持っている。それが故に、親からも恐れられ、高い金と引き換えに売られた」
「……そうだ、1-10の中で好きな数字を頭の中に思い浮かべてみて」
「え……?」
「いいから」
「う、うん……」
戸惑いながらも頭の中に8を思い浮かべる。
「8だね」
「!!」
「はは、凄いでしょ。というか、8を浮かべた人は君が初めてだけどね」
そう話していると、正面の席で食べていた銀髪の女の子が話しかけてくる。
「ねぇ、貴方はどうしてここに?」
「そんな事よりまず自己紹介じゃない?」
銀髪の女の子は2人いた。
瓜二つ。
違う点といえば目の色が黄か緑か。
「確かに! 君の名前をまだ聞いていなかった」
カリプスも賛同する。
「ノエル……」
「私は、イリス」
「私が、エリス」
そういうと、2人がノエルのトレーを指さす。
「食べないと」
「もうすぐ部屋に戻される」
そう言われて、ノエルは慌てて目の前の食事を食べ始めた。