魔術も呪術も一緒でしょ! 仲良くしてえええ(吐血) 作:かりん2022
授業を終えて、ヘロヘロになった僕だったけど、帰ってから笑顔のママに迎え入れられてホッとした。
「ああ! 私の誇らしいナイトちゃん! 手紙を頂いたわ、ダブルだったんですって? もう巣立ちなんて寂しいけれど、私がわがままを言って勉強時間を減らしたらいけないわね。なにせ、ダブルはエリート中のエリートなんですもの!」
ギュッと抱きしめてくるママ。嬉しいけど、巣立ちって嫌な予感がする。
「ダブルはみんなに先駆けて、寮生活になるのよ。マグル学と魔法使いの常識をみっちり学ぶの。呪霊退治をしながらね。頑張らないとね。明日はお休みを頂いたから、早速お買い物に行きましょう」
「僕、もうお家に帰れないの!?」
「ええ!」
「びえええええええええええええええ」
「泣かないの。今日はごちそうよ―」
次の日。
午前中はデパートに言って色々買い込んだ。
午後は、魔法使いの商店街へと向かった。
色とりどりのローブの者達が楽しげに行き交うのを見ていると、こちらも楽しくなる。
魔法のお菓子や魔法の道具、動物たちなどお店を巡るだけで楽しかった。
「魔法界では、電子製品は使えないの」
「じゃあ、大変なんじゃない?」
「その代わり魔法が使えるから、便利さは同じくらいかしら?」
メインは口座を作ること。
それから、僕は自分で自分のお金を管理しないといけないらしい。
ダブルは、魔法使いのお金と日本のお金の両方が支給されるらしい。
生活費兼勉強費である。その代わり、一定年数魔法界に尽くすことが義務付けられる。
奨学金ってやつかな。なんだか大変そうだ。
その日はママといっぱい話し、そして次の日、泣きながら登校した。
傑くんと輪くんも泣いたあとがあった。
しょうがないよね。パパにも会いたかったな。
今日から、僕達は寮生活だ。
マグル界に用意されたマンションと、魔法界の学校の寮と、学校を行き来するようになる。呪霊退治もする事になった。
傑くんの術式は、呪霊操術というらしい。呪霊を食べて使役し、操る能力だ。凄い。
僕の術式は、血液を操るものだ。呪術師の名家の術式らしく、前田先生……おっと、前田さんがお茶吹いていた。
傑くんと僕の術式はとても規格外らしい。でも問題もあるのだそうだ。
術式はできるだけ隠したほうが良いと言われた。
輪くんの術式は、反射らしい。でも、呪力が少ないからあまり反射出来ないそうだ。
前田さんの術式は、硬化。呪力を流したものをちょっとだけ硬くするらしい。
前田さんが教えてくれたのだけれど、一般家庭での魔法族は始祖でもあるわけで、強い魔法使いも結構いるらしい。しかし、呪術師で一般家庭出で強い人というのは、ありえないと言っていい。傑くんは例外中の例外で、基本、呪力の強い人の血を濃く継ぐ人ほど強い。これは絶対の原則で、だから一般出の輪くんと前田さんは弱くて当たり前なんだそうだ。
呪力としては、傑くん>僕>前田さん>輪くんらしい。
魔力としては、前田さん>輪くん>僕>傑くんだから、ほぼ逆になるみたいだ。
成長も加味すると、大人になればちょうど逆になるだろうとのことだった。
でも、それでも魔力は名家の血の濃さ故か、新鮮な血が混じったためか、平均より上だから安心していいとのことだった。
それから、共同生活を始め、6年。
その間、後輩が入ってくることは皆無だった。
なるほど、僕達は希少なんだ。
僕らが8年生になった時、ぼろぼろになった前田さんが、涙をにじませた少し幼い少年を紹介した。
「彼は中学1年生の直哉くん。遅咲きの始祖で、魔法処に通うことになった。お家は呪術師の名家でどうにもごまかせる未来が見えなかったから、神隠しにあってもらった」
「要するに脅迫と誘拐やろ! なんや魔力の暴発て! 当主になれなかったら責任どうとってくれるんや!」
「うん、急ピッチで魔力の制御を学んでもらわないといけない。この年になっちゃうと発音がね……。皆、助けてあげてね」
「はーい」
「うーん、地獄の呪専生活になりそうだね。禅院家の当主と同じ術式と加茂家の相伝術式……。加えて六眼の入学。ごまかせる未来が見えない……一芝居打つしかないかな。呪詛師を捕まえて……忘却呪文を使って……」
「嫌な予感しかしない」
あっ でも、マグルのこと教えてもらえるかも! 仲良くなれたらいいなぁ、直哉くん。
後二年で呪専に潜入だから、不安しかないよ。
あっ 直哉くんは呪力も魔力も強いんだよ! 凄いなぁ。
でも発音がダメダメだから、呪文は苦手。もったいないなぁ。