カッカッとタイルを靴が叩く音が響く
暗がりの中、ペローは足早に歩を進めていた
まるで、誰かを探すかのように
『何を急いでいる?』
そんな彼を呼び止める者がいた
それは、ペローにとっても探していた人物であった
『ブルー・・・!』
ペローが詰め寄っていく
その顔には、怒りが滲み出ている
『あんた・・・僕に何を隠している・・・!』
『あの楔は何だ・・・?』
クイーンは知っていて、自分は知らされていない情報があった
それは、ペローにとって許容できぬことであった
──自分に意図的に伏せられた情報のあることが不愉快であった
『──その事か』
『一体どういうつもりだ!!』
自分を軽んじているのか
ペローの怒りはさらに募っていく
『そう怒るな、元々楔はクイーンとサンをメインに進める想定だっただけだ』
『だとしても、俺にだけ内緒で事を進めるなんて許すつもりはないぞ・・・!!』
ストーリーテラーにリーダーはない
自分達4人はあくまで対等として、目的に進めていく話のはずだ
『・・・言う必要が無かった、とでも言っておくか』
『なんだと・・・!!』
ついに怒りは限界を超え、剣に手を掛けようとまでするペロー
しかし──
『
『!?』
凄まじい圧力がペローに襲い掛かった
まるで強風が自分にだけ吹き付けるような強烈な威圧が
ペローを身動き一つできなくさせていた
『思いあがるなよ』
『何・・・!?』
『対等なのは、あくまでチャンスがあるということだけだ
誰が神を産み出すかのな』
『それ以上の権限までは保証する気はないぞ』
『っ・・・!』
それは、あくまで自分は下だという宣言であった
ブルーという男、テラーという力を産み出した男
そんな男にいいように使われるために募った内の1人がお前だと
そう、言いつけられているようであった
それは──
『ふ』
『ふざけるなよ・・・!!』
酷く癪に障った
体に力を込め、進もうともがく
『あ”あ”あ”あ”あ”っ!!』
体が引きちぎれるような感覚に陥る
それでも、そんなことに構う暇はなかった
頭の中には、すでに侮辱への怒りしかなかった
ピシリと体の中の何かにヒビが入った気がした
それが、骨か何かだったのか
それとも体の内側にあるチケットの物だったのか
考える余裕などは無かった
だからだろうか、
自分の中から、何かが湧き出てくることにすら
気が付かなかったのは
『か”ぁ”あ”あ”あ”!!!』
『──
その時であった
ペローのその身にかかる圧力
それが、突然に消し飛んだ
──いや、
ペローが一歩踏み出す
動ける、これで奴に──
しかし、そこで自分の変化に気が付いた
『なんだ・・・これは』
『──おめでとう』
パチパチと乾いた拍手で新たなる力の生誕を称える
まるで、先ほどまでの様相等無かったかのように
『お前、俺に何を・・・!?』
自身の変化に戸惑うペロー
しかし、その様子を見ながら驚くことなくブルーは告げる
『何もしていない・・・
『何・・・!?』
『お前の中にあった、2枚目がようやく起動したのさ』
『2枚目・・・!?』
それは、ペロー自身ですら知らないことであった
自分の中に、
『いつ──』
『最初からだ、それ一枚では心許なかったのでな』
まぁ、起動したのは片方だけであったがと
ペローはクツクツ笑いながら話を進める
『試すようなことをして悪かった』
『だが、結果は上々──上手くいった
これなら、他2人よりもさらに上をいく力が出るだろう』
『──!?』
力
それは、今の自分からすれば願ってもいない物であった
確かに、体に湧き出る力は収まることを知らない
クイーンどころか、サンにまで優に超える程の力が
自身の体からは感じられた
『これなら──』
『そうだ、誰にも負けんさ』
もはや、怒り等どうでも良かった
この力を早く振るいたくてどうにかなりそうであった
『ハ、ハハハ!!』
そして、いてもたってもいられず
ペローはその場を飛び出した
※
笑い声と共にペローが拠点から去っていく
それをブルーは見送った
『良かったのか?』
『ん?・・・ああ』
そのすぐそばに、複数の炎が集まるようにサンは現れた
『2枚の起動など、精神の奪い合いは苛烈になるぞ
・・・下手すれば廃人化も待ったなしだろう』
『それならば、そこまでの男だったというだけだ』
ブルーは冷たく言い放つ
その言葉には、まるで同族への温かさ等存在していない
『・・・不満か?』
『いいや?』
それに対するサンもまた
何事もないかのように応える
『方法なんて、どうでもいい
・・・最後には、あんたと勝ち馬にさえ乗れれば、な』
『・・・っふ』
※
「っぐぅ・・・はぁ・・・!」
全身を蝕むかのような痛みに耐え
ラストはチケットを握りこむ
ようやく、この2枚目にも慣れてきた
もう、問題もなく使っていけるだろう
『うぅん・・・』
そんなラストの耳にある声が届く
──母の声だ
「っ・・・母さん!!」
ラストがクイーンへと駆け寄っていく
期待に応えて見せるという意気込みを持って
「あら・・・ラスト」
しかし──
「母さん、聞いてほしい私は・・・」
「・・・うん、はいこれ」
母との語らいを、彼にとって至福の一時は
そう長くは続かなかった
多くを語る前に、彼女は彼にあるものを渡した
「え?・・・」
「ええ、これで暴れてきてちょうだい。」
2枚のチケットと、2枚のカード
そして、数本の楔
「あ、ああ!任せてくれ母さん!かなr」
「私は少し探し物をしてくるから・・・じゃあね」
返事を聞き終わるのも待たずに
それだけを渡すと、彼女は一瞥もくれずに
その場を去っていった
「あ・・・」
伸ばした手が虚空に揺れる
ラストは、ただ寂しく渡されたものだけを手
一人茫然と佇んでいた
※
喫茶「テアトロ」──
食器の鳴る音が店の奥から響いている
もはやある種の日常と化した
この店での食卓
2人がいつの間にやら4人に
場合によっては押し掛けが来て6人に
そんな、一時の平和の一幕は
「分かった!・・・分かったぞ、奴の素性が!!」
乱雑に扉を開け開きやってきた
太田さんの一言で終わりを告げるのだった
※
テーブルの上に広げられたのは一枚の写真
そこに写されていたのは一人の女性
それは自分達にも見覚えのある顔をしていた
「これって・・・」
「
・・・奴は
そう、その顔は自分達の目の前に現れた
ストーリーテラーの一人“クイーン“そのものであったのだ
つまり──
「これが、あいつの」
「テラーになる前ってことか?」
太田さんはコクリと頷くと話を続けていく
「奴の顔を見た時に、どうも既視感を感じてな
古い刑事記録を引っ張り出し回ってようやく
この写真が出てきた」
「それと──」
さらに複数枚の写真を引っ張り出す
どれも人の顔が写ったその写真は
おそらく、同じ──
「同時期、同じように数名の犯罪容疑者が行方知れずとなっている
・・・この中に、見覚えは?」
「・・・。」
受け取った写真を翔と共に見ていく
10数枚近くある写真の多くは身に覚えのない顔であった
しかし、その中の2枚
若い男の写った2枚の写真だけは、別だった
「!?・・・これは」
「サン!・・・ペローも!」
写っていたのは、自身も何度も戦った相手
──ストーリーテラーの2人であった
「・・・そうか、こいつらがそうなのか」
差し出した写真を手に、太田さんがその人物を特定していく
「サンって方が、
そして、その二人の捜査情報を確認して一言
「罪状から言えば、日暮が最もひどい」
「・・・放火か?」
「・・・よく知ってるな」
翔が強く拳を握り込む
彼にとっては、以前から追っていた人物である
言い当てることは、容易であった
「そうだ、複数件に渡る放火殺人・・・
しかも、最初の一件以降、頻度と規模が大きく跳ね上がる
建物なんて、消化する暇も無いほどの速度で燃え尽きて
しかも、燃料の類も一切発見されなかったときた
・・・警察側も、この男が事件現場に必ずいたという情報を突き止める以外はお手上げだった」
「・・・今思えば、この時期に力を手に入れたんだろうな」
「・・・。」
重苦しい空気が流れる
守れなかったことを責めるわけにはいかない
怪人など、普通じゃどうこうするのは不可能なのだ
「・・・倒そう」
「・・・あぁ」
だからこそ、仮面ライダーが奴らの凶行を止めなければならない
そう、心に刻み込んだ
「それで、他二人は?」
「あぁ・・・それは──」
そこまで言ったその時だ
太田さんのケータイに着信が入る
そして受け取った情報は、一言だった
"怪人発生、至急現場へ急行されたし"
※
先程まで普通の街中であった場所
そんな場所が次の瞬間には大きく変わっていく
街は、一瞬で、またも多くの木々の生えた
深い森に変わっていく
そして、その中央、大きな湖のほとりで
2体の怪人は逃げ遅れた人々を追い立てる
片や鎧と銀の斧を備えた、男の怪人
そしてもう片方は、
これまた鎧と輝く金の斧を備えた、女の怪人
それぞれ、ハートの5と6のカードで強化された
2体のアックステラーが、そこに立っていた
人が悲鳴を上げて逃げようと足を動かす
しかし、すくんだ足で逃げられるようなものではない
2体の怪人が振るう斧が今や一般人のその体に振るわれようとしたその時
『『!!?』』
テラー達の足元に弾丸が炸裂する
立ち止まり、身構える2体のテラー
その隙に、人はこけそうになりなりながら逃げていく
あの速度なら、きっと逃げ切れるだろう
弾丸を放った銃を構えながら
雄飛と翔がテラーと相対する
『MASKED RIDER |The NEXT』
『Heat Up GIGA SOUND』
それぞれ、ドライバーとアイテムを構え
そして──
「「変身!!」」
『Start』『 a Continue!』
『The New Hero who inherited a Wind』
『Came Like a Storm !』
『MASKED RIDER
『PLAY!!』
『caldissimo!』
『grandissimo!!』
『Fortissimo!!!』
『
仮面ライダーアクトが銀の斧を持ったテラー:シルバーアックステラーに突撃し
サウンドが金の斧を持ったテラー:ゴールドアックステラー突撃する
それに対し、2体のテラー達は同じように手にした斧をライダー達に振り下ろす
アクトはそれを避けながら、肉薄し
サウンドはギターランスでその攻撃を受け止め、逆に押し込んでいく
戦いの火蓋が切って落とされた
※
アクトがテラーの攻撃を避けながら
その体を殴りつけていく
鈍く光る銀の斧
破壊力はあるのだろう、しかしその大ぶりな攻撃は
いささかアクトには不利であった
振るわれる斧をしのぎながら
着実に風を纏った拳がテラーを削りゆく
『オオオオオオ!!』
「なん・・・の!!」
ならばとテラーがアクトの足を駆り取ろうと
その足元を大きく斧で薙ぐ
しかし、それに対しアクトは両足で跳躍
そしてそのまま、両足をテラーに向け
「ハァ!」
『グァ!!?』
強烈なドロップキックで反撃
その衝撃にテラーが大きくのけ反っていく
そして
ピシリとその体を守る鎧にヒビが入る
「さっさと終わらせて」
『そうは行かない』
「!?」
ベルトを押し込んで必殺技を放とうとした矢先
背後からのいやな気配にアクトはその場を飛びのく
次の瞬間、突き出した刺突剣の剣先が
先程までアクトの立っていた場所を貫いていた
「・・・ペロー!!」
『やぁ・・・相手してくれよ!』
剣を撫でながら、ペローは機嫌よさげにそう言う
そしてそのその横には、体制を立て直したアックステラー
勝負はまだ始まったばかりのようだ
※
金の斧とギターの形をした槍が火花を散らしてぶつかり合う
「ぐ・・・おおおお!!」
『!?』
サウンドの両肩のあーまが鳴動するとともに
テラーが手にした斧に大きな衝撃が走る
そして、サウンドは強引に斧を押し込みつばぜり合いを制した
そして、がら空きになったテラーの懐へ
槍で連続して攻撃を叩き込んでいく
『ぐうぅ・・・!!』
衝撃にテラーが吹き飛ぶ
しかし、サウンドの攻撃の手は止まらない
武器を組み替え、ボウガンへと変形させ
体制を立て直す前のテラーに対し
追撃の弾丸を撃ち込んだ
テラーがダメージの大きさに膝をつく
その隙に、サウンドが必殺技を放とうと
ディスクに手を掛けたその時だ
『
『Love Disappears as Bubbles』
『
「──がっ!?」
突然ラストに衝撃が走る
横から、まるで液体のような何かが飛来する
その見た目とは、想像もつかない固さが
凄まじい速度でサウンドにぶつかっていったのだ
サウンドを弾いたのち、液体が人を象っていく
そして、液体が集ったその場所に
仮面ライダーラストが立っていた
「・・・お前達の最後を、母さんへの手土産としてやる!!」
「てんめぇ・・・」
再度、液状化したラストがサウンドへと襲い掛かる
槍を振るう、しかしその攻撃は液体の体には刺さらない
「無駄だ!!」
「・・・どうかなぁ!!」
ラストが、再度サウンドへと突撃していく
このままでは先程と同様に、吹き飛ばされる
そう思われた
「だぁ!!!」
サウンドが力を込め
肩のアーマーが大音量で音を打ち鳴らした
まるで、波のように音が液状化したラストへと当たる
次の瞬間、ラストの体に衝撃が走った
液体と化したその体が、膨大な音波によって
揺れ、炸裂したのだ
「っが!?」
宙に浮いていたラストがその衝撃に叩き落される
液状と化していた体も元に戻っていく
「良く響くだろう、熱いサウンドは!!」
肩を叩きながらそう、勝ち誇る
無敵に思われた液状化は今破られたのだ
「ぐ・・・!」
「さぁ、続きだぜ」
サウンドが構えなおし、様子をうかがう
それに対しラストは
「・・・ならば!!」
そういうと、再度液状化し宙へと浮く
懲りずに来るかとサウンドが身構える
しかし
ラストは、あらぬ方向に飛んでいった
自分がいる方角とは違う方向
その先からは、自分の物ではない戦闘音
つまり──
「雄飛!?まずい!!」
自分へと見切りをつけ、雄飛の方へ向かおうという魂胆か
そう気づいたサウンドは急いで追おうとする
不味い、自分は対処できても
アクトにはまだあれの有効打がないのだ
そうして、駆けだすサウンド
しかし、それを阻むように影が行く手を阻む
『逃がさぬ!!』
「邪魔だ!!どけ!」
アックステラーが再度サウンドへと斧を振り下ろす
サウンドがそれを受け止めながら
どうにか進もうと試みるも
思うようにはいかない
結果、ラストは止まることなく進んでいってしまった
※
サウンドとテラーの戦いの裏で
アクトもまた、戦闘を続けていた
『 NEXT 』
『
「ストームライダー!!キック!!!」
アクトの必殺キックが、アックステラーのその体を貫かんと放たれる
それにアックステラーは真っ向から打ち砕かんと
キックに対し、斧を振るい対抗する
脚と斧がぶつかり合う
テラーが、そのまま斧を降り抜いて
アクトごと吹き飛ばそうと腕に力を込める
しかし、斧はびくともしない
いや、徐々に押され始めていた
『ぐ!ぐぉおおお!!!』
それでも、押し込もうと踏ん張る
ピシリと音を立てて
斧にヒビが走る
『なに!?』
「だぁああああ!!!」
アクトのキックが斧ごとへし折りテラーの体を貫いた
滑るように地面に着地する
その背後に大きな爆発が立ち上がった
『・・・やるねぇ』
その様子を感嘆するように見るペロー
アクトが構えなおす
「ペロー・・・いや、金子!あんたを止める!!」
この犯罪者を、このまま野放しにできない
そう、相手に対し宣言する
それに対し、ペローは
『・・・?・・・
「・・・何だって?」
まるで、知らぬ存ぜぬとばかりにおどけて見せるのだった
そしてその代わりに
ペローの体から、謎の圧が立ち始めた
『まぁいい・・・お前が強ければいい!!』
「!?何だ・・・?」
『そうじゃなきゃ面白くない!!』
次の瞬間、ペローの体が変化し始めた
細身であった体が、一回り大きくなる
刺突剣は消え、それを支えていた細腕が
どんどん太くなって、代わりに毛が逆立ち、凶悪そうな爪がその姿を覗かせる
特徴的であった、足の靴ははじけ飛び、代わりに強靭な足が現れる
最早、その姿は猫などというものではなく
──獅子のそれであった
『シャア!!』
「!?速い」
まるで瞬間移動でもしたかのようにペローがアクトの前に突然現れる
そして、その腕をアクトに振るった
咄嗟に腕でガードする
次の瞬間、強い衝撃と共にアクトの体が浮かび上がり
近くにあった木へと叩きつけられた
「がぁ・・・っ」
何という重さだ
咄嗟とはいえ、しっかりと防御したにもかかわらず凄まじい衝撃に
アクトは驚愕と共に畏怖する
──先程までのペローではない!
『ハハッ・・・ハッハッハッハ!!』
叩きつけたアクトを眺め、ペローが高笑う
何とも気持ちよさそうに
『力!これが力か!!』
アクトが立ち上がり、構えなおす
しっかりとペローを見据え、好機を待つ
ペローが再び動く
また、一瞬の内に、アクトのすぐそばまで移動し
その爪をアクトに突き立てんと腕を振るう
「──そこだ!!」
しかし、同じ手は喰らわない
アクトは、その攻撃をしっかりと見切り
攻撃を間一髪で避ける
そして、カウンター気味にその体に拳を放った
『無駄ぁ!!』
「!?」
拳は、ペローの体に届いた
しかし、それでも吹き飛ばしたりするまではいかず
少しのけ反る程度、すぐさま反撃に移るのであった
反撃を飛びのいて回避する
──効いてない!?
通常のライダーフォームでもある程度肉薄していたペロー
それ相手に、ネクストフォームでの攻撃をしたにも関わらず
まるで動じていない
力だけでない、スピードも防御も膨大に上がっていた
一体、どこでこんなパワーアップを・・・
そんなことを考えた次の瞬間
「・・・そこか」
「!?」
咄嗟に横に転がって回避する
アクトがいた場所に、水の塊が轢かんとするかの勢いで通り過ぎた
「ラスト・・・!」
「お前の最後を貰うぞ・・・」
そうやって乱入してきたのは、仮面ライダーラストである
──こんな時に!
相性の悪いラストと強力になったペロー
片方だけでも手に余るというのに
それがそろったのはアクトにとって絶望的であった
「くそ!」
「いくぞ!!!」
『ジャア!!』
ラストとペローが襲い掛かる
アクトは、悪態を吐きながらもそれに応戦するのだった
※
ペローの攻撃が迫りくる
それを何とか避ける
しかし、その着地を狙って
ラストが攻撃を放つ、片方の回避だけでもギリギリであり
避けるなど間に合わなかった
防御するも勢いまでは殺せない
アクトは、そのまま吹き飛ばされる
地面に転がりながらも何とか体制を立て直す
直撃こそ避けているが、それもそろそろ限界である
疲れ等微塵も感じさせずに、ペローが飛び掛かってくる
それを避けようとするも
ガクリと膝が落ちる
ダメージが、思った以上に足に来ていたのだ
「しまった!」
『ハァ!!』
アクトの体を、爪が引き裂く
アーマーが裂傷こそ避けたものの鋭い痛みと衝撃がアクトに襲い掛かる
さらに──
「ふっ!!」
足が止まったアクトに対し、ラストが追撃に水流を放つ
「ぐぁああああああっ」
痛みと水圧がアクトを押し流していく
水が止んだ後には、倒れ伏すアクトがそこにいた
何とか立ち上がろうと体に力を入れる
しかし、痛みで言うことを聞かない
『ほぉ・・・これは』
その時、ペローでもラストの物でもない
また別の声が、線上に響いた
『・・・何だ、いいところに来たな』
「・・・。」
ペローとラストが足を止める
アクトが、何とか立ち上がり
その場に現れた相手を見た
「!・・・青山!」
『君も、その名前で呼ぶか・・・』
それは、ストーリーテラーの一人である
ブルー・・・青山秀幸であった
『で?何しに?』
『何、面白そうなものがわかってな』
そう言うと、青山が懐から何かを取り出す
それは──チケットだった
『へぇ・・・珍しいね、あんたのそれは』
『何、必要なことでな』
そう言うと、青山はそれを起動する
重く、暗い音が森の中によく響いた
『
『──
青山が、チケットを自らの体に収める
次の瞬間、変化が訪れた
全身から、美しい蒼の羽のような意匠を持った
怪人がそこに姿を現すのであった
「──。」
『・・・どうだ?仮面ライダー?』
アクトは、それを見ていた
身動きも取れずに
『・・・
「──っ!?」
アクトは、その姿を見て
・・・まるで、呆けたかのように動きを止めていた
その脳裏に急速的に何かがフラッシュバックする
──8年前に、自らが見た何かを
──8年前に見た、仮面ライダーの姿を
──8年前に自らを襲った、
「あん・・・たは・・・!」
『・・・やはりそうか、あの時の少年か』
そうだ、なぜ忘れていたのだろうか
自身を襲った怪人の姿を、その声を
あれは、まぎれもない、この男の物であった
『なら・・・やはりそこか』
「!?」
ブルーが、その手をアクトへとかざす
アクトが何をされるのかを身構える
いつ何が襲ってきてもいいように
・・・しかし、それは意味をなさなかった
アクトの体に、異変が始まった
動悸のように、体から謎の鳴動が起こる
息があれる、上手く呼吸ができない
『!?・・・何だ?』
「何が起こっている・・・?」
ペロー、そしてラストにさえも
何が起こっているのか把握はできない
『・・・やはりそこにあったか、最後の一枚!』
唯一自体を把握しているのは
この場において、ブルーのみであった
「一枚・・・?」
痛む胸を押さえながら
アクトが、言葉を放つ
一体、自分の身に何が起こっているというのだ
『忘れたか?・・・
再度、フラッシュバック
──野鳥を見に森に入った自分の前に現れた謎の怪人
──近づくその姿、逃げるに逃げられぬ自分
──そして、その手に握る何かが
──自分に突き立てられた
「がっ!・・・がぁあああああ!!!?」
最早、痛みは雄飛から変身すら剥ぎ取った
全身の痺れるような痛みが雄飛をむしばんでいく
それをただ眺めるだけのペローとラスト
『おいおい・・・僕の獲物だぞ!!』
「最後は、私が貰う・・・!!!」
最早、蚊帳の外となってしまったのが気に障ったのだろう
どちらも、雄飛に止めを刺すのは己だと駆けだす
それをブルーは
『
そうやんわりと静止だけする
ペローとラストが雄飛に迫りゆく
その命をここで絶たんとする
次の瞬間──
「ウ”オ”オ”ア”ア”ア”──!!!」
まるで、割れるような大きな叫び声が響き渡る
声がまるで、波のように空気を揺らす
獣の如き、その声が起こす衝撃だけで
寄ってきていたラストとペローが弾き飛ばされた
「ガッ!?」『何!?』
そして吹き飛ばされた彼らは
その現象の発生地に刮目し──その目を疑った
そこにいたのは
焼け焦げたかのような色をした毛に塗れた
野獣の
──雄飛の姿であった
続く
次回 仮面ライダーアクト
雄飛の中にあったもの、その正体とは──?
『8年も同居していたんだ、器としては奴が一かもしれんぞ?』
焦るラストは、何を目指す
「勝つんだ、母さんが認めてくれるように──!!」
激突する、アクト&サウンドとラスト──
第20章[迷える、子羊のように]