それではお楽しみください。
本日は日曜日。休日である。
そして今は7時。世の人々の殆どはまだまだ惰眠をむさぼっている時間であろう。
なればこそ、それこそ、惰眠むさぼり隊リーダー(自称)である俺夕影熾堂が起きていることに違和感を持たざるを得ない。
「…なんで俺がこんなに早く起きなきゃならないんだ…」
「いっつも寝てるんだからいいでしょうが!それに今日はなのはとすずかとサッカーを見に行くって約束してるの!たまにはアンタも付き合いなさい!」
理不尽だ。そう呟きつつ、俺はトーストをかじる。
「お、おはよう。アリサちゃんに熾堂君。そこのベンチに座って応援すると良いよ」
「おはようございます!はい!精一杯応援しますね!」
「…おはようございます」
高町士朗。なのはの父親であり、めっちゃ若い。そして…
「そして熾堂君。サッカーしてみる気はないかい?それか剣道」
「…丁重にお断りさせて頂きます」
俺をしつこく勧誘してくる。何故だ。
勧誘してくる士朗さんをかわし切り、既になのはとすずかが座っているベンチに向かう。
「おはよう、すずかになのは。遅れてごめんね!」
「おはようなの!ううん、全然大丈夫なの!」
「それに遅くなったのは大体熾堂君の所為でしょ?」
そこで俺の名が一番に出てくるのは何故だ。そう言うと3人ともため息をつく。何故だ。
「それにしても熾堂君が来るなんて珍しいね?どうしたの?」
「…ケーキがもらえると聞いて」
「ケーキにつられちゃったの!?」
…うるさい、と明後日の方向を向きつつ俺は反論する。後ろでクスクスと笑う声がする。
甘い。そして美味い。
ケーキを頬張りつつ俺は空を眺める。この時間が2番目に好きだ。…あ?1番?寝てる時に決まってるだろ。
アリサ達はユーノというフェレット?で遊んでいる。なのはのペットらしい。…目を回しているが大丈夫なのか?
「さて、じゃあ私達もお暇しようかしらね?」
「あ、そっか。アリサちゃん達は予定があるんだっけ?」
アリサがなのはにユーノを手渡しつつそろそろ帰る旨を伝える。既に荷物を整えており、すずかもバックを持って立ちあがっている。
「おや、もう解散かい?」
「はい!おじさま、今日はお招きいただきありがとうございました!試合、カッコよかったです!」
なのはの後ろに立ちつつ言う、ジャージ姿からエプロン姿に変身した士朗さんにアリサが元気良く返事しつつ頭を下げる。
「どうする?僕も一回家に帰るし、家まで送ろうか?」
「あ、いえ。私は迎えに来てもらうので」
「私達は寄り道して帰らなきゃいけないので、大丈夫です!」
すずかは姉と買い物。アリサは俺と散歩兼買い物。町となのはの家は逆方向だから送って貰うのはちょっと悪いな。
「そうか、分かった。気をつけてな!」
「ばいばいなのー!」
高町親子に手を振りつつ俺達は翠屋を去った。
「…はぁ…めんどくせぇ…」
現在の状況を報告。…樹の中。何を言っているか分からないとは思うがこれが現実だからしょうがない。
アリサと買い物中。ジュエルシードの発動を確認。同時に地面から樹が現れる。ロックが封時結界を発動。呆然としていた俺達をウィングがプロテクションを張って守るものの、そのまま樹に呑み込まれて現在に至る。アリサは飲み込まれた際の衝撃で気絶している。
『…!外に魔力反応がある。どうやらマスターの他にも魔法使いがいたようだな』
「…取り敢えず、ここから脱出する方が先だな。」
先ほどまで振動があったのが今ではなくなっている。おそらく成長が止まったのだろうと思い、脱出経路を作るために黒刀を構える。
「…セアァッ!!」
『Strike Blade』
黒刀に魔力を流し、切れ味をあげた刃で幹を切り裂いて行く。徐々に幹にひびが入っていく。
「…ウィング!」
『Blaster Shoot』
一気に水色の光線で幹を打ち抜き、出来た穴からアリサを抱えて脱出する。
「…ロック。確認した魔法使いはどこだ?」
『3つ先のビルの屋上だ』
ロックの言葉に従って、ビルからビルへと飛び移る。そして目的の場所にいたのは…
「…?なのは?」
「え。熾堂君にアリサちゃん!?」
白い服に杖を持つ。絵にかいたような魔法使いの格好をした、高町なのはだった。
その後、軽い情報交換を行った後、現在の状況確認を行う。
「…なるほど。封印するには距離が遠いのか」
「うん。少なくとも木に覆われている部分をはがせばなのはの砲撃魔法で封印出来るんだけど…」
ここに来てユーノが喋れるという罠。しかもめっさ頭いい。
「ごめんね。実は私ジュエルシード持ってた子を見かけたんだけど…」
なのはが本当に申し訳なさそうな顔をしながら言う。…持ってたとしても正直に話して信じないんだししょうがなくね?とは思うが…。
「…失敗は取り返せばいい。過ぎた事を悔やんでも仕方ないさ」
「…うん!分かったの!」
笑顔になったなのはを横目に見つつ、眼前に広がる巨大な樹を見つめる。
「…樹の大きさ、そして発動した場所が一番樹の根元近くであると仮定すれば、俺が飛び出してきた所よりもう少し下の方にジュエルシードがあると思う。そこで俺が邪魔な幹を削って行くから、大本が出てきたらなのはが封印してくれ」
「了解なの!!気をつけてね、熾堂君?」
なのはの声を背中に受けつつ、俺はビルから飛び降りて大凡ジュエルシードがあると思われる部位に向けて黒刀を振り下ろす。しかし、中心に近づいたからか、よほど大きな魔力が込められているようで、その幹は刃を通そうとせず、キィンと甲高い音を立てて刃をはじく。
「…ぐっ…堅いな…」
『マスター。剣のサイズを変更する。このタイプは【
手元のロックからそんな声がかかる。お前サイズチェンジとかできんの?何その高性能。
『Bastard Form』
その声と共に、黒刀が光に包まれ、巨大な刀身を持つバスターソードに変化する。それに伴って重量も増すが、魔力による補正がかかっているのか、片手で振り回せる。
「…っだらぁ!!」
体重を乗せてバスターソードを振り下ろすと、先ほどとは違い、バキッと言う音がする。
見ると、かなり広い範囲にひびが広がっていた。これなら活路が見える。
『Gestaltzerfall,ready』
「……いっけぇっ!!」
今度はウィングを腰のベルトに差し、両手で柄を握り、空中で一回転して勢いをつけ、罅の出来た部分へと一気に振り下ろす。
ズガァン!と内部で爆発が起こったような音が響き、幹が崩壊し、その先に、樹脂の様な物の塊が見える。青の光を放っていることから、おそらくあれが大本だろう。
「…なのは!!」
「うん!レイジングハート!」
『Ceiling Mode,stand by ready』
なのはがデバイスに続いて呪文のようなものを呟くと、桜色の光線が俺が壊した幹の破片を飲み込みつつ、青の光の元へと一直線に進んでいき、そのまま桜色で塗りつぶしてしまう。
…え、でかすぎねぇ?俺の5倍は大きいんだけど。
なのはの光線の巨大さに驚きつつ、俺のはハンドガンだからかなぁ?とか考えているうちに終わったらしく、ビルの上からなのはが手を振っていた。
惰眠むさぼり隊…その名の通り惰眠をむさぼる隊。現在メンバー1名。
しつこい勧誘…熾堂の高い身体能力を見抜いての事。サッカーを選んでもどっちみち剣道をやらされるという罠。
ケーキがもらえると聞いて…まさかの甘党。
多少の原作改変…原作ではアリサは父と買い物ですが、こちらの世界ではアメリカにわたっているので熾堂との買い物デートに変更。いつか番外編として書く予定。そして木のジュエルシード。独自解釈です。大目に見て頂けると助かります。
まさかのサイズチェンジ…まさかの高性能。バスターソードは原作FF7のあの剣を思い浮かべて下さい。
なのはの砲撃…流石未来の白き魔王。
Gestaltzerfall…日本語訳ではゲシュタルト崩壊。崩壊させる斬撃。剣を叩きこみ、無理矢理剣先で魔力爆発を起こさせて攻撃する。当初の予定ではブレイバーにする予定だったがなんとなく味気なかったので変更。ちなみに魔力消費量が半端無い。ディバインバスター3発分(おおよそ)。
というわけで4話でした。これからテストあるんで早帰りが増えます。執筆時間が増えるよ!やったね!
…そんな余裕無いんですがね(笑)ちょこちょこ更新していくんで温かい目で見守ってやってください。
それではノシ