まぁ、今回の話は熾堂の周りの話と伏線張りですね。何故か恋愛物になりましたが。
では、どうぞ。
「おはようすずか」
「あ、おはようアリサちゃん」
私立聖祥大附属小学校へと向かうバスに乗り込んだアリサはいつも座る座席に、先客としてバイオレットの髪を持つ親友、月村すずかがいる事に気付く。
バスの外には両親が車から手を振っているのに気付き、振り返す。これから両親はアメリカに飛んで新たなプロジェクトを開始するらしい。しばらくは忙しくて戻ってこれないと言っていたので、私に対する配慮なのだろうと思う。
それに比べて、私がいつも起こしてあげているのにいつもアイツはお見送りにすら来てくれない、という事に気付き、ため息を吐く。
「どうしたの?アリサちゃんがため息なんて珍しいね?」
「いや…毎朝熾堂を起こしてあげてるのに、アイツは私のお見送りとか来てくれないから…」
私がポツリと呟くと、すずかがクスリと笑う。
「本当に、好きだねアリサちゃん」
「なっ…!?わ、悪いかしら!?」
一気に顔を赤面させて開き直るアリサを見たすずかは再びクスッと笑いつつ、悪くないよ?と返す。
「熾堂君カッコいいもんね?なんだかんだいって優しいし?」
「…うん…」
普段は明るくて気が強い少女がしおらしくなり、赤面して俯く所を見たすずかは、恋する少女は大変だなぁと他人事のように思う。自分もこんな感じになるのだろうか、と考え始めた所で、親友である高町なのはがバスに乗って来るのが見えた。
「すずかちゃんアリサちゃんおはよーなの…ってアリサちゃん!?顔真っ赤だよ!?」
「な、なんでもないわよっ!」
なのはの声にアリサが慌てて返事する。そんな二人にすずかが、熾堂の事でこうなった事をバラし、それが学校中に流れ、騒動になる事を3人はまだ知らない。
(「ジュエルシード、願いを叶える宝石…しかしその願いを正く叶える可能性は低い。そして魔法。主にミッドチルダ式とベルカ式に分かれる。ウィングとロックはミッド式。どこかに封印されていた2機はジュエルシードの発動を感じ取ったとともに、封印を解除され、俺の元に転移した…大雑把だがこんな所か?」)
木に寄りかかりながら日向ぼっこをしつつ、念話でデバイスと状況確認をする俺。現在いるのは戦った現場の近くの公園。俺が気絶する寸前、ロックが周囲を
(『イエスマスター。ジュエルシードがこの町に来た時、この町を守ってくれ…と、前のマスターに言われたのを覚えています。』)
(『しかし、そのマスターが誰なのかは思い出せん。おそらくそのマスターが工作したものだと思われる。』)
ウィングとロックの言葉を聞きつつ、熾堂は情報を整理する。
(俺の元に転移したという事から考えられる可能性は2つ。1つは元々俺に座標指定されていた場合。もう1つはただ単純に転移先に俺がいたという可能性。だが…ウィングに残っている記憶から考えると後者の線は薄い…そして俺に座標指定がされていたという事は、おそらくコイツ等の元マスターは俺の身内である可能性が高い…か。)
兎にも角にも情報が少な過ぎて絞りきれない、と頭の中の考えを霧散させて日課の空を眺める作業に入る。
そこにある空は昨日とも、一昨日とも変わらず、今日も綺麗な水色を見せていた。
「つ、疲れた…。まったく…すずかがあんな事言うから…」
「あはは…ゴメンね?私もあそこまで騒ぎになるとは…」
「ふにゃぁ…なの…」
既に学校は終わり、歩いて帰っているアリサたち。しかし3人ともげっそりしているのは何故か。それはすずかの教室での一言が原因だった。
―――――――熾堂君って、普段アリサちゃんの家で何してるの?―――――――
元々、アリサ、すずか、なのはの3人は、私立聖祥大附属小学校の3大女神といわれ、ファンクラブも設立されるほどの人気を持つ。そんなアリサの家に同年代の男子が住んでいるという話。それを聞いたファンクラブの男子が慌てだす。
――――――まさか、あのアリサ様には既に彼氏が…!?
――――――そんな、我々の女神が…!?…
落ち込み、絶望した表情をする男子達。それを見てまずいと思ったのか3人で誤解を解いて行く。そんな中、1人の男子が突然ポツリと言った。
―――――――――まさか、アリサ様が弱みを握られて…!?―――――――
それに目聡く…いや、耳聡く反応したアリサが否定の言葉を述べるよりも速く、その言葉は他の男子へと浸透していく。
――――――なんて事だ…!?
――――――弱みを…?
――――――しかし、そう考えるならば全てつじつまが合う…
――――――そんな…俺達は一体どうすれば…
どんどん大きくなっていく騒ぎに、それに比例して青くなる3人の顔。このままではまずい、と思い声を出そうとした瞬間…
――――――俺達の手で…アリサ様を、お守りすれば…!――――――
今まで小火でおさまっていた騒ぎに油を樽ごと吹っ掛けるような言葉が原因で、男子達から爆発したような声が上がる。
―――――そうだ!ここで立たなきゃファンクラブ会員の名が廃る!
―――――アリサ様は俺達の手で守るんだ!
こうなるともう収集が付かない。が、熾堂を巻き込む訳にも行かないので必死に男子達に着いた火の消火活動を行って行く。なんとか火は鎮火したが3人の体力は限界だった。
「本当にごめんね、アリサちゃん…あれ?」
「もう良いわよ…どうしたのすずか?」
苦笑いして謝罪していたすずかが急に立ち止まったので2人とも立ち止まる。
「あそこ…」
「「…?」」
おもむろに突き出された指の先にはひときわ大きな木があり、その根元にはどこかで見た事あるような金髪の少年が昼寝していた。というか熾堂だった。
「…本当に、アイツは…」
熾堂には関係ないが、熾堂の事で疲れたのに、コイツは呑気に昼寝してるとか…と、怒りを通り越えて呆れてしまう自分がいて少し笑ってしまう。
「…?アリサちゃん?」
アリサの笑い声が聞こえたのか、隣のなのはが不思議そうな顔でこちらを見てくる。
「なんでもないわよ。さ、熾堂を起こしに行きましょ?」
朝も起こしたのにね、というすずかと2人で笑い、熾堂の元へ走って行く。
「ほら、熾堂。起きなさい?帰るわよー」
一番に熾堂の元へたどりついたアリサが熾堂のサラサラの金髪を触りながら言う。しかし、羨ましいほどサラサラで若干笑顔が引きつる。
「…んぁ…お帰り、アリサ。おはよう」
「おはようって…もう夕方よ?」
「…それでも、起きたからおはようだ」
よいしょ、と言いながら立つと、熾堂の頭はアリサより高くなってしまい、必然的に熾堂の頭にアリサの手が届かなくなり、落ちる。
「…ふぁ…すずかとなのはもお帰り。久しぶりだな」
「うん、久しぶり。相変わらず良く寝てるね?」
「う、うん。久しぶりなの」
そこでアリサは、なのはの様子が若干おかしい事に気付く。しかしそれよりも先に気になる事が1つ。
「…アンタそんな腕輪と首飾り持ってたっけ?」
「…気に入ったから買った。ここに来た時露店があったからな」
アリサが素早く周囲を見渡すが近辺にそのような物はない。熾堂が寝ている間にどこかへ行ってしまったのだろう、と深くは考えずに結論付け、ため息を吐く。
「…何してるんだ?早く帰ろうぜ」
眠そうな眼でこちらを見つめつつ言う熾堂に、気付けばか。と思うが、言っても「何の事だよ」とか言って不思議な顔をされるのがオチなので黙って熾堂の横を歩く。それにすずかとなのはも続く。
4つの影法師が並ぶ。太陽の位置の関係か、一番端にいる熾堂の影が長く、その次にアリサ、すずか、なのはの順に長い。
まるで家族みたいだな、と思い、そうなると私が母親で熾堂は…と考え、顔が熱くなるのを感じる。
夕焼けの所為だ、と強引に考えてちらりと少し、横の熾堂の顔を盗み見て、さらに顔を熱くしつつ、アリサは帰路を歩いた。
何故かめっちゃ甘い話…本当に、どうしてこうなった。
なのはの異変…既にユーノと邂逅済み。アニメで言うなら2話か3話位の所。魔力を持っている熾堂に戸惑っているご様子。喋りが少ないのはレイハさんと念話してるから。
それにしてもませている小学生…コイツら本当に小学生か?
というわけで第3話でした。こんなに恋愛物になるとは予想してなかったんや…
誤字脱字の報告等、よろしくお願いします。
それではノシ