よわつよ! 作:やきごはん
「マグナル先生、彼は凄いですよ!」
「ああ、ああ! これなら、すぐ様アルファベアーの第二試験を始められるぞ!!!」
「どうしますか? 明日にでも抽出を?」
「いや!! 今日だ!!!」
「今日ですか!?」
「ああ! 漸く捕まえたのだから、早く使わねば損だ!」
「わ、分かりました。早速用意をしてきますね」
20分後。
再びカプセルに入れられたノエル。
カリプス、イリス、エリスも入れられている。
「始めろ!!」
「はい!」
レバーを倒す。
4つのカプセルから魔力が抽出される。
一際大きな魔力を抽出していたのは、ノエルのカプセルだったが。
噴出し続けると、少しずつノエルの意識が朦朧とし始める。
不安になり、他の皆んなを見るも、既に気絶してカプセルの中で項垂れている。
無理矢理。魔力を放出させれば体が防衛しようとして、体内の機能を止める。その結果が、気絶だ。
「おお、おお!! ここまで耐えている!! しかもこの量!!!! 素晴らしいぞ!!!!!」
中心のカプセルの中に、少しずつ何かが形作られていく。
「本当だ……もうアルファベアーのコアが!」
「ああ!! これなら、3回も抽出すれば、アルファベアーの元を作り出せるぞ!!」
形作られていく姿は、どこかで見た気がして。
アルファベアー______熊_______カプセルに映る紫_____踏み潰された父_____あの夜のこと______揺れる精神_____返せ_____!
バリっと、何かが割れる音がする。
マグナル先生が慌ててノエルのカプセルを見ると、気絶したノエルと共に、ガラスにヒビが入り始めていて。
「止めろ!!!!!」
「は、はい!!」
レバーを慌てて戻す。
「さ、先にガラスが割れるなんて……」
「こいつはまだまだ魔力を持っていた……なんて逸材だ!」
「し、しかし。ガラスが……」
「関係ない! まだ余りが2つあるだろう。それを使って元を完成させてから、修繕すれば良い」
「分かりました。では、また明日に?」
「ああ。明日、そして明後日。これでアルファベアーの第二試験を始められる……ふふふ、はははははは!!!!!」
目を覚ませば、先程の天井。
ノエルの記憶は混濁しており、ご飯を食べた後からがハッキリしない。カプセルに入れられたのは覚えている。その後……
頭がずきんと痛む。何か思い出して欲しくなさそうな。そんな感じ。
部屋には窓がついていない。今は何時だろう?
同時刻。イリスとエリスの部屋。
「エリス、彼を利用したい」
「利用してここから出られるの?」
「うん。絶対」
絶対と断言するイリスの目は確かな意思を持っていた。
「どうやるの?」
「簡単。彼はアルファベアーを見た瞬間に、あのガラスを割るほどの力を放出した。しかも自我を失いながら」
「つまり。明日彼が再びアルファベアーを見た時に?」
「ううん。それだと、あいつらが止めてしまう。だから、明日カリプスと作戦を立てる」
「わ、分かったけど……彼はどうするの?」
「多分、彼が全部の魔力を出せばこの研究所ごと吹き飛ぶから」
「彼自身も巻き添えにってこと?」
「うん」
「そんなの……!」
「出来ないじゃないよ。やるしかないの」
「っ……」
エリスを抱きしめる。
「もう貴女の苦しむ顔を見たくない……だから、お願い……」
「……私は……」
複雑な表情をしているイリス。
イリスは少なくとも、ノエルを見殺しにすることは出来ないと思っている。
しかし、今まで受けてきた苦痛。これから受ける苦痛。目の前にいるエリスの苦痛に歪む顔はイリスも見たくない。
生まれてから一緒だったエリスを取るか。会って間もないノエルを取るか。
「分かった……分かったよ、イリス……」
「ありがとう、エリス」
再び強く抱きしめられる。
抱きしめられながら、エリスは覚悟を決めた顔をしていた。