魔術も呪術も一緒でしょ! 仲良くしてえええ(吐血) 作:かりん2022
「今日は自画像を絵を描いてもらうよ」
「絵を、ですか?」
「そう。呪霊が現れた時に警告してもらう、とても大事な絵だ」
「警告ぅ?」
「魔法使いの絵は喋るのさ。ダブルが呪力を込めた書いた自画像は、呪霊を見ることが出来る。流石に撃退は無理だけど、警告は出来る。他にも、ダブルの血を使った魔法具とか色々あるよ。ダブルは少ないから、色々工夫するんだ。歴代のダブルの絵を見るかい?」
ということで、今日は歴代のダブルとおしゃべりしながら絵を描くこととなった。
御三家の血が入るのは、というか一般出以外のダブルが出るのは初めてらしい。
魔法界にダブルの家系が出来るかもしれないと大盛りあがりだった。
少ない人数と呪力を補うため、血を使ったり生きた魔法具にしたり大変だったらしい。
「なんや、血を抜くとか魔法具の材料にするとか、僕そういうのごめんやからな! 魔法力さえ暴走せんようになったら帰るし!!」
「一度魔法が発現したら、君の子は魔法使いになる可能性が高い。魔法界でダブルの家を建てたほうがいいと思うがね。援助もあるし」
「うええ」
「でも、直哉はマグル出だからね。魔法界の事を黙っているという縛りをしての帰還は可能だろう」
「なら帰るわ!!」
そうだよね。おうちに帰りたいよね。
直哉くんの話を聞いていると、呪術界って全然いいように思えないけど、それでも産まれた家だもんね。
でも、最初はツンツンしてた直哉くんもだんだん馴染むようになってよかった。
直哉くんが大蜘蛛に襲われた時、前田さんが助けたのが良かったんだと思う。
前田さんを教師として認めたみたいだった。
前田さんは呪術師としては弱くても、魔法使いとしてはとっても有能だしね。
ちなみに、呪専を卒業したら、ペーパーカンパニーに就職してフリーの呪術師としてたまに繁忙期に仕事をする、みたいな感じになるらしい。
夏油達は高校生の年齢に到達した。作戦開始である。
入学は東京校。これは、六眼を避けるためだ。
夏油と黒薔薇は前田の紹介で入ることとなり。
花柳と禪院 直哉は、記憶を奪われてとある呪詛師と生活していて、呪詛師が他界する時に呪専に託した設定となった。
呪詛師に誘拐・術師に救出される案もあったのだが、借りを作るのはやばそうだということと、僕が呪詛師でも冤罪で処刑されちゃうのは嫌だと言ったことで、方針を変更した。
記憶を記憶箱という記憶を移す箱に移して、いざ実行。
「すみません。僕ら兄弟は、記憶を奪われて奪った人と家族をやってましたが、その家族が死んだので遺言で学校に来ました」
そう、兄設定の花柳 兼道はインターホンに告げて待った。
応対したのは一年担任の夜蛾教諭。被害者相手ということで、優しく応対して、引っ込み思案の弟も一緒に住めるよう申請をした。
そして、入学初日。
一応、直哉も顔合わせをしておきなさいということで、一年生の教室に座っていた。
「家入 硝子。誘拐されてて記憶もないんだって?」
「よろしく。外怖いんだろう? 買い物とか代わりに行くよ」
「僕を頼ってくれていいのですよ!」
「先輩たち、ありがとうな」
「皆ありがとう。頼らせてもらうよ」
交友を温めていると、ガラッと扉が空いた。
魔法使いたちは驚愕を隠せない。そこにいるのは。
「は? なんで加茂家と禪院の相伝がこんなとこにいるわけ?」
――こっちのセリフだ――!!
みんなの心が一つになった瞬間である。かといって流石に京都に行けば六眼がなくともバレていただろうが。
「なんだと? 彼らは誘拐されていて記憶がないそうなんだが」
「ウケる。加茂家相伝奪われてたのかよ。禪院家も、なにが神隠しだよ。お前直哉だろ? で、お前は兼道、だっけ?」
「確かに自分は直哉やけど……」
「五条 悟」
「すぐに禪院家と加茂家に連絡をしよう」
「あのっ……!! 黙ってるわけにはいきませんか? 記憶もないし、例え誘拐犯でも、僕達の父は1人だけなので」
「がっつり洗脳されてるじゃん。誘拐犯は?」
「亡くなったそうだ」
「死に逃げかよ」
「後は……へぇ、面白い術式ばっか。よろしくな」
その日の午後には、禪院家と加茂家が迎えに来ていた。
引っ込み思案設定の直哉は兼道の後ろに隠れる。
「直哉!」
「誰やおっさん」
「パパだ!」
「僕のパパは死んでるし。火葬して骨を海に撒いたから間違いないわ」
「証拠は隠滅済みか……。とにかく帰るぞ」
「嫌や! 東京校を卒業するいう約束をパパとしたんや!」
「まさか縛りか?」
「そうや。立派に卒業して、天国のパパを安心させるんや」
「お前のパパは儂だと言っているだろう!」
「貴方が、僕の本当の父……」
「そうだ、兼道。呪詛師のせいで私も君を覚えていないが、新たに家族となりたい」
「今はまだ混乱していて。東京校を卒業したら考えさせてください」
ちなみに、記憶がないのを良いことに加茂家は兼道の父ではなく当主が父を名乗って出てきていた。
縛りをしたなら仕方ないということで、東京校に通うことは許されたが、隙きあらば全力で連れ戻されそうだ。
いや、この場合正義は呪術師側にあるのだが、それでは困るのだ。
後、男同士で部屋に行って話そうぜ、という計画はポシャった。
だって、初対面の男子生徒が集まるのにまさか五条をはぶれない。
記憶は本当に操作してあるとは言え、根掘り葉掘り聞かれて戸惑う兼通と直哉を呆然と見つめるしかない傑と輪なのだった。
なお、真面目ぶっているが短気すぎて煽るとすぐ突っかかってくる夏油と弱いのに五条以上に浮世離れして一般知識を自慢気に振りかざし、いかにも箱入りの貴族然として態度がでかい輪は、自制をした状態でもあっという間に仲良くなってしまい、気がつけば自然といつでも一緒状態になり、なおさら魔法使い勢だけでの接触が難しくなる事を魔法使いたちはまだ知らない。
魔法使いたちの潜入入学は、波乱の幕開けを迎えた。