ウマ娘 ワールドダービー RTA 称号「沈黙も栄光も超えた先」取得 DLC使用チャート   作:星ノ瀬 竜牙

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おまたせ。
オベロンもコヤンスカヤも引けなかったので)初投稿です。

アプリの方で新規育成イベント実装らしいっすね。
これの展開次第と、ドトウちゃんの育成イベで出てきた
フルアーマーフクキタルなる存在のせいでチャート所かプロットも崩れ落ちたってこれマジ?
しばらくプロット練り直すので投稿ほんとに遅れるゾ……許し亭許して。


あっそうだ。拙作のレース描写は
某菌糸類の月作品と某神座シリーズの影響を受けていることをご了承してくれると嬉しいゾ。


幸福か、静かなるものか その3

『11人がこれから第1コーナーへ向かいます!

横に並んで、内からナムラキントウンが行きますが……

サイレンススズカが先頭に出た!やはりサイレンススズカが先手を取ろうと言う勢いです!

ナムラキントウンは2番手、そのあと続いてテイエムトップダンが3番手だ!

シルクジャスティスは最後方待機のようです!』

 

サイレンススズカは概ねの予想通り、先頭を走る。

彼女はエアグルーヴやトレーナーの言葉を信じ、自分を信じ『逃げ』で走る事を選択した。

 

(やっぱり、スズカさんは先頭を……なら、手筈通り……最後に差し切る。

それまでは脚を溜めます……!)

 

マチカネフクキタルも、逃げで走るスズカを見て差しで抜き切る事を選択した。

シルクジャスティスもまた、サイレンススズカとマチカネフクキタルを差し切る為に、最後方で息を潜める。

 

「展開は殆ど予想通りかな」

 

スズカが逃げを選択したならどうなるか。その予想通りに展開が動いていた。

 

「スズカの逃げに他のウマ娘がどれ程ペースを崩されるか……そこで勝敗が殆ど決まるだろうな」

 

「だね。でも、マチカネフクキタル、シルクジャスティスは……予想通り脚を溜めて自分のペースで駆けそうだ」

 

多くのレースを経験してきたエアグルーヴ、

そして見てきたトレーナーの二人はこのレースの展開の予測を立てながら経過を見守る。

 

「……スズカさん、大丈夫でしょうか?」

 

「ペースを乱されなければ勝てる。けど、マチカネフクキタルが怖い所かな。

スペみたいに末脚は鋭いからね……」

 

トレーナー自身最も警戒していたのはフクキタルだ。

だが、スズカにそこまで警戒させてはいない。

彼女には先頭を走る。それだけを考えてもらいたい。

余計な駆け引きは、今のスズカには……おそらくこの先のスズカにも殆ど不要だろう。

 

(身体が軽い……脚に余裕もある。大丈夫……逃げ切れる……!)

 

スズカは後ろを確認しつつも、先頭を走る。

余裕はある、余計なものはない。

……だからスズカは思考をカットする。要らない。今は考えるな。

ただ、前を見つめて走り抜ければいい。

 

スズカ自身、ハイペースながらその脚に余裕がある。

故に……後方のウマ娘が焦り掛かっていく。引っ張られてペースが乱されていく。

 

(スズカさん、想定よりペースが早い……!

でも、大丈夫ですっ……まだ焦る所じゃないっ!勝負は最後のコーナーっ!!)

 

それでも落ち着いて、レース運びをするマチカネフクキタル。

引き離されてはいる。だが自分の脚ならば追い付ける。そう信じて、駆ける。

 

逆に、シルクジャスティスは焦っていた。

彼女は最後方だ。それ故に、離されていけば離されるほど追いつけなくなる。

だからこそ焦る。掛かる。ペースを乱される。

 

やむを得ない。そう思いシルクジャスティスは脚に力を込める。

第3コーナーでシルクジャスティスは一気に加速する。

最後方から中段に一気に食らいつきにいく。

 

(仕掛けてきましたっ……でも、まだです……まだ、脚をっ……!)

 

第3コーナーでは早すぎる。フクキタルはあくまで冷静に、勝負を進める。

ここで使ってはスズカを差せない。だからまだ我慢しろ。そう自分の身体を理性で押さえつける。剥き出しになりかけた闘争心を抑え込む。

 

サイレンススズカは、悠々と先頭を走る。

他のウマ娘達が近付きつつあるも、まだ余裕がある。

 

だが、それも時間の問題だ。余裕のある脚を使うべきだ。

 

『さあ、まもなく第4コーナー!サイレンススズカが先頭!

シルクジャスティスが集団の内に……

おっと!ここでテイエムトップダンが仕掛けてきた!』

 

だから第4コーナーに差し掛かったこの瞬間。

 

(ここで……)

 

(ここで今っ……!!)

 

──仕掛ける!!!

 

二人のウマ娘が、一気に仕掛けた。

 

『サイレンススズカが伸びる伸びる!加速していく!?

余裕があるのかサイレンススズカ!これはセーフティリードだ!

おっと!?だが、最後方に位置づいていたマチカネフクキタル!

ここで仕掛けた!他のウマ娘を寄せつけない!大外から駆け抜ける!!

サイレンススズカを差しに行くのか!!?』

 

サイレンススズカが差を伸ばす。マチカネフクキタルが差を縮める。

それが何度も繰り返す。差し切るか、逃げ切るか。

だがその繰り返しも途切れ、少しずつフクキタルが迫っていく。

 

「捉え、ましたよっ……!スズカ……さんっっ!!!!!」

 

そして遂に、直線の半ばでフクキタルがスズカの影を踏んだ

 

負ける……?フクキタルに抜かされる。

いやだ。いやだ。勝ちたい。先頭で……まだ見えない先に……!

 

私は……!

 

《──どう走りたい?》

 

速さの向こう側に行きたい。走り抜けたい。

どこまでも、どこまでも、走りたい──

 

だから……!

 

《そう、音は要らない。景色も要らない。あるのは沈黙。それだけで良い》

 

──その瞬間、彼女の世界から音が消えた。

何も無い。静かな世界が出来上がった。

 

「──え」

 

見えなかった。望むものだった。

彼女が入り込み、作り上げた世界は何もなく暗い静かな場所だった。

 

 

 

だけど。

 

 

 

違う。

 

 

違う。

 

 

 

違う。

 

 

 

 

──違う。私が望んだ景色は、こんな何も無い世界じゃない。

 

 

『おっと!?サイレンススズカ失速!?どうしたことでしょう!?

あっ、ま、マチカネフクキタルが今1着でゴール!!

2着にサイレンススズカです!!

脚に不調でも出たのでしょうか!?急な失速でした!!』

 

『脚を故障……している様子はないですね。一体どうしたのでしょうか』

 

『っと、僅かに遅れ3着にはトウジントルネードが入りました!』

 

「違う……違う……今のは……私が望んだものじゃない……」

 

「スズカさん……?」

 

顔を俯かせ、何度も繰り返すようにスズカは呟く。

あんな真っ暗な世界……私は……。

怖かった。恐怖が勝った。アレは……何なのか……分からなかった。

 

フクキタルもまた、理解できないように。彼女を見つめる。

何かが見えた。否、一瞬だけ何も見えず、聞こえなかったというべきだろう。

それが、スズカの影を踏んだ直後にあった。その時確かにスズカは加速していた。フクキタルは確実に引き離されて、負けると思った。

だが、突如スズカが失速して最後の最後にフクキタルが差し切る形になったのだ。

何が起きたのか、フクキタルも理解していなかった。

 

「スズカさ──」

 

「待て、スペシャルウィーク」

 

「っ、エアグルーヴ先輩、でも今のは……!?」

 

スズカの異常に気付いてターフ上に入り駆け寄ろうとしたスペシャルウィークをエアグルーヴが制止する。

エアグルーヴが止めた理由はスズカに起きた異常に心当たりがあるからだ。

 

……目覚めた……?いや、にしては……あまりにも……

それに……何も()えないなんて……有り得るのか……?

 

「おい、おいっ!トレーナー!」

 

「っ!?ああ、ごめん……余計な事を考えてた……」

 

彼は人でありながら、領域(その世界)を多少なりと視れる目がある。

故に、エアグルーヴの秋華賞で蒼い炎を視たし、スーパークリークで優しい水面を視た。

だが、スズカのソレは視えなかった。

いや、視えはしたのだろう。だがそこに何もないというのは前例がなかった。

だからこそ余計な所に思考を割いてしまったし、少なからず動揺したのだ。

 

「……貴様も見た……いや、見えなかったのか?」

 

「そんな所かな……切っ掛けを掴んでくれればぐらいだったんだけど……

さすがにこれはちょっと、困ったな……」

 

エアグルーヴはトレーナーの様子を察しながら、ボカシて問いかける。

どうしたものか。と深刻に悩むトレーナーを見るのは久しぶりだった。

 

「いや、今は考えるのはよそう……全部はライブが終わってからだ。

スペもエアグルーヴも、それでいい?」

 

「……はいっ」

 

「ああ……構わん」

 

ここで考えたって仕方がない。そう思考を切り上げ

スズカ達のウイニングライブを見届ける。彼女に起きた事を話すのはそれからでも良い。

 

神戸新聞杯。サイレンススズカとマチカネフクキタル。

その戦いの終わりは暗雲が立ち込める結末となってしまった──




鬼神 勇義兄貴
ずまさ兄貴、化猫屋敷兄貴、もこさん兄貴、ちくわに成りし者兄貴
豚バラ煮込み兄貴

評価ありがとナス!

評価9が100を超えたゾ
ウレシイ……ウレシイ……ありがとうございます……
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