ウマ娘 ワールドダービー RTA 称号「沈黙も栄光も超えた先」取得 DLC使用チャート   作:星ノ瀬 竜牙

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毎日投稿はやっぱりキツイので)初投稿です。

レース前の導入だけで2話使ってるってこれマジ?


そういえばよく見てるウイニングポストの淫夢実況が
二つとも凱旋門賞取ってました。しかも片方は仏国三冠馬で凱旋門賞二連覇。
はぇーすっごい……(尊敬)


幸福か、静かなるものか その2

1週間とはあっという間だとサイレンススズカはそう思う。

気付けばすぐにレースのある日曜日だった。

 

数日前に移動してやってきたのは阪神レース場。

右回りのコースで直線の坂が中山レース場同様にそれなりに負担がかかる事をトレーナーが語っていた。

まあ、ジュニアティアラS(ステークス)とチューリップ賞と桜花賞ぐらいしかここでのレースしっかり見れてないんだけどね。と苦笑していたけれど。

 

 

控え室で目を瞑り、集中力を高めようとする。

トレーナーは、私の走りを魅せて欲しい。そう言った。

実際にこのレースで今の私がどれぐらい走れるのか。それを調べたいのも多分本当の事だ。

 

でも、それで良いのだろうか。そう思ってしまう。

上村トレーナー、あの人は私の脚への負担を考えてトレーニングを組んでくれた人だった。だからこそ、蔑ろにしたくない。

……けど、それはポールスターの……ユタカトレーナーも理解してくれているのだろう。

だからこそ、『逃げ』で走れ。とは言わずに 好きに走れ。と言ってくれたのだろう。

 

「ダメね。これじゃあ、ダービーの時の二の舞……」

 

……ふぅ、と一息ついて身体を解す。

考えれば考えるほどドツボにハマる。何も考えずに走る。

かつてできていた事が今のスズカにはできなくなっていた。

 

このまま走れるのだろうか。そんな不安を抱く。

どうすれば……そんな思考を過ぎらせた時、扉を叩く音が聞こえる。

 

「スズカ、入るぞ」

 

「……エアグルーヴ?」

 

トレーナーではなく、エアグルーヴが控え室に入ってきた事に驚く。

 

「意外そうだな。スズカ」

 

「ええ……てっきり、トレーナーさんが来ると思って……」

 

「私もそのつもりと思っていたのだがな……

アイツめ、自分より私が喝を入れた方がいいとな」

 

全く、変な所で気が回るやつだ。と呆れたようにエアグルーヴは肩を竦めていた。

 

「……気を遣わせてしまったかしら」

 

「アレは元々そういうタイプだ。

私達の事をしっかりと見ている分、普通のトレーナーより余計に世話を焼く」

 

「そうね……トレーナーさんはそういう人だと思うわ」

 

特にエアグルーヴとのやり取りを見ていると。とあとに続く言葉は伏せておいた。

サイレンススズカは空気が読めるウマ娘である。多分。

 

「とは言え……私から掛ける言葉はそう多くはない。

私が認めたあの時のお前の走りをすればいい。そう思っている」

 

「あの時……?」

 

「模擬レースの事だ。忘れたとは言わせんぞ」

 

まだエアグルーヴもサイレンススズカもデビューする前。

その時にたまたまする事になった模擬レース。

そこでサイレンススズカは脅威の逃げ足でその模擬レースに参加していたウマ娘の全てを纏めて千切ったのである。

エアグルーヴも千切られたその1人だった。

 

「思えばあれ以来だったな。私とお前が関わりを持ったのは」

 

「そうね……それから更に後だったわね。エアグルーヴが歳上だったのを知ったのも」

 

「私も無闇矢鱈に敬語を強要したりはしないからな。

それに、あの時も言ったが互いを認め高め合う者同士。そこに気遣いや遠慮は無用だ」

 

「ふふ……そうだったわね。私がエアグルーヴ先輩って言った時

凄く困った顔をしていたのも覚えてるわ」

 

「む、今までタメ口で話していた相手が急に敬語でこられても対応に困るだろうそれは」

 

懐かしい思い出であった。

サイレンススズカにとってエアグルーヴが信頼できる友人でありライバルであるように。

エアグルーヴにとってもサイレンススズカは信頼できる友人であり良きライバルなのだ。だからこそ、頼って欲しかった。というのがエアグルーヴの本音であった。

 

「……落ち着いたか。スズカ」

 

「ええ……ありがとう、エアグルーヴ。少し、気は楽になったわ」

 

「ならば良い。だが、私はトレーナーではない。だから少し圧をかけるぞスズカ。

お前は私が、トリプルティアラのウマ娘(女帝)が認めたウマ娘だ。

……情けない走りをするのは許さんぞ」

 

「分かってるわ。ありがとう、エアグルーヴ

……行ってくるわね」

 

「ああ、お前の走りを見せつけてこい」

 

控え室を出て、ターフへ向かうスズカを見送り

エアグルーヴは笑みを浮かべる

 

「全く……これを狙っていたんだろうな。アイツは」

 

エアグルーヴであれば、サイレンススズカが程よい緊張感を保ったままレースを走れる。そう考えたのであろう。

彼はどちらかといえば、ウマ娘を甘やかしてしまうタイプである。

厳しい言葉をあまり告げないタイプだ。だからこそ、エアグルーヴに任せた。そうエアグルーヴ自身は考えた。

敵わないな。と苦笑しつつもエアグルーヴはスズカのレースを見届ける為に控え室から離れるのだった。

 

──

 

「スズカさん!今日のレース……負けませんよ!」

 

「フクキタル……ええ、私も負けるつもりはないわ」

 

神戸新聞杯、そのレースにおいて最も期待されている二人のウマ娘が

ターフの上で火花を散らしていた。

1番人気に支持されたのはサイレンススズカ、そして2番人気に支持されたのはマチカネフクキタルである。

 

「……スズカさん、だいぶ落ち着いてるみたいですね」

 

「エアグルーヴが上手くやってくれたみたいだ」

 

ターフの外、観客席でそんな二人を眺めるのが

『ポールスター』のトレーナーとその所属のウマ娘であるスペシャルウィーク。

凡その彼の目論見通り、サイレンススズカは程よい緊張感をもってレースに挑めそうだった。

 

「私はここでスズカさんに勝ちますっ!そして、菊花賞を制すつもりですっ!」

 

「……私もよ、フクキタル。このレースに勝って、天皇賞・秋を目指す。

だから……ここで貴女に負けるつもりはないわ。先頭は……譲らない」

 

彼女達のやり取りは、ターフに佇む他のウマ娘達にも影響を与えていた。

ある種の熱意、やる気に当てられたとでも言うべきだろう。

 

そんな中でも、そのやり取りを面白くなさそうに睨むウマ娘もいる。

3番人気に支持されたシルクジャスティスだ。

彼女はあまりぱっとしない。なんて言われてしまっている。

未勝利戦を五度行ったウマ娘。それ故に悪い方向でのイメージがあった。

だが、日本ダービーではマチカネフクキタル、サイレンススズカも抑えて2着に入っている。

その時の1着はサニーブライアン。皐月と優駿。二冠達成を為したウマ娘である。

だが、そのサニーブライアンはダービーにて足を骨折した事が判明し

菊花賞を断念せねばならなくなった。故に菊花賞に最も注目されるべきウマ娘がいない。空き巣のレースになる。そう言われてしまった。

 

だからこそ、シルクジャスティスはここでフクキタル、サイレンススズカを降さなければならない。そう考えている。

サニーブライアンが居ない菊花賞を空き巣と言わせないために。

自分のことなど眼中に無いであろうあの二人を圧倒するために。

 

私が勝つ。勝って、菊花賞も獲る。

 

シルクジャスティスの熱意はそこにあった。

 

ウマ娘達の思いが混じり合う中、ファンファーレが鳴り響く。

 

『阪神レース場よりお送り致します、菊花賞トライアル、神戸新聞杯。

小雨が降っておりますが、バ場は良となっております』

 

『足をとられることの無いバ場状態です。存分に脚力を活かして欲しいですね』

 

『今年の神戸新聞杯、芝2000mは11人のウマ娘により行われます。

では1番人気を紹介しましょう。

1番人気はこのウマ娘。サイレンススズカ』

 

『東京優駿でこそ敗れてしまいましたが、

あの女帝エアグルーヴが移籍した新生チーム『ポールスター』に所属したウマ娘という事もあって注目度は抜群でしょう。

その脅威的な逃げ足をこのレースでも発揮して欲しいですね』

 

『2番人気はこのウマ娘、マチカネフクキタル』

 

『こちらも東京優駿で敗れてしまいましたが

前走、さくらんぼステークスで1着を獲り、勢いに乗っています。

その末脚で並み居るウマ娘を差し切るか、注目したいですね』

 

『3番人気はこのウマ娘。シルクジャスティスです』

 

『こちらは東京優駿では惜しくも1着を逃しましたが、

2着という優秀な成績を残しています。

その実力と末脚を遺憾無く発揮する所を見てみたいですね』

 

11人のウマ娘の紹介が1人ずつ行われていく。

それを聞きながら、観客やターフの上のウマ娘達は緊張を高めていく。

その空気を感じながら、エアグルーヴが観客席に戻ってくる。

 

「間に合ったか」

 

「お疲れ、エアグルーヴ。スズカの事助かったよ」

 

「……気にするな。それに、それもお前が見越してのことだろう」

 

「まさか、エアグルーヴなら上手いこと言ってくれるかなぁ。って思っただけだよ」

 

実際、自分であれば甘やかしてしまっていたかもしれない。と苦笑いを浮かべる。

先日の1度目は少し厳しく接したが多分2度目は無理。そう判断しての事だった。

 

「わー……お二人共、お互いのこと凄く信頼してるんですねっ!」

 

「まあね、僕の担当愛バだし。信頼するのがトレーナーとして当然だよ」

 

「そ、そういう事を公共の場で言うな戯け……っ!」

 

「あいたたた、ごめんってば」

 

「わぁ……!」

 

さらりと恥ずかしい言葉を言い切るトレーナーに赤面して軽めの蹴りをゲシゲシ、といれるエアグルーヴ。

私もこれぐらいトレーナーさんの事理解出来るようにならなきゃ!とふんすっと気合いを入れ直すスペシャルウィーク。

ポールスターの面々はレース前なのに混沌としていた。

 

「ん"んっ"!……そろそろ、始まるぞ。

スペシャルウィーク、スズカの走りを見ておけ。お前は……ああいうウマ娘を差し切れるようにならないといけないからな」

 

「……!はいっ!」

 

一旦咳き込み、エアグルーヴはスペシャルウィークに告げる。

先行や差しのスタイルが得意である以上、サイレンススズカのような脅威的な逃げ足を差し切れる根性や末脚は必要になる。

 

だからこそ、勝つ為に。日本一のウマ娘になるために

スペシャルウィークはサイレンススズカの走りをしっかりと見届けようとターフを見る。

 

『ルールファストが最後にゲート入りしまして、

すんなりと全員のゲート入りが終わりました。

……G2 神戸新聞杯、ゲートが開かれ今スタートしました!!』

 

神戸新聞杯が始まった。

勝つのは、マチカネフクキタルか、

サイレンススズカか、シルクジャスティスか。それとも──




オニギリ男兄貴、評価ありがとナス!
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