デスゲーム漫画に転生したっぽい   作:石鹸枠どこ?

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さっぱりと気持ちのいい主人公属性のやつ

 解散が宣言されてすぐに携帯端末を確認する。

 俺たちは本国から開拓拠点(フロンティアベース)に送られた兵士であると同時に、この惑星での生き方、戦い方を開拓拠点(フロンティアベース)で学ぶ学生でもある。

 所謂生徒手帳のようなそれには、俺の所属が書かれていた。

 どうやら、俺は戦闘、探索を担当し実際に未開拓領域(フィールド)で活動する兵士のようだ。

 そして、ゲーム的に、俺はNPCではなくプレイヤーである事も確定した。

 

 開拓拠点(フロンティアベース)にいる戦える人間は何もない惑星を切り開いたかつてのおっさんである老人と、その弟子であるかつての若者であるおっさんたちしかいないので、バリバリ働ける若者は本国からやって来た500人のプレイヤーだけなのだ。

 プレイヤーと同じ船でやって来た学生にはナビゲーターもいなくはないのだが、こっちはNPC。出来ることなら俺もナビゲーターがよかったが、そうもいかないらしい。

 

「お、いたいた。途中まで一緒に行かないか?」

 

 話しかけられたので顔を上げると、そこには先程眼帯のおっさんに怒られていたピンクシルバー髪の男がいた。わざわざ広い講義室の反対まで来て俺に声をかけてきた理由は何だろうか?

 

「あんたもマサムネ教官に当てられてただろ? なんか親近感沸いちゃってさ」

「知り合いと一緒にいかなくていいのか? 確かフォローされてただろ」

「近くに座ってたやつが助けてくれたけど、別に知り合いって訳じゃないからな。あんたと行くのはなんの問題もないぜ」

 

 マサムネとは眼帯のおっさんの事だ。俺は原作を読んでいるときに眼帯と呼んでいたが、実際に上下関係が出来た今ではコイツと同じようにマサムネ教官と呼んだ方がいいのかもしれない。

 

 そして、どうやらコイツは知らないやつにも助けてもらえる人間らしい。助けた人間が優しいのか、コイツが人に好かれやすい雰囲気をしているのかは謎だが。

 どちらかと言えば後者な気がする。ハキハキと明るい印象だしな

 

「そうか。俺は第八更衣室に行くように指定されてるんだけど、そっちは?」

「オレは第六更衣室だ。場所的には……途中までは一緒に行けそうだな。オレはルベル。あんたは?」

 

 拒否する理由もないので端末に書かれた名前をチラッと確認する。

 

「グライドだ。実際に未開拓領域(フィールド)に出ることになる」

「オレはナビゲーターだ。担当は教官が決めるって話だけど、一緒になれるといいな!」

 

 自己紹介を終え、更衣室へ向かう。初めて歩く施設内だからなのか、集合時間には随分と余裕があるような気がしたが遅刻した場合どんな仕置きが待っているか分からない。学園でもあるが軍隊なのだ。俺は怒られるのが嫌いなので、出来るだけ従順に行きたいと思っている。

 

 さて。俺がコイツと行動を共にする事を了承した理由は、コイツがナビゲーター、つまりNPCだとわかっているからだった。

 

 原作漫画はVRMMOものの癖にプレイヤーとNPCが同じように動き、どちらにも焦点が当てられるというVRMMOものというより普通のSF学園ものなんじゃないかと思える作品であり、NPCにNPCらしさは全く無い。

 プレイヤーたちもそれに驚いている描写はなかったので、この世界のリアルはそういう世界なんだろう。

 

 だろうというのは、原作でリアル側の描写が皆無であるためだ。

 俺は、このゲームの外側の世界を一切知らない。今の国家元首、西暦、流行りのゲーム。プレイヤーならみんなが知っている筈のものを一切。

 なので、俺はプレイヤーとの関わりを出来るだけ減らそうと考えている。チームを組むことはあるだろうが、リアルの話題には一切応じないキャラクターを確立するのだ。

 

 一方で、ルベルは見覚えがあった顔である通り原作キャラクターだが、NPCである。普通にコミュニケーションを取っておけばなんの問題もないだろう。プレイヤーとNPCが普段どう交流していたかは不明だが、普通に会話は成立していたしな。

 

 群像劇作品である原作には明確な主人公はいないのだが、強いて言えば、この快活で人当たりのよく、ナビゲーターという役割上色々な所に出てくるルベルは、NPCの癖に主人公格の一人といえそうな所が若干不安ではあるが、有能ナビゲーターのルベルとは顔をあわせておいた方が絶対いいだろう。

 何より、こういうさっぱりとした人間は滅多にお目にかかれないので打算抜きでも付き合いは持ちたい。

 

FIT(フィット)の話をしてたけど、グライドはもう扱えるのか?」

「どうだろうな。NA-ENGはこの星にしかないからな」

 

 ……早速言葉を濁した。プレイヤーたちにはリアルという共通する世界があり、NPCには本国という共通した背景があるのだ。

 本国の描写も、リアルほどではないが少なかったので困る。

 

「だよなー。シミュレーターで体験した事はあるけど、現実でも直ぐに出来るとは思えないぜ」

FIT(フィット)が出来るようになった奴から任務と言われたが、どれだけの奴が出来るようになるか……。訓練漬けで食いっぱぐれるのは嫌だな」

「まあ、あんたらはSC-POWの扱いが特に上手かった500人だろ? 直ぐに出来るようになるって」

 

 ナビゲーターであるルベルたちは、ナビとしての素質が見込まれたのもあるが、SC-POWのシミュレーターの成績がそこまでよくなかったからナビゲーターであるのだとか。

 それでも、兵士500人に比べてナビは100人を大きく下回っている。沢山いたナビゲーター候補から100人にまで絞りこまれたのだから、倍率としてはそこまで変わらないだろう。

 

 ナビが少ない理由は、元々開拓拠点(フロンティアベース)には無人機を使った調査のナビを行っていた人員がいる他、外に出る俺たちも三人一組が基本になるため沢山いても仕方ないのだとか。

 

「ここまでみたいだな。オレはこっちだから。またな! グライド!」

「また会ったら声をかけてくれ」

 

 廊下の途中で案内を見てルベルと別れる。それにしても、ルベルは凄いやつだった。作品が作品なら間違いなく主人公なキャラクターだろう。

 あれで前線に立たないサポート要員だというのだから驚きだ。

 

 ……さて、FIT(フィット)だが、ルベルにはああ言ったが実は出来るんじゃないかと思っている。

 というのも、俺がプレイヤーと同じ訓練兵だからだ。

 ゲームとして考えると、最初の任務……フィールドにでる前にひたすら訓練というのは楽しくない。

 そもそもMMOのくせに世界全体の時間が普通に経過して、それでストーリーが進んでいくというのは後発のプレイヤーの事を考えるとありえず、普通ならプレイヤー毎に世界の進行度は別であるべきだから、このゲームを一般的なゲームと同じように考えていいのかは謎だが。

 まあ実在するゲームではなく、原作デスゲーム漫画のために用意された箱庭なんでこんなものだろう。

 

 そうこう考えているうちに第八更衣室へやってきた。ルベルと別れて少ししてから、知り合いと話しながら歩いている歩みが遅いやつらに追い付いたからか、講義室を出るのがかなり遅かったにもかかわらず更衣室付近には結構な人がいた。

 少し遅れれば大半が訓練施設に行っていて空いていると思っていたが少し見通しが甘かったようだ。

 

 制服姿の奴らが入り、その横からスーツに着替えたやつらがぞろぞろと出てくるのを眺めていると、不意にホルダーにしまった生徒手帳が震えた。

 生徒手帳は身分証明や上官からの通達などにも使われる重要端末であり、それを無くさないように保持するホルダーが制服には用意されているのだ。

 

 ホルダーから生徒手帳を取り出して画面を見ると、何も操作していないというのに画面の上に立体映像が表示された。そこに映るのはメガネをかけたスーツ姿の、クールな印象を受ける少女だった。

 

開拓拠点(フロンティアベース)へようこそ! 皆様の補助を行っているW()hispering I()deal S()ageと申します。気軽にWIS(ウィズ)とお呼びください』

 

 その声は若干機械音声感があるものの、スピーカーのせいだと言われれば納得できるほどには人間に近い。抑揚に至っては完全に人間そのもので、紙面からは読み取れなかったそれに驚いた。

 

『混雑しているため、速やかにタスクを完了できるように説明を致します。準備はよろしいですか?』

「ああ」

『それでは説明を開始します』




これもWISじゃなくてW.I.S.のほうがいいのだろうか

導入すら終わってないけどお気に入りください
感想もください
評価は新着一覧以外のどこかのページのしたの方ににギリギリ載るくらいでいいです(謙虚)
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