魔術も呪術も一緒でしょ! 仲良くしてえええ(吐血) 作:かりん2022
ママンは言った。
「いい? 魔法のことは、絶対にパパに教えちゃ駄目よ」
パパンは言った。
「いいかい? 術式の事は絶対にママに言っては駄目だよ」
いい子だった僕はそれを忠実に守り、途方に暮れていた。
魔法使いは、専門の小中高大一貫教育を受けるらしい。
術式使いは、専門の呪専という学校に通うらしい。
ようは、バッティングしてしまったのだ。
両方の学校が、絶対に絶対に通わないといけないらしい。
でないと将来に関わるということだ。
問題なのは、両親の見据えている将来が違うということ。
「この子は絶対に名門校に通わせるんだから!」
「小学校と中学校はそこに通わせればいい。でも高校は駄目だ!」
揉めに揉めて、離婚の話まで出た。
当然だが、親権を手放そうとせず、激しい争いになり、僕は泣くしか出来ない。
ついに、ママが杖を取り出した。
「オブリビエイト(忘れよ)!!」
そうして、僕はママの子になった。ママ怖い。
パパは僕達の事を忘れてしまった。
そして入学式の日が来た。
「魔法処です。花柳 兼道(かねみち)くんを迎えに来ました」
どうみても巨大な鳥さんである。鳥さんの上に、キョトンとした子供達が乗っている。
ピンクのワンピースの制服が嫌で嫌で泣いていた僕は、思わず泣き止んでキョトンとしてしまった。魔法処しゅごい。
「ああっ ようこそいらっしゃいました! 兼道、乗りなさい!」
「ピンクのワンピース嫌だああああああああああああ」
「我儘言わないの!! 伝統的なお洋服なんだから!」
ママンには逆らえない。グスグスと泣きながら、それでも僕は鳥さんの上に乗った。
魔法処につくと、僕が見える人はこちら、と看板を持った化け物がいた。
恐る恐る皆と離れて進むと、ガランとした教室の教卓で眠っている人がいた。
地味そうな男の人だ。
「あの」
「ああ! 君は迷子かな? それとも、看板を見てきたのかな?」
「看板を見てきました」
「魔力と呪力、両方を持っているのだね、君のような子をダブルと言うんだよ。私と同じさ。私の名前は、前田 利彦。君の担任だ。先生をつける必要はないよ。外で間違えて先生と呼ばれたら困るからね」
その言葉に、僕はホッとした。どうやら、呪力についてもちゃんと教えてもらえそうだ。
「君のお母さんは知ってるかな?」
「僕のお父さんは呪術師で、お母さんは魔女で、お互いに内緒だよって」
「それは……大変だっただろうね。でも大丈夫。私は両方知っているのだからね。いや、君が入ってきてくれて本当に良かったよ! 両方一人前になるのは大変だけど、一緒に頑張ろう!」
「やっぱり、どっちもしないと駄目なんですか?」
「魔法界にも呪霊は出る。供給に比べて需要があまりに大きいのもあるけど、魔法も呪力も生まれつき持っている武器だからね。しっかり使い方を学ばないと、困ったことになる」
「そうですか」
話していると、少年が2人、入ってきた。
「あの、ごめんなさい。外にいた呪霊、便利そうだったから取り込んじゃいました」
僕が最後だから良いよね? そうとんでもないことを言って小首を傾げたのは、真面目そうな男の子だった。
「ええ!? いや、珍しいな3人も来るなんて。いつもいないのが当たり前なのに。私の名前は前田 利彦だ。前田さんと呼んでくれ。外では無関係ということになっているから、とっさに先生が出ると困るからね。それと呪霊についてだけど、それが君の術式かな? 詳しいことは後で聞くとして、私の呪霊を勝手に取り込むのはもうしちゃだめだよ」
「わかりました、前田さんと呼びます」
あ、これ呪霊を取り込まないのは納得してないな。
「ふん! 百合家と花柳家の穢れた血と一緒とはな! なんで僕が!」
「えーっと、揃ったことだし、自己紹介してもらおうか」
「夏油 傑です」
「花柳 兼道です」
「ふん、自己紹介は正直にするのだな! 魔力も呪力も血が重要なのに関わらず、突然変異で魔力を持ち、突然変異で両方を得た一般オブ一般の前田 利彦! 百合家を飛び出してマグルの家に嫁入りした、名門百合家直系でありながらスクイブの腹から産まれた夏油 傑! そして、名門魔女でありながらマグルに惚れてマグルの中で暮らしている変わり者の息子の花柳 兼道! そして真の名門で純血の血である、マグルの血の混ざっていない、この僕、黒薔薇 輪! 自己紹介とはこうするのだ!」
「マグルって何?」
「スクイブって何?」
「あ”ー! この無知どもめ!」
こんな個性豊かな中でやっていけるんだろうか? 不安だ。