仮面ライダーACT [アクト]   作:ヨッツ

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第20章~迷える、子羊のように~

斧と槍がぶつかり合い火花を散らす

 

金のアックステラーが飛び上がり、

仮面ライダーサウンドの防御ごとその身を引き裂かんと

大きく振りかぶり、そして斧を振りおろす

 

「っ!・・・らぁ!!」

 

それに対し、サウンドが半身をねじり大きく槍を引く

そして、全力を持って突き出した

熱気を持った槍の穂先と金の斧の刃がぶつかりあい、空気を揺らす

余りの重さにサウンドの体ごと押しつぶされそうになる

 

「──っ!!負けるかぁあああ!!」

 

落ちかけた膝を立て直し、腕に力を込めなおす

穂先の熱気が強まっていく

 

『!?』

 

激突し合う武器のその衝突部位から

ポタリと何かが滴り落ちた

 

それは・・・金だった

斧の刃が熱気に敗れ徐々に溶け落ちていく

 

そして──

 

「おらぁあああ!!」

 

サウンドの槍が、斧を突き破り

テラーのその身を突き飛ばした

 

斧を破壊され、無残に転がるアックステラー

ダメージは軽微、まだ──

そう思ったのも束の間、体を焼くような熱により上手く動けない

 

「とど・・・めだあああ!!」

 

『GIGA!!』

BEST HIT MEDLEY(ベスト ヒット メドレー) !!!』

 

より強く昂る槍を構え、突き出す

強力なエネルギーが巨大な穂先を形成し

テラーのその身を一息に貫いた

 

『──!!』

 

言葉を残す暇すらなく、テラーが絶命し爆発する

爆発は、周りの巨木すら巻き込み、なぎ倒し

爆炎の後に残ったのは、地面に刺さる一本の楔のみであった

 

「──これか」

 

楔を引き抜き、握りつぶす

周囲の風景が元に戻っていく

 

「雄飛は──」

 

休んでいる暇はない、テラーに思った以上に時間を取られてしまった

雄飛の方にラストが行ってしまったのだ、

すぐにアシストに──

 

そう、サウンドが足を踏み出そうとしたその瞬間

 

「ウ”オ”オ”ア”ア”ア”──!!!」

 

まるで、猛獣でも出たかのような巨大な咆哮が響き渡った

 

「な、なんだぁ!!?」

 

 

銀のアックステラーは、仮面ライダーアクトの蹴りを受けてなおその姿を保っていた

斧は折れ、鎧は砕け散った

それでも折れた破片をあの男の喉元に突き立てんと立ち上がる

 

その時、獣が如き咆哮が木々を大きく揺らした

声の方を見て、瞠目する

 

そこにいたのは、変身を解いた一人の男だった

唯の人間であろう男が、よほど出せる物ではない声量で吠えていた

 

しかし、そんなことはどうでもよかった

男は、変身を解いている

それならば、自分でも奴を殺せると

 

先の折れた斧の柄を握り、足を踏み出す

咆哮により揺れ落ちた、木の葉を踏み

カサリと、静かながら確かに、音を立てた

 

男の顔が、こちらを向く

最初に相対した時とは異なる紅く光る瞳が

──自身を見た

 

瞬間、男が消える

それを視認し、どこに行ったと頭によぎった

瞬間、自分の視線がなぜか動いていく

おかしい、自分は顔など動かしていないというのに

まるで、前のめりに落ちるように──

 

ドスンと音を立てて、視線の移動が止まる

はて、この目に映っている

脚は、だれのもn──

 

 

爆炎が立ち込める

それは一瞬の出来事であった

咆哮を立ち上げた、彩羽雄飛に手負いのテラーが近づいた

その瞬間──

 

()()()()()()()3()()()()()()()

まるで、引き裂かれたかのように

 

爆炎の中から、雄飛が

・・・いや、その姿はまるで点滅するかのように

瞬間ごとに切り替わっていた

 

唯の人間と、薄黒い毛の野獣の怪人

もはや、現在はどちらの状態になっているのか定かではない

何かが、そこにはいた

 

野獣の足に何か引っかかる、

それは、楔であった

知ってか知らずか、野獣は、それを引き抜く

 

先程まで森だった、辺り一面が、唯の町の端

古ぼけた、廃工場の廃れた倉庫に変わった

 

そして、抜き去った楔を手に野獣は

また、その場から消える

 

「!?」

 

ラストは、驚愕する

野獣が、消えたことにではない

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

握られた楔が乱雑に振り下ろされる

あわや、そのまま自身の体に突き立てられようとしたそれを

ラストは剣で受け止める

 

ただただ凄まじい腕力に、あわやそのまま押しつぶされそうになる

しかし、それは起こらなかった

楔がその圧に耐え兼ね、

剣に打ち付けられたまま粉々に砕け散る

 

持っていたものが消失し、目測を誤ったのだろう

野獣のその腕が、ラストに触れることなく振り下ろされる

しかし、その風圧だけで十分だったのだろう

ラストは容易く、吹き飛ばされていた

 

「おのれ・・・!」

 

ラストがすぐさま体制を立て直し反撃に出る

液状化し、野獣のその身を穿たんと剣を突き出そうとする

 

しかし、それが届くことは無かった

 

「オ”オ”ア”ア”ア”ア”──!!!」

 

再度、野獣が吠える

巨大な咆哮が、空気を揺らす

液状化していたその身に、咆哮が届いた瞬間

まるで、巨大な拳に殴られたかの如き衝撃が叩きつけられた

 

「ぐあああぁぁぁ!!!」

 

身を引きつぶすかの衝撃が、ラストを襲う

最早、漂うこともできずに地面に落ちた

 

声が止むころには、そこにいたのは

荒い息を吐く野獣と

体をボロボロにして、変身も解かれて倒れ伏したラストだけであった

 

「ク”ル”ア”ア”!!!」

「──っ!」

 

野獣が倒れ伏したラストへ止めを刺さんと手を挙げた

 

「カ”ァ”!?」

 

しかし、それが振り下ろされることは無かった

野獣が、突然悶え始めたのだ

 

そして──

 

「──ッア」

 

まるで、糸が切れたかのように野獣が倒れ伏せる

野獣の幻影(ヴィジョン)も消え、そこには唯の人間が倒れ伏せていた

 

『・・・何だったんだ・・?』

『ふむ・・・まだ不完全だったか』

 

それを、眺めていたのは

ペローとブルーである

なんの説明も受けていないペローはただ驚くだけであったが

ブルーは、ただただ納得した様子で佇んでいた

 

『おい、どういうことだ・・・!』

『・・・彼の中にも存在したのさ、チケットがね』

 

『はぁ!?・・・いつ!?』

『8年前さ・・・埋めても変化しないことがそういえば一度あった

 ・・・今になってようやく目覚めるとはね』

 

とんだ寝坊助だ

そんな風に少しおどけて見せる

しかし、その目は興味深く雄飛を見ていた

 

『しかし・・・興味深いな』

『・・・何がだよ?』

 

『8年間も()()()()()()()()()()()()()()()()()少年ということがさ』

『8年も同居していたんだ、器としては奴が一かもしれんぞ?』

 

そういうと、ペローの目の色が変わった

 

『そりゃいいや!邪魔もの減らしと目的の調達が一挙にできる』

 

そういうと、雄飛の元に駆け寄っていく

その目はもはや好敵手を見る目ではない

獲物を狙う目であった

 

その手が雄飛を掴み、連れ去ろうとしたその時だ

 

『!?』

 

ペローが手を引く、次の瞬間

その手があった場所に、弾丸が飛来した

 

「雄飛!!」

 

ボウガンを構え、射出しながらサウンドが駆け付ける

ペローと雄飛の間に割って入り

庇うように武器を構えなおした

 

『・・・チッ、邪魔すんじゃないよ!』

「(──幹部二体、雄飛は気絶・・・ここは)」

 

ペローが払いのけるように手を振りかぶる

しかし、その攻撃が振るわれることは無かった

 

『ROCK!!RAP!!』

HIT MEDLEY(ヒット メドレー) !!!』

 

ボウガンから大量のスチームが放たれる

その熱さに、ペローが一瞬怯む

その隙に、厚い蒸気が煙幕の代わりに2人を飲み込んだ

 

『しゃらくさい!!』

 

両手で蒸気をかき分けて晴らす

しかし、払い去ったその場所に既に2人の姿はなかった

 

ペローが苛立ったように地面を一度蹴る

そしてその後は、興味を無くしたようにその場から立ち去るのだった

 

『・・・ククッ』

 

ブルーもまた、そんな状況を一つ笑うと消えるように立ち去る

 

残ったのは、倒れ伏したラストただ一人であった

 

 

目が覚めると、見知った天井が写った

──何度目だ

 

「あ、起きた」「まじ!?大丈夫!?」

 

部屋の扉から顔を出した杏奈さんの一言から

部屋の外から、いろいろと声が聞こえてきた

 

体に痛みは──ない

自分がなにを持って気絶したのかを覚えても──ない

 

しかし、自分にとって重要な情報だけは覚えていた

とにかく、相談しなければならない

雄飛は、ベットから降りて足早に部屋を出ていくのであった

 

 

「体の中にテラーが!?」

「ちょっとそれ大丈夫なの!?」

「体内にか・・・音石、取り出す方法は?」

「分からん、体内に固形で残る物でもないだろう

 ・・・物理的には不可能だ」

 

ブルーから聞いたこと

自身の肉体のことについてを話した

反応は三者三葉で、店内が騒がしくなる

 

それを何とか抑えて、今後の対応について考える

あの後自分がどうなったのかはわからないが

このままにしておくのはおそらく危険なのだろう

 

しかし、それを取り出す方法は見当もつかない

 

「一度なっちまって、俺がぶったおすってのは?」

「可能性としては・・・アリだな」

「いやまて、ケースがレアすぎる、通常の対処方法でいいのか?」

 

「なんかこう・・・引っ張り出せないの?」

「引っ張るも何も、対象が見えなきゃどうしようもないだろう」

 

あーだこーだと対処法の模索がされるが

結局、翔が自分を倒す位しか対処法が見つからなかった

 

この場合、敵が便乗してきたら

翔一人で戦うことになるという危険性があるのだが・・・

 

 

「・・・そういえば、この場合に詳しいのがいるじゃないか」

「え・・・?」

 

そういわれて、一人思い当たる人物がいた

自力で突っ込まれたチケットを引っ張り出している

 

「大木さんか!」

「今日は、店に来てないな・・・どこに行ってるんだ」

 

必要な時にはいないな、あの人

 

 

「ハッ・・・ハッ・・・」

 

痛む体を支えながら、ラストが廃墟へ戻る

そして、自分達の割り当ての部屋へと入る

 

「母さん・・・母さん・・・」

 

敵に上手くやられてしまったこと

与えられた、テラーを無駄に失ってしまったこと

謝らなければならないことはたくさんあった

それを差し置いても、今はただ母に会いたかった

 

そうして、もはや扉とも呼べないしきいを押して部屋に入る

 

「母さん!!」

 

そうして、母を呼んだラストの目に映ったものは

 

「・・・。」

 

瓦礫の上に置かれた、チケットとトランプが1枚

母の姿は・・・部屋のどこにもありはしなかった

 

「・・・。」

 

チケットとトランプを拾い上げる

 

 

 

──立ち尽くしたまま、何分ほど過ぎたのだろうか

少し体がふらつき、傷口に痛みを覚えたところで我に返る

 

「ッ」

 

ラストはそのまま誰にも見送られることもなく部屋を後にした

 

行く当ても考えずに、唯歩いていく

次の、襲う場所を決めねばならないのに

 

ただ、歩いて・・・適当な公園にたどり着いたところで

痛みがひどくなった

 

思えば、先ほどの戦いから

傷の手当など何もしていなかった

 

足を引きずりながら、公園の中をただ進んでいった

 

「おいおい、君!大丈夫かい?・・・傷だらけじゃあないか!」

 

突然、声が聞こえたと思えば

自分の目の前に、人間が躍り出てくる

見覚えもない、唯の人間であった

 

「・・・なんの・・・ようだ・・・!」

「何って、血だらけじゃないか・・・!」

「寄るな!」

 

男が、近寄って自分の肩に手を掛けようとしたのを払う

そして、近づかないよう威嚇する

一体、何が目的だというのだ

 

「何言ってんの、ほら座って!

 ・・・なんもないな、・・・ちょっと待ってて、あんまり動かさないようにね!!」

「おい、なにを」

 

自分が、言葉を言い終わる前に、男は駆けて行ってしまった

・・・一体何だというのだ

 

男は、息を切らしながら数分で戻ってきた

──なにやら大量の箱を抱えて

 

「いやー近くにドラッグストアがあって助かったよ」

「ほらこっち向いて」

「やめろ!」

 

寄って来る手を払いのける

しかし

 

「いいからいいから」

 

そう言うと、男は箱から取り出したものを

あろうことか、自分の体にペタペタと張り出した

 

「やっぱ包帯とかの方が良かったかな

 ・・・絆創膏だけだと不味かったか?」

 

もがこうにも、傷の痛みで上手くいかない

結局、ラストはされるがまま

傷の手当てを受けるのであった

 

 

「何のつもりだ」

「うん?・・・いやね、こうまでボロボロな人が

 目の前に出てきたらほっとけないじゃないか」

 

全身を絆創膏に塗れさせ、ラストは男に問うた

この男の真意が見えなかった

なぜ、こんなことをしたのか、まるで理解ができなかった

 

「・・・?なぜだ、なんの意味がある」

「いや、まぁ僕もいろいろと助けられた身でね

 ・・・できる限り、人助けを心がけようと思ってね」

 

「・・・そこになんの利がある」

「必ずしも必要なものじゃないさ」

 

男はそう言うと、こちらを向き直った

 

「それに・・・怪我だけじゃなくて

 何か悩みもありそうだったからさ」

「!?」

 

「図星かい?」

「・・・。」

 

ラストは、何も言い返せなくなった

男の、強引さもそうだが

自身もそれを感じていたからだ

 

「ついでに話してみなよ、解決はできないかもだけど

 ・・・楽にはなるかもよ」

 

「・・・。」

 

馬鹿馬鹿しい、そんなことを話す必要などどこにもなかった

・・・だが

 

「・・・私は、母さんの期待に応えなければならない」

「ほお」

 

「だが・・・私はそれをできずにいる

 ・・・私は、それを成し遂げなければならないのに」

 

自分でも、不思議なことにすんなりと口から出ていた

自分の心が、思った以上にやられていたのか

はたまた、この男にそうさせる何かがあったのか

 

それは、ラストにすらわからないことであった

 

「なるほど・・・」

 

男は考え込むようなそぶりをして

 

「うん、分かんないな」

 

結果は、どうしようもない物だった

 

「言うだけ無駄だったか・・・」

「そうでもないさ、・・・言葉にするって大切だろ?」

 

男が大げさに手を広げてそう話す

 

「文字にすれば、対処法も浮かびやすくなる」

「・・・そこから、いろんな方法を試せばいいのさ」

 

「試す・・・」

 

方法、母に認めてもらうための方法

そう考え、・・・思い当たるのは結局一つであった

 

ラストが、立ち上がる

 

「解決になったかな?」

「・・・。」

 

何も言わずに立ち去る

もう、ここに用などなかった

 

「行ってしまったか・・・」

 

大丈夫だろうか、随分と怪我をしていたが

そんなことを、大木は考えていた

 

「しかし・・・」

 

母親に認めてもらうために頑張らなければならない・・・か

見た目に反して、割と子供らしい悩みだったなと

少し微笑ましさを感じるのであった

 

 

ヒントを貰おうと、大木さんの来店を待っていた

しかし、そう待っていたところに

 

「また、テラーが!?」

 

またも、太田さんから連絡が入った

どうやら、あまり休みをくれるつもりはないらしい

 

「しょうがねぇ、いくぞ!」

「待って、私も行く」

 

そういって、席を立つ翔と杏奈さん

 

俺もまた、荷物を手に店を後にした

 

 

現場に急行する

そこには──

 

『──。』

 

まるで、全身が金色の王子のような様相のテラーが人に襲い掛かり

そして、その傍らで佇む、ラストの姿があった

 

「ラスト!」

「懲りないね、お前も・・・!」

 

雄飛と翔が、ベルトを構える

 

「来たか・・・」

 

ラストはその姿を見て、立ち上がると

テラーを自身の傍に呼び寄せた

そのまま2対2の戦いが始まる

 

「ふん!」

『ぐぁ!?』

 

かに、思われた

ラストが、テラーの体に自身の腕を突き入れる

その時までは

 

「な、何!?」

「な、仲間割れか?」

 

『な、何を・・・?』

「お前は下がっていろ」

 

そう言うと、ラストは腕を引き抜く

その腕には、一枚のチケットが握られていた

 

テラーが倒れ伏し、一人の人間に戻る

仮面ライダー達が、戦うこともなく

テラーは対処されたのであった

 

「お前達を倒す・・・私の力で・・・っ!」

 

STATUE OF HAPPINESS(スタチュー・オブ・ハピネス)

 

「変身っ!!」

 

Last UP(ラスト アップ)

『Give Everything ...Lose Everything』

STATUE OF HAPPINESS(スタチュー・オブ・ハピネス)

 

瞬間、ラストがこれまでともまた異なる姿を現す

金のアーマーに、まるで宝石のような装飾が散りばめられる

肩からは、黒の燕尾のようなマントが掛かる

 

そして、グリップからは上部と下部から

まるで、鳥の羽の如きパーツが生え

弓のような形状へと移り変わった

 

「「っ変身!!」」

 

『MASKED RIDER The NEXT(ザ・ネクスト)!!』

Heat Up(ヒートアップ)! GIGA SOUND(ギガサウンド)!!』

 

アクトとサウンド、そしてラストが相対する

先に仕掛けたのは、ラストであった

 

弓とかした、グリップをアクトらに向けトリガーを引く

次の瞬間、矢状の弾丸が2人目掛けて放たれた

 

「くっ!」「あぶね!」

 

2人が左右に避ける

スピードが極端に早いわけでもない

2人は初弾を容易く避けた・・・はずであった

 

2人の間を通り過ぎた矢が、その形を変える

唯の棒状だった形状が、十字状になったかと思えば

燕のような形状へと変化した

 

弾丸が、羽ばたく

ぐるりと旋回し、そのままアクトの背後へ

 

「雄飛!後ろ!!」

「えっ!?」

 

杏奈の言葉が掛かる

しかし、それは一歩遅かった

 

「ぐぁ!?」

「何!?」

 

背後からの奇襲に驚愕する二人

その隙を突いて、ラストはさらにグリップのトリガーを引くのであった

 

次の瞬間、まるで光で出来た鳥の大群が

二人の仮面ライダーへと襲い掛かった

 

 

「っく・・そっ!」

「近寄れねえ!」

 

弾丸を叩き落し、回避しながら戦うアクトとサウンド

避けるだけでは、再度襲い掛かってくる矢は

ただひたすらに厄介な攻撃であった

 

しかし、対応方法が無いわけではなかった

 

「相性悪いな・・・翔!」

「・・・ああ!」

 

『WILD WESTERN』

 

「変身!!」

 

次の瞬間、飛び交う数十体の鳥の内

十体以上が、撃ち落とされる

 

「なに!?」

「早撃ちなら負けねぇなぁ!!」

 

ブレイガンが連射されるたびに

飛び交う燕の数がどんどんと減っていく

 

そして、その隙間を縫うように

サウンドが駆けだした

 

「おらぁ!!」

「ぐっ!」

 

サウンドがラストと肉薄する

振るわれる槍を弓で防ぎながら

つばぜりあっていく

 

「そんだけじゃ勝てないぜ!!」

「・・・うるさい!!」

 

弓を強引に振り切り、距離を離す

そして、再度トリガーを引く

 

矢が一直線にサウンドへと飛来する

しかし、それは容易く叩き落された

 

「くそっ!!」

 

ラストが駆けだす、弓を振るい

備え付けられた刃がサウンドに襲い掛かる

 

二度の切り付け

さらにそれに対するカウンターを回避し

弾丸を撃ち込む

流れるような連撃

 

サウンドも、そんな攻撃をさばききれず

弾丸を槍で防ぐも押し飛ばされた

 

推し飛ばされたサウンドと入れ替わるように

アクトが飛び出す

 

放たれた銃撃が、ラストの体を捉え炸裂する

 

「ぐぁっ」

 

転がっていくラストは体制を立て直し、

すぐさま次の行動へ移る

 

『MIRAGE TORCH!!』

 

このままでは、不利だと判断し

フォームを切り替える

突き出した拳から、火炎が放たれ

アクトに襲い掛かる

 

『侍丸』

「ぜぁ!!!」

 

飛来した火炎を切り裂き

サムライフォームのアクトが飛び出す

 

そのまま、炎を纏った拳と剣がぶつかり合い

火花を散らす

 

「おらぁ!!!」

 

さらにそこにサウンドが飛び込む

 

ラストは

燃える拳と炎で形成された剣で二人に立ち回る

しかし、それでも戦いなれた二人の戦士を相手取るには不十分であった

 

「だぁ!」「はぁ!!」

 

剣と槍が突き出され、ラストの体に叩き込まれる

その衝撃に踏ん張りがきかず、ラストは吹き飛ばされた

 

「ぐぁっ・・・あっ・・!」

 

痛みで視界が揺らぐ、それでもまだラストの戦意は折れていなかった

ふらつきながらもその場に立ち上がる

 

「勝つんだ、・・・母さんが認めてくれるように──!!」

 

『STATUE OF HAPPINESS』

 

グリップをドライバーに収め、再度引き抜く

 

BEST END(ベストエンド)

 

弓を弾き絞り、撃ちだす

 

強力なエネルギーが一本の矢に集約され

アクトとサウンドに向けて放たれた

 

『NEXT』

『BEST CUT!!』

 

『GIGA』

『BEST HIT MEDLEY!!!』

 

アクトが、竜巻を纏った剣を

サウンドが、熱気を持った槍を構える

 

そして、飛来する矢に目掛け

両者は武器を振るう

 

巨大な熱気を備えた竜巻と矢がぶつかり合い

──打ち消し合った

 

「ハァ・・・!ハァ・・・ッ!!」

 

ラストが荒れた息を整える

最早、疲労はピークを迎え

必死の一撃も二人には届かなかった

 

それでも諦めなどつくわけがなかった

 

『MASKED RIDER The NEXT』

 

『NEXT』

『BEST ACTION!!』

『GIGA』

『BEST SOUND!!』

 

二人の仮面ライダーがそろって飛び立つ

 

BEST END(ベストエンド)

「うわああああああ!!!!!」

 

ラストが再度弓を弾き絞る

 

「ストームライダーキック!!」

「どりゃああ!!」

 

二人の仮面ライダーの必殺キックと

放たれた矢がぶつかり合う

 

強力なキックが矢のエネルギーを削り取っていく代わりに

その勢いを削いでいく

 

ラストは、祈るように縋るように

矢を放ち続ける

 

しかし、その拮抗も長くは続かなかった

 

「はぁああああ!!!」

「だぁあああああ!!」

 

「うぁっ・・・あああ!!」

 

矢を突き抜けた、二人のキックがラストの体に叩き込まれた

 

ラストが吹き飛び、地面に叩きつけられる

そして、変身が解け・・・そのまま動かなくなった

 

「ッハァ・・・ハァ・・・」

「い、生きてるよな・・・?」

 

息も絶え絶えといった様相で

アクトとサウンドが、ラストの安否確認をしようとしたその時

 

『隙あり』

 

高速で駆け抜けた何かが

サウンドの体を殴りつけ、吹き飛ばした

 

「翔!?・・・ぐっ」

 

それに気づいたアクトだったが

しかし、遅かった

 

突然現れた、ペローに首を掴まれ

持ち上げられる

締め上げられる首に意識が飛びそうになる

 

「雄飛!」

「来ちゃ・・・だめ・・・だ!」

 

テラーになっていた人を運び終えた杏奈さんが

飛び出してくる

しかし、喜べない、その背後にさらに何か別の何かが見えたからだ

 

「えっ!?きゃあ!」

 

杏奈の立っていた場所に、何かが振り下ろされる

それは、体を青く染めた

まるで、鬼のような意匠をした、怪人であった

 

「させっか!!」

 

復帰したサウンドが、テラー目掛けて駆けだそうとする

 

『邪魔しちゃだめよ?』

 

しかし、その間にさらに怪人が現れる

ストーリーテラーのクイーンである

 

何ということだろうか、この状況で

さらに3体の怪人が現れるとは

 

『さぁ・・・怪人になる時さ、仮面ライダー!!』

 

そう言いながら、ペローが釣り上げた

雄飛に手をかざす

 

その瞬間、自身の体が鳴動するのを感じた

 

「ク”・・・ア”・・・!?」

 

自分の中で何かがうごめくのを感じる

まさか──これがテラーへの変化だというのか

 

必死に抑える

こんな状況で、なるわけにはいかない

 

アクトの変身が解け、雄飛に戻る

しかし、そこからなかなか変化が起こらない

 

それに業を煮やすのがペローであった

 

『耐えるなよ・・・さっさと変われぇ!!』

「断る・・・っ!!」

 

自分の体から何か漏れ出てくるのを感じる

 

「いやっ・・・!」

「!?」

 

自分の状況もそうだが、どうやら向こうもやばいらしい

杏奈さんが、必死に後ずさりながら

テラーから距離を離そうとする

 

しかし、その程度で逃げられる相手ではない

振り下ろされるこん棒が、いつ彼女を押しつぶしておかしくない

 

サウンドは、クイーンに阻まれ

助けに行けない

 

不味い──このままでは杏奈さんが

 

『オワリダ・・・!』

「ヒッ!」

 

ついに追い込まれた杏奈さんに

テラーが狙いを定める

そして、こん棒を振りかぶり

 

──っ!

 

「や”め”ろ”お”お”!!!」

『うわ!?』

 

自分の中の何かへの対処と杏奈さんの救出で思考が混じり合い

最早無我夢中であった

 

感情の高ぶりに呼応したのか

吠えた瞬間に謎の衝撃が放たれ

ペローを吹き飛ばす

 

自由になったその身で駆ける

そして、テラーと杏奈さんとの間に躍り出た

 

既にこん棒は振り下ろされた

回避は不可能、変身をしなければ

 

チケットを取り出せるか──?

 

無理だ、どのポケットに手を突っ込んでも間に合わない

 

その瞬間だ、自分の手に何かが湧き出てくる

自分の中の何か、その一端が

湧き出て、チケットが生み出される

 

──迷っている暇などなかった

 

半ば反射で、手にしたそれを

乱雑に、ドライバーに叩き込んだ

 

夜と野獣(Night Of Beast)

 

──瞬間

──闇が訪れた

 

震える夜が来る(Trembling Night Is Coming)

獣が連れてやってくる(Beast Will Bring It)

あの悲鳴が聞こえるか?(Can You Hear That Shout)

 

夜と野獣(Night Of Beast)

 

...誰も逃れられない(... Not Missed off .)

 

続く




次回 仮面ライダーアクト

第21章[やがて、恐怖の夜が来る]
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