鋭い棘はまるで何者も彼女に届かせんとばかりに
よりいっそうその鋭利さに磨きをかけて
大量の茨がクイーンを包み込んでいく
そうして出来上がったそれは
まるで巨大な大樹のようであった
『アハハ・・・!すごい!最高よ!!!』
大樹に包まれた女王はあざ笑う
それに呼応するかのように
大樹から伸びた茨が強くしなりを上げライダー達目掛けて振り下ろされた
「!?」「あぶねぇ!!」
轟音を上げて茨がアスファルトを砕く
群がる兵隊ごと、3人のライダー達を大挙する茨が飲み込んだ
ズズゥン・・・と鈍い音を立てて茨が敷かれる
立ち上る砂煙が辺りを覆いつくす
それを見たクイーンを包む大樹は
その巨大な姿を解いていく
『フフフ・・・ハハハ・・・!!』
そうして、再び地面に降り立ったクイーンは
大層愉快と言わんばかりに笑いながら
この場を去っていった
随分と浮かれていたのだろう
死亡確認どころか、攻撃がちゃんと当たったことすら確認せずにである
砂煙が晴れていく
叩きつけられた茨が巻き上げたアスファルトの瓦礫が
山のように積みあがったものが姿を現す
瓦礫の山の頂点が、がたがたと音を立てる
そして、中から現れた腕が、その瓦礫を押しのける
どかした先には、膝をつく3人のライダー達
何度も振り下ろされた茨の大群の中
なんとか生きて3人は生還していた
「・・見境なしかよ・・・。」
3人の周りはひどいものである
見やれば、攻撃に巻き込まれた兵隊たち
皆、あおむけに倒れては兵隊の姿から人間へと戻っていく
仮にも自身の配下である兵隊にも
全く配慮もなしに、ただただその力をふるったのである
もはや、兵など取って捨てるもの
暴君はそれを成すことを是とするほどの力を手にしたのである
変身を解いた3人は消えたクイーンを追うために駆け出す
しかしその時
Prrrrr
携帯の鳴り響く音
──急いでいるのに!
「もしもし!」
電話を受け取った雄飛
その相手は、浩司さんであった
「雄飛君か!?大変だ!!」
急いでいたこっちが気圧されそうになる程に
切羽詰まった声が響く
そして、伝えられた言葉は──
「──大吾さんが、消えた!?」
※
町の外れの小高い丘には、廃れた天文台があった
既に利用者も多くはない
老いた館長が、午後の陽気に船を漕いでいたその時・・・
ガタリと物音が響く
久々に利用者がきたのかと
席を立ったその時──
フワリと風に乗って薄暗い煙が室内を漂い始めた
それがなんなのかを理解するよりも前に
館長の意識は闇に落ちた
『いい場所ね』
倒れた人間など構うことなく
小さな建造物の中を歩くクイーン
静かで、周りの自然が美しい
なにより、立地が良い
──ゾワゾワと、クイーンの足元から大量の茨が沸いて出る
茨はクイーンだけでなく天文台も包み込み
そして──
※
「消えたって・・・一体どういう!?」
"分からない、だが病院からは
「それって・・・」
病室で眠る、風間大吾が姿を消した
彼はまだ動くどころか目覚めてすらいない
──つまりは
『その通りだ』
「!?」
振り返る
この声は──
「ブルー!」
『やぁ』
振り返ったそこに、ストーリーテラー:ブルーが立つ
「風間さんを、どこにやった!」
チケットを握りしめて
ブルーを問い詰める
『何、危害は加えていない』
「お前・・・!」
その言動は、認めたも同然である
ドライバーに手をかけ──
『──××××へ向かえ
・・・ではな』
「!?」
それだけを伝えると
ブルーはその姿を消した
「あいつ・・・」
止める暇もなく
要件だけを伝えて立ち去った奴に歯噛みをする
「××××・・・っ!」
「あっおい!ラスト!」
そして、その場から飛び出すかのように駆け出した影がひとつ
──ラストである
「必ず倒す・・・絶対に・・・!」
「・・・ったく!雄飛行くぞ!」
罠の可能性もある
誘い込まれているのかもしれない
そんな考え全くないのであろう
翔はそんな彼を追いかけるように駆け出す
そして、そんな2人を見て雄飛は──
「・・・」
ブルーを闇雲に探すわけにも行かず
その後を追いかけるのであった
※
「なんだ・・・これ」
たどり着いたその場所には目を疑うような光景が広がっていた
小高い丘の上に広がるのは
暗い緑色で覆い尽くされたなぞの建築物
トゲの生えた茨で作られたそれは
歪なようで、精巧にも見えた
「城──?」
そう、それは城であった
茨で形作られた、巨大な城砦
まるでおとぎ話から引っ張りだしてきたかのその様相は
現実ではかえって異質さを醸し出していた
そして、その頂点からは
あの薄暗い煙が立ち、下へ下へと落ち流れていく
高い丘の上から放たれた煙は、その下にある
全域に流れていって
自分達の立つ場所にも僅かながらその形跡を感じさせる
そしてなにより──
「さっき以上じゃねぇか・・・!」
おびただしい数の兵隊が、フラりフラりと歩き回っていた
最早増えすぎたそれは統率もへったくれも無いほどに
溢れかえり、集っていた
視線が、一気に3人へと向かう
『──────!!!』
瞬間一挙に兵隊が襲い掛かった
囲みこまれ、次から次に仕掛けてくる
兵たちを3人は応戦する
殴り飛ばした兵が一人の人間へと戻る
──しかしまた一瞬の内に兵隊へと変異する
「相手にしててもきりがねぇ!!
──雄飛!!ラスト!!先に行け!!」
振り上げられた槍を避け
その腹に膝打ちをしながら翔がそう言い放つ
「!──任せた!!」
それを聞いたラストが、兵隊など相手にしていられないとばかりに
引き剥がして駆けだす
「すぐに終わらせるから!!」
雄飛もそれに続いて奥の居城へと駆けだした
「さ、てと・・・」
それを見送った翔は
群がった兵隊たちを振りほどいてディスクを取りだす
「変身!!」
『
『
『
『
『 1! 2! 3!』
4人の仮面ライダーサウンドが兵隊たちの前にして立つ
「千客万来・・・いいねぇ!!
相手してやる!!」
その一言で火蓋を切り
4人のサウンドは多勢に無勢もありすぎる
兵隊たちに突撃した
※
「クイーン!!どこだ!!」
居城の目の前までたどり着いたラストが吠える
「これは・・・」
雄飛は突入しようと試みてその城を眺め見た
城とは言ったがその様相だけで、入口らしき場所も見られない
──立てこもるつもりか
「ならば・・・!」
火を持ってあぶり出してやろうと
チケットを握る
「──変身!!」
『
『What The Fire Showed Was All Illusions』
『MIRAGE TORCH』
「ラスト!?」
「はぁ!!!」
グリップが火を噴き、城丸ごとを焼き尽くそうと試みる
しかし──
「!?」
たぎる炎は茨で出来た城壁の表面を焦がして消えていく
「固い・・・!?」
その強固さに驚愕する
「くっユウヒ!!手伝え!!」
「──その前に!」
雄飛が城のその様相を眺めていく
──あった
西洋風の城のその塀の上に
一風似合わない物体を見つける
それは、一本の木であった
腐れ崩れた林檎のなった一本の木
そして、そこからは
おびただしい量の煙が湧き出して
丘の下へ下へと流れ出している
「まずは、この兵隊化の被害を止めなきゃ」
『
変身した仮面ライダーアクトが
ブレイガンを取りだし、その銃口を木に向ける
『BEST SHOT!!』
弾丸が唸りを上げて、木へと迫る
そしてその目標を吹き飛ばす──
『邪魔よ』
弾丸が弾き飛ばされる
「「クイーン!!」」
茨を纏った女王の姿をした怪人が
城からその姿を現す
『仮面ライダー・・・邪魔しないでくれる?』
「その悪趣味な煙を止めるなら、話は聞いてやるよ・・・!」
見るからに不愉快といった雰囲気のクイーンに
アクトがそう言い放つ
『あら、なんで私がそんなことしなくちゃならないの?』
「・・・だったら・・・!」
通るはずもない交渉などそうそうに取りやめ
アクトともはや今にも飛び出しそうなラストが
それぞれの武器を構える
『フン』
その時
城から、また巨大な茨の鞭が生えだし
その巨大な鞭を2人に目掛け振り降ろした──
「何!?・・・ぐぁああ!!」
「あぶない!!」
意表を突くようなその反撃に2人が吹き飛ばされる
それだけでは終わらない
一度知覚した、その2人に対して
次から次へと鞭の攻撃が振り下ろされ始める
「っく!」
そして立て直した2人が
迫りくる連撃を間一髪のところで避けていく
『さっさと潰れた方が楽よ?』
「誰が・・!」
ラストがグリップを振りかぶり
巨大な炎弾を放つ
『さっきもやってたでしょ?無駄よ』
そんな炎を叩きつぶさんとばかりに
鞭がしなりを上げて振り下ろされる
「どうかな・・・!」
『
ここで、アクトが動いた
杖を叩いた瞬間に、鞭に迫る炎弾の前に魔法陣が現れる
そこを通過した瞬間
炎はさらに巨大になり
茨を一息に飲み込んで、燃やし尽くした
「よし!!」
「余計な真似を・・・!」
『ふうん・・・』
そんな反撃を喰らったクイーンは
『・・・良いわ、くつろぐ真似も飽きてきたことだし』
ここに、動くことを決めた
『私は、もう全部を好きにできる』
城の形をしていた茨の全てが
クイーンへと集い始める
『一人で何でもできるの』
「!?・・・何だ」
「変わって・・・いく・・・?」
集いだした茨たちはクイーンを再び集い
何かに姿を変えていく
『だから・・・』
鋭い爪を備えた巨大な四肢を持つ体
太く長い尾
まるで蝙蝠のような巨大な羽の形
長い首の先に獰猛な顔
『自分で、邪魔者を殺すの』
茨で形作られた
まるでおとぎ話の中から飛び出したかのような
「──
巨大な竜へと、クイーンは姿を変えたのだった
※
『GOOO!!』
その巨大な体が動いたと思った瞬間
既に、目の前にその竜は存在しなかった
「ぐぁ──!?」
「!?──ラスト!」
アクトの隣から大きな風が巻き起こったかと思えば
隣のラストもまた、その姿がなくなる
周りを見てもどこにもいない
いや、何かが羽ばたく音だけが響いた
──真上からだ
「──上!?」
上空を仰ぐ
茨で出来た翼などという、冗談のような代物のくせをして
クイーンは、確かに上空を飛行していた
「ぐああああ!!」
その強靭な顎に、ラストを咥えて
顎が、咥えた異物を何度も嚙み込む
ライダーのアーマーを削りきしむ音を響かせて
そして、気が済んだと言わんばかりに
咥えたラストを空中へと放り捨てた
「!?──不味い!」
あのダメージでは受け身など無理だ
『
放り捨てられたラストを受け止めるように魔法陣を展開する
陣を通ったラストは、自由落下を始める前に
地面へと放り出された
「ラスト!!」
アクトが彼へと駆けだす
変身が解けたその姿は、いたるところから血を流し
見るも痛ましい
『フフフ・・・アハハハハ・・・!!』
上空から大きな笑い声が聞こえる
『これよ!!この力!!
刃向かう者なんて自分で叩き潰せる力!!』
『そうよ!誰の助けももういらない!!もういらないわ!!』
自分の力に酔ったようにそう笑いを上げ
嬉しそうに飛び回る
「く・・・そぅ・・・」
「ラスト!」
そんな笑い声に意識を呼び起こされたのか
ラストが声を震わせながら、嗚咽を漏らす
「私が・・・倒さなければ・・・」
「無茶するな!ここで休んで・・・」
そして、まだ立ち上がろうとする
体を静止する
「
「!?・・・ラスト」
大粒の涙をこぼしながら
ラストは悔しそうに気持ちを吐露する
「身内の恥すら、止められない・・・!」
それを聞いて、雄飛はどこか安堵していた
──彼は、ただ怒り狂ってたわけではないのだ
ただ、自分の雪辱を晴らすためだけに戦っていたのではないのだ
兵隊のように、自分よりもひどい傀儡へと変えられた人のために
そして、それは
かつてあれを母と呼んだ自分がつけるべきだと
そう思って励んでいたのだ
「私には、その力が無い・・・!」
それでも、その力が及ばないことに
ラストは涙をしていた
「──いや、倒せるよ」
それが分かったからこそ、アクトはそう声をかける
任せろ、ではなく
彼は倒せるとそう告げる
一人で届かない時
そのための、仲間である
──道は、自分が切り開けばいい
「──?」
「ラストは、あいつを倒すよ・・・
そういうと、ラストを置いて
アクトが立ち上がる
「チャンスなら、俺がいくらでも作ってやる!」
杖を叩く
『
体を浮遊感が包みこむ
そして、上空を悠々と泳ぐ
緑色の竜目掛けて飛び出した
「──私は・・・倒せる」
その姿を眺め
言われた言葉を飲み込んでいく
自分は、奴に勝てる
このボロボロの体を見て、何を根拠に
そんなことを言ったのかは分からなかった
──それでも
飛んでいく男の
──仲間の姿を見ると
じっとしてはいられなかった
「・・・」
傷が痛んで満足に動かない足を引きずり
自分と一緒に転がったグリップへ手を伸ばす
「──変身・・!」
※
ああ、いい気持ちだ
上空を飛び、風を切る感覚を味わいながら
クイーンはとてもいい気分であった
──世界は、敵が多い
好き勝手出来ない、いろんなものでがんじがらめだった
そのくせ、災いだけは向こうから飛び込んでくる
だから
──男に媚びた、そうすれば守ってもらえた
よかったけれど
毎回毎回求められて、応えるのが面倒だった
──子をおだてた、そうすれば守ってもらえた
よかったけれど
ずうっと付きまとうのが面倒だった
結局、他人に頼っても
ずっと好き勝手出来るわけじゃあなかった
だから、力を手に入れることにした
『ああ、もう全部できる
私の思うがまま!!力のまま!!』
こうすれば、ずっと私は好きに生きられる
『さぁ・・・それじゃあもっと増やしましょう』
宙のその体に、一本の木が生える
またおぞましい煙が漏れ始める
──このまま飛び交って、もっと兵隊を増やしてしまおう
そうして飛び立とうとした時
「はぁあああ!!」
予想外だった
杖を振りかぶり
自分へと殴り掛かった害が、飛んできた
※
『くっ』
身を翻し、クイーンがその殴打を避ける
『まだ邪魔をするの?』
「当たり前だろ」
『だったら・・・!』
竜のその口が大きく開く
その喉奥から、湧き立つ何かが見えた瞬間
『消えろ!!』
緑色したおどろしい炎がアクトへと放たれた
「っ火まで吹けんのか!?」
迫る炎を避けながら杖を叩く
『
火を掻い潜りながらその体に近づき
通り際に引っ掻く
ブツリと、一か所の茨が千切れるが
一瞬でまた埋まりゆく
「っ固い」
『うらぁ!!』
クイーンがその身を翻す
瞬間、その太い尾がアクトへ叩き込まれた
「がっ」
強烈に叩かれたアクトが地面へと一直線に吹き飛ぶ
『
クイーンの背に衝撃が走る
吹き飛んだはずのアクトが自分の背後にいきなり現れ
そして杖を叩き込んだのだ
『うっとうしい!!』
クイーンがその鋭い爪を振るう
しかし、さすがに巨躯が仇となり
大振りの攻撃をアクトは飛び交って避ける
『くっ』
「今だ!」
『
そうして一瞬の隙を突いて、クイーンの目の前に飛び出したアクトは
手に持つ杖を突き出し
巨大な閃光を放つ
『ぐぁ!?』
隙ができた
今なら──
その時
真下から風を切り何かが飛来する
あれは──槍!?
「!?」
自分目がけて飛来する槍だ
あわや当たるといったところでアクトは大きく体制を崩しながらそれを避ける
「っ兵隊!?」
下を見やれば、彼女の力で変えられた兵隊が
手にした槍を自分目がけて次々を放り投げていた
──サウンドでもカバーしきれていない奴らか
次々に繰り出される槍がアクトに飛来する
「くっ」
『
アクトも負けじと火炎を放ち
地面の兵隊を薙ぎ払う
しかし、倒した次の瞬間また兵隊が湧いてくる
やはり、きりがない
凄まじい量の槍、さすがに回避で手いっぱいになってしまう
『これで終わりね』
「!?」
そして、それを見てクイーンがほくそ笑む
大きく口を開け、膨大な火炎を口へと溜めていく
避ける場所など与えないというのか
──不味い、避けきれ・・?
「──。」
『
アクトが再度地面に目掛け火炎を放つ
──愚かな、何度やっても無駄だというのに
いいだろう、燃え尽きるが良い
『消え』
クイーンが火炎を放とうとしたその時
一筋の光が走る
それは、矢であった
上空を走る矢は、一直線に飛来し
そうして、クイーンの体に生える木
それを一息に、貫き折った
『な、に・・・!?』
アクトが放った火炎が兵隊を飲み込む
兵隊が人に戻っていき──
『バカな・・!?』
へし折れた木が地に落ちる前にチリとなって消える
辺りを漂っていたおぞましい煙が、どんどん晴れていく
彼女の能力の急所、無限の兵隊が今打ち破られていた
『誰が・・・!』
飛来した矢の方角を見やる
そこには・・・
「────人形遊びは、
弓と化したグリップを握り
ふらつきながらも、しっかりと立ち上がり
弓を引く、仮面ライダーラストの姿があった
『──愚図がぁ!!』
怒りのまま奴の元へ飛来しようと翼を翻す
しかし──
『
その、自分の体を同じくらいに巨大な手が掴み込んだ
『なっ』
「どこ行く・・・気だぁ!!」
普通の茨の棘よりもずっと鋭利な棘が、手に食い込む
そんな痛みなどお構いなしに
アクトは掴んだクイーンを
全力で、地面に向けて放り投げた
『ぐあああああ!!!』
背中から猛スピードで墜落したクイーンが、地面を滑る
『おのれぇ・・!?』
すぐさま体制を立て直して飛び立とうとクイーンは顔を上げる
しかし、それは間に合わなかった
見上げた目に、それは写る
『
『
『
『
『
上空に、数十人のアクトが火を纏った脚を構える
そしてその全員が一斉に地に倒れるクイーンの
その竜の腹目掛けて降り注いだ
「だあああああああ!!!!」
『ぐ、ぐああああああ!!!!!』
まるで銃弾爆撃のような連続の衝撃がクイーンに襲い掛かる
10や20では足らない、大量のキックが
竜の腹の茨をどんどん引き裂いていく
再生など間に合わせない、彼女を包む壁を全て破壊していく
「だっあああああ!!!」
最後の一発が、叩き込まれる
分厚い竜の腹に巨大な穴が開く
そしてその中に、女王の姿をした怪人のが現れた
核となる彼女は、
『ハ・・ハハハハ!!一歩足りなかったわねぇ!!』
そう、アクトのキックは今の一発で最後である
彼女の再生も、アクトが次の必殺技を放つ前にその防御を元通りにするだろう
『無駄よ!私には届かなかったわ!!』
そう、彼女は高笑う
見晴らしの良くなった竜の腹の中から
そして、見晴らしがよくなったからこそ
彼女はその場所を真っすぐ見据えた
そう、自分の真正面、はるか彼方に
「おしまいだ・・・クイーン・・・!」
力強く、こちらに向けて弓を引き絞る
ラストの姿を
『あ・・・あああああ!!!』
「貴様を倒し、皆を救う!!」
『
そして、凄まじいスパークを放ち、力を蓄えられた矢は
ラストの元から解き放たれた
凄まじい速度で、矢は一直線に飛び行き
そして、避ける間など一切も与えずに
クイーンのその体を、貫いた
※
『ぐ・・・ああああああ・・・!!!!』
茨の竜が苦しそうに悶え、暴れ出す
次の瞬間には、全身から緑色の炎が立ち上がり
たちまち燃え尽きていった
そうして、焼け跡には
『ぐ、ううう・・・!』
ボロボロになった人間の姿をしたクイーンが倒れ込んでいた
「終わりだ・・・クイーン」
その姿を見て、アクトがそう投げつける
『まだよ・・・!』
しかし、その言葉を聞いてもクイーンは止まることはない
震える脚で、立ち上がりアクトに相対する
『私は──!!!』
『ああ、
「!?」
突如として、この別の人物の声が戦場に響く
アクトはその声に振り返る
次の瞬間、何かが自分に向けて投げつけられた
「ぐぅ・・!」
「ラスト・・・!?っうわ!!?」
ボロボロのラストが、目の前に投げつけられ
咄嗟にキャッチする
その瞬間、隙を狙って
凄まじい勢いの攻撃がアクトに襲い掛かった
為すすべなく、それを喰らったアクトは
ラストもろとも吹き飛ばされ
そして、変身が解除される
さらに、その攻撃はドライバーを狙っていたのだろうか
変身解除の表紙に、ドライバーに刺さったチケットが
『Night Of Beast』のチケットが吹き飛んだ
チケットは、まるで吸い込まれるかのように
乱入した者へと飛んでいき
そうして、ブルーの手に収まった
「ブルー・・・!!」
『これで、94枚』
ストーリーテラー、ブルーがチケットを奪い取りそこに立っていた
その背後には、どうやって運んだのか
大量のチケットがはめ込まれた巨大な装置と
その装置に大量のケーブルでつながれた
・・・一枚のチケット?
『そして・・・これで97枚だ』
そう言うと、彼はさらに3枚のチケットを広げだす
『BUBBLE MERMAID』『STATUE OF HAPPINESS』『MIRAGE TORCH』
ラストのチケットである
こちらが保持していた、テラーのチケットが全て奪われた
『ブルー・・・何しに・・・!』
『何って・・・君を迎えに来たんだ』
そう言うと、クイーンを立ち上がらせる
『これで必要数は揃った・・・あとは君の3枚だ
・・・・さぁ、渡してくれ』
『ふざけるな!!・・・これは、私の力・・・!!』
ブルーの手を払いのけ、クイーンが反抗の意志を見せる
『ああ、・・・そうだろうと思ったよ』
しかし、その反抗は予想通りだと言うブルーは
ゆっくりと、手元の4枚のチケットを装置に差し込んでいく
『だから・・・』
4枚目を装填した
『君は外す必要はない、
『え・・・!?』
その瞬間、装置に異変が起こる
まるで、ケーブルが意思を持ったのかのように
動き出し、クイーン目掛けて伸びだした
『ひっ・・・な、何を!?』
伸びたケーブルが、クイーンを縛り上げる
そして・・・ゆっくりと、しかし確かに
クイーンを装置目掛け引きづりだす
『や!・・・待って!!』
『止めて!!!止めてよお!!』
クイーンが必死に踏ん張るも
ケーブルは彼女をどんどん引っ張っていく
『嫌!!いやああああああ!!!!!』
「・・・。」
「・・・。」
雄飛とラストの2人はその様子を唖然としてみることしかできない
そして、クイーンは
抵抗も虚しく、装置へと引きずり込まれる
まるでケーブルが彼女を飲み込むように包みこんだと思えば
次の瞬間には、そこに彼女の姿は存在していなかった
『さようなら、クイーン
・・・縁があれば、また。』
ブルーは、冷たくそう言い放つと
装置に繋がれた、チケットを取り外す
ビリビリとスパークを放ちながら
チケットは姿を変え、
やがて神々しさすら感じる、重厚な意匠へとその姿を変えた
『さぁ、これで準備はできた
チケットと・・・・演者だ』
そういうとブルーの手元に一人の人間が現れる
その人物は──
「っ大吾さん!!」
そう、行方がくらんだ
いや、連れ去られた風間大吾であった
手で吊り上げた眠ったままの大吾と
チケットを握ってブルーは話始める
『これで、神を呼ぶ準備は整った・・!』
「神・・・・?一体何を・・・!」
『──この世に神はいない
どれだけ神秘的なものが存在しようと、世界中の何処にも存在しない』
『だが、物語の中は別だ』
『偶像の中に、神は確かに存在している』
『ならばどうする?
──簡単だ、
『広大な、物語の中の風景』
『そして、100体の
『
物語の世界と言っても、過言ではなくなっているのだよ』
『さぁ、準備は整ったぁ!!』
『ようやくだ!!これで!!
感極まったかのような声を上げ
ブルーはチケットを起動する
『
「っさせるかぁあ!!」
『MASKED RIDER』
『
仮面ライダーアクトが、起動したチケットを握るブルー目掛け飛び掛かる
『
「大吾さんを!!離せええええ!!!!」
ライダーキックがブルー目掛けて放たれた
『遅かったな』
しかし、そのライダーキックは
ブルーに当たる直前
まるで、バリアのような何かが突然彼を覆い込み
それに阻まれて、アクトは弾き飛ばされた
「ぐ・・・ああああ!?」
変身が解除され、雄飛は地面を転がる
そして、ブルーは
アクトに邪魔されることなく
起動したチケットを、大吾へと差し込んだ
大吾の体が光に包まれる
そして、次の瞬間凄まじい衝撃が辺り一面を吹き飛ばした
凄まじい風圧が
雄飛とラスト・・・そして、ブルーまでをも
大吾の近くから弾き飛ばす
『
風圧と光が徐々に収まっていく
そして、全てが収まった場所には
一人の人影が立っていた
それは、神々しい金色の体、天使のような羽の意匠と
まるで時計細工のように数多くの歯車が美しくかみ合ったような意匠を持つ
そんな、謎の怪人であった
続く
次回 仮面ライダーアクト
目覚めてしまった神
『ははは!!素晴らしい!!まさに何でもありだ!!』
大吾を救い出せるか
「二回も奪われて!!たまるもんですか!!」
『これは、
第31章[変わる世界]