「ここが・・・!」
物陰に隠れながら見上げた杏奈の
目の前にそびえ立つのは
古ぼけてところどころ崩れかけたところも見える一棟のビル
つい先ほど、ストーリーテラー、ブルーが入っていたビルであった
「・・・よし」
決心がついた
杏奈は物陰から離れ、目の前の廃ビルに侵入していく
いたるところの窓ガラスが割れたそのビルは
侵入には、それほど手間取らなかった
電灯などついていないっ暗い通路を進む
「・・・すごい」
表面上は唯の古ぼけたビルであったはずであるのに
その中はその印象とはかけ離れていた
ちらりと扉も外れてむき出しになった一室を覗き見れば
ゴツイパイプがいくつも繋がれた機械,
謎の液体が満たされた水槽
まるで、アニメやゲームの研究施設のようであった
ここまでの施設をよく隠し通してきたものだと
変な関心をしていたその時
──明かりだ
通路の奥、一室から漏れる光と声
「っ・・・」
そっと息を潜め
建付けの悪いが何とか扉の体をなしているそれに隠れながら
隙間から中を伺う
『それで?神様の調子はどうなんだ?』
『まだまだ完全な出力には程遠い
・・・だが、それももうすぐ問題なくなる』
──いた
初老の男と、若い男がい一人
サンとブルーだ
そしてもう一体
物言わぬまま、計器に繋がれてじっとしている
人ならざる存在
「(──お父さん)」
デウスエクスマキナがそこにいた
デウスを計器につないだ状態で
猛スピードで何かを作っていくブルー
『それは?』
『────まだ、
上手く扱えるとは限らないからな
・・・念には念を入れて、制御するモノだ』
そう言いながら、機械を組み立てていくブルー
「(・・何、あれ?)」
細い隙間からはその小さな手元は上手く見えない
──だからだろうか、深追いが過ぎた
それを見ようとするあまり
サンが、その場から消えたことに気が付けなかった
何処でばれたのか
──いや、もしかしたら最初から気が付いていたのかもしれない
そんな理解をする間もなく
背後から迫る衝撃が、意識を刈り取った
※
「・・・杏奈さんが!?」
「ああ、まだ戻ってない!」
テラーを打倒して、テアトロに帰還した3人
しかし、そこに共に向かった杏奈さんの姿がない
「一体何が・・・」
「連絡も、これを最後に途切れたままだ・・・」
浩司さんが、携帯を取りだしてこちらに見せる
端末に表示されるのは、一枚の写真と座標データ
そこには、古ぼけたビルが一棟
「これって」
「・・・意味もなくこんなことするとは思えない
・・おそらくは」
テラーの本拠地、またはそれに準ずるものを見つけた
そう、言いたいことが見て取れた
「まさか、一人で!?」
「無茶なことを」
そして、そこから戻っていないことを考えれば
想像できることは一つ
先んじて、乗り込んだのだろう
そして捕まった
──いや、最悪・・・
「っ!」
「やべぇな・・・無事な保証はねぇぞ・・!」
嫌な予想が立ったのを頭を振り払って追っ払う
「だが、どうする?
・・・はっきり言って乗り込むには準備不足だろう」
音石さんが、冷静にそう言う
──そうかもしれない
──けれど
「ほっとけませんよ!!」
3人が立ち上がる
元より、大吾さんの奪還も必要なのだ
敵の居場所が分かっているのなら
それはチャンスでもある
「行こう、こっちから取り戻しに」
3人頷きながら
店を後にしようとする
「皆」
「浩司さん?」
「──頼む」
深々と頭を下げて
こちらに頼み込む
頭で見えないその顔は、見る間でもなく心配で歪んでいた
「──はい!必ず」
できる限り穏やかに、安心させるように
そう、告げて3人は店を後にするのであった
※
『・・・殺さなくていいのか?』
『ああ・・・無駄なことだ』
そう告げると気絶させた杏奈を寝かせ
再び機械の前に立つブルー
『・・・まぁ、無抵抗なのをやるのは
俺も興味はないがな』
『・・・何だ、趣味趣向があったのか』
殺すこと自体が好きなのかと思ったと
ブルーはサンのその言葉に告げる
『当たり前だ・・・
ただ焼かれていくのを見たところで何にも楽しくはない』
──そう
『燃えて、どんな風にするのか見るのがいいんだ』
手で必死に燃える衣服から火を消そうとするもの
熱さに耐えきれず泣き叫びながら悶えるもの
必至に逃げ延びようと目を剥いて辺りを探るもの
そこに、理性的な行いはない
ただただ必死な様相で命をつなごうと藻掻くのだ
取り繕いのない、行いがそこにあるのだ
『──悪趣味だな』
話は終わりだと、ブルーが機械に向き直る
まだ、語れたがまぁいいだろう
その時──
直感的に、何かを感じ取った
『──来たかぁ・・!』
仮面ライダー達の到来を、感じ取っていた
『今日は好きにやっていいんだよな!!』
『あぁ、好きにしろ』
その言葉を待っていたと言わんばかりに
勢いよく立ち上がるサン
『待て』
『あぁ!?』
そして足を踏み出そうとしたところで呼び止められる
・・・一体なんだと、文句を言おうとしたその時
”勝負を終えた北風と太陽は、
互いを称え合い、やがて一つになりました。”
そんな、謎の声が聞こえた
その瞬間
『ぬぉ!?・・・おおおお!!』
サンのその体が変異する
燃え盛る怪人の姿に変わった
──そしてさらに
その肉体が変化していく
火だけの意匠だったものが
半身に逆巻く風のような流線型の意匠が追加されていく
『プレゼントだ・・・』
『ヘッ・・』
気に入ったと言わんばかりに返して
サンが部屋を後にする
『・・・さて、私も準備をするか』
そう言いながら、作業の手を止めブルーも立つ
その手には、先ほどまで開発を進めていた
まるで、四角い長方形の箱のような機械が握られていた
※
「ここか・・・」
「見た目はただの廃ビルだが・・・」
杏奈が送った座標データを頼りに
件のビルへとたどり着いた3人
その様相から、敵の本拠地にはまるで見えない
しかし──
突如、入口が火を吹いた
「!?」
咄嗟に飛びのいて事なきを得た
その光景は、3人の気を一気に戦いへと戻す
『会いたかったぞ・・・ライダー!!』
焼け焦げた入口から人影が現れる
「サン・・?」
「姿が違う・・・?」
いつもの燃え盛る炎の怪人
しかし、その姿が以前とは異なる
だが、放たれた声は間違いなく奴の物であった
『さぁ・・・来いぃ!!』
燃えるようなその体をさらに焼きながら
雄叫びを上げて突っ込んでくる
突撃から繰り出される燃え盛る拳
「くそっ!
・・・雄飛!!先いけ!!」
「えっ!?ここは!!」
「任せろ!!・・・やるぞ!ラスト!!」
「あぁ・・・!」
そんな攻撃を避けながら
そう告げると、2人は雄飛を庇うように前に出て
チケットを掲げる
『
『
「「変身!!」」
『
『
『
『
人魚の意匠の仮面ライダーと
金色の音楽のライダーがサンの目の前に立ちふさがった
「──分かった・・!」
そんな2人の背中を見て
雄飛は焼け焦げたビルの入り口に駆けこんだ
『チッ・・・行っちまったか・・・!』
『あいつが一番やりがいがありそうだってのに・・!』
不服そうにするサン
しかし、その余裕も一瞬で掻き消えた
鋭い槍の一閃が、自分の眉間目掛けて振り下ろされた
『!?・・・っ!!』
首を引き、その一撃を咄嗟に避けるが
流れるように、さらに横薙ぎに槍が振るわれる
腕を組んで防御するも、凄まじい腕力がそれごとサンを吹き飛ばすのであった
「ッハァ!!」
『グォ!』
さらに吹き飛んだ先にラストが切り込む
水を帯びた切っ先が、燃えるようなその体を切り付けた
「俺は、テメェの方に用があんだよ・・!」
「貴様は、ここで終わる・・!」
『ッハハ・・・いいねぇ!!面白れぇ!!』
仮面ライダーサウンドと仮面ライダーラスト
怒りを滲ませた瞳がにらみつけてくることさえも
心地よさを感じながら
サンは楽しませてもらうことを決めるのであった
※
ビルの階段を駆け上がる
「どこだ・・!」
通路を駆けながら雄飛は杏奈
そして、残りのストーリーテラーである人物を探す
そんな時、キイと目の前の扉に光が漏れるのを見る
「そこか!!」
バンと、建付けの悪かった扉を蹴破り突入する
『よく来たな』
「ブルー・・・!」
まるで研究室のような
大量の機械に囲まれた部屋
そんな中にブルーはいた
そしてその後ろには、これまた大量のケーブルに繋がれた
デウスエクスマキナ
そして、部屋の隅に寝かされた──
「っ杏奈さん!!」
『おっと・・!』
杏奈に駆け寄ろうとしたが
それをブルーは前に立ち塞ぐ
『悪いが、簡単に渡すわけにはいかない
・・・どちらもな』
ちらりと後ろのデウスを見てそういう
「・・・!」
チケットを取りだす
言葉は、不要だった
『悪いが、デウスの調整ももうすぐだ
・・・少し、付き合ってもらう』
そして、ブルーもまたチケットを取りだした
『Night Of Beast』『Phantasia』
『
「変身!!!」『怪演・・!』
『Phantasic Night Of Beast』
『Not Missed off!!.』
魔法使いのような様相をした仮面ライダーアクトと
青い鳥のような意匠をした怪人が相対する
2人が同時に駆け出す
互いに手にした武器を振るい
羽を模した剣とCGスタッフがぶつかり合う
火花を散らしながら弾きあう
『・・・場所が悪いな』
狭い室内で、大ぶりな剣を振るうブルーがそう呟く
次の瞬間
何か能力でも起こしたのか
──2人の立つ床が、くりぬかれたように抜けた
「なっ!?」
一階層下の部屋に落ちる
突然の落下に、アクトは何とか着地する
『ハァ!!』
しかし、その一瞬の隙に
ブルーがアクトに突撃し、剣を大きく振るう
まるで、落ちるのが分かっていたかのように
スムーズな動作は、アクトよりワンテンポ速い
迎撃がきかず、杖を体の前に構え
迫る剣を耐える
凄まじい力の打ち込みがアクトの体を吹き飛ばす
飛んだその先には、窓ガラスもとうに割れて空いた窓
勢いのまま外に放り出された
ブルーもまた、窓から飛び出す
そして、宙を舞うアクトに
その刃を突きつける
『ハァ!!』
「くっ!!」
『
落下するアクトが魔法陣を通り抜ける
次の瞬間、上から自身を狙うブルー
その背後に転移する
『ム!?』
「っだぁ!!」
その背後に杖を叩き込む
転移を察知したブルーはその攻撃を受け止め
二人で組み合ったまま重力が導くままに落下する
墜落し立ち込める砂煙が晴れていく
その中から、つばぜり合う2人の姿が現れた
『フッ』
「くっ」
※
「うおおお!!!!」
槍を振るう
2度、3度と攻撃を叩き込んでいく
しかし、その攻撃をサンは身軽に避けていく
サウンドが上段から振り下ろす
ガキンと固い音が響く
「!?」
『どうしたぁ・・!』
その音は、攻撃がサンの体を切り裂いた音ではなく
サンの手が、サウンドの槍その穂先を掴み取った音であった
『どうしたどうしたぁ!!!』
燃える拳の一撃がサウンドの腹に叩き込まれる
再度、叩き込まれる
そして、強烈な膝打ちが追いうちを掛け、サウンドを弾き飛ばす
「ハァ!!」
『!』
入れ替わるかのようにラストが攻撃を仕掛ける
剣を振るい、突き出す
その攻撃すらもサンは次々と避けて見せる
そして、攻撃の隙を突くかのようにラストの体に向け拳を放つ
回避は不可能、そんな攻撃は
バシャリと音を立てて、ラストの体を突き抜けた
『おぉ!?』
「だぁ!!」
意表を突くその感触に怯んだその瞬間、ラストが剣を振り下ろす
『なんの!』
回避が間に合わないと踏んだか、空いた腕でその刃を受け止める
刃の纏った水が超高温の腕に触れ大きく水蒸気を吹いた
『いいぜ・・!もっと暴れろ!!』
「貴様・・・何がしたい!!」
まるで自分を焚きつけるかのような言葉に
ラストが理解できないと言わんばかりに言い放つ
再度、攻撃を振るう
剣の一撃が避けられ、相手の拳が迫るのを回避する
そんな避けて避けられの攻防の末
再度剣と腕がぶつかり合う
『俺の目的は一つ、見たいだけさ・・・!』
つばぜり合い、拮抗する両者
その時、またもやサンが口を開く
『絶体絶命の時に人が必死に生きようとする様を!!』
『死に近づいた時の人の足掻きを!』
「な・・・に・・!」
その時、サンが動く
剣を受け止めていた腕をかち上げる
衝撃で剣を握る腕が上方へと弾かれ
──その体ががら空きとなる
瞬間、凄まじい勢いの蹴りがラストに叩き込まれた
「がっ・・!」
『テメェらが、死にかけて必死に足掻くさまを!!』
『人の足掻き・・・燃え尽きるほどのなぁ!!』
「下衆が・・・!」
死にかけて、もがくさまを見たい?
そんな自分勝手な行動で──
「人は・・・人間は貴様の玩具ではない!!」
ラストの体が液体と化す
そして、そのままサンへ向かって一気に突貫する
『知らねぇ!!』
その時、サンが腕を引き絞る
引いた腕を突き出す
これまでであれば
その攻撃は火炎が放出されるようなものであっただろう
しかし、その時は違っていた
サンの体に新たに生まれた風のような意匠が唸る
そして、強烈な、熱風の渦がその手から放たれた
ラストの液状化したその体が渦に包まれる
「ぐぁあああああ!!!」
凄まじい熱量を抱えた風がラストの体が一瞬で沸き立たせた
全身が焼けるような熱にラストが苦悶の声を上げる
全身から湯気を上げながら地面を転がる
「ラスト!!」
「・・まだだ・・・!!」
サウンドがラストに駆け寄るも
ラストはまだ立ち上がる
しかし、その足取りは不安定で
凄まじいダメージが見て取れた
『なるほど・・・良いもんくれたな・・・!』
その威力を確認してサンは上機嫌そうに
ライダー達を眺める
そして・・・
『ほらもっと来いよ・・・!!焼き尽くしてやる!!』
「んなろぉ・・・!!」
サウンドが再びサンに対して駆けだす
『
サウンドがその瞬間4人に増える
4人のサウンドが一挙にサンに撃って掛かった
4人同時に攻撃を畳みかける
しかし、その攻撃をサンは回避しながら
適格にサウンド達に反撃をしていく
『おらぁ!!まだ甘えぞぉ!!』
いや、先ほどまでよりもさらに攻撃の速さが加速する
まるで流れるように4人のサウンドに攻撃の暇すら与えないかのように
攻撃を叩き込んで吹き飛ばしていく
「ぐぁ!!」
「なんつう・・・近接戦闘能力してんだよ・・・」
その凄まじい攻撃に、4人のラストが薙ぎ払われていく
そして・・・
3人のサウンドが一斉にサンに切り掛かる
完全な同時の攻撃、これなら──
『おおお!!』
サンが雄叫びを上げた瞬間
その体から凄まじい勢いの風が吹き出す
凄まじい熱量のそれは
彼に肉薄し、切り掛かった3人のサウンドを飲み込んで焼き尽くした
3人のラストが吹き飛ばされ
肉薄するのは、残り一人
金色のサウンド
すなわち本体であるサウンドがサンに攻撃を仕掛ける
しかし、その攻撃も触れる前に掴み取られる
──だったら!!
チケットを取りだす
『MILLION!!』
『
『!?』
「吹きとびやがれぇ!!」
掴み取られたままのギターランスにチケットを装填しそのトリガーを引く
大量のエネルギーが集まっていく槍は
その力をサウンドもろともサンに超至近距離で解き放った
2者がその衝撃に共に吹き飛ばされる
「ぐ・・・あ・・!」
凄まじい痛みに体が悲鳴を上げる
しかし、あれであれば・・・!
『・・・うおおおお!!!』
「!?」
その瞬間。立ち込めた砂埃を掻き分け
サンがサウンドの目の前に現れる
そして、その首を掴み、吊り上げた
「ぐ・・・」
『は・・・はは・・・いいじゃねえか
・・こっちもお返ししなきゃあなぁ!!』
空いた腕に凄まじい熱量の風が集う
あれを喰らえば一たまりもない、
それが見て取れるようであった
『しまいだぁ!!』
腕を振り上げる
「はぁあああああ!!!」
その時だ、ラストが雄叫びを上げてサンに迫る
サンの背後に衝撃が走る
『ぐ・・おおおお!!?』
サウンドを取り落とし、その体の異常を認識する
見やれば、自分の体から白銀に輝く刃が生える
ラストは、痛む体を押してサンのその背を飛び掛かり
自身の剣を突き立てたのだ
『く・・・おおお!!!』
「ぐぁ!」
腹部の凄まじい痛みに顔を歪ませながら
ラストのその顔面を殴り飛ばす
吹き飛んだラスト
そんな彼に対し、サンが腕を引き絞る
「やべぇ!!」
次の行動を察したサウンド
しかし、体の痛みで上手く動かない
間に合わない
『おおおお!!!』
凄まじい勢いの火炎がその腕から放たれる
転がったラストは
回避も間に合わず、その中に飲み込まれるのだった
炎が通り過ぎる
焼け焦げた地面が黒い煙を上げる
その通り抜けた道には
何一つ、残ったものはなかった
『あばよ・・・!』
サンが、腹の傷を抑えながらラストの消滅を確信する
──そうなれば、もはや狙いは一つだ
『サァ・・次はてめぇだ・・・!』
「くそっ・・・!!」
サウンドが、悔しそうに体を藻掻かせる
──そうだ、もっと見せてくれ
そうして、足を踏み出したその時
ザザザと、音が、聞こえた気がした
『?』
気のせいかと、また足を踏み出したその瞬間
──地面に、波紋が広がった
「だぁああああ!!!」
一閃
地面から飛び出したラストは
飛び上がりながら、サンのその体を切り裂いた
『ぐお・・おおお!!?』
ドシャリと、飛び上がったラストが地面に落ちる
もはや着地の余力もないとばかりにその変身が解ける
──潜って、避けてやがった・・・!
『ハ・・ハハ・・・!やるじゃねぇか・・!』
ここまで足掻いて見せてくれるとは思わなかった
カツリと、足音が響く
『!?』
「はぁ・・はぁ・・・!」
見やれば、こちらも
サウンドが、立ち上がってきていた
「いくぜ・・・!」
『!?』
サウンドが槍を構えて突貫してくる
サンは、拳を握り先程と同じように応戦する
しかし──
「おらぁ!!・・・だぁ!!」
『ぐぉ・・?!?』
防御が、間に合わない
先程までのダメージが、その体を上手く動かせない
だが、それはサウンドも同じはず──
『っおおお!!』
サウンドの攻撃に無理やり拳を割り込ませる
とにかく、この攻撃を辞めさせなければ
しかし──
「あ、めぇ!!」
『何!?』
殴りつけた拳ががっちりと掴み込まれる
そして、そのまま逃がされないように固定されたまま
槍が叩き込まれる
『なぜ・・だ・・!!』
「あいつが頑張ってんだ!!
・・・俺も負けてらんねえんだよ!!」
そう、あれだけ必死に戦い
そしてここまでのチャンスをくれた
その頑張りに応えなければならない
そんな、気持ちだけがサウンドの体を突き動かす
サウンドが槍を引き
思い切り突き出す
強烈な刺突が、サンのその体を突き飛ばす
『ぐぉ!?』
「はぁ・・はぁ・・」
サウンドが、槍を投げ捨てる
そして、自身のドライバーに触れる
『MILLION!!』
『
「ケリを・・・つける!!」
『ぐ・・・おおおお!!!』
サウンドが、飛び上がり
凄まじいエネルギーを集わせたキックを放つ
それに対し、サンがサウンドに対し腕を突き出す
凄まじい熱風が、サウンド目掛けて放たれる
キックが熱風にぶつかり拮抗する
──だが
熱風が、どんどん掻き分けられていく
サウンドのキックが、勢いを全く変えずに突き進んでいく
「うおおおおおお!!!!」
『ぐ・・・なぜ・・・ぐああああああ!!!』
そして、完全に熱風を突き破り
その脚がサンの体に叩き込まれた
サンを貫き
地面を削りながらサウンドが着地する
その背後には、凄まじい火炎を立ち上げ
爆発する一体の怪人の姿があったのだった
※
アクトとブルーの攻防は続いていた
自力であれば、アクトの方が上なのだろう
しかし、ブルーはこちらをあくまで受け流すように
避けて、捌いて、時間を稼ぐことに全力を注いだ
しかも、何かがおかしい
先程の突然の床の底抜けのように
こちらが攻めようとした瞬間
まるで、ブルーに都合のいいように何かが起こるのだ
そのせいで、アクトは攻めあぐねていた
しかし、それも突然終わりを告げる
『・・・頃合いか
悪いが、ここまでだ』
「なに!?」
ブルーが突然そう言い放つと
アクトを一気に弾き飛ばして距離を稼ぐ
「っ逃がすか!!」
『いや、逃げさせてもらう』
そう言った瞬間
自分達が飛び降りた、ビルの壁が突然吹き飛んだ
「!?」
崩れた壁に人影が現れる
デウスだ
大量の計器に繋がれていたデウスが
ひとりでに動き出し、ビルの壁を破壊して顔を出していた
そして、その腰には──
「っ杏奈さん!!」
杏奈が、抱えられていた
『悪いが、逃げるために利用させてもらう』
「?」
ブルーがそんな言葉を告げた瞬間
凄まじく嫌な予感が走る
「──まさか!?」
デウスを見る
抱え込んでいた杏奈さんを
宙づりにし始めた
「やめ──!」
『やれ』
その瞬間、デウスが
杏奈さんを、ビルの壁から空中に放り出した
「や、りやがった・・!!」
『
「はぁ!!」
杖を突き出す
自由落下していく杏奈のその落下先に魔法陣が現れた
通り抜けた瞬間
転送先の魔法陣が自分の頭上に現れる
そして降ってきた杏奈さんをしっかりと受け止める
──間一髪、間に合った
「・・・!ブルー!!」
安心したのも束の間
周りを見る
しかし、ブルーの姿はどこにもない
さらに、ビルをみる
先程まで、立っていたデウスもまた
その姿を消していたのであった
※
『ぐ・・おおおお・・・!』
先程の戦場からそう遠くない
薄暗いトンネルの中で
謎のうめき声が響いていた
暗いトンネルの中に
一点だけ、明るさが生まれる
──火だ
小さな日の玉が、トンネルの中を漂っていた
火の玉が、少しずつそのサイズを大きくしていく
そして、広がった火は少しずつ人の形に近づいていく
『はああああ・・・はは・・は・・・』
そうして、完全な人の姿をした火は
ボロボロになった炎の怪人へと姿を変えるのであった
『やってくれる・・・!!』
死にかけたが、楽しさもあった
そんな思いが胸をめぐる
──次は、こうはいかねぇ
『酷くやられたな』
『ん?・・・ああ・・・』
そう話しかけてきたのは
どうやって自分を見つけてきたのか、ブルーであった
『ちょっと遊びが過ぎたかもしれねぇ
・・・そっちの首尾はどうなんだ?』
『問題なく、完了した
これで、デウスの準備も整った』
ほお、それはいい
『そうか
・・・じゃあ俺は少し休ませてもらうぜ』
『ライダーへのリベンジの為か?』
『ああ、今度はきっちりやってやる』
そう意気込んで見せる
『そうか、分かった休むといい』
そう言って、道を開けるブルー
お言葉に甘えて、しっかりと休ませてもらうとしよう
『・・・あぁそうだ、
だが、自分が横を通り過ぎる直前
そんなことを言って、呼び止めてきた
『火?・・・あぁ、ちょっと待ってろ』
その程度なら、この傷でもすぐに──
『ああ、動かなくていい
・・・すぐ終わる』
『あ?そりゃどういう・・・』
ドッ、と自分の体に衝撃が走るのが分かった
体に目を落とす
そこには──
羽型の剣が、自分の体に突き立てられていた
『な・・・に・・・!?』
剣が引き抜かれる
『ぐ・・おおおおお!!?』
引き抜かれた体から炎が吹きだす
『てめぇ・・・何を・・!』
『ああ、言った通りだ、火が必要でな』
そういうと、ブルーはある物を取りだす
それは、自分と会話していた際に組み立てていた機械
『な・・んだそりゃあ・・・』
『いった通りだ、デウスを制御するための物さ』
そう言うと、ブルーは
その機械をこちらに差し向けた
その瞬間
『ぐお!?・・おおおおお!?』
まるで、吸いだされるかのように
自分の体から炎が吹きあがり
その機械に吸い込まれていく
『知っているか?機械っていうのは電気を使うが
・・・その中でも、起動に一番多くを使うんだ』
『止めろ・・・てめぇ・・・!』
『これも、それの類に漏れずに必要になった
・・・膨大な熱量がな』
『てめぇ・・・まさか初めから・・・!』
吸い取られる炎が一層激しくなる
それに合わせて、傷口だけでなく
全身から炎が吹きだす
『やめろ・・・これは・・・俺のぉ!!!』
ブルーに手を伸ばす
その行為をやめさせようと、手を伸ばす
しかし、その手は届かない
──彼は、止められない
『・・・あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!』
最早人の形も留めない程の炎が湧き
その体を包みこむ
・・・。
そして、その炎全てが
機械に収まっていく
火の塊になっていたサンの火が少しずつ弱まっていく
そして、全ての火を吸い取られた果てには・・・
『・・・。』
まるで、炭のように真っ黒でひび割れた
人の形をした何かだけが、残されていた
そして、それすらも風にあおられ
ボロボロと崩れ去っていく
炎を全て吸い取った機械
モノクロだったそれはまるで起動を告げるかのように
色づいていく
金に染まったそれを、
『さようなら、サン
・・・ここだけの話だが
君は、私からしても忌避する人間だったよ』
続く
次回 仮面ライダーアクト
デウスが、本領を発揮する
「凄まじい勢いで、世界が塗り替えられている!!」
デウスとの決戦が迫る
『さぁ、ここで、最終決戦だ』
「大吾さんを!!返しやがれ!!!」
『さようなら、仮面ライダー
・・・君たちの役割も、もうすぐなくなる』
第33章[