仮面ライダーACT [アクト]   作:ヨッツ

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第34章~アクト(雄飛)のクランクイン~

 

「一体何をしやがった!!!!」

 

何が起こったのか、まるで分らない

ただ、確かなことは

 

仲間が突然消えたこと

そして、それをしたのは間違いなく

目の前の怪人だということだった

 

それを認識した瞬間

彩羽雄飛は、目の前の怪人に向けて駆けだしていた

 

『Phantasic Night Of Beast!!』

 

一気に距離を詰め拳を振りかぶる

拳が、仮面ライダーデウスとなったブルーに迫った

 

しかし──

 

拳が叩き落とされる

そして次の瞬間、腹に走る衝撃

鋭い膝が、アクトへと突き刺さっていた

 

怯む体、さらに追い打つように

デウスの拳を振り上げる

吸い込まれるかのようにアクトの体を叩き、吹き飛ばす

 

「がっ・・!」

 

『言ったとおりだ、世界は変わり

 ・・・人は消えた。わずかばかりを残してな』

 

「「「!?」」」

 

まさか

そんなことがあり得るわけがと

そう、信じたかった

 

しかし、目の前に広がる平らな世界

そのどこまでを見通しても

人は見えない

 

いや、人のいる気配が感じられないのだ

仮面ライダーとしての能力をフルに活用した

それでも、周囲には逃げ惑う人々も

何も見つけられなかった

 

『人は消えた・・・守る物はもうない

 ・・・仮面ライダー、ヒーローは役を終えたというわけだ』

 

デウスが腕を上げる

その瞬間、自分達の立つ場所に異変が起こる

 

まるで、彼らの立つ場所だけがせり上がっていくように持ち上がっていく

そして、広い平野のような風景であった場所は

 

気が付けば、断崖絶壁の場所に早変わりした

視点が高くなったことで、遠くまで見渡せる

 

それでも、やはり人っ子一人、目視はできない

 

『そして、残った者たちもすぐに消えていく

 ・・・役目のない君たちも、退場の時だ』

 

「っ・・・ふざけんなぁ!!」

 

立ち上がったアクトが再び突貫する

手にはCGスタッフ、デウスに向かって振るっていく

 

デウスは身を翻し、初撃を避ける

しかし、アクトはすぐさま切り返し、2撃目を振るう──

 

『 ALL Write 』

 

ガキンと鈍い金属の音が響く

ぶつかるはずであった杖は

デウスの手に突如として現れた、羽の意匠を持った金の剣を持って受け止められた

 

デウスが軽くアクトを弾き飛ばす

そこまでの力は込められていないであろうに、なんという膂力だ

 

「くっ」

追加(プラス)』『Select(セレクト)

 

魔法陣を通過する

3人に増えたアクトが一斉にデウス目掛けて打って出る

 

しかし

 

『1』

 

一人目が、通り過ぎ様に一刀の元両断される

 

『2』

 

二人目が振るった杖を一瞬で弾かれ、そして切り裂かれる

 

『3』

 

そして、最後のアクトの攻撃も届かず

デウスの刃が、アクトを切り飛ばした

 

「ぐああああ!」

 

まさに一瞬の出来事

数で押す戦法は、一瞬で無に帰した

 

転がるアクト

その拍子に、ホルダーから何かが転げ落ちた

それはアクトの手持ちのチケット

 

『ふむ・・・』

 

落ちた2枚、"ワイルドウエスタン"と"侍丸"を

デウスは拾い上げる

 

そして──

 

『 ALL Write 』

 

ベルトを駆動させた瞬間

手にしたチケットが浮かび上がる

 

チケットを中心に、エネルギー状の何かが組み上がっていく

形はモヤから人型に

そして最後には

 

『WILD WESTERN』『侍丸』

 

「!・・・なに!?」

 

アクトの目の前に、二体の怪人が現れた

片やガンマンのような

そしてもう片やサムライの様ないで立ちをした怪人

 

まさしく、アクトがもつチケットから生まれた怪人であった

 

2体の怪人が襲い掛かる

刀が鋭い軌跡を描き、アクトへ振るわれる

その攻撃を何とか避ける

 

息を突かせぬ連撃、

そして、その背後には──

 

悠然に銃を構え一瞬の隙を伺う姿があった

 

サムライが刀を振り下ろす

勢いあるその振り下ろしをアクトは何とか回避し

刀が、地面にぶつかった

一瞬の隙、ここに──

 

アクトが攻勢に出ようと武器を構える

しかし、それこそがアクトが生んだ、一瞬の隙でもあった

 

体に走る衝撃を感じた後に、遅れるように

連続した銃声が響いた

 

ガガガガンと銃弾がアクトの体に炸裂する

 

「ぐぁ!?」

 

油断大敵、アクトの手が止まる

その瞬間、

 

狙いすましたかのようなサムライの切り上げが

怯んだアクトの体を切り裂いた

 

「ぐぁああああ!!」

 

アクトの体が飛ぶ

その拍子に、さらに数枚のチケットが転がり落ちた

 

まずい──!

 

しかし、その危惧も遅い

 

一瞬の閃光、そしてその後には

 

2体のバッタの姿をした怪人が、アクトの前に現れた

 

「くっ」

 

アクトが杖を叩く──

 

『ALL Write』

 

突如、アクトの頭上で何かが唸りを上げる

これは──!?

 

次の瞬間、アクトの周囲に落雷が降り注いだ

 

「がっ・・・あっ・・!」

 

衝撃に、行動がストップする

体が痺れ、意識が飛びそうになる

 

ふらつくアクト

そんなアクトをしり目に、バッタ怪人達が、飛び上がった

 

『──!!』

 

2本の足が、アクトに迫る

体が痺れたアクトにそれを避ける術は存在せず

 

アクトの体を、怪人のキックが凄まじい勢いで突き飛ばした

 

その衝撃で、ドライバーが過負荷があったのだろう

変身が強制的に剝がされる

 

雄飛の足が地面から離れ、宙を行く

飛ぶ先は、断崖絶壁の先

 

ビルにしてどれほどの高さなのだろうか

それでも2,3Mでは数え足りない程の高さの崖から

 

「うわあああああああ!!!」

 

雄飛は放り出された

 

 

「雄飛!!」

 

アクトがバッタ怪人に蹴り飛ばされ

そのまま崖下へと落下していく

 

杏奈は手を伸ばそうとして

 

「っ・・無理だ・・・!」

 

ボロボロのラストに引き留められる

手を伸ばしても届きなどしなかった

 

しかし、止められてなければ自分も崖から飛び出してでも助けに行きかねなかった

 

そして、ラストは──

 

「・・・ぐっ・・おおお!!」

『MIRAGE TORCH』

 

痛む体を押して、グリップから火を吹く

巨大な火炎が、デウス達目掛けて解き放たれた

 

『・・・ふっ!』

 

無論、その程度の炎ではデウスはびくともしない

一刀の下、炎が切り払われる

 

切り払った炎の先

隠れたその場所が、再び姿を現す

 

しかし、その場所に先程までにいた二人の姿はなかった

 

『逃げたか・・・

 だが、行先などもはやそうないだろう』

 

逃がしたことにデウスは焦りはしない

悠然と、4体の怪人を引き連れて

逃げ去ったであろう場所目掛け歩き出す。

 

 

 

杏奈の手を引きラストは走る

最早見覚えのある風景などどこにもない

何度もたどった道を記憶を頼りに進み行く

 

そして、たどり着いた喫茶テアトロは──

 

「これは...」

 

言わずもがな、その姿を残してはいなかった

建物の痕跡すら残さずに自然豊かな土地となった地で

2人は呆然と立ち尽くす

 

そこへ

 

「・・・ラスト?」

 

一人の男の声がした

すぐさま振り返る、視線の先には

 

「ラスト、風間さん・・!」

 

見知った脚本家が、木の影から姿を現した

 

「オオキ!」「大木さん!」

 

ようやく出会えて見知った顔に

2人に安堵の感情が満ちる

 

──しかしそれも、一瞬のことであった

 

現れた男、大木の腕の中に

2人分の白衣と、茶色いロングコートがあるのが見えるまでは

 

それの持ち主が誰なのかは分かっている

そして、それを大木が抱えていたことの意味を

今更わからないはずもなかった

 

「・・・そんな。」

 

 

・・・・・。

 

 

「一瞬だった」

 

合流した大木の口から、何が起こったのかが伝えられる

 

「突然光が周囲を覆いつくして

 ・・・それが止んだら、この景色だ」

 

「そして、そのあと3人は・・・」

 

光となって消えていった

翔と全く同じ現象が、喫茶に残された4人の内の3人にも起こったのだ

 

つまり──

 

「本当に、人間のほとんどが消されたというのか・・・!」

 

それは、あの場だけに起こった現象ではなく

世界全てが対象であるという裏付けに他ならない

 

「一体何があったんだ?・・・雄飛君と翔君は?」

「それは・・・」

 

~~~

 

「そんな、翔君が・・・雄飛君まで・・・」

 

伝えられた情報に大木が消沈する

その痛烈な顔に、ラストと杏奈もまた

心が沈みかけていく

 

・・・いや、まだだ

 

「・・・雄飛は死んでない」

「え?」

 

翔が、音石が

そして父親と、叔父さえも消えてしまった

 

しかし、雄飛は違う

彼は消えていない、いないのだ

 

「まだ、全部が消えたわけじゃない

 ・・・まだ、雄飛も、ラストだっている!

 そうでしょ!!」

 

折れるには、まだ早い

雄飛はきっと生きている

まだ、2人も仮面ライダーが残っている

まだ、抗う人間は、残っている

 

そう言って立ち上がる

まだ、負けていないのだ

 

その顔に、2人もまた沈んでいた顔を立ち直す

そうだ、まだまだ戦えるのだ

 

杏奈は、思案する

一体この状況はどういことなのか

その中で、一つの疑問に行きついた

 

「・・・なんで、私たちだけが?」

 

それは、どう考えてもおかしい疑問であった

ブルーは、人間は全て消えた、と言った

 

ならば、対象は全人類であったはずである

とすればなぜ自分達は、消えていないのだ?

 

「・・・恐らく」

「ラスト?」

 

その疑問に、何か気が付いたのか

ラストが口を開いた

 

「これは、テラーにしたのと同じ原理だ」

「?・・・どういうこと」

 

「人が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということだ」

 

 

「テラーは、人が物語の中の存在に変わった者とも言える」

 

思い出す、チケットを埋め込まれた者たちを

その体は変異していき、まるで現実ではないなにかに変わったことを

 

「あの力も、それを他者に行ったのかもしれない」

 

それってつまり・・・

 

「人間を、人じゃない何かに変えていったってこと?」

「可能性はあると思う」

 

そう、それは何も

怪人のような存在だけにはとどまらない

 

今この世界に飛んでいる

蝶や花、そう言った()()()()()()()

もしかしたら・・・

 

「じゃあ、私たちが無事だったのは・・・」

 

「・・・既に、()()()()()()()()()()()()()()

「そうか・・・だから僕たち4人が残ったのか」

 

大木は、ガラスに

杏奈は、氷の女王

ラストは、3つのチケットの力を持っている

 

そして、雄飛は野獣のテラーとなった

 

変える必要がないと、判定されたからこそ

自分達は、この状況でそのままであったのだ

 

「・・・いや、そうとも言い切れない」

 

「この仮定が正しければ

 残ったのはチケットの枚数

 ・・・つまりは」

 

──100人にも、満たない

 

全人類、何十億と言える数が

たったの100まで減ったということだ

 

「私たちだけが、取り残されたともいえる」

 

ラストは、そう締めくくる

その言葉に、2人は再度意気消沈する

 

──けれど

 

「じゃあ、・・・助けられるってこと?」

 

杏奈の言葉が、他の2人が顔を上げる

──そうか

 

「死んだわけでも、消えたわけでもない

 ・・・ただ、姿を変えられているだけなら・・!」

「ああ、戻せるかもしれない」

 

すなわち、これを起こしたブルーの

その力を解除すれば──

 

それは、一筋の希望だった

 

『無理だな』

 

その声が、聞こえるまでは

 

「「「!?」」」

 

3人が振り返る

その目の前には

 

『その考えは正解だ

 ・・・彼らは、人ではなくなっただけ』

 

ブルーが彼らを消すために

そこに立っていた

 

『だが、彼らを戻すのは

 ・・・私を倒すしかないということだ』

「っ、もうここまで」

「残った人間は、自ら始末すればいい

 ・・・そう言うことかい・・!」

 

杏奈の驚愕、大木の問いかけに

ブルーはチケットを取りだすことで応える

 

逃がしては、くれそうになかった

 

「下がっていろ!」

 

ラストが前に出る

勝機など、見えるはずもない

それでも──

 

「変身!!」

 

仮面ライダーとして、彼は立ち向かうことを選んだのだった

 

『変身』

 

Deus Ex Machina(デウス・エクス・マキナ)

『仮面ライダー!・・・デウス!!』

 

変身したデウスの背後から

2つの影が現れる

 

サムライのテラー、ガンマンのテラー

2体の怪人と、仮面ライダーを前に

 

「うおおお!!」

 

ラストは、それでも果敢に駆けだした

 

 

 

 

 

──激痛の中、目が覚める

 

・・・生きている。

 

雄飛は、周りに転がった岩をどかしながら

何とか体を起こしていく

 

周りには、巨大なクレーターのような落下後

これは・・・

 

「よく生きてたな・・・」

 

あれだけの高所から生身で落下して何故無事なのか

自分の頑丈さに疑問を抱く

 

しかし、その答えは

ドライバーから、鈍い音を立てて

何かが、零れ落ちた

 

「っとと」

 

地面に落ちる前にそれを受け止める

手にあったのは

 

『──。』

 

まるで、無理をしたのかのように

バチバチと音を立てているチケットが一枚

 

「そうか・・」

 

なぜ自分が無事なのか

その答えは、この手にあるチケットのおかげだと悟る

 

このチケットは、自分の危機に

勝手に起動して変身をしたのだ

 

そして、野獣の姿をしたアクトは

そのまま凄まじい落下に何とか耐えきったのだ

 

「すまない、ありがとう。」

 

一言お礼を言い、どうにか落下地点から移動を始める

全身の痛みが、自身の限界を告げている

 

このままでは、まともに戦えるわけもない

 

「っ痛・・」

 

体を引きずりながら

雄飛は、変わってしまった世界を進んでいく

 

そして・・・

 

「本当に、誰も・・・」

 

 

そのあまりの静けさに絶望する

誰もいない、誰の姿も見えない

 

まさに、世界中から

人間の存在が消し去られてしまったかのように

 

目の前で消えた翔が

そして、目の前の何もない状況が

 

デウスの、ブルーの言葉が本当であることを分からせようとしてくる

 

守れなかった・・・!

 

そう、罪の意識が重くのしかかる

誰も彼も、皆消えてしまった

 

「まだだ、ブルーを倒せばきっと・・・」

 

──戻るのか?

 

そんな、疑心が聞こえた

もう、自分は守れなかったのではないのか?

 

ブンブンと頭を振って否定する

そんなことであきらめるわけにはいかない

 

少しでも望みがあるのだ

どんなことがあっても、ブルーを倒さなければならないのだ

 

 

 

 

──倒せるのか?

 

「っ!?」

 

その考えが、雄飛の頭の中を埋め尽くす

自分の一番の戦力をぶつけた

その上で、正面から手も足も出なかったのではないのか?

 

頼れる仲間も消えた

そんな状態で、どうやって勝つのだ?

 

「それは・・・!」

 

──無理ではないか?

 

駄目だった

自分が勝てるビジョンが何一つ見えてこない

これまでとは違う、圧倒的な力の前に

 

彩羽雄飛は、どう戦えばいいのか分からない

 

進んでいた、足が止まる

 

「っ・・・・・・。」

 

何か、何かと考えて考えて考えて

 

──何も、応えは出なかった

 

 

 

”守る物はもうない、・・・ヒーローは役を終えたというわけだ”

 

そうなのだろうか

もう、自分に守れるものは、残ってないのだろうか

 

──諦めるしか、ないのだろうか

 

 

 

ズドンと、鈍い音が雄飛の意識を現実へ呼び戻した

 

すぐ後ろの、巨木がへし折れ

地面に横たわる

 

そして、その陰から

 

『──。』

 

2体のバッタ怪人が、現れた

 

「っ・・!」

 

体を引きずりながら

怪人から逃げる

 

今は、まともに戦える状態ではない

 

追って来る怪人から

必至に逃げる

 

森を抜け

大岩の転がる荒地へ入る

 

そして、手ごろな物陰に隠れる

 

直ぐ近くに、怪人が徘徊するのが分かる

このままでは、見つかるのも時間の問題だろう

 

だが、逃げるのも限界である

 

そして、少しずつ隠れ場所に迫って来る怪人に

もう駄目なのか、と諦めかけた

 

その時──

 

 

「こっちだ!!」

「!?」

 

何者かに手を引かれた

 

バッタ怪人が、岩陰を覗き見る

 

そこには、人っ子一人いない

 

そして、怪人はこの場所にはいないと目星をつけ

跳躍してその場を離れていった

 

 

 

 

「危なかったな・・・」

 

先程の岩陰のさらに奥

 

岩の間に隠れるように設けられた

深い洞窟の中

 

そんな中に、雄飛は手を引かれて招き入れられていた

 

「あ、あなたは・・・」

 

雄飛は、自分の手を引いた人物を見る

 

スーツを着た、初老の男性

真面目そうな顔に、穏やかな目をした彼は

 

「私は・・・」

 

雄飛の問いかけに

その手を離し、

 

そして──

 

「私たちはライダーの同志(ライダーズ・フェロー)!!君たちの同志だ!!」

 

シャキーンと、ビシッとキメポーズを決めながら

雄々しくそう名乗った

 

「え、えぇ・・?」

 

 

 

洞窟の奥に進む

 

そこには

 

「おお、また見つけたのか」

「これで8人目だな」

「探索組はもう戻ったぞ、収穫もあった」

 

複数人の()()()、集まって生存していた

 

「これは・・・」

 

雄飛はその光景に驚愕する

見られるのは、たったの7人程度

しかし、・・・7人も人間がここにはいた

 

「ああ、怪我人でな

 薬箱はまだあったよな」

「ああ、向こうだ」

 

そうして、雄飛は手を引かれながら

洞窟の中に腰かける

 

そして、傷ついた体に

その人はしっかりと手当を施していく

 

「あの・・・あなたたちは・・・」

「うん?」

 

雄飛は、聞かずにはいられなかった

先程の名前の意味を、そして彼らが何者なのかを

 

「ああ、・・・先ほども言った通りさ

 私たちはライダーの同志(ライダーズ・フェロー)

 仮面ライダーを支持するもの達の集いだ」

 

初めて聞く名前だった

自分達の協力者だろうか

いや、そんな話は浩司さんから聞かされていない

 

なら、彼らはなぜ──

 

「君も、そうなのだろう?」

「え?」

 

その問いかけの意味は──?

 

「君も、私たちと同じく

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「──。」

 

──そう言うことか

 

彼らは、まさか

 

「私も、8年前に彼に助けられてね

 ・・・ここにいる皆がそうさ」

 

彼らは、テラーになった人たちだ

そして、彼は自分ではない仮面ライダー

すなわち、大吾さんが、助けた人たちなのだ

 

「最初は、助けられた彼に一目会うために作ったコミュニティだったが

 ・・・まさかこんなことになろうとは」

 

「よく・・・ここまで」

 

感嘆の言葉が漏れる

 

彼らは、この状況で無事に集まり

そして、この洞窟で生存するために必死に足掻いていたんだ

 

「ああ、だがまだまださ

 まだこの状況を打破するための手はずも何もない」

 

そう言いながらも、男は何も不安はないようだった

 

「だけど、それも時間の問題だ

 ──きっと助かる」

 

「なんで──」

 

「仮面ライダーが、いるからさ」

「っ・・・!」

 

その顔に、不安はない

自信いっぱいに、その言葉を言いのけていた

 

周りの7人も、その言葉にうなずいている

そこに、何一つ疑いはないようだった

 

その風景に

雄飛は──

 

「なぜ、そこまで・・・」

「うん?」

 

「なぜ、そこまで信じられるんです?

 ・・・この状況で、どうして」

 

そんな、疑問(弱音)を吐いてしまった

 

なぜそこまで、言い切れるのだろうか

それが、分からなくなってしまった

 

「今度こそ、負けてしまうかもしれない・・・」

 

そんな言葉を聞いて

男は、まるで諭すように雄飛の肩に手を置いた

 

「・・・だからこそさ」

「・・・え?」

 

「そうだ、これまででこんなことは一度もなかった

 ・・・きっと凄まじい何かが起こっている」

「仮面ライダーはそれに立ち向かっている最中だろうな」

 

「だからこそ、私たちが先に諦めるわけにはいかない

 いや、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「・・・。」

 

「彼は今も、私たちのために戦っているのだから」

「っ!?」

 

──ああ、そうか

 

「彼が助けている、私たちが諦めては

 頑張る意味がなくなってしまう」

「だから、私たちは諦めてはいけないんだ」

 

彼らは、仮面ライダー(自分)を助けるために、一緒に戦ってくれているのだ

 

「そうだろう?」

 

「そう、ですね・・・その通り・・だ・・。」

 

ああ、そうだ。

その通りだ、諦めている暇なんてない

 

「よし、これで大丈夫だろう

 ・・・痛くないかい?」

「・・・はい。」

 

ああ、そうだ。

何も痛くはない

 

──戦うには、十分すぎる

 

雄飛は、立ち上がる

もう、迷うことなど何もない

 

「すみません、・・・俺、行きます

 ・・・行かなきゃいけない所があるんです」

「!?・・・なんだ?

 まさか、まだ誰か残っているのか?」

「それなら私たちも・・・」

 

「大丈夫です。・・・ありがとうございました!

 行ってきます!」

 

そう言って、雄飛は洞窟の外へと駆ける

彼らに最大級の感謝を、そして──

 

「・・・分かった!!だけど必ずその人を連れて戻って来るんだぞ!!」

「私たちは、待ってるからな──!!」

 

「・・・はい!!必ず・・・必ず()()()()

 

絶対に負けないことを心に誓って

 

 

 

 

落雷が落ちる

 

「ぐあああああ!!」

「ラストぉ!!」

 

地面に落ちら轟雷が、炸裂し

ラストの体を痛めつける

 

そして、息を突かせぬように

刀の一撃と何発者銃弾が、その身に撃ち込まれる

 

その攻撃を持って──

 

「う・・・あぁ・・・」

 

仮面ライダーラストは敗北に喫してしまった

元々のダメージもある上で

3体1など、無謀もいいところであったのだ

 

『・・・これで終わりだ』

 

倒れ伏したラストに駆け寄る2人

そして、それにゆっくりと近づく仮面ライダーデウス

 

「くそう!!」

 

大木が茶色いロングコートのポケットを漁る

そして取りだしたのは、一丁の拳銃であった

 

銃口をデウスに突きつける

 

『その程度で、刃向かうつもりか?』

「くっ・・!」

 

震える手で2人を庇いながら

銃を構える大木に

 

デウスが悠然と詰め寄り

そして──

 

「よせ!!」

 

その手が、大木を摘み取る前に

一つの声が、彼の行動を止めた

 

それを見た3人は

 

「雄飛君・・!」「雄飛!!」「・・ユー・・ヒ」

 

声の主の男の名を呼ぶ

 

『ほお、生きていたか』

「頼りになる、友人がいてね・・!」

 

夜と野獣(Night Of Beast)

 

「変身!!」

 

『Trembling Night Is Coming』

『Beast Will Bring It』

『Can You Hear That Shout?』

『Night Of Beast』

『... Not Missed off .』

 

野獣の様相へと姿を変えたアクトは

荒々しく、デウス目掛けて駆けだした

 

 

デウスの前に、サムライとガンマンが遮るように立ちふさがる

 

サムライの一刀がアクト目掛けて振り下ろされる

それを素早い動きで回避し、爪をその腹に──

 

銃声がそれを遮る

飛びのくように避けて距離を離す

 

そして飛びのいた瞬間

──上方からの殺気!

 

その場からさらに飛びのく

先程までいた場所に、上空から何かが落下した

 

砂煙を払いのけて、2体のバッタ怪人が姿を現す

 

5対1、それでも逃げる気はない

 

アクトが駆けだす

バッタ怪人とぶつかり合い

 

爪を振るい、蹴りを避けの攻防を繰り広げる

少し距離を離せば、銃弾に晒される

 

ガンマンに気を付けながら

バッタ怪人を攻撃を放つ

 

バッタ怪人がアクトの攻撃を防ぐ

しかし、その防御によって一瞬ぐらついた

 

今──

 

ガンマンからの攻撃もない

この一撃で──

 

そう、力を込めた一撃を放つ

 

その攻撃は、バッタ怪人の防御を潜り抜け──

 

「!?──ぐ・・・あ・・!?」

 

()()()()()()()()()、アクトの腹部へと突き刺さった

 

咄嗟に、デウスの方を見る

そこには・・・

 

デウスの後ろにゆらりと浮かぶ

魔法使いのような様相の怪人の姿があった

 

──いつの間に・・・!

 

気づいたときにはもう遅い

不意の攻撃に、アクトがふらつく

そしてデウスが、腕を振り上げた

 

アクトへと落雷が降り注ぐ

 

「ぐあああ!!」

 

全身の痺れを感じながら

アクトの体から力が抜ける

 

そして、変身が解けていく

 

はじき出されるかのように

ドライバーからチケットが外れた

 

飛んだチケットは

まるで吸い込まれるかのようにデウスの手に渡る

 

まるで暴れるようにチケットが

デウスの手から逃れようと藻掻いた

 

しかし、デウスが手に力を込める

その瞬間、まるで抑え込まれるかのようにチケットがおとなしくなる

 

そして──

 

次の瞬間、

デウスの隣に、暗い赤色の目をした野獣の様相をした怪人が姿を現した

 

『これで、もう変身はできない』

「っ・・まだ・・だ・・!」

 

それでも雄飛は立ち上がる

限界など、とうに迎えた体は、それでもしっかりと立っていた

 

『・・・なぜ、諦めない?』

 

その姿に、デウスは、いやブルーは問いかける

なぜ、そこまで頑張っている

 

『もはや負けは見えているはずだ

 ・・・それでも、なぜそこまで立てる』

 

もはや、あとは殺されるだけ

そんな状況で、それでも力強い目をした雄飛が

心底理解できない

 

『力はもうない』

『仲間の助けも期待できない』

 

そして、世界を見せる

どこまでも平和な世界

何もいない世界を

 

『こんな世界に、ヒーローの枠はもうない、君が戦う理由はない』

 

そう、言い放つ

ヒーロー役は、もはや意味をなさない

助ける物がない、と言い放った

 

「・・・。」

『?・・・なぜ、戦う?』

 

それでも雄飛は、デウスを見据える

諦めることなく、デウスをにらみつける

 

「関係・・・ない・・!」

『なに・・?』

 

「枠があるかなんて・・・関係ないんだ」

「助けたいんだよ・・・!」

 

雄飛は、ブルーの問いに全力で応える

自分の戦う理由なんて、知れたことだ

 

「最初っからそうだった・・・!」

『・・?』

 

「仮面ライダーだから助けたんじゃない

 ・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

そうだ、あの日あの時

自分は、あの困っていた人を助けるために駆けだしたんだ

 

「助けたいのに、理由なんていらない

 ・・・助けたいから助ける!!・・・それだけのことだった!!」

 

「だから、俺は戦う

 助けるための、仮面ライダーだから」

 

 

「この世界に、仮面ライダーって役があるかなんて

 最初の最初から、関係なかった!!」

 

 

「役割が世界にあるかどうかなんて関係ない!!」

 

 

「誰かを助けたいって気持ちがあった

 ・・・その気持ちが心の中にある限り・・・!」

 

 

「私が・・・・っ()()!!!」

 

「彩羽雄飛が!!」

「仮面ライダーアクトなんだ!!!」

 

そう言い切る

それは、雄飛の戦う理由

どれだけの絶望が目の前にあろうと

もう折らせないと決めた、アクトの理由

 

『・・・なら、最後まで力及ばずに・・・!』

『死んで行け!!』

 

デウスの指示に従ってバッタ怪人が跳躍する

そこから繰り出される蹴りは

生身の雄飛の体など粉々に打ち砕くだろう

 

避けることはできない

その力が、もはや雄飛にはない

 

それでも──その心は折れない

さいごまで、立ち向かう瞳が怪人を見る

 

バッタ怪人のキックが繰り出される──

 

 

 

 

──ブルーは言った

この世界は既に物語の世界だと

 

それは、彼の目的のために最大限に利用される世界だ

しかし、そこには一つ、落とし穴があった

 

 

 

──物語の中であるのなら

──奇跡の一つくらい起こりえるのだから

 

 

『!?』

 

その時、雄飛とバッタ怪人の間に

何かが、生まれた

 

バッタ怪人の蹴りが、雄飛に当たる直前に停止する

──いや、止められたのだ

 

バッタ怪人と、雄飛の間に発生した眩い光によって

 

そしてそのまま

 

『──!?』

 

バッタ怪人は、凄まじい力に押し返され

弾き飛ばされる

 

「・・・?」

 

雄飛は、呆然とその光を見る

一体何が起こったのか分からない

 

しかし、光は待ってくれない

光がどんどん形を変えていく

四角い何かに、長方形上の何かに──

 

これは・・・・

 

雄飛は手を伸ばす

光に、今生まれた何かに

 

それを掴み取った瞬間

光は弾けるように解き放たれ

その後には、雄飛の手には──

一枚の、チケットが握られていた

 

「──。」

 

それを見た雄飛は、立ち上がる

 

ドライバーを締め直し

先程のような力のない立ち方ではなく

力を込めて、立つ

 

『チケット・・・だと?』

 

デウスが驚愕する

一体何が起こったというのだ

 

『この期に及んで・・・!』

 

雄飛は、踏みしめた脚を起点に

チケットを目の前にしっかりと構える

 

何一つ不安はない

そのタイトルを見た瞬間

そんなものは、吹き飛んでいた

 

『一体、何になるつもりだ──!!』

 

デウスの怒れる声を前にして

それでも怯むことなく

 

雄飛は、チケットを起動した

 

『仮面ライダー ACT(アクト)!!!』

 

体に力が灯る

そこに、余計な思考など必要ない

演じるべきものは、全て自分の中にある

 

「変身!!!」

 

だから、何も不安などなく

 

雄飛はドライバーにチケットを装填した

 

 

新たな伝説、新たな始まり(A new legend , A new Begging)

舞台へ上がれ(Come on stage)!!』

君は...(You Are the)

 

『仮面ライダー !!!』

ACT(アクト)!!!』

 

雄飛の姿が変わっていく

 

その姿は、ライダーフォームとよく似ていた

バッタのような意匠をした、ライダーの姿

白をベースとしたアンダーアーマーに

深紅のアーマーが装着されていく

 

首から、マフラーをたなびかせ

 

男はそこに立っていた

 

 

絶望的な状況、絶対的な力の前に

男は立っていた

 

彩羽雄飛が、仮面ライダーとして立っていた。

 

 

続く

 




次回 仮面ライダーアクト

第35章[ 始まりのワン・アクション ]
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