仮面ライダーACT [アクト]   作:ヨッツ

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第29章~反逆と最後の1枚~

『嘘だああああ!!!!』

 

爆炎に包まれて、一つの意志が今燃え尽きる

その跡には、何も残ってはいない

 

怪人、ペローはここに討伐されたのであった

 

『!?』

 

その断末魔を聞き取り、驚愕したかのようにサンとブルーが振り向く

あれほど強化されていたペローが敗北した

 

その事実が、彼らの意識を一瞬とはいえ戦闘から引き剥がす

そして──

 

「「うおおお!!」」

『しまっ・・ぐお!』『っ・・!』

 

その一瞬を、アクトとラストは見逃しはしなかった

 

アクトの握りしめた拳が、サンの顔面を見事に捉え殴り飛ばす

ラストのブルーのその腹を思い切り蹴り飛ばす

 

2人の怪人が、固まるように同じ場所に吹き飛ばされる

 

拡大(ビッグ)』『Select(セレクト)

 

杖を叩き、アクトがその腕を天に向け突き上げる

そして、現れた魔法陣がその手を通過した瞬間

 

まるで巨人のように太く長い腕がそこに現れた

 

『BEST END』

「はああああ!!」

 

ラストがグリップを握った手を引き絞る

その周囲に、炎で出来た刀剣がいくつも回転しながら現れていく

 

「はぁ!!!」

 

ラストが引き絞った腕を突き出す

その瞬間、周りに現れた炎が一斉に2体へ向けて襲い掛かった

 

「おおおおおらぁ!!!」

 

アクトが、巨大化した腕の拳を握り込む

そして、まるで鉄槌が如く

拳を握った腕を2体目掛けて振り下ろした

 

『っちぃ!!』

『引くぞ』

 

炎と腕が2体に襲い掛かる瞬間

ブルーがその手を仰ぐ

瞬間、ブワリといくつも青い羽が2体を包み隠す

 

炎の刀剣が羽を切り裂き

腕がそれを上から叩き潰す

 

大きな砂煙が上がり、巨大化した腕が消えていく

羽が吹き飛び、砂煙が晴れていく

 

しかしそこにあったのは

ひび割れた地面だけであった

──2体が倒された形跡はどこにもありはしなかった

 

「逃がしたか・・・!」

「・・・くそっ。」

 

 

 

『く・・・ああああ・・!!!』

 

焼けるような熱さが体の奥底から湧き上がる

全身にが痺れ、今にも吹き飛びそうな痛みが走り回る

 

暗がりの中、クイーンは悶えていた

2枚目のチケットを無理やり体に施されたことによる

拒絶が彼女の身を傷つけていた

 

全身の痛みは、彼女を殺すまで苦痛を与え続ける

 

・・・かに思われた

 

『ぐ・・・うううう・・・!』

 

痛みに耐えながら、ゆっくりとクイーンがその体を起こす

その瞳には、これまでの彼女には見られなかったような

尋常ではない、怒りを滲ませながら

 

理不尽に、自分を傷つける物

自分の思い通りにならない事象

これまで避け、覆し続けてきたもの

 

それを見に受けたクイーンは

怒りを持って、本来ならば動けない程の苦痛を

 

『うああああああ!!!』

 

今、はねのけて見せた

 

『はぁー・・・はぁー・・・!!』

 

女王の意匠をしたその怪人態が変容していく

肩には、樹木のようなものが生えていき

そして、その枝先には

今にも崩れ落ちそうなほど、腐り濁った

熟れすぎた林檎が一つ、ぶら下がっていた

 

『ふーっ・・・ふっー・・・

・・・ふふふ・・・。』

 

その姿を見て

そして、先ほどまでの痛みが嘘のように消えて

代わりに力が満ちていくような感覚を得て

 

『フフフ・・・アハハハハハ!!!』

 

クイーンは、それまでの抑えめにしていた感情を

嘘のようにさらけ出して笑う

 

『そう!・・・そうよ!!』

(無駄)(無能)も!!いらなかった!!』

 

ああ、いい気分だ

今なら何でもできてしまいそう

 

『私が、私だけが全部持ってればいいの

 そう、私だけが持てればいいの!!!』

 

育てる必要なんてなかった

傍に控える必要なんてなかった

 

『──少し疲れてしまうけど、

 ・・・きっとそれが一番早いわ?』

 

 

ある病室の一室──

 

そこには、一人の眠り続ける人間がいた

病室の入り口に駆けられた名札には

『風間大吾』の文字

 

そう、ここは雄飛達によって助けられ

そして今だに目を覚まさない、男のために設けられた一室であった

 

『・・・。』

 

そんな眠り続ける彼の前に

一つの影が、訪れた

 

初老の男は、大吾の顔を見て

ほんの少し、懐かしむかのような顔を見せた

 

そして、その手を取り──

 

「だれだ!!ここは立ち入り禁止だぞ!!」

 

そんな姿に、大声で怒声を浴びせる声が一つ

振り返れば、男と同じ位の歳をした

白衣を着た男がそこには立っていた

 

「っ!彼をどうする気だ!!」

 

白衣の医者が警報を鳴らさんと手を伸ばす

そんな医者に、男は手をかざす

次の瞬間

 

「!?」

 

医者に向かって軽い衝撃波が繰り出された

医者がは衝撃に飛ばされて、壁に激突する

 

そして、気絶して動かなくなってしまった

 

『・・・。』

 

ブルーは、それを見届けると

再び大吾の体を掴み上げる

 

そして数分後

 

そこには、気絶した医者以外誰の姿もないのであった

 

 

喫茶「テアトロ」──

 

「そうか、金子は・・・」

「・・・はい」

「・・・。」

 

空気が酷く沈む

彼を連れ戻せなかったことはこちらにとっても痛手である

 

結局、彼からは何の情報も聞き出すことができなかった

いや・・・人間として連れ戻せなかった

 

「これでまた振り出しか。」

「・・・だが、これで奴らは手を一つ失った

 考え方によっては、一歩前進じゃないか」

 

浩司さんがそんな励ましをする

 

確かに、ストーリーテラーと呼称していた4人

その内の1人は確かに打倒すことができたのだ

確かに前進ではあった

 

「これで向こうは3人・・・数が並んだじゃないか」

「叔父さん・・・そんな単純な」

 

杏奈さんが呆れかえる

その様子を見て、ほんの少し空気が和らいだ気がした

 

「しかし、そうなると

 奴らの目的は一体なんなんだろうな」

「・・・分かってるのは、神ってキーワードだけかぁ・・・」

 

沈んだ空気が多少晴れたことで

皆また、話し合いに戻る

問題は、ストーリーテラーの狙いについてである

 

「神・・・か」

「?・・・どうしたオオキ?」

 

その言葉を聞いた大木さんは、酷く渋い顔をしていた

 

「いや、神って言うと

 作家としてはあまり好ましい存在じゃない物を思い出してね」

「・・・?」

「へぇ・・・なにそれ?」

 

作家ではないラストは、その言葉を聞いても首を傾げるだけである

そんな言葉を聞いて面白がった翔が問いかける

 

皆もまた、思考を一度取りやめ大木さんの方を向く

そして、大木さんは休憩がてらある話をし始めた

 

「機械仕掛けの神、というものがあってね」

「機械仕掛け・・・?」

 

名前を聞いてもピンとこないみんなは首を傾げる

そんな様子を、少し愉快そうにしながら大木さんは説明に入った

 

「要は、お話の結末に困った時

 強引に結末へと向かわせるための物さ」

 

「例えば、"大岩をどかすために人が知恵を懲らすお話"があったとしよう」

「人数を増やして押しても駄目、道具を使っても駄目」

「万策が尽きてどうしようもなくなった時に」

「そこに神様が現れて、風を一つ吹かすんだ」

「風に揺られ大岩は容易く転がっていってしまいました。めでたしめでたしってね」

 

「・・・それは、なんだ?」

「モヤっとするだろう?」

 

腑に落ちない、といった顔をラストが示す

そんな様子を大木さんは愉快そうにしていた

 

・・・確かに、解決はするがなんというか

いささか唐突すぎる結末であった

 

「つまりは話を畳む要素だけがいきなり飛び込んでくるんだ

 ・・・そこまでのお話なんてお構いなしにね」

 

「大岩に挑む人の滑稽さだけを眺めるのならいいけれど

 どう解決するのかを楽しみにしてたら肩透かしを食らってしまう手法さ」

 

まぁ、今のは極端な話だけれどね

とそう付け加えて、大木さんは話を終えた。

 

なるほどな、と皆して一つの知識をつけたその時だ

 

太田さんの電話がけたたましい音を立てて着信を伝える

それを取った太田さん

そして、話を聞き進めていくたびに

その顔が、険しく歪んでいった

 

「何い!!?人がどんどん眠らされて異形に変えられていく!?」

 

──それは、とてもじゃないが聞き捨てならない話で合った

 

 

休日の町を、人々は思い思いに過ごしていく

 

友人と走り回って遊ぶもの

家族や、恋人と共に過ごすもの

一人の時間を大切にして、趣味に没頭するもの

 

多種多様な姿で、時間を紡いでいく

 

そんなところに

 

まるで薄暗い霧のような何かが漂い始めた

 

「・・・なんだこれ?」

 

通行人の一人は、それに気づき訝し気な様子で眺める

ドサリと、背後から音がした

 

「!?」

 

振り向けば、連れの一人が道に倒れ込んでいた

 

「ど、どうし・・・」

 

そして、心配をして駆け寄って声を掛けようとした瞬間

凄まじい眠気が、彼を襲う

見れば、周りの人々も次々と倒れ込んでいく

 

「な、にが・・・」

 

そして、彼もまたその眠気に抗うこともできずに倒れ込んだ

 

『~♬』

 

鼻歌をしながら、クイーンは倒れ込んだ人々の横を通り抜けていく

見やれば、右肩につるされたリンゴからは

彼らを眠らせた薄暗い煙が漏れ出るように湧いていた

 

クイーンが、通り過ぎた後

眠らされた人々の体に異変が起きる

その体は、まるでマネキンように簡素でつるつるとした姿に

その顔は目も口もない、のっぺらぼうのようになり

顔の中心にハート型のマークが湧き出る

そして、手には、また簡素な長槍が一本握られる

 

そうして、変化した人々は立ち上がり

まるでクイーンの後に続くようにゆっくりと歩んでいく

 

一人・・・また一人と追従するものは増えていく

そうして歩むクイーンの姿はまるで

進みゆく軍隊のようであった

 

「っこれは!?」

「な、なんだこりゃ!?」

「っ!?これを吸うな!!」

 

そうして進みゆくクイーンの目の前に

雄飛と翔、そしてラストが駆け付ける

 

闊歩するクイーンとその後ろに続く

数えきれないほどの数の兵隊

そして、漂う薄暗い煙

 

『あら、遅かったわね』

 

「まさか、これ全部!!?」

『そのまさか・・・ね♪』

 

その時、クイーンのすぐそばに倒れた人が

クイーンの背後に並び立つ兵隊に姿を変える

 

──間違いない

 

「皆を元に戻せ!!」

『いやよ、彼らは私が使うんだもの』

 

その言葉が引き金となり

3人は各々のドライバーを取りだした

 

『・・・さぁ、行きなさい』

 

クイーンが、指示を飛ばす

その瞬間、彼女の後に控えていた大量の兵たちが

3人目掛けて一斉に襲い掛かるのであった

 

「「「変身!!!」」」

 

『MASKED RIDER!!』

『POP UP SOUND IS SINGER SONG RIDER!!』

『BUBBLE MERMAID!!』

 

突撃する兵隊に

変身した3人のライダーもまた、立ち向かうように駆けだした

 

 

「ふっ!!はぁ!!」

 

アクトが襲い掛かる兵隊たちを徒手空拳で捌いていく

兵隊が振るう槍を避けて、その腹を蹴り飛ばす

吹き飛んだ兵隊は地面に伏せる

そして、まるで体がはじけ飛ぶかのように割れたと思えば

そこには、巻き込まれた人々が横たわっていた

 

「(一体一体は弱い)・・・けど数が多い!!」

 

一体一体とまた殴り飛ばして倒していく

しかし、一向にその数は減らない

 

まるで無限にも感じるほどに兵隊は襲い掛かって来る

 

『『『──!!!』』』

「!?」

 

その時、アクトの体を影が覆い隠す

見やれば、上から十数体の兵隊が槍を振りかぶって飛び掛かる

 

『RIDER』『BEST ACTION!!』

「おおお!!!」

 

腕に力を込めてアッパーのように振り上げる

拳と、数十本の槍がぶつかり合う

しかし、一瞬の均衡の上でアクトはその腕を振り切る

兵隊たちは、槍ごと上空に打ち上げられた後、地面に叩き落されて爆散していく

 

『──!』

「っ!」

 

しかし、猛攻はまだまだ終わらない

振り上げた腕を降ろす間もなく兵隊が

がら空きになったアクトの体目掛けて槍を突き出す

 

空いた手で、チケットを取りだす

 

『無頼剣豪!いざ参る!!!』

『侍丸!!!』

 

突き出された槍が、体に触れる前に刃に遮られる

 

「はぁ!」

 

ブレイガンで槍を弾き飛ばし

その体を一刀の元に断つ

 

「いくぞ!!」

『SAMURAI』『BEST CUT!!』

 

剣を構えて兵隊向けて駆けだす

そして、通り際に次々と切り捨てていく

 

アクトが一瞬で通り抜けた瞬間

兵隊たちは次々と倒れ伏せた

 

『Stand in the Wilderness With Frontier Spirits.』

『WILD WESTERN』

 

ブレイガンを銃に切り替え

ガンマンは一息の内に次々と弾丸を放つ

 

兵隊たちは防ぐ暇も無く

次々と撃ち抜かれていく

 

『WESTERN』『BEST SHOT!!』

 

銃口にエネルギーが集約し

ひと際大きな弾丸が放たれた

 

弾丸は兵隊を次々と貫通し

一直線に兵隊たちを打ち抜いた

 

『──!!』

 

銃を上げる

その瞬間、兵たちの声にならない咆哮が

アクトの周りから次々と響く

 

アクトの周りを取り囲むように

兵隊たちが並び立ち

振りかぶった槍を一斉に振り下ろした

 

槍が、円陣の中心の固い物にぶつかる

しかし、槍の穂先はそれ以上進まず

ライダーの肉を引き裂くことは無かった

 

風を受け継いだ新ヒーローは(The New Hero who inherited a Wind)

嵐のようにやって来る(Came Like a Storm )!』

『MASKED RIDER The NEXT(ザ・ネクスト)!!!』

「だあああ!!」

『──!?』

 

次の瞬間、膨大な風が円の中心から吹きだした

嵐のような暴風が、周りの兵隊を吹き飛ばす

 

『NEXT!!』『BEST ACTION!!』

 

アクトが大地を蹴り、その脚を突き出す

凄まじい勢いで突き進む蹴りが進む先の兵隊たちを次々と吹き飛ばした

 

「さぁ!・・・まだまだ行くぞぉ!!」

 

まだまだ減らない兵隊

しかし、アクトはそれに臆することなく駆け出した

 

 

サウンドがギターランスを振るい

兵隊たちを薙ぎ払う

兵隊たちも細い槍で果敢に攻める

しかし、サウンドの勢いある攻撃が

そんな槍を次々とへし折っていく

 

「数だけそろえてもなぁ!!」

 

『POP!!』『BEST HIT!!!』

 

槍を突き出して、サウンドが突撃する

エネルギーを纏った槍に触れた兵隊から次々に吹き飛ばされて爆散していく

 

『燃えるように!!ロックンロール!!!』

『BURNING ROCK!!!』

 

サウンドの右肩が燃えるように赤く染まる

そして握った拳で、迫りくる兵隊の顔面を殴り飛ばした

燃える拳が、兵隊たちを焼き倒す

 

そして、サウンドが大地を蹴り飛び上がる

槍にディスクを装填し、大きく振りかぶった

 

『ROCK!!』『BEST HIT!!!』

 

槍を横薙ぎに振るう

瞬間、穂先から焼けるように赤い斬撃が飛び出し

真下で上空のサウンドを仰ぐことしかできない兵たちを

次々と吹き飛ばした

 

着地と同時に、ディスクを取りだす

 

『刻む Groove!!』『COOL SO RAP!!!』

 

左肩が、冷え込むように青く染まる

 

「おらおらおらぁ!!」

 

槍をボウガンに組み替えて

兵隊たちの足目掛けて次々と弾丸を撃ち込んでいく

足元が固い氷に包まれて、兵隊たちの動きが一気に停止する

 

『──!?』

 

『RAP!!』『BEST SOUND!!!』

 

サウンドが地を蹴り、固定された兵隊目掛け脚を突き出す

逃げる術を失った兵隊たちを

冷気を纏ったキックが、貫いた

 

『caldissimo!』『grandissimo!!』『Fortissimo!!!』

Heat Up(ヒートアップ)! GIGA SOUND(ギガサウンド)!!』

 

周りの温度がグンと上がるかのような熱気が辺りを満たす

兵隊たちが、槍を振りかぶる

しかし──

 

『!?』

 

手にした槍のその刃がドロリと溶け落ちた

獲物を失った兵隊たちが驚愕で硬直する

 

『GIGA!!』

BEST HIT MEDLEY(ベスト ヒット メドレー) !!!』

 

「どおりゃあ!!」

 

サウンドが、エネルギーに満たされた槍を

大地に突き立てた

 

瞬間、まるで大地が震えるように鳴動し

突き立てた槍から、凄まじい熱気を帯びた衝撃が周りに向かって放たれ

周りに立つ兵隊たちを一気に吹き飛ばした

 

 

ラストに向かって

兵隊たちが一挙に押し寄せる

そして、ラストに飛び掛かり、彼の立つ場にその槍を突き立てた

 

しかし、その槍がラストを突き立てることは無かった

ドプンと音を立て、立っていた地面にラストが沈む

誰もいなくなった地面に一様に槍を突き立てる

兵隊たちが消えたラストに首を傾げた

 

「はぁ!!」

 

次の瞬間、剣と化したグリップを振るいながら

水のように地面から飛び出したラストが兵隊を切り捨てる

そして、着地と同時にまた地面に潜った

 

まるで、地面を泳ぎまわるように

潜っては飛び出しを繰り返し、ラストが次々と兵隊を切り捨てていく

 

『BEST END』

 

地面から、そのような異質な音が聞こえたかと思った瞬間

突如として水の斬撃が兵隊たちの足元から次々と現れ切り裂いた

 

ラストが地面から飛び出し、地面に降り立つ

 

『What The Fire Showed Was All Illusions』

『MIRAGE TORCH』

 

グリップから刀身が消え、代わりに炎が噴き出す

握り込んだグリップで、兵隊たちを次々と殴りつける

 

前方の敵を燃える拳で殴り飛ばす

その瞬間、背後から迫った兵隊がラストに飛び掛かった

 

「ハッ!!」

 

しかし、その奇襲が決まることは無かった

突如として現れた、炎で出来た刀剣が

飛び掛かる兵隊を、横から逆に切り捨てる

 

「燃えろぉ!!」

 

『BEST END!!』

 

グリップを握った拳を引き絞る

その瞬間、ラストの隣に炎で出来た巨大な拳が現れる

 

ラストが、引き絞った拳を突き出す

兵隊たちは、その拳に合わせて突き進んだ巨大な炎に

為す術もなく飲み込まれるのであった

 

 

『ふうん・・・なかなか足掻くのね』

 

自身の兵が次々となぎ倒される様を見ても

クイーンは全くと言っていいほどに焦ってはいなかった

 

現状を直視できていないのか

それとも──

 

 

『Give Everything...Lose Everything』

『STATUE OF HAPPINESS』

 

GREATEST HITS(グレイテスト・ヒッツ)!!!』

FOREVER(フォーエバー)!!』

MILLION SOUND(ミリオンサウンド)!!!』

 

『Be Moved and Trembling Night Is Coming』

『Mysterious Beast Will Bring It』

『Can You Hear That Shout』

野獣と幻想的な夜(Phantasic Night Of Beast)

『Not Missed off!!』

 

3人の仮面ライダーが並び立つ

 

BEST MEMBERS(ベストメンバーズ)!! 』

『 1! 2! 3!』

『MILLION!!』

GREATEST HITS MEDLEY(グレイテスト・ヒッツ メドレー)!!!』

 

サウンドのドライバーが輝き

その姿が4つにブレる

そして、4人のサウンドがボウガンに組み替えたギターランスを一斉に構えた

 

『BEST END』

「はぁあああ!!」

 

ラストが弓と化したグリップのその弦を弾き絞る

エネルギーが一点に集い激しくスパークを放つ

 

『BEAST』

(ファイア)』『爪跡(スクラッチ)』『追加(プラス)

BEST SELECTION(ベストセレクション)!!』

 

アクトの右腕に大きな爪状の燃え盛るエネルギーが集う

 

そして、そんな3人の目の前に

巨大な魔法陣が展開された

 

「だぁ!!!」「はぁ!!」「ぜあああ!!」

 

3人が、番えたエネルギーを一斉に解き放つ

4条の弾丸が、輝ける矢が、そして3本の爪跡が一斉に飛び交った

 

そして、それらが魔法陣を通過した瞬間

 

僅か8つであった攻撃が何倍もの数に増加して

一斉に残った兵隊たちに降り注ぎ

すべての兵隊を薙ぎ払ってゆく

 

凄まじい勢いの爆炎と砂煙が立ち上がった

そして、その後に残ったのは

 

3人の仮面ライダーとクイーンただ一人であった

 

「はっ、自慢の兵隊も数だけだったな!!」

 

サウンドが挑発を放つ

何百を超える兵隊も、3人に全滅させられるのでは意味がないと

 

『フフフ・・・』

 

その挑発に対して、クイーンはどこまで行ってもどこ吹く風

まるで、ここまではお遊びだと言わんがばかリの佇まいであった

 

「貴様・・・何がおかしい!!」

 

彼女と因縁浅からぬラストは、その様子に苛立ちを隠せない

そして、矢をつがえようとした時

 

()()()()()()()()()()()()()?』

 

クイーンはそう告げるのであった

 

「なに・・・!?」

 

背後に迫る殺気に、いち早く気が付いたのも

気が立っていたラストであった

 

「ぐっ」

 

振り下ろされた長槍を、矢で受け止めてはじき返す

弾かれ退いた兵隊は、転げながらユラユラと立ち上がる

 

──撃ち漏らした?

先程の攻撃で倒しきれていないものがいたのか

そう思っていた

しかし、現実はそうではない

より目を疑う光景が、3人のライダーを襲う

 

自分達が、倒したことで元の人間の姿に戻った人々

彼らは、倒されたその場に倒れ伏せていた

 

そんな彼らを、薄暗い煙はまた覆いこむ

そして、次の瞬間──

また、兵隊へとその姿を変えたのだ

 

「な!?」

「また!?」

 

復活し、起き上がった兵隊たちは

またも、アクト達に襲い掛かる

 

「はぁ!!」

 

アクトが、手にした杖で兵隊を殴り飛ばす

吹き飛んだ兵隊は、地面を転がり爆散する

そして、その爆散した場所に煙は集い

 

次ぎの瞬間には、また一人の兵隊がそこに立っていた

 

「っ・・!不死身か!?」

 

『そうよ!!』

 

クイーンが、気が付いたライダー達に向かい

勝ち誇るかのように宣言する

 

『尽きることは無い兵隊!私の思い通りに!

 永遠に!!付き従う兵たち!!』

 

『もう、あなたたちも!!

 サンも!!ブルーも私にはかなわない!!』

『そう!!そうよ!!私だけが手に入れるわ!!

 神の権能!!神の使役を!!』

 

訳の分からないことを口走るクイーン

しかし、それを問い詰める暇などなく

ライダー達は襲い掛かる兵たちの相手を余儀なくされた

 

 

『不味いことになったな・・・』

 

彼らの戦いをサンとブルーは遠くから眺めていた

 

『自分でやっておいてなんだが・・・奴は完全に暴走した。

 我々の手にもおえないぞ』

 

最早、あの能力は自分達にも刃が届きうるものへとなった

そのことにサンは危機感を持っていた

 

対処法を考えなければ、このままでは自分達の計画もご破算だ

 

『なに、問題はない』

 

しかし、ブルーはそれに対してあまり危惧をしていない様子であった

 

『?・・・何か手があるとでも』

 

自分いも思いついていないような

何か良い方法でもあるのかと

そう、ブルーに問いかける

 

それに対して、ブルーは簡素に、こう答えた

 

『なに・・・過ぎた力は身を滅ぼす』

『!?』

 

その言葉を聞いて、サンも合点がいったというように

口角を上げて、懐から何かを取りだす

 

それは・・・彼に手渡された、最後のチケット

 

『そう言うことだ』

『なるほど・・・』

 

愉快そうにサンは笑うと

クイーンの方へと飛び立った

 

 

『今日は随分とご機嫌だな、クイーン』

『あら・・・サン・・・良いところね』

 

『さっき、聞き捨てならんことが聞こえた気がしたが?』

 

クイーンの下へと降り立ったサンは

クイーンが告げた、自分も敵わないという言葉を問い詰める

 

『まるで、俺たちにも刃を向けるようじゃないか?』

『あら・・・そう聞こえなかった?』

 

次の瞬間、サンの背後から兵隊が襲い掛かる

 

『フン!!』

 

そんな兵隊を振り向きざまに燃やして吹き飛ばす

焼けた兵隊は、爆散し・・・すぐさま復活する

 

『ね?もうわかるでしょう?

 ・・・もう私の一人勝ちでいいでしょう?』

 

『なるほど・・・確かに厄介だ』

 

だが・・・

そう言いながら、サンがチケットを取りだす

 

『悪いが、これ以上の好き勝手は許すつもりはない

 ・・・止めさせて貰う』

 

サンがチケットを起動し、ゆっくりと自分へ近づけ──

 

『そう、・・・でも無理よ?』

『!?』

 

その手が止まる

いや、止められた

 

猛スピードで突っ込んだ兵隊たちが

サンのチケットを持った腕へと群がる

 

『何!?』

『残念♪』

 

兵隊がチケットをサンの手から弾き飛ばす

そして、そのチケットはクイーンの手の下へと渡る

 

『これで・・・積みね』

 

そして、クイーンは起動したそのチケットを

自らに突き立てた

 

『ぐっ・・・あああああああああ!!!!!!』

 

その瞬間、クイーンが大きく吠える

その姿が変容していく

 

体から、湧くように何かが生えていく

それは、ペローの時と似たひも状の何か

ただ、ペローが枯草の色であったので対し

こちらは青々とした緑をした紐

そして、紐には、見るからに営利で危険そうな棘がいくつも散らばっている

 

──詰まるところ、茨であった

 

クイーンの体中から、茨が生い茂るように生え

そして彼女を包みこんでいく

 

「「「!?」」」

 

3人のライダーも、兵隊の相手をしながらその変化に気が付いていた

 

「なんだ・・・茨!?」

 

『ああああ・・・アハハハハハハ!!!!!』

 

クイーンにも変化が訪れる

人型に収まっていたその姿が

湧き出る茨によって、その原型を無くしていく

 

茨は見る見るうちにクイーンの背丈をも超えるほど生え渡り

巨大な何かを形成していく

 

「あれは・・・!?」

「木・・・?」

 

『アハハ・・・!すごい!最高よ!!!』

 

湧き出る茨がようやく止まる

そして、そこにあったのは

 

数多の茨で構成された巨大な樹木

そして、その中央で包みこまれるかの如く

守られたクイーンの姿であった

 

 

『よくやった・・・サン』

 

『これで、100体

 これで、最後のピースは揃った──』

 

『さぁ・・・始めよう

 この世界に、この舞台にふさわしい神を呼ぼう!!』

 

『なぁ・・・大吾』

 

クイーンのその姿を眺め

ブルーはようやく計画を進めることができることに喜びを隠せなかった

 

そして、そんな彼のひとりごとを

横たわったまま、眠りについた風間大吾だけが聞いていた

 

 

続く




次回 仮面ライダーアクト

決戦、VSクイーン
『もう!!いらない!!いらないわ!!!』

「貴様を倒し、皆を救う!!」

ここに、神が降臨する
『ようやくだ!!これで!!
 機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)は降臨する!!』

第30章[機械仕掛けの神]
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