「嘘だろ・・・?」
ラストと自分の攻撃をまともに食らったはずだ
なのに、テラーはそれをものともしないかのように
ゆったりと爆炎の中から歩み出てくる
そして、腕を振り上げる
不味い、攻撃が──
猛スピードで迫る足音が響き渡る
「■■■■!!」
『!?』
テラーのその固い体表をアクトの貫手が穿つ
その鋭い爪でさえ貫きこそできないが、
高速で勢いをつけたその衝撃がテラーを大きく吹き飛ばした
隙を晒したテラーにアクトがさらに押し迫る
今度は固く握った拳を何度も叩きつけていく
「■■!!■■!!■■■■!!!!」
『グッガッ・・・ッ!』
テラーが振り払うかのように腕を振るう
目に見えない何かの横からの衝撃がアクトを襲う
ぐらりと、その体がよろけ──
ザリッと地面を踏みしめる音が響く
『!?』
「■■!!!」
無理やり持ちこたえたアクトが再度貫手を放つ
暗いオーラを纏ったその腕が
不意打ちが決まったと油断したテラーのその体を突き飛ばした
マネキンのようなその脚の何処から鳴らしているのかも分からないような
地面と金属がこすれるような音を立てながら
テラーが後ずさる
攻撃が、深く突き刺さったかのように見えたにも関わらず
その体の表面には、まるで傷ひとつついていない
『無駄だ・・・貴様らに勝利はない・・!』
「効いてねぇのか・・・?」
その様子を見ながらサウンドが絶望したように呟く
しかしその時
バキリ
『・・・!?』
まるで、
驚愕したようにその胸に手を置くテラー
信じられないことが起きたかのような
「・・・金属音?」
「まさか・・・」
「ウ”ア”ア”!!」
そのことに気づくか気づかないか
アクトはテラーに飛び掛かる
胸に手を置いて、呆気にとられたテラーはそれに反応が遅れたのだった
再度、アクトの蹴りがテラーの胸を蹴り飛ばす
そして
「グァ・・・グゥゥ・・!」
初めて、テラーが苦悶のような声を放つ
その胸元が、初めて傷がついたのだ
「傷が・・・やはり
「攻撃も、見えてなかっただけか・・・!」
そこまでいって、ようやくサウンド達にも合点がいく
攻撃がくらってなかった訳でもなければ
超能力のような何かで攻撃されていた訳でもない
ただ、見えない鎧と剣が、彼らに襲い掛かっていたのだった
そして、それが今一部分だけ剥がれたのだ
「だったら・・・」
サウンドがボウガンを構え、弾丸を放つ
放たれた弾がテラーの胸部に真っすぐと飛んでいく
それをテラーは先ほどとは違い大げさに回避する
「そういうことか・・・!」
液状化したラストが飛び出す
そして、テラーの眼前に躍り出て
その剣を胸目掛けて突き出した
今度はそれが、胸を目前に停止する
突き出された切っ先が、まるで金属に阻まれたかのような音を立てる
しかし、テラーの手に何か握られた様子はない
つまり
「(──浮いている武器か)」
こちらもまた、浮かんだ透明な武器が
テラーの腕に追従するように振るわれて
自分達に襲い掛かっていたことが見て取れた
──手さえ分かれば
そこまで考えたところで
液体と化した体に、腕が突き立てられる
しかし、それは水の体を突き通り
そのまま正面のテラーの体にぶつかる
「おっと」
「■■!?」
『ぐぉ!?』
背後からのアクトからの奇襲が
ラストの体を貫いていた
見境のなさは相変わらずのようである
しかし、僥倖
自身への攻撃が不意打ちとなってテラーの
体に叩き込まれた
突然の衝撃に耐えきれるはずもなく
転がっていくテラー
そして、自身の体を見る
胸の傷に血が濃くにじみ出していた
『おのれぇ・・・おおお!!!!!!』
傷ついた自身の体を見て震えるテラー
彼が怒りのままに吠えた次の瞬間
「「!?」」
『おおお!!』
テラーが右から左へ腕を振るう
ラストが、右からくる攻撃を防ぐために武器を構えた
一瞬の間の後に、構えた武器に衝撃が走る
これだけの予兆が見て取れるのなら
対策も可能──
次の瞬間、右からの攻撃を防御しているその身に
「ぐぁ!?」
切り飛ばされたラストに驚愕を隠せないサウンド
そして、次の瞬間
サウンドも、左右正面からの3本の斬撃が襲い掛かった
「な!?──おぁぁ!?」
立ち上がったラストとサウンドに次の瞬間
またもや見えない攻撃が、連続で叩き込まれる
凄まじい衝撃に2人の変身が解け倒れ込んでしまう
『許さん・・・八つ裂きダァ!!』
──増えた
先程まで、1本だった見えない武器が
何本にも増えて、こちらに襲い掛かったのだ
見えない攻撃がの雨あられに晒されたライダー達がそれに気づくのに
多くの時間は必要なかった
「■■──!!」
アクトもまた、その攻撃の例外ではない
武器の風切り音を拾ってその爪が飛来する攻撃を弾き飛ばす
しかし、1つを弾いたその瞬間
背中に2本の斬撃が叩き込まれる
「──!!」
何度弾いても、次から次へと武器が飛来してくる
耐えきれずに、アクトがその膝をつく
『死ねぇ!!』
「雄飛!」
攻撃が放たれる
それがアクトの眉間に迫る
「■■■■■■──!!!!!」
絶叫
その瞬間、空気を揺らすほどの咆哮が響き渡る
衝撃が、一時的に飛来する武器を一度に弾き飛ばす
『な!?』
「ウ”オ”オ”オ”オ”!!!」
テラーがほんの一瞬怯む
その一瞬で、アクトは行動を起こした
『BEAST』
『
薄暗い力が、アクトを包みこむ
そして、弾かれるかのように駆けだした
テラーが阻もうと攻撃を放つ
四方八方からの斬撃を、風切り音だけを頼りに
くぐり抜けるように駆ける
そして、テラーの目の前に躍り出た
アクトが跳躍し、その脚に力が集約する
『させるものかぁ!!』
横から斬撃が突き刺さる
2度も3度もアクトの体に降り注いでいく
「キ”エ”ロ”ォ”!!!」
『!?』
しかし、それでもアクトは止まらない
無理やり、体を進めていく
テラーがさらに腕を振るうって、見えない攻撃を降らせる
そして
テラーの攻撃が再度アクトの体を刺し貫くと同時に
アクトのキックが、テラーを吹き飛ばした
『グォオオオ!!』
テラーが吹き飛び
アクトが、崩れ落ちるように倒れる
「雄飛!!」
「──!」
翔とラストがアクトに駆け寄る
しかし、その奥の砂煙の中に
一人の人影が浮かび上がった
「っまだ・・・!?」
煙の中からテラーが現れる
『ぐっうう・・・』
しかし、ダメージを負ったように体を引きずる
『──覚えておけ、次は殺す・・・!』
逃げるようにその場から立ち去るテラー
2人のライダーはそれを追いかけようとしたその瞬間
崩れ落ちたアクトの変身が解け
傷だらけの雄飛が現れた
「っ──くそ!」
それを見てしまえば、置いてはいけずに立ち止まる
結果的に手負いのテラーを逃がしてしまった
「ああ、くそ
雄飛!!・・雄飛!!」
変身を解いた翔が雄飛を揺すりながら声をかける
しかし、返事はない
息はあるがやはり怪我が多い
「運ぶぞ、手伝え!!」
「ああ。
・・・?」
そして、アクトを運ぶために手を掛けたラストは
雄飛の傍に転がるある物を見つける
それは、禍々しいようにも見える一枚のチケット
『Night Of Beast』のチケットが、雄飛の体から排出されてそこにあった
※
喫茶「テアトロ」
「うーん、やっぱりすごい力だ・・・」
浩司は、店の裏の研究室で一人唸る
多種多様のケーブルが繋がった先には一枚のチケット
翔とラストが持ち帰ってきた件のもの
雄飛の体の中に眠っていたチケットである
これまで、戦ったもの達と比較しても強力なエネルギーを秘めたそれを
浩司はまじまじと見つめていた
「どうだ、解析は」
そう言いながら部屋を訪れたのは研究者仲間の音石である
手にはいくつかの機械部品
これから何か作りますといった風である
「ああ、データは十分に取れた
ただ、人口精神部分に関しては完全なブラックボックスだね」
抜き出すのもこの部分だけ破壊するのもお手上げだ
そう、浩司は告げる
できることなら、精神部分は抜き出せればよかったができないものは仕方ない
その上で、決めなければならないことがあった
「それで、破棄するのか
それとも、制御するのか」
「そうだね・・・」
そう、このチケットをどうするのかである
一番の問題であった雄飛からの摘出ができた以上
残った問題はその一点だけであった
すなわち、チケットごと破壊するのか
それとも、このまま雄飛用のアイテムとして使うのかである
安全面を考慮すれば、破棄一択である
しかし──
「正直、このパワーは魅力的ではあるからね」
そう、戦闘力だけを鑑みれば
この形態は非常に強力なのである
「正直に言うと、アクトシステムの単体のパワーアップはネクストで打ち止めだ」
「ああ。
・・・それでこの前、サウンドとのシステムの組み合わせを相談してきたんだったか」
「うん、そっちのシステムでも何か出来ればいいんだが・・・
それよりも今はこっちだ」
元々の力が、演技力という不確定要素で戦闘力が決定するアクトにとって
横軸の強化である、サムライ,ウエスタン等は幅があったとしても
縦軸の純粋なスペック強化という箇所は非常に難しい課題であったのだ
大木の助けもあって、雄飛の演じやすさを上げることで
スペックを押し上げたのがネクストだが
アクトにとってこれ以上のスペック強化手段は現状ない
そこに現れたのが、協力なスペックを誇るこのチケットだ
ストーリーテラー達の戦いも控えている以上
その力を易々捨てるのもまた、選び難い
「しかし、制御といってもどうやって」
「それが思いつけば苦労はしないさ・・・」
だがしかし、やはり怖いのは暴走である
敵味方関係なく襲い掛かる姿を見ている以上
どうしても避けて通れない課題であった
「サウンドの技術にそういうのは?」
「・・・音楽でリラックスなどならあるいは
いやしかし・・・無理だな」
単純なのは、このチケットの中の精神体のみを破棄、抑制することだが
その精神体部分が完全にお手上げなのだ
「それなりに、頭はいい方だと自負していたのだがね」
「結局、我々は奴の模倣、改善でしか戦えていないということか・・・」
青山博士
狂気に駆られてなお、このようなものを作成し他彼の天才ぶりに
2人そろって脱帽する
「やはり・・・危険すぎるか」
雄飛君にまた取り付く可能性もある
現状対策が思い浮かばない以上
破壊しておいた方が──
「ちょっと待って・・!!」
そうして、分解までしようとしたところで
部屋の扉が開かれて
いつの間に目を覚ましたのか
雄飛が部屋に飛び込んできたのだった
後から杏奈や大木も顔を出す
「・・・雄飛君?けがは?」
「ああ、大丈夫です
切り傷と、打撲ばっかだったんで」
痛そうに体をこすりながらそういう雄飛は
椅子に腰かけて、話始める
「壊すのは、駄目
・・・というか止めてほしいんです」
「いやしかし、危険だよ?」
「でも、やっぱりあの力は必要だと思うんです
・・・正直、ネクストまでじゃギリギリだ」
「と、言うことは
このチケットを使って戦いたいと」
「はい、これからの戦いにも絶対必要だ」
雄飛は力強くそう言い放つ
これまで戦ってきた雄飛だからこそ
敵との力量について思うところがあるのだろう
「しかし、そうなるとやはり暴走がネックだな」
「どうにかして、外付けで何かを作らないと」
「・・・外付け?」
雄飛が首を傾げる
ああ、説明を省いてしまった
「暴走せずに戦うためにも、外付けのパーツで制御などが必要だろう?
幸い、アクトドライバーはそういった拡張性の用意はある」
そういいながら、ドライバー上部のアダプタなどの図面を見せる
「しかし、外付けで制御するにも方法が・・・」
「・・・。」
そこまで言って、雄飛は何か考え込むように押し黙る
「?・・・何か考えがあるのかい?」
もしかしたら、制御に関して何か考えがあるのか
そんな思いから、浩司は雄飛の考えを問うた
「・・・それなら」
しかし、その問いに対して雄飛が返したのは
「制御じゃなく、もっとパワーアップするための物を作りましょう」
暴走への解決法とは、全く異なる物であった
※
『っく・・・この程度の傷・・!』
3人のライダー達との戦闘で手傷を負った
王冠を被ったテラー:キングテラーは
戦場を去り、休んでいた
胸がズクズクと痛みを放つ
こんな屈辱は初めてだと、怒りでどうにかなりそうであった
『辛そうだな』
『!?』
そんな彼の目の前に、一人の声が響く
目を見やると、青い服をした一人の男
『貴様か・・・』
『手が必要になった
・・・もう一度行ってもらう』
ブルーが、手を翳す
何かのエネルギーだろうか緩やかにテラーの下に集う
そうしたうちに、傷が
そして砕けた鎧がどんどん修復されていく
『アクトから
・・・早急に確保してもらいたい』
『何・・・?』
それだけ言い放つと、ブルーはその場を後にする
拒否をする暇も与えないとは、失礼な奴だ
『・・・まぁいい、雪辱を晴らす』
命令されるのは気に食わないが
助かったのは、事実
奴らに再度挑むべく
テラーはその場を発つのであった
※
「・・・それは、どういう意味だ?」
「まさか・・・チケットをそのまま使う気か?」
二人の博士は、その意図を読み取ることができない
なぜ、制御の話だったのに
それがなぜさらなる強化の話になるのだ
まさか制御が不要だとでもいうのか?
いや、そんなはずはないだろう
それに対する雄飛の反応は──
「はい」
その通りであった
この子は、あのチケットを使うのに制御が不要だと
そう言っているのだ
「無茶だ!・・・あんな凶暴な意思なんだろう!?」
「そうよ!暴走してまた見境がなくなったらどうするの!?」
大木と杏奈が2人して、その間違いを正そうとまくしたてる
しかし──
「・・・大丈夫です、きっと」
雄飛も譲らない
まるで、制御の必要などないと心からそう思っているように
「下手をすれば、君もまたテラーの仲間入りだぞ!」
「・・・押さえつけちゃダメなんだ」
雄飛は、静かにそう言い放つ
制御ではダメなんだと、そう彼らに示した
「浩司さんは言いましたよね?
彼らは人口精神体だって」
「?・・・ああ」
雄飛は、知っている
それがどういった意味を持つのか
脳裏に浮かぶのは、あまり話せもしなかった一人の怪人であった
「前に、一人だけ人を襲うのを辞めたテラーがいたんです」
「・・・ああ、鶴のテラーだね」
彼は、人の感謝に感化され
人を襲うのを破棄したテラーだった
「俺、あの野獣の・・・彼の過去をしれた気がするんです」
そうして、雄飛は語る
自らの中で会った一人の悲しい獣のお話を
「意思があるなら、俺はそれに賭けてみたい」
「・・・きっと、分かり合えると思うんです」
「──雄飛君」
雄飛はその意思に、一人の心に信じると
そう決めたのであった
しかし、それでも不確定要素が大きすぎる
精神論だけでは──
その時
轟音が、店の外から響き渡った
『オオオオオ!!!!』
「「変身!!」」
ここまで響くかのような咆哮と
外で掃除をしてたはずの2人の声
──まさか
「俺、行きます
・・・開発頼みます!!」
そう言うと雄飛は、ケーブルの繋がる
あのチケットを引きちぎりながら席を立つ
「っ雄飛君!まてそれを持って行っては──」
そんな静止も聞かずに雄飛は店の外に飛び出していくのであった
「っくそ!どうすれば!!」
音石が頭を抱えて悩む
このままいけば、また彼は暴走まっしぐらだろう
どうに化しなければ
「・・・作ろう」
浩司が何かを決心したかのように
立ち上がって作業台へと向かう
「だが、制御機能は何のアイデアも──」
「・・・そっちじゃない」
「は?」
「パワーアップアイテムの方だ!
この前相談したよな?」
「サウンドのシステムとの組み合わせか!?
「ああ、あれを完成させるぞ」
「だが、制御は!?」
「不要だって、彼は言ったろう」
浩司は、そう言うと作業に取り掛かる
PCのデータを引っ張り出して
馬車馬のごとく手を動かす
「もしものことがあるだろう!?」
「・・・だが、彼は言ったんだ」
「これまで、何度もやり遂げた子だ
・・・そうだろう?杏奈?」
そうして、杏奈を見る
暴走した彼に襲い掛かられたこともある彼女は
その時の様相を思い出す
あの身が竦むほどの恐ろしい姿を
──それでも
「うん、雄飛が言うのなら・・・大丈夫」
信じてみたくなった
あの人の良すぎる男が、あれすらも救って見せる
そんな場面を見たくなった
「・・・ああくそ!
しかたねぇ!!どうなっても知らんぞ!!」
音石もまた、頭を掻いては諦めて
デスクへと向かう
自分がもつ知識を総動員して
アクトを強化するための装備を作り始める
「大木君!君は・・・」
「ああ、話だろう?
・・・今いいところなんだ、話かけないでくれ」
そして大木はというと、雄飛から野獣の話を聞いた後からずっと
机で筆を走らせていた
何というか、あんな話を聞いて
インスピレーションがモリモリ湧いたそうな
「できた!!」
そして、すぐに筆を置いて
用紙をも広げる
「新しいチケットだろう?こんなのはどうだろう!!」
用紙を広げて見せる
そこにあるのは、一つのお話
キラキラと輝くような
不思議できれいな
魔法のお話
※
「ショウ、この茶色いのはなんだ?」
「え?・・・ああ松ぼっくりだよ」
秋だねぇ
そんなことをいいながら
翔は竹ぼうきを片手に落ち葉を掃いていく
その隣で、これまた放棄を持ちながら
落ちた松ぼっくりを不思議そうに眺めるラストであった
そんなところに
まるでアスファルトを金属が打ち鳴らすかのような音が響き渡る
「・・・?・・・!?」
その方をラストと翔が見た瞬間
2人揃って倒れ込むように身を躱した
瞬間、先ほどまでたっていた場所を何か通過するかのような音が走る
そして、二人の傍に立っていた木が
すっぱりと切れて倒れた
「てめぇ・・・!」
「あの傷が、・・・もう?」
『見つけたぞ・・・!!』
2人がドライバーを掲げて駆けだす
『オオオオオ!!!』
「「変身!!」」
『GIGA SOUND!!』
『BUBBLE MERMAID!!』
2人のライダーがテラー近づき
その武器を振るう
狙いは胸
その攻撃は、吸い込まれるようにテラーの下に向かい
そして、その体に触れる目の前で、何かにぶつかり停止する
「っく!」
「やはり修復済みか・・・!」
『フン!!残念だったな!!』
テラーが腕を振るう
2人のライダーの体に斬撃が走った
そして、また目に見えない連撃が2人を襲う
1本でもギリギリであるのに
何本もでは、まるで手が足りなかった
ライダー達の体に何度も斬撃が叩き込まれる
そして、テラーがその腕を引いたと思えば
一気に突き出す
その瞬間、2人のライダーに見えない突きが叩き込まれ吹き飛ばされた
「っちくしょ・・・見えなきゃどうしようもねぇ!!」
「不味いな・・・」
強力な連撃にサウンドとラストが今にも倒れそうになる
そして、テラーが止めを刺そうとした
その時
『MASKED RIDER The NEXT!!』
『!?』
風を纏った蹴りが、その顔面に叩き込まれる
傷つかずともその衝撃が、2人のライダー達から
テラーを引き剥がした
「!?雄飛!」
「けがは・・・?」
「問題ない!!」
不意打ち後テラーの目の前に降り立ったアクトは
そのまま追撃を重ねていく
風を纏った拳が、テラーの体を捉える
しかし、その拳は体を目前に鎧に阻まれる
──殺気!
羽飛ぶように跳躍する
次の瞬間、アクトがいた場所を剣が通過する
『逃がさん!!』
「がっ!?」
しかし、テラーも甘くはない
さらにはなった斬撃が、空中のアクトを断ち切る
回避後の一瞬の安堵の隙に突然の衝撃がアクトに襲い掛かった
バランスを崩したままアクトが落下する
そして、立ち上がろうとした瞬間
また、その脚を払うかのような攻撃が
アクトをさらに叩き込まれた
「がぁっ!ぐぁあああ!!」
連撃が何度もアクトを攻撃し
そして、最後に力を超えた一撃が
アクトを吹き飛ばす
吹き飛んでいくアクトを眺めたテラー
その両側面から、駆けこむ影が二つ
「らぁ!!」
「はぁ!!」
サウンドとラストが斬撃をテラー目掛け放つ
しかし、その攻撃もまた鎧に阻まれる
ならば、と2人は何度も攻撃を叩いていく
前回のアクトのように、鎧さえ砕けばあるいは──
『っさせん!!』
しかし、テラーもそれは既に学習済みである
振り払うかのように2人のライダーを掴み投げ飛ばした
ピシリと鎧にヒビが入ったかのような音がした
しかし、明確に砕けた音はまだしていない
投げ飛ばされた2人の奥で、アクトが立ち上がる
そして、あるチケットを取り出した
禍々しいそれを眺めてアクトは──
「・・・。」
決心はついた。
後は──彼が応えてくれるまで!!
『
「「!?」」
「雄飛!待て!!」
「・・・変身」
意を決して、アクトがドライバーにチケットを叩き込む
薄暗い闇がアクトを包みこんだ
次の瞬間、闇が晴れ
中から、獣の様相をしたアクトが現れる
「──。」
「・・・いけた・・・か?」
「──いや」
「■■──」
アクトの顔が上がり、テラーを見る
次の瞬間
「■■■■!!!」
咆哮を上げ、駆けだした
テラーが攻撃を放つ
四方八方からの不可視の攻撃がアクトへと襲い掛かった
それを感覚だけを頼りに飛び越えながら駆けていく
避けきれない斬撃がその身を傷つけようとお構いなく
アクトがテラーの目の前に飛び込んだ
爪が、鎧を叩く
不可視の鎧がそれを阻む
鎧から散った火花が、アクトのその黒い装甲に照り返った
攻防が続く
それは、アクトの外だけの話ではなかった──
※
雄飛が暗闇の中に立つ
ザザザと何かが駆ける音がした
咄嗟に身を躱す
爪が、自分の首のあった箇所を通過した
『・・・出ていけ!!』
「いやな・・・こった!!」
野獣が、何度も攻撃を放ち
雄飛がそれをギリギリで躱していく
『なんのために来たぁ!!』
「君に・・・助けてもらいに来た!!
それで、・・・連れ出しに来た!!」
『何ィ・・・?』
雄飛は避けながらそう語り掛ける
野獣は理解できないように
「こんな場所でいても!何にもならない!!」
『・・・黙れ!!
ここが、私の場所だ!!出ていけ!!』
「明るい場所に出てほしい!!
君の力が必要なんだ!!」
『断る!!』
野獣の腕が、木々をなぎ倒しながら雄飛に迫る
それを間一髪で避けながら逃げ続ける
これは、骨が折れそうだ
※
「できた!!」
浩司が、席を立ちあがる
まるで、力を使い果たしたかのようにぐったりしている音石と
待ち望んでいたかのような杏奈が
完成したそれを、
まるで、何かのカバーのような形状をした
新しいチケットを見た
「杏奈」
「任せて!」
それを持って杏奈が駆けだす
目標はもちろん、雄飛の下である
※
「■■──!!」
不可視の斬撃が、アクトに襲い掛かる
先程と同じように、捌ききれない程のそれが
アクトの体を、切り裂いていく
その様子をサウンドとラストは眺めることしかできない
下手に手を出せば、狙いがこちらになるだけである
「っくそ、うかつに手を出せねぇ」
サウンドとラストが、手をこまねいていると
「翔!!ラスト!」
「!?・・・風間ちゃん!」
アイテムを抱えた杏奈がそこにたどり着く
そして雄飛へとアイテムを手渡そうと──
「雄飛は・・・!」
「行くな!まだ暴れてる!!」
しかし、アクトは現在進行中で暴走状態である
そんな相手にどうしようもない
そう、サウンドに止められた
──だが、
『ハァ!!』
「■■──!!!」
運悪く、アクトがテラーの攻撃を喰らい
そしてまさに杏奈の目の前に吹き飛ばされた
そして、起き上がったアクトのその目が
──杏奈を捉えた
ユラリと立ち上がり
アクトが杏奈の目の前に立つ
「やべぇ逃げろ!!」
サウンドが、そう呼びかけるが
恐怖で、どうも足が竦んでしまっている
上手く、動かせない
そして、アクトが腕を振りかぶり──
「っ!」
杏奈が、自らに起こるそれを察し
目をつむる
サウンドが、駆けだすが、間に合わない
アクトの禍々しい爪が
杏奈に突き立てるために振りかぶられ
そして──突き出された
※
「がっ」
雄飛が、野獣の振るう腕に巻き込まれ
大きく吹き飛ばされる
地面を何度か跳ね、ようやく止まる
しかし、その痛みもやまぬまま
倒れたその上に、野獣が降り立った
『出ていけ・・・出ていけ!!』
「っ・・・ここで居たって!何も変わりはしないだろう!!」
『!?』
『・・・ああ、そうだ。
だから、それがいいのだ・・・!』
野獣の腕が振りかぶられ
その爪が雄飛の顔面を捉える
「・・・恐れられたままでどうする!!
どうにかしたくないのか!?」
『・・・っ不要だ!!』
「・・・全員から虐げられて、悲しいだろう!!」
『そうだ!!だからここにいるのだ!!』
物語から生まれた人口精神
それは、あの一説が、そのまま彼の過去そのものであることを示していた
彼は、醜い野獣として虐げられた物語から生まれた心なのだ
そして、このチケットでは、きっとあの一説が正道なのだ
深い森で、悲しみに包まれたままの獣が
彼の心そのものなのだ
──けれど、変えられないことは無いのではないか?
「でも!!一歩踏み出せば!・・もしかしたら!変えられるかもしれない!!
誰かが、受け入れてくれるようになるかもしれない!」
『!?』
「変われないでずっとここにいるのか!?」
『っ黙れ・・・!』
腕が、振り下ろされる
けれど、それはどうにも先程までの勢いがなかった
『!?』
「外に出るんだ!!人は、なんにでもなれる!!」
腕を掴み取って、そう告げる
そうだ、この精神が誰かに拒絶されるのを拒んでいるのなら
・・・受け入れてもらえるようにしてやるしかないのだ
『黙れええ!!』
腕が振り払われた
再度、振りかぶられた腕が今度は素早く振るわれる
爪がこちらに迫る
──駄目か?
※
アクトの腕が振りかぶられ、振り下ろされる
杏奈が、ぎゅっと目をつむって
自身に襲い掛かる防御に備えた
・・・?
衝撃がこない?
恐る恐る、目を開く
そして眼前に広がる光景に驚愕した
「■■──??」
振り下ろされた、右腕を
左腕が掴み止めていたのだ
「・・・雄飛?」
右腕が必死に左腕を振り払おうとする
しかし、左腕も必死にそれを耐える
「っ今!!」
杏奈がその隙にドライバーに手を伸ばす
そこで、右腕が左腕を引き剥がした
「風間ちゃん!!にげろぉ!!」
再度右腕が振りかぶられる
けれど、杏奈は怯まない
再度、腕が振り下ろされたその瞬間
ドライバーの上部から表面を覆うように
カバー上のアイテムが
しっかりと、装着された
『──同時上映!!!』
※
野獣が再度、腕を振り下ろす
咄嗟に雄飛は腕で頭をガードする
・・・衝撃が来ない?
恐る恐る、目を開く
そこには、驚愕の景色が広がっていた
薄暗い、まるで何も見えない暗闇であった森が
色とりどりの光が浮かび、森を照らす
飛んでいく光が風の流れに乗って
木々の間を尾を引きながらひらひらと流れていく
幻想的な、風景がそこにはあった
雄飛は、それを眺め息を呑む
そして野獣は──
『──。』
その景色に、あまりの美しさに見惚れていた
雄飛の上から立ち上がり
光を追いかけるように手を伸ばす
触れた瞬間、はじけた光が、また小さな光を撒いて飛んでいく
雄飛は起き上がり、彼の目の前に立った
『これは・・・』
「魔法さ」
雄飛はそう答えた
ああ、そうだ
こういった物語で困ったときは
いつだってこれなのだ
眩い奇跡が、起こるのだ
野獣に向けて手を突き出す
そして、一言呼びかけた
「・・・一緒に行こう、大丈夫きっと魔法が助けてくれる」
──眩いほどの輝きが、きっとその醜さを晴らしてくれる
──可笑しな奇跡が、きっと怖さを和らげてくれる
──不思議な獣には、きっと誰もが集ってくれる
そして、野獣は、出された手を──
※
アクトが、腕を振りかぶりそして
振り下ろされそうになった
「風間ちゃん!あぶねえ!!」
その瞬間──
振りかぶられた腕が、力が抜けるように落ちた
「・・・?」
アイテムを取り付けた後、逃げられない衝撃に備えた杏奈は
また、ゆっくりと目を開いた
「・・・無茶するね、杏奈さん」
「・・・雄飛・・!」
アクトから、低い唸り声のような声ではなく
聞きなれた声がした
今ここに、アクトは雄飛として立っていた
「下がってて」
「ええ!」
杏奈さんが遠く離れたのを確認して
「雄飛、雄飛なのか!」
「翔
ああ、もう大丈夫」
「下がってて、ラストも」
そういって二人を下がらせた
そして、テラーと向き直る
『落ち着いたところで・・・
何も変わりはしない・・・!』
テラーは、今までの攻撃の通りから
自身の勝を確信したように勝ち誇る
「・・・どうかな?」
そんなテラーにアクトは不敵にそう言い放つと
ドライバーに手を掛けた
「・・・いくよ」
ドライバーの表面、新たに装着されたアイテムを
軽く押し込んだ
『
幻想的な音が鳴り響く
そして、パーツを装着したことで
一度抜けた、チケットを再度押し込むように
ドライバーに叩き込んだ
『
『
『
『
『
『
続く
次回 仮面ライダーアクト
第26章[魔法にかけられて]