仮面ライダーACT [アクト]   作:ヨッツ

21 / 40
第21章~やがて、恐怖の夜が来る~

大振りでただただ武骨な

飾りっ気もない、金属のこん棒は既に振り下ろされていた

 

──迷っている暇などなかった

 

半ば反射で、手にしたそれを

自分からたった今生まれた、何かを

雄飛は乱雑に、ドライバーに叩き込んだ

 

そして、腕を交差させ、振り下ろされるこん棒から頭を咄嗟に守る

反射的に目を閉じて、

数舜後に、自身に襲い掛かる衝撃に備える

 

・・・。

 

──?

しかし、何も起こらない

一体どうしたということだろうか

なぜ、自身に襲い掛かる攻撃が未だ襲い掛からない?

 

恐る恐る、目を開く

「!?」

そこには──()()()()()()

 

「なん・・・だ?」

 

気が付けば、雄飛は何もない暗闇の中

たった一人、立っていた

暗い、本当に暗い

目の前ですら何も見えない程の、闇の中に立っていた

 

「ここは・・・?杏奈さん・・?翔?」

 

後ろに振り返る、そこには誰もいない

遠くを見渡す、一寸先は闇に包まれ、何も見えない

 

──いや

 

「っ──誰だ!?」

 

気配があった、自分以外に誰の姿も見えない

先すら満足に見通せない闇の中

 

うごめく何かの気配が、確かにあった

 

瞳が開く、紅く光る眼が闇の中で自分を見ていた

それを認識した瞬間、はっきりとその姿を捉える

 

逆立つ焼け焦げたかのような黒い毛

曲がった姿勢、膨らんだ手足

指先から覗く、鋭く禍々しい爪

荒い息を吐く口から見える牙

 

禍々しい、野獣がそこに立っていた

 

『■■■──』

「!?」

 

互いが、互いを認識した瞬間

野獣は動き出す

その脚で、すさまじいスピードで雄飛に襲い掛かった

飛び掛かり、鋭い爪を振り下ろす

 

雄飛は、それを横に転がるように何とか避け

そして、野獣が着地した先を見る

しかし、そこに野獣は既にいない

 

一体どこにと、そう考える間もなく

()()()()()()()()()()()()

 

「が・・・ぁ・・っ!?」

 

背後から襲い掛かった

野獣の爪が肉を裂き、雄飛の体を貫いた

 

凄まじい痛みが雄飛を襲う

そして、その衝撃は

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

振り下ろされた、こん棒が途中で停止する

振り下ろすのを止めた?

──いや、止められたのだ

 

青い鬼のような様相のテラー:オーガテラーと

杏奈の間に割って入った、雄飛は

振り下ろされたこん棒を、掴み取っていた

 

震える夜が来る(Trembling Night Is Coming)

獣が連れてやってくる(Beast Will Bring It)

あの悲鳴が聞こえるか?(Can You Hear That Shout)

夜と野獣(Night Of Beast)

...誰も逃れられない(... Not Missed off .)

 

そんなおぞましさすら感じる音が鳴り響いた

雄飛の体が変容していく

 

いつものような、ヒロイックな姿ではない

黒、薄暗さを感じるような黒のアーマー

全体的に尖ったシルエットは、どちらかというと暴力的で

その腕は、獣を思わせる、逆立った毛で覆われた

何よりも、獲物を睨むかのような、鋭く尖った

紅い複眼が、強く、光っていた

 

『!?・・・放せ!』

「──。」

 

テラーがこん棒を引き剥がそうと

手に力を込める

しかし、それが動くことは無い

凄まじい力が、それを押さえつけている

 

ビシリと、鈍い音が静かに響く

アクト?が握りしめた部分から、亀裂が走る

そして、次の瞬間に

まるで、薄い氷を砕くように

こん棒は、バラバラに握りつぶされた

 

『!?──何ィ!?』

 

己の武器を容易く砕かれ、驚愕するテラー

その隙に、アクト?が拳を叩き込んだ

拳がテラーの体に触れた瞬間

テラーの体が宙に浮く

凄まじい力の込められた、その一撃は

しっかりと大地を踏みしめたテラーから

その足を引き剥がすことなど、容易であった

 

テラーが吹き飛び、着地もできずに地面を滑る

そして──

 

「■■■■■■──!!!!」

 

最早、言葉ですらない咆哮が響き渡った

空気を揺らすほどの大声は

その光景を唖然としてみていた

3人をようやく現実に引き戻した

 

「──つぅ!」

 

目の前で鼓膜が破れるかと思うほどの大声が放たれた杏奈は

耳を塞ぎながら、苦悶の声を上げる

 

そんな、ほんの少しの漏れた声を

──アクトは聞き逃さなかった

 

アクトが振り返り、目の前の少女を見据える

紅く鋭い瞳に、庇護の念は感じられず

その腕は、ゆっくりと持ち上げられ──

 

「──っ、不味い!」

 

腕が持ち上げられたのを見て

嫌な予感を感じ取ったのはサウンドであった

 

腕があくまでゆっくりと持ち上げられたのは、ある種の拒絶反応であろうか

必死に駆けたサウンドは、アクトと杏奈の間に

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「・・・うそ」

「な、にやってんだ!雄飛!!」

 

振り下ろされた腕を槍が受け止める

腕と槍が触れ合った瞬間、一瞬火花が散ったかと思えば

凄まじい重さが、サウンドの腕に掛かった

 

まさか、風間ちゃんにこんなのを振るおうとしたのかと

サウンドは驚愕する

と、いうよりも

雄飛が、仲間に攻撃を振るおうとしていることに驚愕した

 

一瞬、認識を誤認させる能力でも、あったのかとも思った

しかし、

 

「■■■──!」

 

その唸り声と、鋭い眼光がその疑念を払う

そして、理解する

そこに、雄飛はいない──!

 

振り下ろされている、手の力が弱まる

しかし、空いたもう一方の手が今度は動いた

かち上げるように、槍を腕が弾く

がら空きになった体に蹴りが叩き込まれる

 

サウンドの体もまたテラーのように宙を舞った

それを見た、アクトの背後に衝撃が走る

 

ゆっくりと振り返る

その眼前には獅子の様相をした怪人が次の手を振るわんとしていた

 

アクトの背後に不意打ちをしたペローは

再度、腕を突き出す

しかし、二度目の攻撃は不発に終わる

突き出された腕はアクトの体に届く前に掴み取られた

 

『!?』

「■■■!!」

 

掴んだ腕を振り上げる

それだけで、重いペローの肉体が空中に放り出される

そして、逃げ場を失った体に

アクトの拳が叩き込まれた

 

『ご・・・ぉっ!?』

 

苦悶の声を上げ、地面をバウンドしていくペロー

 

『貴様・・・!』

『くっ・・・!』

 

入れ替わるように、オーガテラーとクイーンが

新たな脅威を摘み取らんと前に出る

それを見てアクトは

 

さらなる行動に出る

 

──それを直感的に危険に感じ取ったのは

通常の雄飛との違いが色濃く見て取ったサウンドだけであった

 

「やばい!!」

「きゃっ!?」

 

サウンドが反射的に杏奈を抱えて飛びのく

 

次の瞬間──

アクトから、()()()()()()()()()()()()()()()

凄まじいスピードで放出されるそれに

サウンドと杏奈以外の3人が巻き込まれる

 

残された2人の目の前に形成されたのは

まるで、夜のように黒いドーム状の何かだった

 

まるで、夜のような暗闇が3人を包みこむ

目の前すら満足に見通すことのできない暗闇が自身の視界を阻んでいた

 

『これは・・・!?』

 

驚愕だったのだろう、テラーが一歩後ずさる

その足音こそが、致命的な情報であった

 

瞬間、鋭い痛みが走る

まるで何かに切り裂かれたかのような痛みが自身の体を蝕む

それにたまらず、また足を踏み出す

そして、また同じように引き裂かれたかのような攻撃が襲い掛かった

 

『あっ・・・がっ・・!?ぐぅわっ!?』

 

前から後ろから、四方八方からすれ違いざまに引き裂かれていく

けれども攻撃が止むことは無い

最早嬲られるようにテラーが傷ついていく

 

たまらず、膝から崩れ落ちる

その時、攻撃が止んだ

 

『(・・・助かった・・・?)』

 

僅かな希望を感じ、テラーが前を向く

その目の前には──

 

『BEAST』

BAD ACTION(バッドアクション)...』

 

紅い眼光が、怪しく光り輝いていた

その腕に、禍々しさすら感じるほどの

エネルギーが集まり、巨大な爪を携えた腕が形成される

 

『ひっ・・・うわぁああああああ!!!』

 

テラーの声が恐怖に歪む

その機能があれば、涙すら流していたであろう

けれど、そんなことには構いもせず

アクトは、無慈悲に腕を振り下ろした

 

爆炎が立ち上がり闇が晴れる、

視界が元に戻ったペローとクイーンの目に映ったのは

炎を背に立ち、こちらに狙いを定め始めた

アクトの姿だけであった

 

アクトがさらに2人に襲い掛かる

飛び掛かられた二人は、あまりの出来事に防御が間に合わず

その爪を持って引き裂かれ、吹き飛ぶ

 

『グッ!・・・クソ!』

『これは・・・駄目ね』

 

ペローとクイーンがその場から転移するように消える

2人はその脅威的な力のアクトに

たまらず一時撤退を選択したのだった

 

消えた2人を探し、当たりを見回すアクト

そこに──

 

『POP』

『BEST HIT !!!』

「どりゃあああ!!」

「!?」

 

必殺技を備え、サウンドが突撃する

背後から不意を突かれたアクトは

驚愕しながら体をサウンドの方に向けるも一手遅い

 

ギターランスを下段から切り上げるように振るう

真正面から振り上げられたその一撃は

アクトの腰に巻かれたベルトを引っ掛け

引き剥がすようにアクトに叩き込まれた

 

ベルトが無理やり剥がれる

 

「■■■!?」

 

驚愕したかのような声を最後に

アクトは、まるで電池が切れたかのようにその動きを止める

そして、変身が解除され

雄飛は気絶したままその場に倒れ伏すのであった

 

 

『チッ・・・テラーになれとは言ったけど、

 あそこまでじゃじゃ馬だとはね・・・』

 

帰還したペローは苛立つようにそう吐き捨てる

あれほどのパワー、間違いなく素材としては最良だろう

どう捕まえるかが問題だと

そう、思ったところで

隣にいる人物が、随分と上機嫌なのに気が付いた

 

『なんだ、久々に姿を見せたと思ったら随分と機嫌がいいじゃないか』

 

相手であるクイーンは

それを聞くとこう答える

 

『えぇ!・・・()()()()()()()()()()!』

11(ジャック)13(キング)を使ったわ。これで、勝負は頂いたわね!』

 

それを聞いたペローは内心穏やかにはいられなかった

どこで何をしていたのかは知らないが

彼女がここまで言うのだ、生半可なものがお出しされるとは思えなかった

 

『へぇ・・・そりゃあ凄い。でも、僕も負けてられない

 あの力を見たか?僕はあれを手にして勝ちを狙う』

 

焦りがあったのだろう、

負けてられないと、そんなことを口滑らせて

そう言うと、ペローはその場を立ち去った

 

それを聞くと、クイーンは怪しく微笑む

『そう・・・じゃあ?速く潰さなきゃね?』

 

 

雄飛は、またもテアトロのベッドで目を覚ますと

自分に何が起こったのか、そのことの顛末を聞き及んでいた

 

「チケットは・・・また、体の中か」

「しかし、大暴走とは、杏奈にまで襲い掛かったとなっては

 下手すれば民間人まで襲いかねないぞ」

 

一体どうすると、皆して頭を悩ませている

 

自分の不甲斐なさが、この現状を招いていることに罪悪感を覚えながらも

雄飛は、あの時自分が見たあの光景を思い出していた

 

暗闇の中で、自分に襲い掛かったあの野獣

あれこそが、このチケットに収められた

一人の人工精神なのだろう

 

となれば、あの状況はまさに精神の取り合いを行っていたわけだ

あれに抗うには、あの野獣に打ち勝つしかない

しかし・・・どうやって?

 

ヒントになるかと思い経験者(大木と杏奈)に尋ねるも

 

「・・・え?そんなの知らない」

「僕もだ・・・出てくるって言ったってもっとこう

 体から漏れ出るみたいな・・・」

 

そんな返答が返って来る

・・・?自分だけが、あんな状態になっている・・・?

 

これはどうしたと、疑問に思っていると

 

突然、店に異変が起こった

座っていた椅子が消え去る

皆して一斉に、腰から崩れ落ちた

 

ボスリと余り痛くない感触が体に響く

地面を触ると、そこにはサラサラとした砂が敷き詰められていた

 

「・・・砂丘?」「いや、砂漠だ!?」

 

いきなり、店どころか辺り一面が砂漠に早変わりしてしまった

そして、はるか遠くから何かが駆けてくる

 

あれは──

 

「不味い、皆下がってて!」

「待て!雄飛君!・・・やばくなったらすぐにベルトを外せ!」

「分かってます!翔!」

「おうさ!!」

 

杏奈さんや浩司さんが逃げたのを見送り

迫りくるテラーに立ち向かい

二人の青年たちは、構えた

 

「「変身!!」」

 

 

アクトとサウンドが変身をし終えたその瞬間

テラー達は、2人の元に到着した

 

飛ぶ絨毯を踏みしめたアラビアンな意匠をした怪人

 

怪人が仮面ライダー達の横を飛び抜ける

その通り際に、手にした曲刀で仮面ライダー達を切り付けた

 

想像以上のスピードで飛び交うテラー

その速さに翻弄される仮面ライダー

 

飛んでいるのも厄介だが、何より場所が悪かった

一面の砂が踏み込みを抑制し、上手く動けない

その鈍った動きを、テラーは逃すことなく攻撃していく

 

「くっそ!・・・相性悪いな!」

「だったら・・・!」

 

『WILD WESTERN』

 

アクトがブレイガンを構え、弾丸を放つ

しかし、その攻撃も武器に弾かれ、阻まれていく

弾丸も飛ぶテラーへの決定打にはならない

 

──なら!

 

再度、空を飛ぶテラーがアクト目掛けて飛来する

弾丸を放ち迎撃するも、それは武器に阻まれる

 

猛スピードで接近する敵、足場の悪い自分

回避不能な状況

しかし、アクトはこの攻撃を回避する気などなかった

 

通り際に曲刀がアクト目掛けて振るわれる

その一撃をアクトは

自身の左手を持って、受け止めた

鋭い痛みが走る、だが、一瞬相手の動きが止まった

 

『何!?』

「ここだ!!」

 

がら空きの体にブレイガンを構え

何度も引き金を引く

多数の弾丸が、テラーの体に叩き込まれ

その足を空飛ぶ絨毯から引き剥がした

 

砂漠に転がるテラー

 

「飛ぶ前に一気にいくぞ!!」

「おっしゃ!」

 

アクトがブレイガンを構え

サウンドが、槍を持って突撃する

 

『・・・まだだ!』

 

それに対し、テラーは焦らない

その手を、右肩の装飾に近づける

金色のまるで、()()()()()()()()()()()()()テラーはゆっくりとこすった

 

瞬間、その装飾から、煙が上がる

大量の煙はやがて集まり

まるで巨大な腕を作りだした

 

「な!?」

 

サウンドが驚愕に足を止める

そして、腕が仮面ライダー達に対し振り下ろされた

 

アクトとサウンドが回避するも

叩きつけられた巨大な拳が大きく砂埃を立てる

その隙に、絨毯を呼び戻したテラーが

再度、空に飛び立つ

 

そして、空からまるで降り注ぐように

煙の拳が何度も仮面ライダー達に叩きつけられた

 

「くそっ!埒が明かねぇ」

「どうにかして、あいつに近づかねぇと・・・」

 

避けながら、何とかせねばとアクトは思考を走らせる

 

この足場の悪さでは、大きな跳躍は不可能

やはり、遠距離攻撃を叩き込んで撃ち落とすしか・・・

 

そんな考えをしていたその時

自身の体に、また、痺れるような痛みが走る

 

「がっ・・!?」

「雄飛!?」

 

体を押さえこもうとする

しかし、それも耐えきれない

 

気が付けば、またも雄飛の意識は

暗闇の中にいた

 

──背後から悪寒が走る

振り向いて、飛び掛かった野獣のその腕を掴む

 

『■■■──』

「くっ・・・お前・・・!」

 

このままやられてたまるかと

雄飛は、野獣の腕を掴み止める

今にも振り切られようとする腕を何とか持ちこたえる

 

『──ていけ

「・・・?」

 

『──でていけ・・・!!』

「!?」

 

その時だ、

野獣が初めて意味の分かる何かを言ったように聞こえたのは

 

しかし、それを確かめる間はなかった

雄飛の手を外した野獣は、そのままその腕振り切り

雄飛のその体を見るも無残に、引き裂いた

 

 

『Trembling Night Is Coming』

『Beast Will Bring It』

『Can You Hear That Shout』

『Night Of Beast』

『... Not Missed off .』

 

「やべぇ!また!!」

 

再び、野獣のようなアクトが目覚める

煙の大腕が、そのアクトを押しつぶさんと殴り掛かった

 

しかし、それが仇となった

まるで、飛びのくように腕を回避したアクト

そして、さらにアクトは落ちてきた腕を掴むと

 

そのまま、腕を駆け上がるようにテラー目掛けて上り始めた

 

『なんだと!?』

「■■■■■!!!」

 

テラーが煙を装飾に呼び戻すも、時すでに遅し

腕が消え去る前にアクトがテラーの元に到着する

絨毯に降り立ったアクトがテラーに対し殴り掛かる

 

狭い絨毯の上で、爪と曲刀が入り乱れる

唯の獣のようにありながら

こちらの曲刀を理知的に避け

その腕で的確に攻めてきている

近接戦闘能力は、アクトに軍配が上がっていた

 

『くっ落ちろ!』

「!?」

 

テラーがわざと乱雑に絨毯を飛ばす

突如の揺れに、アクトの体制が崩れ振り下ろされた

 

砂の着地するアクト

それに対し、テラーが再度急降下からの攻撃を繰り出さんと絨毯を飛ばす

 

「■■■──■■■■■!!!!」

 

その瞬間、アクトがすさまじいまでの声量で咆哮を放つ

びりびりと空気を揺らすほどの音響が空中のテラーにまで迫った

 

『吠えたところで──!!』

 

そうして、アクトへの落下をテラーが始めたその瞬間

()()()()()()()()()()()()

砂から地面に、砂漠から街に

 

『!?』

 

どういうことだと、テラーが驚愕する

 

アクトの咆哮が砂を振動で揺らす

強大なまでの方向ははるか遠くの砂にまでその力を伝えていた

そう、遠くの先に突き刺さった楔にまでその振動を強く伝えたのだ

その強すぎる振動に、楔は耐えずに砕けたのだ

 

それでも、もはや自分は止まらない

このまま奴の元を突っ切り

通り際にその首を切り落としてやらんと

テラーは速度を上げて、アクトに突っ込む

 

その時だ

アクトの周囲から暗い霧状の何かが湧き出し

アクトが見えなくなるほど、黒く包んだ

 

『何!?』

 

テラーは目標を見失った

しかし、既にもう止まれない

止まるには速度を出しすぎていた

 

テラーが暗闇に突っ込み、アクトがいたであろう場所に曲刀を振るう

──手ごたえはない

そのままテラーは暗闇を突き抜け再び上昇する

 

絶好のチャンスを逃したテラー

しかしまだチャンスはある

もう一度、奴の元に突っ込んで──

 

下を見る、黒い闇が晴れていく

しかし()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()

 

?一体どこに──

 

『BEAST』

BAD ACTION(バッドアクション)...』

 

不吉な音声が、背後から聞こえたのを

テラーは感じ取っていた

 

振り返る、そこには

力を溜め込み、今ここに放たんとする

獣が、そこに立っていた

 

アクトが、その腕でテラーを殴りつけ

絨毯から空中へと放り出す

 

驚愕したまま落下していくテラー

 

アクトもまた、絨毯から飛び降りる

 

テラーがもがく、何とかしなければともがく

しかし、無情にもその身動きのとれなくなった体を

 

「■■■■■───!!!」

 

アクトの、禍々しいエネルギーを集わせた

蹴りが一息に、貫いた

 

空中にて爆散するテラー

爆炎を背に着地するアクト

 

勝ち誇ったかのような咆哮を上げた彼は

残った一人を、見据える

 

「やるしかねぇのか・・・!」

 

その荒々しいを超え、もはや凶悪とも言える

戦いぶりに冷や汗を流しながら

サウンドは武器を構える

どうやって、彼からベルトを引き剥がそうかと思案する

 

『お困りかしら?』

「!?」

 

そんな彼に話しかける声が一つ

その相手は

 

「クイーン!何しに・・・!」

『あら、大丈夫よ、あなたに用はないわ

 ・・・あの子ね』

 

突如現れたクイーンはアクトを見据え

そして、手を広げた

 

『いらない根は、潰さなきゃね?』

「!?」

 

サウンドが、クイーンに槍を構える

冗談ではない、こっちは雄飛の変身解除って大仕事が残っているのに

余計な火種を持ち込むなとそんな心境であった

 

『あら?遊んでくれるの?

 ・・・でも残念、今日は私は戦う予定じゃないもの』

 

そう告げると、クイーンの背後から何かが出てくる

それは、細身の剣を携えた、まるで銃士隊のような意匠をした3体の怪人であった

 

『さぁ・・・()()()()()()

 その力を見せて頂戴!』

 

続く




次回 仮面ライダーアクト

野生VS三人の銃士のコンビネーション
『■■■──!!』

ラストの最後──?
「私は・・・もうおしまいだ・・・。」

彼は何を選ぶ?
「君は、そういう人が──
 いつ、おしまいを使うか知っているかい?」


第22章["おしまい"には"めでたし"を添えて]
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。