仮面ライダーACT [アクト]   作:ヨッツ

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第35章~始まりのワン・アクション~

『A new legend , A new Begging』

『Come on stage』『You Are the』

『仮面ライダー !!!』

『ACT(アクト)!!!』

 

眩いほどの極光が収まった時

一人のライダーがそこにいた

 

絶望的な状況の中、為す術もなくなった果てに

それでも諦めなかった結果がそこにはあった

 

彩羽雄飛は、今一度仮面ライダーになっていた

 

「変身・・・した・・。」

「あんなの見たことない・・・」

 

その姿に、杏奈たちも驚愕する

その姿は一度も見たことがない物だった

一体、雄飛に何が起こったというのだ──

 

 

『──!』

 

その姿を視認したバッタの怪人が駆ける

眼前に現れた敵に、消し去らねばならない相手に殴り掛かった

 

拳が空を切る

身を躱した仮面ライダーが、その手を握りしめ

そして攻撃を避けられ、隙を晒した怪人目掛け叩き込む──

 

ゴオオンと

 

凄まじい勢いで、怪人が壁に叩きつけられたのを

デウス達は、轟音を聞いたときに始めて知覚した

 

 

『・・・なんだ、その姿は・・・?』

 

仮面ライダーデウスもまた、予想外の状況に驚愕が隠せなかった

 

『誰だ・・・貴様は一体──!』

 

一体、奴は一体・・・何になったというのだ

 

「俺は──」

「仮面ライダー・・・」

「仮面ライダーアクトだ!!」

 

雄飛は、力強く名乗る

そう、それが自分

他の誰でもない、一人の戦士

今ここに、仮面ライダーアクトが立っている──!

 

「デウス・・・青(・)山(・)!!

 ・・・あんたを止める!!」

 

『っ・・・行け!!』

 

切った啖呵を火蓋に

立ち上がったバッタ怪人も含めた怪人達が一斉にアクトに襲い掛かる

数は圧倒的に向こうが上

 

それでも──

アクトは、恐れることなど何もなく立ち向かった

 

 

※

次々に襲い掛かる怪人達

斬撃が、銃撃が魔法が

一挙に襲い掛かる

 

それを避けながら、反撃を放つ

振り下ろされる斬撃を腕の装甲で受けとめ

その顔面を殴りつける

怪人は、その衝撃に後ずさりながらも

恐れを知らずにまた迫る

 

さすがに多勢に無勢か

 

「っく・・!」

 

その時、空が眩く光る

 

「!?」

 

周りに雷光が降り注いだ

煙が晴れる

 

「・・・!」

 

避けきることはできなかった

アクトのアーマーから焦げるような黒煙がほのかに立ち上っている

 

『・・・その程度か』

 

いくら変身できたとしても

この状況をひっくり返すほどではない

そう、デウスは判断する

 

『せっかく立ち上がったが

 ・・・無駄だったようだな』

 

驚きはしたが、それでも自分に勝つことはできない

 

『諦めろ・・・何者もこの状況は覆せない──!!』

 

再び、怪人たちが襲い掛かる

このまま数で押しつぶされてしまうのだろうか

 

「──いや、できる」

 

それでもアクトの・・雄飛の目に絶望はない

何故なら──

 

「俺は・・・そう思って演(や)っているんだからな!!」

 

そうだ、負けることはない

この姿は、このヒーローは

限界なんてないとそう思っているのだから──!

 

ベルトを押し込む

その瞬間、雄飛の中に力がこもった

 

『OVER RIDE(オーバー・ライド)!!!』

 

┌────────────────────────

│仮面ライダー アクト

│■身長:190.5cm

│■体重:88.0kg

│■パンチ力:15t

│■キック力:25t

│■ジャンプ力:60.0m

│■走力:4.5秒

└────────────────────────

 

その瞬間、アクトに右手に力がこもる

まるで先程とは違うものになったかのように

 

┌────────────────────────

│仮面ライダー アクト

│■身長:190.5cm

│■体重:88.0kg

│■パンチ力:15t -> 45t

│■キック力:25t

│■ジャンプ力:60.0m

│■走力:4.5秒

└────────────────────────

 

 

「おおおおお!!」

 

ズドンと轟音が鳴り響く

先程までとは比べ物にならない程の高速拳が

飛び掛かったバッタ怪人の、その攻撃が届く前に腹に叩き込まれる

 

『!?・・・!?』

 

バッタ怪人が大きく後ずさる

そして──

 

『ぐ・・・ぉおお!』

 

凄まじい衝撃に膝を折った

 

『──!?』

 

先程まで無かった反応に

怪人達の足が止まる

 

┌────────────────────────

│■キック力:25t -> 60t

└────────────────────────

 

「らぁっ!!」

 

アクトの蹴りがガンマンへと突き刺さる

先程までならば軽くのけ反る程度の攻撃

しかし──

 

『!?』

 

体が浮く感覚

そしてすさまじい勢いで地面を引きづられる

体が削れる痛みに、怪人が苦悶の声を上げる

 

『・・・何だと?』

 

デウスが驚愕する

これは一体──

 

『・・・セイバイ!!』

 

サムライの怪人が刀を構え

アクトの背後から切り掛かる

完全な死角、逃しはしない

 

脳天を叩き割るほどの一刀が振り下ろされる

 

┌────────────────────────

│■専用武器:─

└────────────────────────

 

アクトがその手を振り下ろされる刀に向ける

無手で受ける──ならばそれごと切り落とす

より一層力を入れた一太刀が迫る

 

┌────────────────────────

│■専用武器:アクトブレイガン

└────────────────────────

 

ガキンと、鋼鉄のぶつかる音が響いた

いつの間にか、アクトの手に握られていた武器は

背後からの人達を完全に受け止めていた

 

『!?』

「!」

 

受けた刀を切り飛ばし

振り返ったアクトが剣を振るう

1, 2, 3 撃の斬撃が怪人を切り飛ばした

 

『!・・・オオオ”!!』

 

それでもサムライは耐えきって、撃ってかかる

刀を振るい、アクトの剣とつばぜり合う

力の限り押し込んでくる怪人に、アクトの足も力を入れ持ちこたえる

その背中を

 

『──。』

 

ガチャリと、銃を構えガンマンが狙う

サムライと相対してその背を狙い撃つ──!

 

弾丸が、放たれた

10を超える弾丸は、まっすぐアクトの背に向かう

サムライを前に背後の弾丸を切り落とすことも間にあうまい

 

──その考えは、真っ向から打ち砕かれた

銃声が響く

 

その瞬間、ガンマンが放った弾丸が

一瞬にして、撃(・)ち(・)落(・)と(・)さ(・)れ(・)た(・)

 

『!?・・・ナ!?』

 

アクトはいまだ、サムライと剣でつばぜり合う

剣は動いていない、切り落としなどしていない

しかし、もう一方の手

 

そこには──

 

┌────────────────────────

│■専用武器:アクトブレイガン×2

└────────────────────────

 

も(・)う(・)一(・)丁(・)の(・)、ブレイガンがしっかりと握り込まれ

その銃口から硝煙を立ち上げていた

 

『!?・・・イツ!?』

 

一体いつの間に武器を──

 

「ぜああ!!」

 

サムライの剣を切り飛ばし

空いたどてっ腹に、銃を突きつける

弾丸が、叩き込まれた

 

『オオ!?』

『グア!?』

 

衝撃に、サムライが吹き飛び

そして、飛んだ先のガンマンとぶつかる

激突しながらも、怪人達は立ち上がる

 

前を見る、

しかしその先にアクトはいない

 

影が2人を覆う

上を見上げた瞬間には

 

武器を振りかぶったアクトが

2人の怪人に飛び掛かっている

 

2本の剣で繰り出された斬撃が

怪人を同時に両断した

 

『』『』

 

怪人が爆散する

2枚のチケットが、爆炎の中から転がり落ちるのだった

 

「・・・ふぅ」

 

一息つく

その瞬間──

 

「!?」

 

業火が、自分目がけて迫った

それを回避して、前を見る

 

『■■■■!!!』

 

野獣の怪人が

凄まじい勢いで突撃して、爪を振るう

顔面に迫る腕を咄嗟に受け止める

 

凄まじい力で押し込まれる腕を

アクトも全力で、受け止める

 

『■■■■・・・■■■!!』

 

野獣が声にもならない声叫びアクトへと爪を押し込む

力づくで押し込まれた爪がどんどんアクトへと向かう

 

「・・・すぐ、戻すからな」

『!?』

 

押し込まれた爪を逆に引きづり込む、

虚を突かれた野獣の爪が、勢い余ってアクトとはあらぬ方向に突っ込んだ

そこへ

 

「っらぁ!!」

 

アクトが真上に蹴りを叩き込む

野獣の体が宙へ浮き、吹き飛んだ

 

「はあああ!!」

 

アクトが構える

落下した野獣へ攻撃を叩き込む──

 

しかし、飛ぶ野獣のその方向に

魔(・)法(・)陣(・)が(・)現(・)れ(・)た(・)

通り抜けた野獣が、上空から消え去る

 

「!?」

 

アクトの目の前に魔法使いの様相をした怪人が立つ

 

「お前か・・・!」

『・・・ハァッ!』

 

魔法使いが手をかざす

 

アクトの周囲に数十を超える魔法陣が

取り囲むように展開される

 

そして──

 

「──!?」

 

魔法陣から次から次へと

野獣が這い出て、アクトへと襲い掛かった

 

四方八方から、爪による引き裂きがアクトへ迫る

 

「クッ・・・」

『ハッハッハ・・・ハァ!!』

 

魔法使いがさらに手を振るう

野獣だけでなく、火炎が飛び交い、アクトへ襲い掛かった

 

高速で迫る爪がアクトの体を引き裂いていく

このままなぶり殺しにされるのか──

 

──いや、まだまだ!

もっとやれる!!

 

『OVER RIDE(オーバー・ライド)!!!』

 

「うおおおおおおおお!!!!!」

 

┌────────────────────────

│■特殊能力:──

└────────────────────────

 

もっと!もっと速く!!

 

┌────────────────────────

│■特殊能力:高速戦闘

└────────────────────────

 

背後から野獣が迫る

反応はない、無防備な背に鋭利な爪が迫る──

 

瞬間、アクトの姿が爪先から消え去った

そして、腕を突き出した野獣の顔面に

 

横から衝撃が走る──

 

『■■■──!?』

 

反撃に驚愕する野獣、しかしその脚は止まらない

野獣が魔法陣に消え

また別の魔法陣から飛び出す

別方向からの再度の攻撃

 

しかし、その一撃もアクトは凄まじき速度で身を躱し──

 

「だぁ!!」

 

野獣に攻撃を当てる

 

次々と魔法陣から湧いて出る野獣を

飛び掛かるスピードよりも遥かに速く動き捌いていく

 

『ナンダ・・ドウヤッテソコマデハヤク──』

 

魔法使いが驚愕して呟く

その一瞬、魔法が緩んだ

 

野獣が吹き飛ばされ、魔法陣に消(・)え(・)ず(・)に(・)通(・)り(・)抜(・)け(・)る(・)

 

「!?──いまだ!!」

 

四方八方からの攻撃が止まった

アクトが足に力を込め、解き放つ

 

まるでワープしたかのような跳躍

魔法使いのすぐ目の前に現れる

 

『!?ウオオオ!!』

 

魔法使いが手を振るう

巨大な業火がアクト目掛けて放たれる

 

しかし、アクトはその業火を押せれることなく

その脚を突き出す

 

繰り出された蹴りは業火の壁を突き破り──

魔法使いをへと一直線に突き刺さる

 

3度目の爆散

その爆炎の中、アクトは目の前を拝む

 

『■■■──』

 

最早、逃げも隠れもしない野獣が目の前に立つ

そして──

 

アクトへ全力で飛び掛かる

その爪を心臓へ穿たんと、突き出す

 

それに合わせ、アクトもまた拳を握り込む

 

「っ・・ちょっと・・・痛いぞ!」

 

貫き手と拳が交錯する

その結末は──

 

『■・・・■■──』

 

拳が、野獣の体に叩き込まれその体が崩れていく

残ったアクトの手には、チケットが一枚

 

「・・・後は、お前達だけだ・・・!」

 

見据える先には、2体のバッタの怪人

そして──

 

『っ・・・!』

 

驚愕を隠せない、デウスの姿がそこにはあった

 

 

※

「凄い・・・なにあれ・・・」

 

杏奈と大木、そしてラストもまた驚愕を隠せない

6体のテラーにも、ものともしないアクトのその力

いったい彼に何が起こったというのか

 

「いきなり・・・動きが変わった」

「ああ・・・強く、速く・・・」

 

『■■■──!!』

 

野獣が、四方八方からアクトに襲い掛かる

そのスピードに翻弄されながら、アクトが傷ついていく

 

「っヤバイ!」

「このままじゃなぶり殺しに・・・!」

 

このままでは、アクトが敵に良いようにやられてしまう

そうしてどうにか動こうとしたその時──

 

「待て・・・あれは──」

 

アクトが突如として、野獣の攻撃に対応し始めた

いや、野獣よりも素早く動き始めた

 

まるで、そ(・)う(・)動(・)け(・)る(・)よ(・)う(・)に(・)な(・)っ(・)た(・)か(・)の(・)よ(・)う(・)に(・)

 

「動きが・・・変わった・・!?」

 

ラストが呟く

どうみても、突然だった

まるで、できなかったことができるようになったかのようだ

 

「まさか──」

 

 

 

※

 

『設定(スペック)を書き換えている──?』

 

そして、デウス・・・いや、研究者としての青山もまた、感づいた

アクトは、チケットに設定された人物の強さを手に入れる装置だ

逆を言えば、上(・)限(・)が(・)あ(・)る(・)力(・)だ(・)

 

──だが、あのチケットは

一体、だ(・)れ(・)を(・)演(・)じ(・)て(・)い(・)る(・)

一(・)体(・)ど(・)こ(・)か(・)ら(・)生(・)ま(・)れ(・)た(・)?(・)

 

「ああ、このアクトは・・・どこまでもやれる!!

 ──俺はそう信じている」

 

あの力はまさか──

 

『心(・)の(・)中(・)の(・)ヒ(・)ー(・)ロ(・)ー(・)像(・)でも演じているつもりか!!』

 

──自分が信じた仮面ライダーを演じる力だというのか

 

デウスがその力を解き放つ

轟雷が降り注ぎ、嵐が巻き起こり

大地が揺れ動く

 

天変地異が如き力が、一斉にアクトに襲い掛かった

 

「人も世界も・・・!」

 

アクトが駆ける

 

降り下りる落雷をその腕で受け止め

そして負けることなく弾き飛ばす

 

目の前に迫る嵐を

脚に力を込め飛び立ち

その脚で蹴り破る

 

そして、傷つきながら

それでも、デウスの目の前に降り立った

 

『くっ貴様・・・!』

 

「仲間も全部・・・!」

 

デウスがアクトに殴り掛かる

その攻撃を防ぎ

そして──

 

「取ったもん全部──返しやがれ!!!」

 

アクトの拳が、デウスの顔面を捉え

殴り飛ばした

 

『ぐぅおおお!!』

 

顔を殴られたデウスが大きくのけ反る

ダメージは少ない

 

『!?』

 

しかし、その攻撃は大切なものを破壊していた

 

 

“そうして、世界は自然に満ちた美しさを取り戻します。

 花が舞い、蝶が飛び交う平和な未来が、やってきました。

                      おし”

 

瞬間、世界が変わっていく

広大な自然が、砕けるようにひび割れていく

 

『まさか・・・!』

 

そして、バキリと大きな音を立てて

世界が崩れ、その裏から何か別の風景が現れる

 

人工物の建物、舗装された道

人が築き上げた、文明が見える

 

世界が、元に戻っていく──

 

そして、世界だけではない

 

 

「世界が・・・戻っていく」

「やった・・・やった!!」

 

杏奈たちが、その変わっていく風景に喜んで言った瞬間

杏奈の目の前に、光のような何かが集まっていく

 

そして、それは人の形を作り上げ

 

「・・・?」

「うわっ!?」

 

──翔の、姿へと変えた

 

「翔!?」「ショウ!?」「戻ったのかい!?」

「・・?えっ?何が・・・!?」

 

そして、もう一人

 

「・・・うう」

「っ!?お父さん!!」

 

光が大吾へと姿を変える

 

歓喜する3人に、ひたすら困惑する翔の姿が遠くに写る

──どうやらうまくいったようだ

 

『私が書き換えた世界を・・?!』

「ああ、ぶっ壊した!!」

 

驚愕するデウスに、自信満々に言い放つ

辺りから、驚く人々の声が届き始める

 

他の人々も、続々と戻ってきている

 

これで、心配事はなくなった

 

「・・・あとは、あんたを止めるだけだ!!」

『くっ・・・うう・・!』

 

苦虫を噛み潰したかのような反応をするデウス

そんな彼を追い詰めるために

アクトは駆けだす

 

しかし──

 

『『──!!』』

「!?」

 

飛びのく

避けた場所に、強烈な2つの蹴りが突き刺さる

 

見やれば、2人のバッタ怪人が

デウスを守るように、立ちふさがる

 

『・・・今は、世界を預けておいてやろう』

 

決心したように、デウスはそう言うと

彼の背後に、謎の裂け目のようなものが開く

あれは・・・

 

「逃げる気か・・・!」

 

アクトが一歩踏み出す

しかし、そこを通さないと言わんばかりにバッタ怪人が立ちふさがる

 

『・・・私は、諦めない』

 

そう言い残すと、デウスはその姿を消すのであった

 

消えた瞬間、バッタ怪人がアクトへ攻撃を仕掛けた

全力を持って、跳躍する

飛び上がった脚へと、力が集っていく

 

「・・・勝負だ」

 

ベルトを押し込む

 

『OVER RIDE(オーバー・ライド)!!!』

 

┌────────────────────────

│■必殺技:ベストアクション

└────────────────────────

 

┌────────────────────────

│■必殺技:劇的な一撃(ドラマティック・アクション)

└────────────────────────

 

『アクト!!』

『DRAMATIC ACTION(ドラマティック・アクション)!!』

 

アクトが構えを作る

凄まじい熱量を持ったエネルギーが

その脚に集っていく

 

アクトが飛び上がる

2体のバッタ怪人達も、その脚をアクト目掛けて突き出す

 

アクトもまた、バッタ怪人達のいる上方へ

天目掛けて脚を向ける

 

大地へ堕ちるキック

天へと上るキック

 

その二つが、今

ぶつかり合った

 

「はああああ!!!」

『『──!?』』

 

──しかし、そこに拮抗はない

ぶつかった瞬間、バッタ怪人達は

その力に圧倒されていく

 

怪人の足を弾き飛ばし

アクトのキックが、2人の怪人のその体を貫いた──

 

力強く着地したアクトのその背後に

凄まじい勢いの爆発が立ち上がる

 

爆炎が晴れた先を見る

 

その先には──見事な青空が

晴れやかに輝いていた

 

 

 

※

「・・・一体、何が」

 

喫茶テアトロでは、3人の男たちが困惑していた

浩司も音石も太田も、一体何が起こったのか分からなかった

 

突然世界が変わったのかと思えば

 

飛んだかのように時間が過ぎていて

一緒にいたはずの大木が消えている

 

雄飛君達は一体どうなったのか

まるで分からない

 

カランカランと、扉を開く音が聞こえた

誰かが、返ってきたのだ

 

「ただいまー・・・」

「杏奈!」

 

3人の男たちが、その顔を見て安堵する

杏奈がちゃんと戻ってきたのだ

 

「一体何があったんだ!」

「ほかのみんなは無事なのか!!」

 

次々と質問する3人に杏奈は

 

「ちょっと落ち着いて、ちゃんと説明するから」

「それよりも、叔父さん」

 

杏奈が、こちらに手招きをする

 

「?ああ・・・」

 

一体どうしたというのか

入口まで、歩き杏奈の目の前に立つ

 

「はい」

 

そして、杏奈はその場をどいた

入口を塞いでた杏奈がいなくなったのだから

当然、外の様子が見える

 

そこには・・・

 

「ほら、着きましたよ」

「ああ、すまない」

 

翔君と大木君が、誰かに肩を貸しながら立っていた

──いや、誰かではない

 

その人物がこちらを見る

 

「・・・兄さん」

「──。」

 

大吾が、自分の目の前に立っていた

 

「ただい──」

 

言い終わる前に、抱きしめていた

胸に熱いものがこみ上げる

ああ、年甲斐もない

 

「──すまなかった・・!」

「私のせいで・・・8年も・・!」

 

震える手に、手が添えられる

 

「選んだのは・・・僕だ」

「送り出してくれたのが、兄さんだよ」

「・・・っ」

 

「・・・よく、帰ってきてくれた」

「うん、ただいま」

 

互いに抱き合い、涙を流す

その様子を、杏奈は優しい目をしながら見ていた

 

 

※

──2人のそんな会話を

ボロボロの雄飛とラストは見ていた

 

「・・・あれが」

「ん?」

 

優しい光景に、穏やかな気持ちになっていた雄飛

そんな隣でラストが何かを呟く

 

「あれが、家族なんだな」

「・・・ああ、そうだね」

 

どこか、羨ましそうに、けれど嬉しそうにそう言うラストに

雄飛もまた、嬉しそうに返事を返すのであった

 

 

 

 

 

※

『・・・くそ・・・!』

 

どこかに去ったブルーは、屈辱を味わっていた

勝ちを確信していた

 

もはや自分の目的は果たされたと思っていた

──まさか、彼があのような成長を見せるとは

 

対処法を、考える必要がある

 

・・・。

 

"・・・憎い。"

『──。』

 

"人間が憎い・・・全て・・・。"

『・・・黙るんだ。』

 

"全て消えてしまうべきなんだ・・・!"

『黙れと言っている・・・。』

 

──。

 

『・・・ああ、そうだ私は』

 

必ず、全ての人間を消し去るのだ。

 

 

デウスが闇の中に溶けていく

戦いは、ゆっくりと

 

しかし確かに最後へと向かっていっていた。

 

 

続く




次回 仮面ライダーアクト

ブルーは語り掛ける
『君たちは選ばなければならない
 世界とともに消えるか、新たな姿を手に入れるかだ』

人々は──
「自ら怪人になることを望む人々も現れてくるかもしれない」

ライダー達よ、戦え
「世界を、お前の思い通りになんてさせてたまるか!!」

第36章[人間の未来、世界の未来]
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